------数分後------
「どうやらあの怪物はもう何処かに行ったらしいな。」
落ち着いた口調で言うギルトーニ。その言葉で自分がまだギルトーニに
抱えられている事に気付き、「おろしてよ」と恥ずかしそうにモニカは言った。
「何なのよあの怪物、何であたし達に襲ってきたのよ!!」
「さあな、多分あそこら辺はあいつらの(怪物)縄張りのようだな。そこに
わたし達が現れて縄張りを荒らしに来たのかと勘違いして襲った、と言うのが
一番納得の行く答えだろう。」
相変わらず冷静口調でいうギルトーニ。モニカも多少納得したらしく、今後の事を考えようとしたら、
ギルトーニがとんでもない事いいだした。
「実は元に時代に戻る方法が、あるにはある。」
「は?」
いきなりの言葉にとぼけた顔をしているモニカ。ギルトーニが続けていった。
「お前と一緒にいたあの少年。あのアトラミリアとお前のアトラミリア、
そしてわたしの魔力の力を解放したら元の世界に戻れる。しかし・・・」
「な!、何でそんな大事なこと言わないの!!戻れる方法があるんなら初めからいいなさいよ!!」
ギルトーニにの話をさえぎって怒鳴り散らすモニカ、だがギルトーニは気にせず続きを言った。
「しかしこの時代にあの少年はいないだろう。だから話しても無駄だと思ったのだ。」
「そんな事ないわよ。もしかしたら、ユリスも巻き込まれたかも知れない。探して見る価値は
十分にある!!さっ、そうと決まったら早速探しに行くわよ。」
足の状態も大分良くなり歩き出したが、暫くたってもギルトーニがこない。
心配になり戻ってみると、そこには、体が震えていたギルトーニがいた。
寒さで震えるような震え方でなく、何かに捕りつかれまいと必死に抵抗したような感じのだった。
「ちょ、ちょっとギルトーニ、あんた大丈夫なの?」
心配してるモニカ、しかしギルトーニは
「来るな!!あっちに言ってろ!!」と、激しく怒鳴った。これにモニカは逆上し、
「人が心配してきてるのに、何その言い方!!近寄ったらどうなるってのよ!
早くユリスを探しに行くわよ」
モニカが強引にギルトーニを連れて行こうとするが、ギルトーニの震えはとまらず、
「来るな!!早く逃げろ!!」の、一点張りだった。
「だ〜か〜ら〜、あんたの所に行ったらどうなるってゆうのよ?」
「来るな、来るな、来るな、来るな」壊れたかのように同じ言葉を繰り返すギルトーニ。
そして、モニカがギルトーニを強制的に連れて行こうとした時、
「来るなと言っているだろ!!」急にギルトーニの口調が変わったこと思うと、
モニカの首を締め上げ、
「だから、来るなと言っているだろう?おかげで私が出てきたじゃないか。」
モニカは思い、そして確信した。ギルトーニが「来るな」と言っていたのは、
自分ではなく『もう一人の自分』に言っていたのだと・・・そう、彼は「二重人格」なのだと。
そう思いながらもだんだんと意識が遠のいていった。最後に聞いた言葉は、
「さあこれからお仕置きの時間だ」と冷たく言う声、「モニカー」と叫ぶ少年の声、
そして、「役者はそろったな・・・さあこれからショウの始まりだ」の声だった・・・。