「貴様ッぁぁあああああ!!!よくも!よくもアルトリウスを!!」
女の怒号が木々を揺らす。
鬼のような形相で短剣を構え突撃する。
不死は何も答えない。
月明かりに照らされる森の奥、月光蝶の舞う幻想的な広場。
そこには四騎士の一角を担う巨人と、一匹の大狼が居た。
しかし今や、巨人は既に事切れ、立派な体躯をした大狼も虫の息だ。
不死が何故このような狼藉に及んだのか。
もはや亡者になる寸前で理由もなく戦いを求めていたのか、最強と謳われる騎士の剣を求めてか…理由は誰にも伺い知る事はできない。
尤も、不死が弁明をしたところで目の前の女が罪を見逃す筈も無いのだが。
不死は血に濡れた刀を一振りして女を一瞥する。紅い血が夜の森の大地に染み込んだ。
"スズメバチ"の異名は伊達では無い。女は敏捷な動きで不死との間合いを詰める。
不死の斬撃を確実に避け、瞬く間に背後へ回り込む。女の短剣が煌いた。
「これで………っ!?」
しかし女の短剣は不死の心臓を貫く事なく宙を舞った。
ドクンと、鼓動が一つ大きく跳ねる音が聞こえた気がした。
「……っぐ、あ…なん、で……」
鳩尾に強烈な一撃を叩きこまれ、女は喘ぎながら崩れ落ちた。
不死はニヤリと笑いながら女の首根を掴み大地に叩きつける。
敵の背後を取るために軽量化した鎧は、留め具さえ切ってしまえば簡単に脱がす事ができた。
「うっ……っぐ、あ……貴様っ、何、を…」
不死は女の衣服の下へ手を滑り込ませると両の乳房を乱暴に捏ね回した。
狼が唸る。満足に動かなくなった四肢を震わせながら、牙を晒し唸り声を上げる。
それでも不死の手は休まない。女の肢体を弄び、挙句秘裂を挿し貫いた。
「やっ……め……ぁ、あああっ…!」
何故、何故アルトリウスはこんな男に。シフも付いて居た筈。この男は化け物なのか。
乱暴に腰を打ちつけられながら、女は必死に考えた。
痛みと、屈辱と、混乱で気が狂いそうになる。
「……っく、う、ひぅっ……もう…やめっ…あ、アルト、リウス…!」
歯を食いしばり耐えながら、戻らない男の名を呼ぶ。
腹部の傷からは出血が続いていて、次第に意識が遠くなる。
女の抵抗が弱まった頃、不死は熱い滾りを胎内にぶちまけて満足そうに去っていった。
「アルトリウス…アルトリウス……」
涙を流しながら、溢れる血で大地を濡らしながら、膣から零れた白濁で大地を濡らしながら女は何度も男の名を呼ぶ。
灰色の大狼が哀しそうに鳴く。
「シフ…あなたは……まだ…生きられる…わた、しの、ソウルを…使って…そして、アルトリウスの墓を……」
言い終わらない内に、女の身体が白い光りに包まれる。
ソウルの輝きは、まるで風に吹かれた花びらのように舞い上がり、大狼へ集まって行く。
大狼が大地を踏み締め、月へ遠吠えをする頃には既に女の息は無かった。
女の死体を優しく咥え、アルトリウスの許へ運ぶ。
大狼は忘れない。不死の犯した罪を、不死の匂いを、不死の瞳を。
大狼は護り続ける。時の流れの捩れたロードランで、主人の墓を荒らす者が居なくなるまで。