仕事が早く終わってしまった未咲が街にでると、街はイルミネーションとカップルで溢れていた  
「そっか今日は…」  
今まで仕事のコトしか頭になかった未咲は、クリスマスの存在など忘れてしまっていた  
今から香那美に連絡しても遅すぎる……  
口から白い息と共に溜め息がこぼれる  
未咲は仕方ないと気持ちを切り替えると、少し街を見てみようと歩きだす  
が、すぐに後悔した  
街に溢れるクリスマス独特の雰囲気に  
恋人達の笑い声に  
自分はひどく場違いところにいるんじゃないのかという錯覚  
体が冷たくなっていく  
そんな一人寂しく街を歩く未咲の脳裏に一人の中国人留学生の顔が浮かんだ  
(こんな時もし…)  
ウインドに映る自分の少しにやけてしまっている顔に気付くと  
自分のあまりのバカバカしさと恥ずかしさに苦笑いを浮かべる  
「まったく私は」  
街を流れる色と音が、いつも以上の寂しさと冷たさを未咲に与える  
未咲はコートの襟を正すと、家に帰るコトを決めた  
それでもせめて雰囲気だけでもと、未咲は一軒のケーキ屋に足を進める  
 
家に帰ってまずシャワーを浴びて…  
今日はちょっと食事は豪華にして…  
ケーキはその後に…  
 
なんてコトを考えながら未咲はケーキ屋の扉を開ける  
「いらっしゃいませ〜って霧原さん!?」  
その声に未咲の顔はぽかんとなる  
「り、李……くん?」  
ウエイター姿の李と扉の前の未咲  
まるで時間が止まったかの様に二人の動きは止まり、そして、互いの顔を見つめていた  
 
 

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