めらめら めらめら 燭台から溢れ出す炎  
部屋を照らす二つの燭台は、今時の灯りよりはとても闇を隠す事に関しては劣るけれど  
僕と、愛おしい彼女の姿を暴き出すのには十分だった。  
明るすぎず、暗すぎず、互いが恥じることなくその四肢を確かめ合うことができる、暖かい灯火。  
 
しかし残念なのは、僕の今の体勢では、愛おしい彼女の姿を視界の片隅にすら垣間見る事ができなかった。  
何故なら、僕は四つん這いになり、頭を地面に擦り付けお尻を突き出し 両腕はもちろん、その身体を縄により  
束縛されているからだ。  
 
―――ジジ  
 
蝋燭が燃える 蝋が滴り 僕の背中を その艶かしい舌で陵辱する。  
思わず声がでてしまう。その様子を、後ろの彼女が嬉しそうに観察する。  
 
「…雪乃さん、そろそろ……」  
空気が笑う、とても歪な形で。ならばきっと、彼女は舌なめずりをしているに違いない。  
「ふふ…そろそろ、何かしら?蒼衣」  
ここ最近、彼女は僕を焦らすのが大好きだ。きっと、僕に屈辱的な台詞を言わせ、屈服させ、征服するのが  
楽しくてたまらないのだ。  
「もう我慢できないよ…、してほしいんだ」  
いよいよ、声が聞こえてきそうなくらいに空気が歪む。今、彼女はある種絶頂に達する寸前なんだろう。  
「それではだめよ…ちゃんと、具体的に言って御覧なさい」  
 
「ほ……」  
「ほ?その続きを言って御覧なさい」  
僕は観念する。次の瞬間彼女は喜び狂い、思わず達してしまうだろう。  
 
 
「……………保守」  
 

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