朦朧とする意識の中,やっとの思いで目を開けた。
頭が痛い。ここは一体……
「……!?」
身体の自由がきかない。
慌てて周囲を見渡した俺は,自らの置かれている状況に愕然とした。
粘りつく糸のようなもので,全身が絡みとられている。
手足を大きく広げた状態で,立ったまま固定されているのだ。
……ああ,そうか。思い出した。
俺は負けたんだ。あの女の化け物に。
「! そうだ,ミル姐は……」
再び辺りを見回す。少し離れたところに,戦友の人食い女が捕われていた。
「ミル姐!ミル姐!」
何度呼びかけても返事がない。
自分と同じような状態で,ずた袋の頭をぐったりさせている。
……霊体は死ねば消滅する。ということは,まだ生きてはいるのだろう。
俺はほっと息をつきながらも,この状況を打開する方法を考えようとした。
と,そのとき。
ザッ……ザッ……ザッ……ザッ……
地面を突き刺すような音が,遠くから近づいてきた。
それと同時に,何かがメラメラと燃える音も。
忘れもしない。この音は……
恐怖が,戦慄が,体中を駆け巡る。
倒されたときの衝撃が,まざまざと蘇る。
俺は冷や汗を浮かべながらも……おそるおそる,音のする方向に顔を向けた。
一糸まとわぬ黒髪の美女。腰から伸びる,巨大な蜘蛛の下半身。
まさに化け物と呼ぶに相応しい。
そんな怪奇的な存在が,ゆっくりと,捕われの人食い女のもとへ向かう。
「ミル姐!起きろ!起きるんだ!」
人食い女はぐったりとしたまま動かない。
その間にも,女の化け物はゆっくりと,自分の獲物に近づいていく。
「ミル姐!くそっ!くそっ!」
俺は必死に拘束を解こうとするが,かえって身体が絡まってしまう。
女の化け物がこちらを一瞥し,ニタリと笑った。
「ちくしょう……ちくしょう……!」
仲間が危険に晒されているのに,自分には何もできない。
仲間が殺されていく様子を,ただ見ていることしかできない。
自分への怒りと屈辱で,心が溢れかえりそうだった。
だがしばらくして,様子がおかしいことに気付く。
女の化け物が,一向に人食い女を殺そうとしないのだ。
「……?」
白く光る身体を,長い爪でなぞる化け物。
するといきなり,身体を覆うボロ布を切り裂きはじめたではないか。
「な,なにを……!?」
秘部を隠していたボロ布は簡単に取り払われ,人食い女はあっという間に裸にされた。
生気を感じさせる,肉付きのよい身体。ムチムチとした尻と足に,垂れ下がった小さめの乳房。
ずた袋を被せられたまま,人食い女はX字になって,その肉体の全てをさらけ出している。
身体そのものは色気を感じるものではない。
しかし,その変態的なシチュエーションに,思わず股間が熱くなるのを感じた。
「くそっ……こんな時に何を考えている!」
俺はかぶりを振り,破廉恥な思考を外に追いやる。
仲間の危機だぞ!しっかりしろ!
だが,次に起こった衝撃的な展開に,俺は目を離せなくなった。
化け物が上半身を前に倒し,人食い女の股間にむしゃぶり付いたのだ。
「なっ……」
静かな空間に漂っていた,メラメラと何かが燃える音。
そこに少しずつ,ぴちゃぴちゃという水音が加わっていく。
ひとしきり股間を貪った化け物は,そのまま白い身体を舐め上げ,杏色の乳首を含む。
舌先で乳首をチロチロと転がしながら,傍らに転がっていた肉切り包丁を拾い上げた。
まずい……今度こそ殺られる!
