彼はお世辞にも"普通"とは言い難い風貌だった。
「あ、あの、白野です。ここの世話役さんに頼まれて来ました」
「……」
「こちらは時槻さんです」
「…………<雪の女王>は知ってる」
「それで、その…<泡禍>と<異端>についてお聞きしたいんですが」
「ああ、あれは、駄目だね。俺の<断章>じゃ爆発できない。リア充じゃないから」
「り、リア充?」
「<泡禍>は知らない。関係ないし、興味ない」
「は、はぁ…」
「それより、白野君と<雪の女王>は高校生……デキてるの?」
「は!?」
「そんなわけないでしょ。殺すわよ」
「ふぅん…」
「誰彼構わず下卑た詮索されても不愉快だわ」
『ふふ、気を付けてね<アリス>彼の嫉妬は恐ろしいわよ?』
怒りも露に雪乃は退室。
蒼衣と男が残された。
「えっと、貴方の<断章>は、爆発とかその……広範囲なんですか?」
「範囲は、広くないなぁ。リア充が爆発するだけだから」
「そのリア充、というのは?」
「リアルが充実してる奴のこと」
「あ、なるほど…」
「俺これでも、高校の時はすっげーリア充だったの。イケメンで可愛い彼女もいてさぁ」
「え?はぁ」
「そしたらそれを妬んだバカがさ、理科の実験中に「ふひひwwリア充爆発しろwww」とか言いながら薬品変に混ぜやがって爆発」
「うわっ……」
「バカはいいよ。死んだんだから。けど俺は最悪だよね。顔が酷い火傷でさ。彼女もどっかいって、イジメられるようになったってわけ」
「それは……」
ぼさぼさでフケの浮いた髪に隠れる火傷の痕を掻きながら彼は続ける。
「ある日<リア充爆発しろ>って言って外にいた高校生カップルが爆発した時は驚いたよ」
「…………」
「で、白野君は、彼女いるの?」