「っぐ、うぁ、はぁっ……じゅぽっ、ちゅっ、っうぇっ」
口腔内を亡者に激しく蹂躙される
見たくも無い、触れたくも無い不浄の器官に取り囲まれる
振りほどこうにも頭をがっちり掴まれ叶わない
私にもう少し筋力があれば…!
後悔しても、行為は止まるわけもなく、ついに亡者は私のズボンに手をかけた
「や、やめっ!…んっぐ、う、じゅるっ…」
言葉が通じる状態か分からないが、拒絶の意を叫ぶ
しかしそれも、すぐに頭を押さえられ掻き消されてしまう
これ以上触れないで欲しい、おぞましい
軽い布で出来た魔術師の服は、簡単に脱がされてしまった
ぴたり、と背後に感じた肉の熱さで全身が凍りついた
「ま、まさかっ……やめっ…」
信じたくない、そんな、これ以上無い屈辱だ
「じゅっ…っんぐ、うぁ、やめ、やっ、ぅあ、ああああっ!!!」
体内に侵入する肉の感触。初めて感じる激痛と圧迫感に絶叫する
身体を前後に激しく揺さ振られながら、絶望で目の前が暗くなる
どうしてこんな事になってしまったのか…
不死教会で鍵を拾った私は、不死街下層へと至る扉を開けた
今思えば、その前に篝火で休憩して体勢を整えておくべきだったのだ
教会で襲いかかってきたバルデルの騎士と応戦したために魔術を撃つためのソウルは殆ど無くなっていた
魔力を温存しつつ急に飛び出してきた亡者の犬を退けるころには体力も限界に近くなっていた
油断していたんだ
あたりに誰も居ない、民家が並ぶ風景。一本道で死角も少ない
安心して歩いていた矢先、突然盗賊のような出で立ちをした複数の亡者に囲まれた
しまった、民家から出てきたのか…!
複数に囲まれてしまった今、魔術を使用すると詠唱の隙が不利になる
そう判断した私は腰から杖ではなく刺突剣を抜く
四方からのナイフでの斬撃を防御するが、小盾では防ぎきれない
このままでは押しきられる…!
斬撃が止んだ隙を見て、一歩踏み込み眼前の亡者へ剣を突き出す
…笑っている!?
しまった!
気づいた時には、私の剣は盾に弾かれ宙を舞っていた
そして亡者は素早く私の背後に回りこみ、腕で首を圧迫した
…っく、迂闊だった…パリィなら、私も得意だったはずなのに…!
後悔と、身体が引きずられるのを感じながら私は意識を手放した
気がついたら、狭い民家の一室に監禁されていた
周囲には複数の亡者
生気が失われ、目は落ち窪んでいるがニヤニヤと不適な笑みを浮かべているのが分かる
魔術の触媒となる杖は部屋の片隅に打ち捨てられていて届きそうにない
「くっ…いったい何をするつもりだ…」
問いかけても返答は無く、変わりに四肢を押さえつけられ一斉に襲いかかってきた
そして始まる、狂気の陵辱
せめて触媒さえあれば…!
繰り返される行為に気が遠くなりそうになったが
しばらくすると満足したのか、不死が一人また一人と持ち場に去っていった
とりあえずは助かったのか…
私は放り投げられた衣服を集める。殆どボロボロになっていたが、コートはなんとか無事だった
どうやら扉は鍵を閉められたらしい
身繕いをして逃げる算段をしていると、何者かの声と亡者の悲鳴が聞こえてきた
誰か居る?まともな不死なのか?
「おい、誰か居るのか?」
恐る恐る声をかける
「あ?何だ?亡者か?どこだに居る?」
よかった!まともな不死のようだ。助かるかもしれない!
「私はまだまともだ!よかった!助けてくれ!鍵を開けてくれ!」
助かる希望で胸がいっぱいで、全力で叫び、そして気づく
このまま扉を開けられたら、陵辱された事がバレてしまう。それは非常にマズイ
私は急いで付近にあった樽で床にこぼれた白くべたつく何かとボロボロの衣服を隠した
「お、万能鍵で開いたな」
…間に合った!
「あ、ありがとう!助かったよ!」
「ん…お前…あぁ、青ニートが言ってた魔術野郎ってお前か?」
「私はヴィンハイムのグリッグス。このお礼は必ずするよ」
「なんだ、祭祀場に戻るなら送ってやるぞ?だいぶやつれてるじゃねぇか」
「あ、ああああいいいやいやいや、だだだ大丈夫だだだ。私にはまま魔術もあるから」
「なんかめっちゃキョドってるけど本当に大丈夫か?まぁ野郎と歩くのも楽しくねぇしな
お前がそう言うなら一人で帰ればいいさ。じゃあ祭祀場でな」
そう言うと不死の男は去っていった
もうだめ、心が折れそう。とりあえず祭祀場に戻ったらしばらく休もう。
師ならきっとそのうち戻ってくるさ…たぶん