この俺がこんなところで躓くとは。  
 
黒鉄のタルカスといえば少しは名のある騎士だ。  
しかし一人ではどうにもあのアイアンゴーレムに勝てぬ。  
せめて囮でもいてくれたら良いのだが。  
 
不死の使命の旅に出る際、仲間から渡された白い蝋石で召喚サインを書く、無駄かもしれぬと思いながら。  
 
「…ふー…」  
 
今までの旅路で何度命を落としたか分からぬ。  
橙色の蝋石で幾度となく見たあの言葉。もしやこの感情が、心が…。  
首を振る。それは有ってはならない。  
 
 
 
 
「白い光か、どうしようか…ん?橙の蝋石で、『左』?窓の外見ろってことかn…」  
 
私は外を見て凍りついた。  
な、何かいる。いやいらっしゃる、デカイ獲物を構えて。  
白い光の向こうはいよいよボス戦らしく、しかもそれは私ひとりで倒せそうな相手ではない。  
 
「仕方ない、篝火に戻ってなけなしの人間性使うとしますか」  
 
はぁ、と盛大に溜め息をつきながら来た道を戻る。幸い登りと違って帰りはショートカットがある。  
ローリングと落下でまっすぐ篝火に至り、格納しておいた黒い精を握りつぶす。  
 
「人間性が体に入ってくる感覚、いまだに慣れないな」  
 
言いながら復活する。久々の生身だ。  
 
「体に…入る感覚…」  
 
や、ヤバい。何もこんなところで…。  
 
生者になった途端に体がうずき始めた。慌てて周りを確認する。  
白い蝋石が反応した。ここは召喚ができる、つまり闇霊も侵入できるのだ。  
 
せめて隠れる場所はないか。手近で、敵もおらず、罠もなく、まともな不死に気付かれる心配もない場所。  
 
そうだ、さっき何もない部屋が…。  
 
 
 
 
ボス部屋を通りすぎて何もない部屋にかけこむ。  
ここなら他の不死も敵もいないし罠もないし、万一闇霊が来ても身支度を整える時間が取れる、たぶん。  
 
壁によりかかって聖職者の衣服を脱ぐ。荷物を放り出し、下半身を露出させる。  
 
そこで聞こえる世界が交わる音。  
 
「まさか、闇霊!?」  
 
そう言って立ち上がろうとした瞬間、背後に固いものが当たる。  
 
「タ、タルカス様!?」  
 
黒鉄のタルカスといえば重々名のある騎士だ。  
そのタルカス様が私の、しかも脱衣した私の目の前にいる。  
その姿は白く輝いていることから、召喚されし白ファントムであることが窺える。  
 
どうやら何かの拍子に召喚サインを起動したらしい。  
 
伝説の騎士に会えた感動。その伝説に自分の試練を手伝ってもらえる安堵。  
 
それより、目先の性欲がまさってしまった。  
 
「っ!?」  
 
あぁ、びっくりしてる。戸惑ってる。ごめんなさい。でも我慢できないんです!  
 
タルカス様のズボンをおろし、鎧を掻き分けてその下半身にもぐりこむ。  
すぐにそれを見つけ、吸い上げ、手でしごく。  
恐らく彼も溜まっていたのだろう、それは半ば起ちあがっていた。  
 
私の唾液と彼のまだ少ない先走りが交ざった液体を右の指に絡ませ、自らの秘所にあてる。  
 
「んちゅ、ん、んく…」  
 
先ずはなぞる。スジを押し広げるように指を前後させ、下の唇に快感を伝えていく。  
よく濡れたそこはちゅくちゅくといやらしい音をたてた。  
 
「ふぁ、ん!た、タルカス、様ぁっ…」  
「……っ」  
 
豪快なタルカス様のそれ。  
ずいぶんと勃起してきたようだ。  
白霊の言葉が聞こえないものなのか、タルカス様が声を押し殺しているのか、つらそうな吐息だけが聞こえる。  
 
左手全体で竿を優しく前後しながら、舌先で鈴口をチロチロと舐める。  
噎せそうなオスの香りが今は芳ばしい。  
 
右の指を核に伸ばす。きゅっと人差し指で押すと、それだけで下半身が痺れる。  
 
「はみゅうっ」  
 
先端をくわえたまま声が出る。  
もっともっと欲しい。  
 
陰茎の先から中間までを口の中に含む。それ以上は入らない。  
歯をあてないように気はつけるが、限界まで開口しないとくわえられないから顎が外れそうだ。  
 
下部に舌をあて、先でひっかくように裏筋をなぞる。口全体も前後させる。  
苦い固形物が舌についた気がするが気に留めていられない。  
ちゅぱっちゅぷっ、口の中に水音が響く。  
 
