「ん…………」  
目を刺す眩しい光に意識が覚醒する。  
見慣れた天井  
そうここは………俺が住んでいるアパートの一室  
6畳間とトイレとキッチンのある小さな部屋  
空腹の胃を刺激する匂いがする。  
この匂いは……味噌汁か?  
「おはよう、黒……朝ご飯、出来ているよ。」  
料理の邪魔だったのだろう。長い緑色の髪を束ねてエプロンをしている。  
 
裸で  
 
「アンバー……」  
「どうしたの?黒」  
首を傾げる彼女  
「……俺は何を…………」  
頭がボーッとする。  
「昨日の事を思い出させないでよ!…………恥ずかしいんだから……」  
顔を真っ赤にして恥ずかしがるアンバー  
そうだ。昨日の夜は……アンバーを抱いて……  
思い出したら自分も恥ずかしくなる。  
だから彼女は裸なのか……  
「…………すまない」  
「それよりも、ご飯にしよう。」  
「ああ…………」  
 
朝ごはんのメニュー  
・アンバー  
ご飯(小さな茶碗)  
味噌汁(小さなお椀)  
鮭の切り身  
・黒  
ご飯(お櫃一つ)  
味噌汁(鍋)  
鮭の姿焼き  
 
いただきます  
 
 
「変な夢みたんだ……」  
箸を進めながらアンバーと雑談する。  
「どんな夢?」  
「俺とアンバーとか色々な人が超能力を使う夢」  
「なにそれ?スプーン曲げでもするの?」  
そんな小さなことじゃない  
「スプーンを曲げるんじゃなく、電撃を放ったり、氷を作ったり・・・時間を操作したりさ・・・」  
そして………■し合った。  
「超能力よりも、どちらかと言えば魔法じゃないの?」  
「………そうだな」  
確かに、どこのRPGだというんだ?  
朝ご飯も食べて少々腹も膨れた。  
「そろそろ仕事の時間でしょう?」  
アンバーは時計を指す。  
「仕事……?」  
「もう!まだ寝ぼけているの?また未咲さんに怒られるよ?」  
「そうだな……急がないと………」  
確かに早くいかないと拙いかもしれない。  
服を着替えて鞄を持って出ようとした時、クイッと服の袖を引っ張られる。  
「………なんだ?」  
「いってらっしゃいのチューは?」  
目を粒ってキスをせがむアンバー  
どうやらするまで服は離してくれそうにもない。  
諦めて彼女に軽くキスをする。  
「行ってくる。」  
「うん、いってらしゃい」  
キスに満足したのか、アンバーは満面の笑みだ。  
少し恥ずかしい。  
 
 
煙草屋の前を通る。  
ふと、煙草が切れていたのを思い出して一箱を買おうと思った。  
だが店の中には誰もいなかった。  
いや、黒猫が一匹だけいた。朝から不吉な………  
時間もないので会社へ急ごう。  
二人の男女が前から歩いてきた。二人共、見知った人物である。  
「よう、黒」  
「黄………」  
そしてその横にいるのが、彼の………妻である岸田志保子  
正直、彼には勿体無いと思うほど出来た人だ。  
「どうした?」  
「………いや」  
「これからきよピーとデートするのよ。」  
そういって彼女は旦那の腕を絡ます。  
黄は少し嫌そうにするが、実は満更でもない。  
もっと素直になれば良いと思う。  
「たきもとスーパーでの荷物持ちだがな………」  
「や〜ね〜!どっちも一緒じゃない?」  
笑いながら背中をバシバシと叩く  
「じゃあな、黒」  
そういって二人は近くのスーパーへと行く。  
やはり似合いの夫婦だと思う。  
 
 
会社に行くと未咲課長に怒られた。  
遅刻したのだから当然かもしれない。  
だけど直ぐに開放されて席に戻る。  
「遅刻ばかりだとクビを切られるよ?」  
「そうそう、君はいつもマイペースなんだからね」  
そういって忠告するのは同僚のノーベンバーとニック  
随分と国際色豊かな職場だ。  
「どうしたんだい?」  
………ズキッ  
「いえ、少し頭痛が………」  
「風邪かい?ちゃんと体調管理をしないといけないよ。」  
「はぁ、すみません………」  
「今日は飲みに誘うかと思ったけど止めた方がいいみたいだね。」  
………残念だ。  
会社も終わり、帰宅の途へと向かう。  
帰りも煙草屋に行くが、店は誰もいない。  
まだ黒猫はいた。  
と、胸の携帯が鳴り響く。  
「もしもし………」  
 
『あ?お兄ちゃん?』  
 
「白……?」  
血の繋がった妹からの連絡  
『あのね、今度の日曜日にそっちに遊びに行くからね。』  
「あ、おい………」  
困った妹だ。  
自分の用件だけを言って、こちらの話を聞かない。  
だけど妹に激甘な自分なので強くは言えない。  
まぁ、アンバーも白の事を気に入っているから別にいいが………  
時たま、何か二人の間でピリピリとした空気が発生する。  
………あれ?本当は仲、悪いのか?  
 
