「おじょうチャン、物品を買わないかい?」  
「あ、ブッピンのオジサンだー。なんかオススメあるの?」  
 
今日も今日とて、的外れな商売に精を出すブッピンさん。  
人通りの多いところ、と考えて学校の前に目をつけるあたりはいいのですが、  
いくらなんでもこんな早朝では生徒も先生も来るわけがありません。  
こうしてドナさんが気まぐれで登校して来てくれましたから、まだ救われたようなものの。  
 
「ふむ! オススメか、そうだな…このブロマイドはどうだろうか?」  
「ブロマイド? げーのーじんとか?」  
「私は知らないんだが、ほら、この人だ。  
 いまこの星では人気者なんだろう? よく見るものなあ。  
 しかもこのブロマイド! 土台が紙ではなく、謎の固い物質なんだ! 丈夫だぞう!?」  
 
自信満々にイチオシの物品を差し出すブッピンさん。  
でもそれはブロマイドではなくゲームソフトです。ジーコサッカー(SFC)です。  
ラベルの写真がいまよく見る人物なのは間違いないでしょうけど…、  
…ブロマイドが売れるような人気者とはまた違う気がしますよ。しっかりしてください。  
 
「んー…よしとく!」  
「ぶっぴーーん!?」  
 
ほら、やっぱりよされてしまいました。  
そもそもドナさんがサッカーに興味あるかどうかも怪しいですものね。  
興味あってもいらないでしょうけど、それ以前の問題でした。  
 
「そ、それじゃあおじょうチャン! こっちはどうだろう!?  
 じゃなきゃこんなのとか、そんなのとか、あんなのもあるぞう!?」  
「…くー」  
 
ああ、いけません。  
ブッピンさんの繰り出す物品の数々に興味なさすぎて、ドナさん眠たそうです。  
でも、いまドナさんを逃してしまうと、  
この後しばらく、おそらくは何時間も、お客さんが通りかかることはなさそうです。  
ここはなんとしても、ドナさんを唸らせる物品を提示しなくてはなりません。  
 
「あ、ああ、そうだ! これがあったな! これはすごいぞう!?」  
「…ん?」  
「ふふ、おじょうチャン?  
 この星の人間特有の、肩凝り、という病気に悩んではいないかい?」  
「肩は凝るよ。言いたいことも言えないこんな世の中だしね!」  
「そうだろう、そうだろう?  
 ほら、そんなとき役立つのが、このハイテク・マッサージ器具だ!」  
 
…ブッピンさん、それはいわゆるピンクローターですよ。  
主としてプレイのエッセンスとして使ったり、  
女性がセルフサービスの際に愛撫のために使うものです。  
どこから持ってきたんですかそんなもの。  
ドナさんの目の前に突き出しちゃいけませんそんなもの。  
 
「マッサージ? こんな小さい玉でどうするの?」  
「ふっふっふ、いいかいおじょうチャン。  
 この玉はただの玉ではないのだよ。見てなさい、こっちの箱のこれを押すと…(かち)」  
(ヴイイイイイイイイイ……)  
「Oh、震えだしたよ! ナルホドこれは肩凝りに効果テキメンかも!」  
 
おや、予想外に食いついてきましたね。  
考えてみれば、ドナさんが大人のオモチャを知ってるわけありませんし、  
ブッピンさんも、テレビを知らないぐらいですから、ローターなんか見たこともないのでしょう。  
二人とも純粋にマッサージ機として、この器具に接しているわけですか。  
 
「ちょっと使ってみてもイイかな?」  
「もちろんだともおじょうチャン。今後のため、私もその効果のほどが知りたいしな。  
 …ああ、そういえば説明書があるんだ。  
 読み上げるから、言うとおりにやってみてくれたまえ」  
「のぞむところだー!」  
 
望んじゃいました。  
 
「まず、その玉を股間に当てるんだ」  
「へ? 肩じゃないの?」  
「うむ、股間と書いてある。というより、股間以外に使用してはいけないようだな。  
 おそらくそこに、肩凝りに効くツボがあるんだろう」  
「ふーん…ヘンなの」  
 
