談笑ではなく微笑くらいのグリム
ある平日の昼下がり。いつものようになにするでもなく机を囲む雪乃、蒼衣、颯姫の面々。
そこへ、「お客さんにクッキー貰ったんだけど、食べるかい?」と奥から出てきた神狩屋が缶箱を片手にたずねる。
「あ、じゃあ頂きます。」と、机に置かれたクッキーに手を伸ばす蒼衣。
「さっき夢見子ちゃんにもあげたんだけど、たくさんこぼしちゃって掃除が大変だったよ・・・」苦笑交じりに神狩屋が言う。
と、
ガタン!
奥の部屋のほうから分厚い本の落ちる音がした。一瞬にして表情の凍りつく4人。
顔を見合わせるまもなく、打ち合わせたように奥の―――夢見子のいる部屋に駆け込む。
「夢見子ちゃん!」
バン!と勢いよく扉を開ける蒼衣。つづいて3人もなだれ込む。
部屋の隅で目を見開き、1点を見つめている夢見子。蒼衣たちもつられて、自然とそこに視線が集まる。
そこにあったのは開きっぱなしの本と、その上で動く白い―――
「・・・ネズミ?」
はつかねずみがやってきた。はなしはおしまい。
fin.