どうにもならない焦りが全身を駆け巡る。くそっ、一体どうすれば……
しかしそこで、女の化け物は予想外の行動に出る。
肉切り包丁の柄先を口に含んで唾液に浸すと、人食い女の秘裂にあてがったのだ。
「え……」
もったいぶるように、柄先で肉の割れ目をなぞる化け物。
そして次の瞬間、それを一気に、人食い女の胎内にめり込ませていった。
「!!!」
全身を貫く衝撃に、思わず目を覚ます人食い女。
だがその時にはもう、何もかもが遅かった。
化け物は乳首を吸いながら、柄の出し入れを徐々に速めていく。
「……!!……!!!」
声にならない声を上げ、大きく顔を反らせる人食い女。
敏感な箇所を同時に攻められ、人食い女は悶え続ける。
目の前で繰り広げられる光景が、ただただ信じられなかった。
裸の女仲間が犯されている。それも、妖艶な美女の化け物に。
そのあまりに艶めかしい光景に、俺の息子はいつの間にか、
天に向かってギンギンにそそり立っていた。
「くそっ、何してる!やめろ!」
俺は息子を叱咤する。
しかし正直な息子は、今にも衣服を突き破らんとするかのように,
ヒクヒクと痙攣していた。
「くそっ……ちくしょう……」
今度は罪悪感で、胸が締め付けられそうになる。
わけのわからない涙が、ほろほろと零れ落ちた。
俺は……最低の人間だ。
しばらくして、化け物が乳房から顔を上げた。
乳首から唾液の糸を引かせて、尖った舌が離れていく。
そして休む暇も与えぬまま、柄で攻められ続ける膣口に
顔を埋めていったのだ。
「……!!!!」
果汁をすするように、じゅるるるる、とソウルが吸い上げられる。
じゅるる,じゅるるるる,ぴちゃぴちゃぴちゃ……
ソウルをすする音と,膣内を攻め立てる音が,あたり一体に響き渡る。
もう耐えられないというように、肥えた足が内股気味にガタガタと震えた。
「……!!……!!」
ガクン、ガクン、と大きく痙攣する人食い女。
膣を塞いでいた柄が引き抜かれると、あたり一面に大量のソウルがぶちまけられた。
化け物はそれらをきれいに舐めとると、なおも余りをせがむように、
人食い女の膣口に唇を押し当てる。
「!!」
膣口へのディープキス。人食い女はイヤイヤとかぶりを振ったが、
最後の一滴まで容赦なく吸い出されてしまった。
「……ッ…………」
全てを吸い取られた人食い女は、カクン,カクン,と力なく腰をヒクつかせる。
そして,糸の壁にはりつけられたまま、虚空に溶け込むように消滅していった。
女の化け物が口元を拭い,ゆっくりとこちらに近づいてくる。
足が地面を刺す音が,一定のリズムで刻まれる。
俺はもう,何も考えられなくなっていた。
「化け物め……」
最後のささやかな抵抗として,精一杯の憎まれ口をたたく。
すると,化け物の動きがピクリと止まった。
「……あなた,私たちの言葉がわかるの?」
色気のあるハスキーボイス。
いきなり言葉を発した化け物に,俺は目を見開いていた。
「…………」
化け物は黙り込んだまま,俺のすぐ正面に立つ。
蜘蛛の下半身からメラメラと発せられる熱気が,とても熱い。
化け物は俺の全身を舐め回すように見た後,右手の先で視点を止めた。
「……なるほど,その指輪のせいね」
化け物はその長い爪で,人差し指にはめられた指輪を軽く引っかいた。
老魔女から祖父に送られたという,古めかしい指輪。
何の力も秘めてないと思っていたが……まさかこんな効果があるとは。
しかし,化け物と話せるようになったからと言って,この絶望的な状況はなにも変わらない。
「くっ……俺をどうする気だ」
指輪を見つめていた化け物は,こちらに向き直ると妖しく微笑んだ。
「今の私たちにはね……大量の人間性が必要なの。さっきの女はソウルばかりだったけど,
あなたのココは期待できそう……」
そう言って化け物は,股間の膨らみに手を添える。
「うっ……くっ……」
温かな手で包み込みながら,優しく何度もこねくり回す。
萎えかけていた息子は歓喜に震え,ムクムクと息を吹き返した。
「ああっ,ステキ……」
息子の勃起を布越しに感じた化け物は,恍惚な表情を浮かべる。
そしてその長い爪で,放浪者の衣服を切り裂きにかかった。
糸に絡まれた状態のまま,俺はその肉体を曝け出す。
化け物の熱気に晒されて,程よく引き締まった筋肉には無数の汗が滲んでいた。
ガチガチの息子は青筋立ち,まっすぐ化け物を見据えている。
「本当にステキよ……最近はむさ苦しい男ばっかりでウンザリしてたの。
あなたみたいな色男を虐められるなんて,今日は本当にツイてるわ……」
化け物の手のひらが,そっと頬を撫でる。
間近で見た化け物の顔は,恐ろしいくらいに美しかった。
切れ長の目に,肉感的な唇。そして陶磁器のように白い肌……
たわわに実った乳房には艶のある髪がかかり,肝心な部分を覆い隠している。
なんて美しいんだ……こいつは本当にデーモンなのか?
