仙台発の寝台特急カシオペアには、三人の契約者と一人の佐官と、そして一人の人間が乗っていた。
☆
食堂車部に、男が二人向き合って座っていた。佐官、レプニーン少佐と、人間、黒だ。
レプニーン少佐が、口を開いた「それでは、早速頼むよBK201]
黒が食べ終わった海老の艶煮の次に海鮮ご飯を口に運ぼうとした隙間に漏らすように返した。
「ああ」
「ターニャは、一号車のコンパートメントだ。ベッドも付いている、音に関しては、まぁあまり大声を出さなければ問題はなかろう」
八箱目の重の封を解きながら黒が言った。
「蘇芳は?」
「あの子については、私が預かっておこう。聞きたい事もある」
そう言ってレプニーン少佐は席を立ち、一号車の方へ歩いて行った。
☆
黒が、それなりに満足し、とはいえ、この後に支障のないよう抑えてではあるが、一号車のコンパートメントへ
向かったのは少佐が席を立って十五分後だった。
ターニャというエージェントに教育を施して欲しい、先刻、黒はそう依頼された。少佐は契約者とはいわず、エージェントと言った。その意味を黒はしっかりと理解していた。
コンパートメントに入り、黒はやや目を見開いた、全裸の少女が立っていたのだ、右手を腰に当て、胸を張って。
「BK201、話は聞いている。早くしろ」
「……そうか、ではベッドに上がれ」
☆
黒はやわやわと手に余るターニャの巨乳を揉んでいた。騎乗位に彼女を己の腹の上に乗せ、静かに緩やかに決して彼女の乳首や乳輪には刺激をあたえずに。そうしながら、もう十分程が過ぎていた。
「っは、あっん、んん」
ターニャが、身悶えしながら息をはき黒に目をやった。そんな彼女を見ながら黒は面倒くさそうに口を開いた。
「お前の為でもある、我慢しろ。初めてだろう」
言いつつも手は止まらない、変わらずにやわやわと乳房を撫で摩っている。
「確かにそうだが、んっ、あぁ、一体いつまでっ、こ、こんんぁっ、こんな事を」
受けている刺激は微弱なものだったが、十分も続けばその陰唇から流れてくる粘液は相当な量が出て来ていた。
「もっと強い刺激が欲しいか?ならば懇願しろ、媚を売れ、そうした行為は相手を盛り上げる」
「媚び?」
よく解らないというように、眉を寄せながらそれでも、頭を働かせ考える。媚。合理的に考えて、如何すれば良いか。
瞬間、脳裏に浮上してくる体験がある、ニカ=ロマノフ。任務で彼と接触した際に抱きしめて来た、つまり媚とはそういったモノではないか、と。脳がそう判断を下すと、体はすっと動いていた。ぐっと前へ、黒の手もそのままに、そうして顔も近づけていき、接吻。
「んあぁっ、もっと、もっと強くしてっお願い」
言いつつ、刺激を求め乳房を、乳首を、黒の胸板へと擦りつける。
「ああっ、ん、イィ」
求めていたものを与えられ、その刺激を甘受しているターニャを見つつも、黒の思考は乗車してから、正確にはレプニーン少佐の話を聞いて以来、一つの事から離れてはいなかった。即ちこの危機を如何にして脱するか、である。
己の胸の上ではしたなくも、艶やかに快楽に耽り恍惚とした表情を浮かべる
ターニャを観察しながらも黒の脳内では今後、どう行動を起こすかが目まぐるしく
勘案されていた。が、とりあえずは眼前の少女の無力化が最優先だった。
迅速にそして確実に。抵抗が不可能な程にこの少女を快楽漬けにして、その後……。
「立て」強く短く発し、肩を掴んでターニャの上体を押し戻し、
そのまま手を緩やかに降下し脇腹を撫でつつ、腰を持ちぐっと押し上げる。