 
この天然ジゴロ(天の声)  
 
 
「おかえり」  
部屋に入るとアンバーが出迎えてくれた。  
「………ただいま」  
「真っ直ぐ帰ってきたんだ?てっきり飲みに帰るかと思った。」  
「今日は風邪気味らしいから………」  
「らしいって………随分と曖昧だね。」  
彼女は可笑しそうに笑う。  
「ニックさんに風邪って言われたから………」  
「自覚症状ないの?」  
「じゃあ、今日は温かいモノにしようか?お鍋にする?」  
冷蔵庫の中から野菜を取り出し始める。  
しばらくして………  
 
「カレー……?鍋じゃないのか?」  
 
彼女が作っているのは土鍋にカレー  
「カレー鍋って言うだよ。最後にチーズ入れておじやにしたら凄く美味しいらしいよ。」  
それはスープカレーで、後でご飯を投入することでカレーライスしてチーズを入れているだけじゃないのか?  
 
………と思っていた自分が居ました。  
 
カレー鍋、美味し  
香辛料は箸を進めてくれる。  
黒は思い出したかのようにアンバーと話す。  
「日曜に白が来るって……」  
「また白が?」  
アンバーは薄く笑う。  
少し寒いな……やはり風邪か?  
「ふ〜ん、愛されているね。お兄ちゃん」  
「やめろ」  
「黒はモテるからね……猫被りだから?」  
「モテる?」  
誰に?  
「自覚ないんだ………お隣のお水さんとか、女子高生とかハヴォックに未咲さんと白かね。それと・・・ニックさん辺りもなんだか怪しい」  
「ニックは男だろ……?」  
それに今の彼女の上げた人達とは仲が良いだけだ。  
それにモテるのはそっちだと黒は考える。  
彼女の周囲には老若男女、何かと人が集まる。  
この前なんてマキとかいう小僧に「アンバーを独り占めにするな」って言って脛を蹴られる。  
「………知らないって平和だね。」  
何か馬鹿にされたような言い方だ。  
アンバーが最後のお肉に箸を伸ばそうとするが、先に奪い取る。  
「あ〜……私の………」  
「………冗談だ。」  
お肉をアンバーの器へと入れる。  
「えへへへっ………」  
笑うアンバー  
彼女と自分の生活  
それで十分………狭い部屋でも彼女といればそこは天国かもしれない。  
 
 
ノンビリと二人でテレビを見ている。  
自分がアンバーを後ろから抱える様にである。  
一昔前まではここが白の位置であったが、二人で同棲し始めたら此処がアンバーの定位置になった。  
 
「ねぇ……黒………今、幸せ?」  
 
「ああ………そうだな」  
無論、即答する。  
「本当に?」  
「本当さ………」  
じゃなかったら、アンバーと一緒にいない  
そして、それを証明するかのように彼女の唇にキスする。  
「………ついでに、どこ触っているの?」  
「お尻」  
さわさわと、服越しに形の良い尻を撫でる。  
「風邪気味なんでしょう?」  
「………治った。」  
グッ、と彼女を引き寄せる。  
抵抗することなく、彼女も自分の胸に収まる。  
「もう……そんな事していたお風呂屋にいけないじゃない………」  
「別にかまわない………アンバーの匂いを嗅ぎたい。」  
「やだ………恥ずかしい………」  
「止めていいのか?」  
「………意地悪」  
もうスイッチは入ったのだ。  
今更、止めることなんてできない。  
「う…ん………」  
先程より深く口付けをする。  
互いに舌で綱引きをし、そして絡める。  
唾液を交換し合う。  
コクリと彼女は唾液を飲み込む。  
『女』の顔になっている。  
「黒……」  
彼女の服を一枚一枚脱がしていく。  
染み一つない綺麗な身体  
それを今から蹂躙していく事に軽く胸が躍る。  
 