俺がその美貌に見とれていると,突然股間に温かな刺激を感じた。
化け物が,そそり立つ息子をシゴきはじめたのだ。
「くぁっ……はぁっ……ぁっ…………」
手をお椀型に丸め,肉棒を抱え込みながらゆっくりと前後に動かす。
手のひらに男の脈動を感じ,化け物はうっとりと目を細めた。
「ああっ,凄い……ねぇ,一体どれだけの人間性を溜め込んでいるの?」
必死に暴発を堪えながら,俺は化け物の目を見据える。
するとそれに応えるように,化け物が唇を重ねてきた。
「んっ……んぐっ……ん……」
熱い吐息と共に,化け物の舌が口内に侵入してくる。
化け物の舌は獣のようにのたうち回り,歯茎をなぞり,舌をからめ取ろうとする。
「ぶはっ……」
唇を離すと,今度はそのまま身体を舐め降り,胸先の突起を口に含んだ。
人食い女にしたように,舌先で乳首を攻めながら,性器にも刺激を与え続ける。
「はぁぁっ…っ……ぅぅっ……」
こみ上げてくる切なさに,思わず声を漏らしてしまう。
化け物はその後も執拗に,二つの性感帯をいたぶり続けた。
どれくらい時間が経っただろう。
俺はようやく,乳首と肉棒の同時攻めから解放された。
とうとう最後まで,俺はイカせてもらえなかった。
暴発しそうになるたび,まるで見透かしているかのように,化け物はその手を止めてしまうのだ。
何度も寸止め地獄を味わされた息子は,かつてないほどのソウルを溜め込んでいた。
「……くっ…………ぅっ……!」
もはや俺は,達することしか考えられない。
化け物はそんな様子を見ながら,肉棒の前でくすくすと笑う。
「ああ可哀想……こんなに溜め込んじゃって…………」
化け物が言葉を発するたびに,肉棒に熱い吐息がふりかかる。
性器に走るこそばゆい感覚。そのわずかな刺激さえも,今にも息子を暴発させてしまいそうだった。
「……ねぇ,どうして欲しいのかしら?」
間近で肉棒を見つめた後,上目遣いになって俺に問う。
……わかっているくせに。その証拠に,整った顔には邪悪な笑みが貼り付いている。
憎たらしいデーモンに敗れた上に,その相手に辱めを受けている。
その上で……この俺の口から,さらなる辱めを求めろというのか!?
そんな事をするくらいなら,今すぐに死んだ方がマシだ……!
…………普通なら,そう思うだろう。
「……く……て…………くれ」
「なに?よく聞こえないわ」
しかし,今の俺の中では,理性よりも本能が打ち勝っていた。
「早くイカせてくれえええぇぇっ!!」
ああ,ついに言ってしまった。
これでもう,俺は人間には戻れない。
「フフ……いい子ね」
化け物は優しく微笑んだ後,肉棒に手を触れた。
性器全体に,電撃のような刺激が走る。
「……っ!!」
「下の口から吸えないのが,本当に残念だわ……」
その言葉を最後に……化け物はそそり立つ肉棒を,ゆっくりとその口に含んだ。
「あっ………うぁ…………」
化け物はその美貌をすぼめながら,溜まりに溜まったソウルを搾り取ろうとする。
ぷっくらとした下唇を裏スジに這わせ,舌先で小刻みに亀頭を刺激していく。
ああっ,凄い……気持ち良すぎる……
ずっと我慢を強いられていた息子は,何往復もしないうちに,すぐにその欲望を解き放った。
「うっ……」
ドピュッ,どくっ,どくっ……
化け物の口内が,大量の白いソウルと,それに混じった黒い精で満たされる。
口内に収まり切らなかったソウルが,口の端からこぼれていく。
化け物は一瞬だけ眉をひそめたが,それらを一滴残さず飲み下した。
鈴口から糸を引きながら,化け物の口から肉棒が引き抜かれた。
「ハァ……ハァッ……」
肩を上下させて,やっとの思いで息をする。
心臓がバクバクと鳴って止まらない。
「休んじゃダメよ……まだまだ出せるでしょ」
化け物はそう言って,余韻に浸る俺の肉棒をシゴきはじめる。
光彩を失ったとろりとした目で,俺はその行為を見つめていた。
「ウフフ……全部出し切るまで,帰さないからね……」
そうして俺は,理性を失った亡者になるまで,ソウルと人間性を吸われ続けるのだった……