ふわふわとした白と黒の服を着た風乃がベッドに腰掛け、分厚い本のページをめくっている。柔らかい微笑とは裏腹に本の表紙に書かれた題名は黒魔術。  
ただいまーという声が聞こえ、風乃によく似た少女が部屋のドアを開けた。  
「おかえり、雪乃」  
にっこりと微笑んだ風乃に、雪乃はただいまと返す。  
「お姉ちゃん、どうしたの?何か用?」  
雪乃は首を傾げて風乃に問いかける。ここは雪乃の部屋で、風乃が腰掛けるベッドは雪乃のものだ。雪乃は鞄を床に下ろして制服から部屋着に着替えようとクローゼットに手をかけようとしたが、その手はいつの間にか傍らに立っていた風乃にやんわりと握られてしまった。  
「お姉ちゃん?」  
風乃を見上げるまだあどけない瞳には微塵も疑いの色はなく、風乃はこれからする《悪戯》が一層胸を高鳴らせた。  
「雪乃、これからすることは2人だけの秘密よ」  
「…秘密?」  
少し不思議そうな顔の雪乃の頭を風乃の白い指が撫でると、雪乃はくすぐったそうに身じろぐ。そんな雪乃の仕草に風乃は目を細め、薄紅色の唇に唇を重ねる。  
「?!」  
雪乃は驚いて、肩がびくりとはねる。けれども抵抗しない雪乃の小さな胸を、風乃の手が包み込む。  
「…お姉ちゃん…」  
戸惑ったようなか細い声。風乃は視線でそれを受け流してセーラー服の裾からするりて風乃の手が滑り込む。雪乃は顔を真っ赤にさせて、ひたすらに耐えている。  
 
「……んっ」  
下着ごしにプニプニと唇を押したような感触が指に感じられ、満足そうな笑みをうかべる風乃。しかし雪乃はそれに気付かない。  
羞恥のためか堅く閉じられた瞳は風乃を拒んでいるようにも、受け入れているようにも見える。  
 
「雪乃、目をあけて」  
 
一定の、なだらかな刺激を与えるだけだった風乃の指が急に雪乃の幼い女性自身へと押しつけられる。  
 
「ぅあっ!……」  
 
与えられた痛みともとれる刺激に雪乃の目が見開かれる。その先に、ほほえむ風乃。  
 
「雪乃、聞いてる?」  
 
一瞬の痛みよりも長く与えられたやわらかい刺激が功を奏したのか、クチュリと卑猥な音が部屋に響きだす。  
 
「ふっ……おねぇちゃん……な、んかっ……」  
 
「前に言ったよね。痛みは火だ、って。じゃあさ―」  
 
―気持ちいいって言う、快感?それは何になるのかな。  
 
 風乃の与える刺激に力が抜けてきた雪乃はもう立っているのもやっとだった。  
 へたりこみそうになるところを風乃が椅子に座らせる。  
 乱れきったブレザーを捲り上げ、ブラを外す。まだほんの小さな膨らみがあらわになった。  
「ふふ、雪乃にはまだブラジャーは必要無いようね」  
「止めて……お姉ちゃん……」  
 真っ赤な顔で風乃を睨む雪乃。その目には覇気が無く、懇願に近い。  
 なぜ姉がこんな事をするのか戸惑いがあるがそれよりも羞恥の方が大きく勝り、雪乃は混乱しきっている。  
「大丈夫よ、雪乃……今に楽になるから」  
 風乃のは恥じらう雪乃の表情に至福を覚えると、床にひざまずき、あらわになった乳首をそっと口に含んだ。  
「やっ、駄目ぇ……んっ…ああぁ………っ」  
 雪乃の抵抗が激しくなる。風乃は倒れないように雪乃を椅子に抑えつける。  
 小ぶりながら硬くなっていた乳首をしたでもてあそび、そして吸いついた。  
「雪乃……んっ、ちゅぅ、はぁ、ん、んんん、ちゅ、ぅん、はぁん」  
「ん、止め、て、お姉ちゃん……あっ、だめぇ、だめ、んん、ぁ、っあぁ」  
 必死で抵抗する雪乃。どうやら快感よりも羞恥や嫌悪の方が強く効果はあげられていないようだ。  
「はぁぁ、ごめんね雪乃、あまり気持ちよく出来なかったみたいね」  
「あ、はぁ、はぁ、お姉ちゃん」  
 濡れた口を拭いながら立ち上がり、荒く息を吐く雪乃の髪を撫でる。  
 
 雪乃はこんな時でもいつも通りの姉に安心すればいいのか不安がればいいのかすらもう分からない。  
「でも、少しはよかったみたいね」  
「え……?」  
 風乃はそう言うと、雪乃が反応する間もなくスカートに手をかけて引き下ろした。  
「やっぱり、こんなに濡れてる」  
「あ、や、いやぁぁ、見ないで……」  
 下着はもうぐっしょりと濡れ、雪乃の秘所を浮き上がらせていた。  
 風乃は雪乃が足を閉じるより早くそこに手を滑り込ませると先にやったような強い刺激を与え続ける。  
 空いた手で雪乃の腕を抑え、恍惚の表情で雪乃の喘ぐ姿を堪能する。  
「さあ、気持ちよくなっていいのよ、雪乃……」  
「あ、んん、やぁ、ぁあ、いや、いや、いや、嫌ぁ」  
 刺激と快感に頭は混乱し、体は意思に反して跳ねはじめる。  
 絶頂が近いのを見てとった風乃はさらに動きを激しくし、足が開いたところで下着の中に指を潜り込ませる。  
 雪乃の秘所に直接触れている事にうっとりとしながら、風乃は形をなぞり、浅く指を出し入れし、最も敏感な部分を責める。  
「あっ、あんっ、んんっ、ああっ、はぁん、はぁぁ、や、お…ねえ…ちゃん……」  
「いいわ、雪乃。そのままイッてしまいなさい……」  
 風乃自身の興奮も高まり、行為は更に激しくなっていく。  
 腕は解放し、片手は乳房をさすり、時に口づけをする。  
 すぐに雪乃は絶頂に達しそうになった。風乃は休まずに続ける。  
「やっ、やっ、あぁ、やぁっ、あぁん、あん、……ん、っ、ああぁぁっ!!」  
「ああ、おめでとう、雪乃、とっても、キレイよ……」  
 風乃の息も切れている。表情はこの上なく満足げで、このいきすぎた悪戯の余韻を噛み締めていた。  
 そして雪乃は、悪戯が始まって初めて涙をこぼしていた。  
 
「あの子ったら、あの格好のまま出て行くんですもの」  
 行為が終わった後、雪乃は泣きながら自分の部屋から走り出た。  
 無論、着替えはこの部屋にある。  
「きっと今頃シャワーでも浴びてるのね」  
 想像してまた悦に入る。  
「そうね、かわいそうだし、何か着替えを見繕ってあげましょう」  
 お詫びにとばかりにクローゼットに向かう。自分の趣味のゴシックは無く、普通の服が並んでいた。  
 選びながらただ一つ懸念が浮かび、口にする。  
「嫌われなければいいんだけど……」  
 
 
「まさか!本気で言っているのだとしたら君は妹から何も学んでいないことになるぞ!」  
 
〜おしまい〜  
 

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