「ん……」  
左手で乳房を揉みながら、右手はヘソを滑らす。  
「………肉、ついたか?」  
「怒るよ?」  
冗談だ。  
刺さるほどの殺気を感じた。  
そのまま、手は下へ……彼女の花園を守る布に触れる。  
人差し指でスーッ、と秘所の筋をなぞる。  
ピクリと震える肩  
「脱がさないの……?」  
返事として何度も擦る。  
指の腹で擦り、下着は徐々に湿り気を帯びていく。  
「汚れちゃう…ん……ッ!!」  
そんなの関係ない  
指の腹から爪先に替えて責める。  
そして場所も秘所の筋ではなく、少し上にある秘豆に狙いを定める。  
小刻みに掻けば掻くほどに、彼女は媚声を上げる。  
「やだ…ッ!それ…以上……っ!!」  
カリカリ、と掻くスピードは早くなっていく。  
下着は濡れて秘所の形をクッキリと浮かび上がらせる。  
「………逝け」  
トドメと言わんばかりに、黒はアンバーの秘豆を指で抓る。  
「………ッ?!!」  
絶頂、声鳴き悲鳴を上げる。  
足を突っ張らせて止まらない快感にビクッビクッ、と震えるアンバー  
「変態……パンツはちゃんと脱がしてからしてよ。」  
蜜を吸いすぎてグチャグチャに濡れてしまった下着を脱がす。  
強い雌の匂いがする。  
「次は私の番ね………」  
アンバーは黒の下腹部へと潜り込み、肉棒を咥える。  
パクリ、と咥えた肉棒を口内で舐め回す。  
単調ながらも彼女の口内の熱に肉棒は刺激されていく  
「………気持ちいいぞ」  
黒の様子を伺って、その返事に彼女は満足に微笑む。  
無論、いつまでも咥えているだけでは芸が無いので、時には口から離して亀頭のみを舐める。  
さらに手で彼の玉袋を揉みながら攻める。  
その刺激に尿道にこみ上げるものを感じる。  
「出るッ………!」  
「ん………」  
次の瞬間にアンバーの口内に白濁液が噴出する。  
コクリコクリ、と喉を鳴らしながら白濁液を飲み込む  
 
「濃い…それに凄く喉に絡みつく……」  
それでも喉の奥へと流し込む  
アンバーの妖美な姿に黒の下腹部に再び血が集う  
「ねぇ……次は……コッチで出して?」  
四つん這いになって右手で秘所を広げて彼を誘う。  
今の彼女は『花』だ。  
そして蜜を求める虫は黒  
誘われるままに、黒は彼女の尻を掴み、秘所に肉棒一気に奥へと突き入れる。  
「ん……う…あッ!!」  
ヌルッ、と抵抗無く浸入するに肉棒は、彼女の子宮の壁を何度も軽くノックする。  
何度もした行為であっても、快楽には抗えない。  
自分でもはしたないと思う声を上げる。  
ここは古いアパートだが、隣の人は夜は仕事でいない。  
それでもこれだけ声を上げては他に聞こえてしまっているだろう。  
でも…それが興奮する。  
「は…うッ……ッ…!」  
背中に舌を這わせ、そして蛭みたいに吸い付く。  
「やぁ、痕がついちゃう……」  
「いくらでも付けてやる。」  
何度も白い背中に痕を残していく。  
まるで雪原に足跡を残すようなものだ。  
くすぐったいが、それは快楽に変換され、彼女をどんどんと上り詰めさせる。  
「最後はこっち………」  
アンバーは首を後ろに向けて黒に言う。  
両者は背面から対面に体制を変えて、最後は互いに顔を見合う  
どちらも息が荒い  
酸素が欲しいと肺が訴えかけている。  
けど、今は酸素よりも彼女を……彼が……欲しい  
激しく唇を重ね、唾液を交換し合う。  
腰の動きも忘れてはいけない。  
初めにアンバーが腰を振り始め、黒もそれに合わせて振るう。  
対面座位なので大きくは動けないが、それで十二分だ。  
上も下も繋がり、互いに手を絡めて一つの塊と化している。  
 
「出して……!奥にッ!!」  
「アンバー……ッ!!」  
 
ギュッと足を腰に絡めて彼を逃がさない。  
そして彼も自分を力の限り抱きしめてくれる。  
感じる。彼を………黒という存在が自分の中にいる。  
吐き出される多量の白濁液  
それに続くオルガ  
余韻は続く………アンバーの膣内は収縮運動を繰り返し、黒の肉棒から最後の一滴まで搾り取ろうと蠢く  
「は〜っ、気持ちよかった………」  
満足そうに彼女は彼の胸に凭れ掛かる。  
黒は優しくアンバーの頭を抱えて後ろに倒れこむ。  
疲れた。その一言しかない。  
だけど………胸の中は暖かい  
今はその至福でもかみ締めておこう……  
 
