真夜中にふと目が覚める。
‐…まだ寝てる。
傍らで静かに寝息を立てている愛しい人はまだ眠ったままだ。
‐喉が乾いた。
立ち上がって床に無残に落ちていたバスタオルで躯を包んだ。
冷蔵庫を開けミネラルウォーターを取出し口に含む。乾燥した喉に浸透するように冷たい感触が過る。
‐美味しい。
「ん…」
そこへ一陣の風が走った。
あれから随分と時間が立ち火照っていた躯は徐々に治まりつつあったが、一気に冷えた。
見れば窓が開けっ放しになっていた。通りで寒い訳だ。
行為で生じた独特の匂いを追い払い、また火照りを抑えるため換気していた。
だが眠っている間に役目を果たしてくれたらしい、今は寧ろ底冷えする。
‐もうちょっと寝よう。
ベッドに戻る。彼は依然として眠りについたままだ。
まだ幼さを残したあどけない顔。
でもこんな彼に恋をし、愛された。上官という立場にも拘らずだ。
「好きなことに理屈なんてないよ…。」
でもこの後自分は出て行かなくてはならない。
未来を知ってしまったから。
それが彼を裏切る形になったとしてもだ。
「ごめんね…。許してね。」
そっと優しく彼の頬を指先で撫でる。
それでも規則正しく寝息を立てて安らかに眠っている。
「おやすみ」
頬にキスし再びシーツに躯を預けた。