ぱたり、という音が室内に響いた。  
 
 音源を辿った者は皆身を凍らせる。視線の先にいる少女が、その音を立てる意味を皆知っていたからだ。  
 ずるり、とどこからともなく現れた死人の手がゆるゆると指を動かす。  
 室内にいた者達……蒼衣、雪乃、颯姫、可南子、アノニマス、笑美、千恵……  
 たまたまそれぞれの理由で居合わせた彼/彼女らは、ある者は苦しげに、ある者は楽しげに、ある者は戸惑いに顔を歪める。  
 つまりここにいる者達は、選ばれてしまったのだ。  
 これから始まる物語の登場人物に。  
 
 ぱららららら、とページをめくられる音が連続し、やがて止まる。  
 ずるずると蛞蝓のような緩慢な動きでそのページを指さした手は、すっと消えた。  
 
「……なんてこった」  
 
 落ちてきた本は『こんにちは赤ちゃん』  
 指さされた項目は『親になるということ』  
 
「避妊、しておけばよかった……」  
 
 がっくりと、項垂れる蒼衣に彼女ら七人はそっと腹を撫でながら複雑な表情を浮かべるのだった。  
 
 
 ……to be continue?  
 

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