黒髪のスーツ姿に身を包んだ美人が不敵に笑う。  
その笑みを受けた浮浪者のような男は能面のように表情を変えない。  
「今日こそ決着をつける、BK201」  
「好きにしろ……」  
二人は揃って腕からワイヤーを引き抜いた。  
「どちらが最強のワイヤー使いかを!!」  
「……勝負方法は?」  
「霧原亀甲縛りタイムアタックを提案したが本人に却下された」  
「そうか」  
「ここは無難にスカートめくりでどうだ?」  
「時間制限は?」  
「スカートを捲ったコトを気づかれたら負けだ。それまでに捲ったスカートの人数できめる」  
「合理的だな」  
 
 
 
「……と言うわけで葉月を使って李くんを足止めしたけど」  
「よくやったぞ、公安のお嬢ちゃん」  
「はいはーい、それじゃあヘイの部屋侵入隊、点呼ー」  
アンバーが手を振ると、一家がゾロゾロと集まった。  
「1!」  
先陣を切ったのは家長であるモモンガだ。  
「2!」  
続いて計画の首謀者であるアンバー。  
「……3」  
淡々としつつ、アンバーと一緒に計画を練った長女の銀。  
「4!」  
意気込むのは次女のシャブリチン…パヴリチェンコ・蘇芳。  
「7……」  
「いや、5だろ……」  
未咲に突っ込まれたのは次男のジュライ君だ。  
「……7」  
「それは君がジュライだからなのか? こだわりなのか?」  
「まあジュライが7やりたいってんならいいだろ。細かいこと気にすると眉間の皺が増えるぞ、嬢ちゃん」  
「じゃあミサキーヌが5ね」  
「ミサキーヌ!? っていうか、私が5でも6は? 6はどこに!!」  
「6は白だね。近くにいるし」  
アンバーの言葉に周囲を見渡す未咲と蘇芳。……を無視し、銀が黒の部屋のドアノブを回す。  
「さてお義父さん! どこから探しましょうか!」  
「うむ、年齢不詳な義娘よ。まずはベタにベットの下からだ!」  
「……CD、見つけた」  
銀が発掘したCDのタイトルをジュライが読み上げる。  
「お兄ちゃんCD……1200通りの「お兄ちゃん」が聞ける……」  
「ハズレだな」  
「ハズレだね」  
モモンガとロリババァが頷きあう。  
「李、李くん……」  
「サボるのはよくないと思う。効率が下がるし、他の人の邪魔にもなる、合理的に考えて」  
呆然と佇む敏腕刑事を、ロシア産少女が叱責した。  
「ボク達が探しているのはアイツの人生がアウトになるような秘密だ」  
「充分アウトだ!!」  
「ぜったい弱みを握ってやる……!」  
「その意気だ、お嬢ちゃん!」  
モモンガは既に働くのを止めてジュライの上からメガホンで指示を出していた。  
「……見つけた。机の引き出しの裏」  
「インすごーい!」  
アンバーに誉められ、微妙に嬉しそうな北欧産の少女。  
「下級生……ダメだ、普通だ!! こんなのしか見つけられないのかよ! ほっぺた抓ってやる!」  
「……痛い」  
「ケンカ……ダメ……」  
 
姉二人の仲裁に入るジュライの頭の上で、駄モンガが未咲に訊ねた。  
「刑事のカンで探せないか?」  
「……李くんの性格、それにBK201のこれまでの行動から考えて、隠すよりも紛れさせている可能性の方が高い」  
「よーし、カバーが掛かってる本を全部めくっちゃえ!」  
「おー!」  
「……おー」  
先ほどまでケンカしていた赤銀コンビが、後片付けのことなど考えてもいないかのように本棚を漁りまくる。  
「アンバー、見つけたよ! カバーと中身が一致しない本!」  
「……百科事典のケースの中にゲーム」  
「「シスタープリンセス」」  
「あー…予測の範囲内だね、残念!」  
「李くんは一体家族からどういう風に見られているんだ……」  
「こっちにもゲーム見つけた……妹汁。あとヤンデレCD」  
「ヘイのヤツ、中々尻尾を出さないな」  
「流石最強って呼ばれただけのコトはあるよね」  
――ドン!  
黒の部屋に穴が空いた。冬にこれは辛い。  
「嫌いな虫がいたんだ……」  
「……寒い」  
「かのナポレオンも冬将軍には勝てなかったからな。よし、今日はここで引き上げ!」  
齧歯類の命令でゾロゾロと撤収し始める実働部隊。  
「今日“は”!? 今日“は”!? まだやる気なんですか!!」  
「温かいモノが食べたいな」  
「……ヘイは外出中。私が作る?」  
「ああ、インに任せる。どうしたジュライ?」  
「……見つけた」  
ジュライの発見したノートは黒の直筆だ。  
「ラーメン味比べメモ」  
 
すおー麺……………さっぱり醤油味。要・(潤滑)油。今が旬の野菜が盛りだくさん。学生大盛り。  
銀ラーメン…………クリーミーな塩味。さいきんチャーシューが増えてきた。玉子がジュクジュク。  
キリハラーメン……濃厚な豚骨スープ。角煮は寝かして漬けた割りに歯ごたえがある。  
アンバー麺………喉に絡みつく味噌味。シャキシャキのもやしとこってりバターで二度お得。  
白タンメン…………極  
舞ちゃんぽん………野菜だしの爽やかさ。ぷりぷりのエビやイカは揉み…歯ごたえ抜群。  
キッコーマン………和風出し。臭いが強すぎるが、コシの強さは一食の価値あり。  
麻婆ック……………刺激のある本格派。しかしこなれた挽肉は豆腐によく絡まって美味。  
ミーナカレー………不味かった。  
杏仁千晶…………甘さ控えめ、ほろ苦い。酒入りだが密が多く満腹感アリ  
MAYUチリ………蓋を開けると刺激臭。火の通りが甘く堅い。よく解してから食べるべき。  
ホウムラン軒……安くて旨い。ネコ好き。赤の首輪が好み。ムチはお好みで。  
 
「なんだー、普通のメモだね」  
「ラーメン食べたくなったな。出前とるか」  
「いや、これ明かに隠語ですって! っていうか最後隠しきれないし!!」  
「これ、ラーメンメモなのに後半中華になってるよ。アイツ馬鹿だ」  
「……冷やし中華が……ない」  
 
 
――黒さん帰宅後  
「よくやったジュライ。これは報酬だ」  
「……うん」  
ガリガリ君を受け取るジュライ。  
自分の根城を荒らされた黒は、手つかずの天体望遠鏡を解体した。  
「……俺がこんなものを持っていると知れたら、アイツら……特に蘇芳に何を言われるか」  
そうやって黒は丸めた家族の成長アルバムを捲るのだった。  
 
白「……は! 夢……お兄ちゃんは夢を見ない……私が夢を見ているから……」  
 
葉月「……男も……悪くないな……」  
 

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