黒は無言でハヴォックの前に跪いた。椅子に拘束され、後ろ手に縛られたハヴォックはうつむいて黒の次の行動を待った。
と、黒の手がハヴォックの両膝に置かれた。ゆっくりと力が入り、ハヴォックの膝が割られる。ハヴォックは唇を噛み、腰をうごめかすようにして抵抗するが、折られた指の痛み、無理な姿勢で長時間拘束された疲労から黒はやすやすと足を開いた。
椅子の上で、ほとんど水平にまで押し広げられたハヴォックの太股。肉付きの薄い体はそれでも抵抗しようとするが、黒の手は容赦なくハヴォックの足を広げつづけた。
見せ付けるように、ゆっくりとハヴォックの股間へと近づく黒の頭。
「……やめろ……」
ハヴォックが弱弱しく呟くのを無視して、黒はハヴォックのショーツに鼻を押し付けるようにして、匂いをかいだ。
「やめろ……やめてくれ……」
MI6にトランクに詰め込まれてから、かなりの時間が経っている。黒の舌が伸び、ショーツと肌の境目をなぞるように上下に動いた。
足を閉じようとするハヴォックと、それを許さない黒の両手。
黒の執拗な舌が、ハヴォックのショーツを濡らしていく。
時折、黒が舌がショーツの横から軽く潜る。
ハヴォックが足を閉じようとする。黒がそれを押し広げる。
蝶のようにぱたぱたと開いては閉じる足の動きが、やがて別の意味を持ち始める。
ゆっくりと、黒の舌の動きにあわせるように動き出す足。
ハヴォックのショーツのぬめりには、黒の唾液ではないものが混じり始めていた。
いつの間にか、黒の手はハヴォックの足を押し広げる動作をやめていた。
ゆっくりとハヴォックの太股の上を這い、膝の上を円を描くようにくすぐる。
黒の舌の動きに意識を奪われているハヴォックはそのことに気づきもしなかった。
目をつむり、腰を小刻みに動かし、耐える。唇を噛み、体をくねらせる。
と、黒の手が、ぐい、とハヴォックのショーツを横にずらした。ハヴォックが初めて黒の手の動きの変化に気づき、目を開く。
一気に、黒の舌が入ってきた。
ハヴォックの両膝が、黒の頭を挟むように閉じる。腰が震え、つま先がぴんと伸びて床から浮き上がる。
鋭い痙攣が治まると、ハヴォックはくたっと椅子の上で脱力した。頭がかたむき、唇の端からこぼれ出した唾液が、ゆっくりと鎖骨に垂れ、そこから胸へと流れていく。
だが、侵入した黒の舌はとまらなかった。
ゆっくりと中をかき回す。ぞろ、と中から外へと舐めあげる。再び中に入り、ハヴォックの反応を確かめるようにあちこちを探り出す。
一度限界を迎えてしまったハヴォックは、すでに黒の動きに抵抗するすべを持たなかった。
舌の動きにあわせて、体が動く。
気がつけば、ハヴォックの足は黒の頭を抱えるように閉じられ、黒の背で足首を交差させていた。黒の両手も、ハヴォックの腰を抱え、抱きしめるような形になっている。
黒の舌がさらに奥を探り出すと、ついにハヴォックの口から甘い声が漏れた。