 
「ねぇ……起きている?」  
「ん……?」  
「一緒に住んで……一年だよね?」  
「………ああ」  
アンバーとは長い付き合いだ。  
知り合ったのは大学から、彼女がここで同棲する以前から彼女とは仲が親しかった。  
「久しぶりに大学時代の皆で飲み会して・・・酔い潰れた私を黒がここで介抱してさ……」  
社会人になって久しぶりに天文部の仲間と星を観測した後に飲みにいった。  
「そうだったな……運ぶ時に俺の背中で吐いたりしなければ良かったが……」  
酔い潰れたアンバーを背負っていると背中に突然、生暖かい感触と嫌な臭いがした。  
「あははっ………起きた時の第一声が『黒、臭い』だもんね………」  
「ここには風呂場なんて無いからな………濡れたタオルで体を拭くぐらいしか出来なかった。」  
「それを聞いたら凄く悪い事したなって思った………だからお詫びとしてご飯作ったんだよ。」  
今、思い出しても笑える。  
寝ぼけた彼女は俺に「臭い」とか「あっちに行け」とか罵って、やがて意識がちゃんと覚醒したら自分の責だと自覚して涙目になっていた。  
「気付いたら終電も過ぎて………黒は泊まれって言ってくれたんだよね?」  
「夜遅くに帰す訳にはいかなかっただろ?」  
「でも……私はその日の夜に狼さんに食べられたけどね?」  
「………ゴホン」  
軽く咳払いをする。  
確かに……食べた。性的な意味で………  
というか、誘ってきたのは彼女の方からだ。  
「そのまま……ここに居座ったけど………楽しかった。」  
「黒との生活……笑った……泣いたり……怒ったりもした。」  
「アンバー……」  
彼女の頬に手を伸ばすが………  
「でもね、私……この生活を終わりにしたいの………」  
その手はピクリ、と止まってしまう。  
 
「黒、私と………結婚して?」  
 
ただ、同棲して過ごす生活に終止符を打つ……代わりに始まるのは俺と彼女が共に愛を誓い、そして終始互いに生きていく生活  
俺は彼女を愛しく思う。  
そして彼女の告白に心が震える自分  
アンバーを力強く抱きしめる。  
温もりを感じる。俺は………この女を幸せにしてやりたい。  
だから答えなんて決まっている。  
「アンバー…俺は………」  
 
 
本当に………これでいいのか?  
ナニガ?  
 
こんな幸せに浸かっていていいのか?  
モンダイナイ  
 
違う。俺は………やるべきことがある筈だ。  
ソンナコトハナイ  
 
俺を此処へと導くのに何人もの■約者や仲間が犠牲になった。  
ドコヘ………ミチビク  
 
俺には………待っている人がいる。  
ダレガ?  
 
寂しげな瞳を持つ少女  
……………イン  
 
「違う……………此処は………この世界は『違う』」  
 
否定  
 
俺は……否定する。『偽り』を………  
パキリッ、と何かがヒビ割れる音  
そして崩れる周囲の風景  
闇へと包まれる世界  
残ったのは……………  
「………気付いちゃったんだ。」  
アンバーである。  
 
 
「俺に………何をした?」  
そうだ。俺は………ヘルズゲート中心部にいた。  
アンバーに流星のかけらを押し付けられ………周囲は黄金色に輝く靄に囲まれ、空が星に輝く場所にいた。  
皆に………既に居なくなった人達に会ったのだ。  
そしてアンバーが俺にキスした時に、世界は変わった。  
「キスした時に細工したの………」  
「未来を………あったかもしれない可能性の未来を見せただけ………」  
時間を操る彼女だからこそ可能な技  
「教えて……どうして気付いたの?」  
「………銀がいなかった。」  
そうだ。あの世界に……銀がいなかった。  
他の皆はいても、彼女だけは居なかった。  
「…………そっか、当然だよね。」  
「もう黒の隣には……あの子がいるんだよね。」  
彼女だってわかっていた。  
銀は黒にとって特別な存在だと言う事に・・・  
「どうして……銀だけがいなかった?」  
綻びは銀から始まった。そしてそれに続く綻び  
もし、銀もいたのなら…たぶん、自分はあの居心地の良い世界でずっと夢を見ていたかもしれない。  
「………嫉妬かもね。無意識に存在を消しちゃんたんだと思う。」  
そう、アンバーは黒を愛している。愛していたからこそ………黒の隣にいた銀を、自身の独占欲が銀という存在を疎ましく思ってしまった。  
「アンバー………俺は………」  
 
「それ以上、聞きたくない………」  
 
世界が戻る。  
あの黄金色に輝く靄に囲まれ、空が星に輝く場所にいた。  
別れの時だ。  
妹の別れ、俺と関わってきた人達との別れ  
そして………  
「さよなら………アンバー」  
俺が愛した女との別れ  
 
最後に寂しく笑う………俺が愛した女  
 
黄金色の世界は消え、俺は吹き荒れる闇へと放り出される。  
 
そこで……俺は………寂しげに泣く銀の声を聴き、手を伸ばす。  
 
彼女の元に戻る。  
 
 
終わり  
 

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