「あっん、ん」 ターニャの肢体が黒の腹部から離れると、そこから溢れる粘液が
糸を引いて宙に留まった。
その息はやや落ち着いてきはしたが、体全体は上気し、白く抜けるような肌は赤く色付いていた。
快楽の波に耐える様に浅く早く呼吸し、
それに伴い何とも大きな胸も、たゆんたゆんと上下していた。
重力に逆らいその存在感を主張する乳房も、その上で慎ましくも鮮やかに、
薄紅色に染まる小さな乳首もしっとりと汗ばんでいた。
黒の目線もそこに行き、そして更に刺激を加えようと
伸ばしていたが、ふと止まる。責める箇所は
多様な方が良いのではないか、と。
そう結論づけると、上へ向かっていた手は下へ向かった。
目指す先は、太股。その内側を撫でてゆるりゆるり、と。
時折、指を伸ばしその付け根の大陰唇にもいく。
触れるか触れないかといった塩梅で。
そして全くの唐突に陰核を擦りあげる。っ、と息を飲む音が黒の耳朶を打った
ターニャがどの程度にまで達しているかを推察しようと黒は顔を上げた。
その目は相変わらず平坦でなんの光も反射しそうになかったがその端には、
僅かに水が溜まっていた。口は真一文字に引き結ばれ
力を入れ過ぎているのか多少震えていた。そんな表情を見やりつつ黒は思った、
契約者が浮かべるには何とも奇妙な、或いは当然の表情だ、と。
とは言え、今も尚その淫口からは止めどなく粘液が流れだし、
目の焦点も幾許か定まっていない様だった。
この様子ならばもう少し責め立てて閾値近くまで煽り、後に、
後背位から一気に挿し入れれば無力化は可能だろうと、黒は結論づけた。
太股を撫で続けていた手のうち、右手を無言で背中へと差し回し
ターニャの上体を己へと引き寄せるとそのままに接吻し、
その口腔内を蹂躙する。
「んふぁぁああっっ、あっ、んんんぅぅ」
適度に口内を掻き乱しつつも左手は陰唇ををふにふにと揉みほぐし、
右手は背骨沿いに下ろしていきその豊満な尻肉に指を埋めていた。
ターニャの意識は未だ経験した事もない快感に翻弄され、
明確な主体性を保持できないでいた。
ターニャと比してやや低い体温の黒の指が太股を撫で、
背筋を擦り上げ陰唇を掠める度にどうしようもなく身を悶えさせるしか無かった。
「いっ、入れて」
どうしようもなくはしたない顔を晒しながら、掠れる声でそう吐き出すと
ターニャは黒に体を預けた。
くったりと力の抜けたターニャをうつ伏せに己の体から寝台に移すと、
黒は右腕を差し込んでターニャの、乳房と比べると幾分か
年相応のとはいえむっちりとした尻肉を浮かせた。
そうして自身も膝立ちになり左手でターニャの陰唇をくぱぁっ、と開き
亀頭を膣口へ沿えると一拍程呼吸を止め一気に
その処女雪の様な尻へと己の腹部を押し出した。
「あ、ああああぁぁぁぁっっ」
甲高い声が響くと共にターニャの上体が僅かばかりに反り上がった。
しきりに蠕動・圧縮する膣内を強引に突き進ませ、
その最奥に幾度もごちゅんごちゅんと肉棒を押し当て、
時には先端で子宮口を擦り上げ、マーキングする様に
擦り付けながら黒は何度となく果てていた。
何かがおかしいと頭の中で誰かが叫んでいたが、最早そんなものは
黒には聞こえていなかった。ひたすらに快楽を貪る事だけがその脳内
を占拠していた。
幾度となくその体内に精を吐き出され続けているターニャは、
或いはターニャという名前の何かは黒の精液が己の子宮に吐き出される度
にその口角を上げ三日月の笑みを形作っていった。
その眼にはなにも無かった、契約者ならば有っただろう
何も反射しない暗闇も人らしい理性の光も。
☆ おわり