「あむっ、うん…」  
 
陰核を押す指をゆっくり上下させる。肉皮の上から捏ね回すように、次第に速くしていく。  
核の下のほうに指をあて、上にひく。  
 
「んみゅぅぅっ!」  
 
肉皮の薄い核の下部をこすり、体がびくんと跳ねる。  
それからは常に核を下から責め続ける。力加減次第では痛い、敏感すぎる部分をコリコリといじめる。  
 
呼吸が荒くなるが、口が塞がっていて鼻呼吸がつらい。  
 
タルカス様にも一緒に達してもらおうと、その肉棒にむしゃぶりつく。  
口を激しく前後させながら、舌で先端をこすったり、血管をなぞって舐めあげたり、唇をすぼめて先走りをすいとる。  
 
私の唾液とタルカス様の先走り液で鳴らすちゅぱちゅぱという音も激しさを増す。  
 
「っ…く…」  
 
タルカス様から圧し殺すような息遣いが感じられた。  
 
「んむっ、はぁ、タルカス様ぁ、ちゅっ、出そう、ですか?思いっきり、私の口の中で、ぶちまけて下さい…」  
 
れろれろと亀頭を舐めながら、信じられないような卑猥な言葉が紡ぎ出される。  
聖職者でありながら、私はなんと罪深いのか。  
 
「っ、う…出っ…!!」  
「あ、んっ!?あ、あむっ!んひゅぅうううっ!!!!!」  
 
その直前、いきなりタルカス様に頭を鷲掴みにされ、押し付けられる。  
黒光りするその茎から勢いよく液体が吐き出され、同時に私も絶頂に達した。  
 
全部飲むつもりだったのに、あまりの量に飲下が追い付かず、唇の端々から飛び散る。  
鼻先に、瞼に、頬にかかり、そして肩と胸へ滴る。  
 
「ぷぁ…」  
 
解放された頭を肉から離し、鈴口から零れる数滴をなめとり、ちゅっと短くキスをする。  
左手で玉袋を揉みながら右手で絞るように指を動かし、先っぽを吸う。  
中に残った液も出尽くしたはずだ。  
 
「タルカスしゃまぁ…」  
 
息をあげる彼を見上げ、その男根に頬擦りした。  
しまった、せっかくキレイに舐めたのに私についた液が…。  
 
再度舌を這わせようと握ったそれが柔らかくなっていくのを感じる。  
出しきって萎んでしまったのかと思った。  
 
 
 
 
「霊体黒鉄のタルカスが消滅しました」  
 
 
 
 
「え?」  
 
雲散霧消していく肉。見上げると頭もかき消えるところだった。  
 
「嘘ぉおおおっ!!!」  
 
もしかして寝ちゃったとか…  
 
気持ちよくて気絶しちゃった、とかだと少し嬉しいが。  
聞いたり読んだりしただけの知識も少しは役に立っただろうか。  
 
「あ…この後、どうしよう…」  
 
どろどろになったこの格好で他の白霊を召喚するのはさすがに恥ずかしい。  
だからといってのんびりしていたら闇霊でも入ってきかねない。  
ひとりでボスは怖いし。  
 
というか、タルカス様に私なんてことを。どう思われただろう。もう手伝ってくれなくなったらどうしよう。  
 
私はしばし悩むこととなった。  
 
 
 
 
「………」  
 
すっきりした。  
 
いやそうじゃないだろう。  
 
鎧の頭だけ脱いで、俺はあの部屋に座り込んでいた。もちろんあの娘はいない。  
正直気分は沈んでいた。  
見ず知らずの小娘にあんなことを。気持ちよくなってしまったのがなお情けない。  
 
見たところ聖職者のようだった。俺のように教会から使命に出されたのだろう。  
あんな若い娘まで連れ出されるとは。しかも中々可愛…  
 
違うそうじゃない  
 
人のことは言えない。  
一応俺とて若い体、溜まっていたのは言い訳の余地もない。彼女もそうだったのかもしれない。  
 
「はぁ…」  
 
頭をかかえる。  
どうしたものか。またサインを書いたらあの娘に拾われる可能性は高い。  
 
「どうするか…」  
 
 
俺はしばし悩むこととなった。  
 

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