純粋無垢なドナさんをエロオヤジが騙している、のであればこれはいけないことですが、  
ブッピンさんはたぶんドナさんよりさらに純粋無垢なので、どうしようもありません。  
二人ともが不思議そうな顔をしたまま、  
ドナさんはローターをスカートの下に差し込んでゆきます。  
 
「っ!」  
「よし、丸いところが、股間に当たるような形になっているか?」  
「…あ…うん…当たっ…っ! …てるよ……」  
 
楕円形のローターの先端が、下着に包まれたドナさんの入り口に触れています。  
スカートがまくり上がったりしているわけではないとはいえ、  
脚開いてスカートに手を突っ込んで、  
今あなたすごい格好してるんですよ。わかってますかドナさん。  
 
「あ…ちょと…キモチ、イイ…かも…」  
「ほう! さっそく肩凝りに効いてきたわけだな!」  
「や、そーゆー…んぅ、キモチよさじゃ…なくて……はふぅ」  
 
ピンクの玉がドナさんの股間をくにくにと刺激します。  
ローターが、っていうか、ローターはまだ止まってますから  
くにくにしてるのはドナさん自身なんですけど、  
どうやらほとんど無意識に動かしているみたいです。登り棒現象というやつですね。  
 
「…ふっ…ん、はぁ…ぁ…く、ぅん」  
「うむ、本格的な使用の前に、まずはそうやって股間をほぐすんだ。  
 説明書によると、同時に胸を揉んでやるのも効果的なようだぞう?」  
「っ…ん! …ぅ? む……胸?」  
「たぶん胸のほうにも肩凝りのツボがあるのだな!  
 バストアップにもなるし、一石二鳥な器具だ! さすがハイテク!」  
「そ…そか。は…うぅ、ぅんっ…!  
 む、胸の…ふくらみは…くぅ、ふ……な、なんでもできる証拠だもんね…っ!」  
 
空いていた左手を使い、ドナさんは自らの発育途上な胸をさわさわと揉み始めました。  
お兄さんであるゾンビ☆マンさんの指示により  
普段からブラをつけていませんから、服の上からでも充分な快感が伝わるようですね。  
股間と胸の二箇所から送り込まれてくる未知の快楽パルスに、  
ドナさんの息は荒くなり、頬もぽおっと染まっているようです。  
 
「? どうしたおじょうチャン、痛かったり苦しかったりするかい?」  
「なんか…あ…ヘンな感じ…っ…身体の中が…ふぅっ…熱いよ…?」  
「ふうむ、まあ、医療器具だものな。それぐらいの副作用は覚悟しないとな!」  
「そう…なの、ぁっ…かな…ん、ぅっ!」  
 
ドナさんの幼い性欲はすっかり着火完了、といった様子。  
ローターの玉全体を入り口になすりつけるようにして往復させ、  
その動きに合わせて胸の先端を中心に刺激しています。  
こころなしか、それらの動作の速度が速まってきているように見えますね。  
 
「うむ、ほぐれてきただろうか?  
 充分にほぐれたなら、股間に変化が現われているはずだ」  
「は…ぅ…っ! …へ…? …変化…って…?」  
「股間が全体的に湿り気を帯びる、と書いてあるが…ああ、大丈夫そうだな」  
「ぇ……? あ、あぁ、やぁぁ……っ!?」  
 
指摘されるまでドナさんは気づいてませんでしたが、  
ドナさんの下着はすでにぐっしょりです。  
股布部分で蓄えきれなくなった水分が  
太ももから透明なスジを描いて滑り落ち、ソックスの色を濃く変えていました。  
ドナさんは  
なんにも知らなくても本能的に恥ずかしいんですね、こういうのは。  
 
「さらに、股間も一部分が固くなってくる、らしい。こっちはどうだろう?」  
「…え、固く、って…ぁぅ、どのへんが…ん………。……ぁ…? んうぅぅぅぅ!?」  
 
そして当然ながらクリトリスも、  
おそらくは人生初の勃起なのでしょう、張り切って芯を入れていました。  
指に探り当てられ、かりっと引っかかれた瞬間、  
凄まじいまでの快感をドナさんにプレゼントします。  
 
「ひぅ、ふぁ、な、なに…いま、の……っ?」  
「固い部分は見つかったかい、おじょうチャン。  
 なら、これからがいよいよ、さっきの振動を加えての本番マッサージだ。  
 その固くなってる部分に、丸い物体をあてがいたまえ」  
「ふぇ、え!? こ、ここに!? ムリ、ムリムリ!! ムリすぎだよ!!」  
 
