微かな物音でも目を覚ます、嫌な職業病だ  
黒は強張った身体の力を抜きながら自嘲する  
「眠れないのか」  
問いかけには床が緩く軋む音だけが返ってきた  
「水ならそこには……」  
と、生白い脚が黒の上体を跨いだ  
ソファの背もたれを掴もうとした腕を捻り上げると、小さな身体はバランスを崩し  
黒の胸元へと倒れかかる  
「何するんだよ」  
「何のつもりだ」  
空いた手で顔を上げてやると蘇芳はムッとしたような顔をしていた  
「上に乗ったりしゃぶったりすれば機嫌よくなるって言うから」  
犯人の目星がつくと黒は浅いため息を吐く  
「そういえばしゃぶるって何を?」  
「ナニを…」  
「だから何」  
「指……指だ」  
苦しい取り繕い方だった  
それを誤魔化すかのように蘇芳の口に指を含ませる  
蘇芳は一度逡巡したようだが、素直に指を受け入れた  
「ふぉんなふぉとひてなにがたのひいんだよ」  
楽しくはない、しかし良い光景だった  
半開きの口と絡みつく舌は性的なことを連想させるには充分だ  
黒は蘇芳の髪を掻き上げると耳の下から舌を這わせる  
「ひげがいひゃい……」  
蘇芳の目元には涙がにじみ、徐々に呼吸が荒くなっていく  
抵抗するかのように甘く爪を立てることすら  
余裕を無くした黒には誘っているようにしか見えなかった  
身体を滑らせて上下を入れ替えると蘇芳を改めて組み敷く  
「はっはなへよ」  
騒がないうちに口を塞いで舌を絡ませる  
キスに抵抗する動きすらも余計に黒を煽っていく  
元々限界が来ていたのだろう  
中心に触れられると蘇芳は簡単に身体を震わせて気を失った  
流石に意識がない子供に手を出すわけにはいかない  
黒は自らの手でエクスプロージョンを引き起こすことを決意した  
その晩、星は流れた  
 

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