ゆるやかな性感でさえつい今知ったばっかりのドナさん、  
クリトリスからもたらされる、あまりにも激しい快楽はさすがにまだ怖いようです。  
しかし、ブッピンさんはそれを許してくれません。  
 
「いやいや、正式な使い方を全部知らないことにはな。  
 ほらおじょうチャン、手を貸しなさい。この手をこうして、こっちへ、このあたりかな?」  
「んぅ!? ちょ、ダメ、や、そっち…ぅぁ、また……んんんんっ!!」  
「ん、引っかかりがある。ここだな。  
 では、スイッチオン!(かち)」  
 
(ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ)  
 
「ひゃぁあぅぅぁあああぁぁぁぁぁあああああ!!?」  
 
ドナさんの手を取り、ムリヤリに目的地を探させて導いたブッピンさんは、  
その手をしっかり握って固定したまま、ローターのスイッチを入れました。  
しかもいきなり「強」です。天サドなんでしょうかブッピンさん。怖いですね。  
 
「うぁああっ、ふぁ!! やっ、んんんっ、くぁ、いゃああ!!!」  
「むう、これはすごい反応だ。さぞ効いているんだろうなあ」  
「あぁぁあ、んん、ダメ、や、んぅ!! ひゃあぁ、やぁあ、んぁぁああああ!!!」  
 
ドナさんは爪先立ちで前かがみになり、  
悲鳴にも似た嬌声を上げながら、びくびくと全身を震わせています。  
ローターの強い振動を連続で叩き込まて  
目覚めたばかりの性感がトップスピードで揺すられ、  
頭の中では火花がぱちぱちと弾け出しました。  
 
「んぅぅううっ!! や、あ、ひゃぅう!!! くぅんんんんん!!」  
 
股間に突っ込まれた自らの右手はおろか、  
その手首部分を掴んでいるブッピンさんの手まで  
ドナさんの快楽の証でびしゃびしゃになってきました。  
膝ががくがくし、小さな舌は突き出されっぱなしです。  
 
「んん! はぁんんっ!! んぅっ、お、おかしくぅ、な、あぁ、あぁんんんっ!!」  
 
ただでさえ不安定な姿勢だったところへこの快感ですから、  
もはやとても立ってなどいられません。  
なんでもいいから支えを得るべく、空間を掴むように彷徨っていた左手で、  
ドナさんは自らの右手に添えられているブッピンさんの腕を必死で掴まえます。  
 
「ひぁっ、はっ、ぉおねがいぃ! も、ふぁ、はな、はなしっ、やぁぁぁあ!!」  
「…む?」  
 
ドナさんがブッピンさんの手を掴んだ瞬間、ブッピンさんの手の位置がずれ、  
それに捕捉されている右手のローターも、  
クリトリスを横からきゅっと押し付ける形になってしまいます。なんということでしょう。  
 
「んんぅ!!? んああ!! ひゃぅ、だめ、ふぁ、や、あ…くゃぁあああああああっ!!!!!」  
 
その動きが最後のトドメとなったのでしょう、  
ドナさんは高まりに高まった生まれて初めての性感で、そのまま達してしまいました。  
ノドの奥から絞り上げるような喘ぎ声を天に叫び、目をまん丸に開いて全身を硬直。  
やがて、何が起こったのかわからない、という顔のブッピンさんへ  
前のめりにもたれかかる格好で、ドナさんの身体はずるりと崩れ落ちてゆきました。  
 
 
…。  
……。  
………。  
 
「…はぁ、ふぁ…ん……あぁぅぅ……」  
「どうだった、おじょうチャン。ずいぶんキモチよさそうだったが…。  
 使ってみた感じ、この物品は人気商品になりそうだろうか?」  
「……だ、ダメ……んぅ、かな……はぁっ…」  
 
「な!? なぜだ!?」  
「だっ、て…肩凝り、治んない、し……。  
 そ、それどころか…逆に、どっと、疲れちゃっ、て……ふぅ………いたたたまれないよ」  
 
「ぶっぴーん!?」  
 
 
 
<了>  
 

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