「んっ?」  
 良介がなかなか帰ってこずにイライラしていると、リサラが開いたノートに文字が  
浮かび上がってきた。初歩の初歩の術だ。  
「『もう時間も無いので邪魔の入らない家で良介さんと初体験を済ませます  
  探さないでください』って、キュール……!」  
 バン! と机に手を突いて立ち上がり、リサラは走り出した。  
 あまりにも単純なひっかけだった。  
 
「良介さん……お願いします」  
「キュ、キュール」  
 キュールのまだまだあどけない顔と、紅いグロスのかもし出す大人の雰囲気の  
コントラストに感動した良介は、いつの間にか頭をかいていた手をキュールの  
背中に回し、自分から抱き寄せていった。  
「あっ……」  
 声ともいえないような、か細い吐息。  
 キュールの目には涙がたまっている。しかし良介はそれを見ても、さっきまで  
のように心が痛んだりはしない。  
 美菜を助けたいという気持ち。そして、将来望まぬ相手とする位なら、という  
条件付ではあるが、良介を始めての相手に選んでくれた嬉しさ。  
 良介には、今のキュールはすべてが美しく見えた。唇が触れる一歩手前まで  
近づいて見ると、また違ったよさがある。紅潮したきめの細かい肌、可愛らしい  
鼻の形、伏せられた目蓋から零れ落ちる涙、戸惑うように震える、紅い唇。  
(キュールってこんなに可愛かったのか)  
 すべての女の子は宝だと公言してはばからない良介だが、女の子の顔だけを見て、  
こんなにも感動したのは初めてだった。  
 吸い寄せられるように、キュールと唇を重ねる。  
 むにゅ、と柔らかく受け止められた唇と唇が、確かな温かみを伝えてきた。  
「んっ……」  
 キュールは身体をこわばらせ、しかし身じろぎもせずに唇を押し付けてくる。  
 その瞬間、黒く冷たい手が良介の中に伸びてくる感触があった。  
 
 ――邪魔するな。  
 
 殺意とでも言うべきか、魂の奥底から湧き上がる力をその手にぶつけると、確かな  
手ごたえとともに嫌な気配は遠のいていった。  
(キュールとファーストキスできてめちゃくちゃうれしい。嬉しいけど……キュール  
が緊張したままじゃ、心から楽しめないよな)  
 しおらしいキュールもそれはそれで非常に良い、とは思いつつ、無性にいつもの  
ような憎まれ口をたたくキュールが恋しくなった。  
 背に回していた手に力を込めて、キュールを抱き寄せる。四つんばいでキスして  
いたキュールが、バランスを崩して体重を良介にかける姿勢になった。  
「ん、ちょっと、良介さ、んむっ」  
 突然の行動に驚いたキュールが、唇を離して上目遣いに良介の表情をうかがう。  
良介の腰、まさに今膨らんでいるところにキュールがぺたんと女の子座りをした。  
 昨夜の夜這いの姿勢の再現だ。今日のキュールは白のレースの下着に、なんと  
ガーターベルトをしている。  
「絶景……」  
「もう、馬鹿なこと言わないでくださいまし」  
 寝そべって再び感想を述べる良介に、顔を真っ赤にして目をそらしながらキュール  
がつぶやいた。  
 
 良介は身体を起こし、優しく、卵が割れないくらいにふんわりと、目の前の女の子  
を抱き寄せる。  
「あ、こういうの対面座位って言うんだよな」  
「な、何のことだか、キュールにはさっぱりですわ」  
 今度は自分から前に進んで、キュールと身体を密着させた。  
 ふにゅん。  
 と、唇とは別種の柔らかさをもった、制服越しのおっぱいの感触が返ってきた。  
「あんっ」  
「うおおおおっ……!」  
 ほんの少しの力で、おっぱいが形を変える、その瞬間。キュールがあげたなまめか  
しい声に、良介は震え上がった。  
「キュ、キュール、今の声すっごい良かった。も、もう一回聞かせてくれないか?」  
 言われたキュールは、さっき自分がどんな声を上げたかを自覚させられ、ついに  
両手で覆って顔を伏せてしまった。  
「ダ、ダメ……恥ずかしい……」  
 普段の元気のよさが信じられないほどに、可憐な少女の仕草。  
「か……かわいい……」  
 今度は良介が涙を流す番だった。感動の涙を。  
 顔を隠してしまったからキスは出来ないが、そんなことは些細な事だと思える。  
 こんなに可愛い女の子が、自分の腕の中に居る。それだけで胸がいっぱいになる  
程に、良介は幸せだった。  
「キュール」  
 精一杯の愛を込めて、名前を呼んでみる。ぴくりと肩が震えた。俯いたままのキュ  
ールは、実はとても無防備でもある。何せ両手で自分の視界をさえぎっているから、  
言ってみればソフト目隠しプレイ状態だ。  
 顔と同様真っ赤になった可愛らしい耳に、良介はついばむようなキスをした。  
「ひゃっ!?」  
 驚いたキュールが手をどけて、顔を上げる。  
「美少女の小さくて可愛い耳にキスできる日が来るなんて……感動だ……」  
「きゃっ、んっ、くすぐった……」  
 むずがるように良介の唇から逃れようとするキュールだが、その抵抗も形ばかり  
だった。普段だったら死神の力を使うまでも無く突き飛ばされているだろう。  
 つまり、今の良介は形だけ嫌がる女の子とじゃれ付く権利を得ているのだ。  
「はは、ごめんごめん」  
 堪能したのでいたずらはここまでにしておく。  
「もう、良介さんはこんな時くらい真面目になれませんの?」  
 グロスを引いた大人な唇を尖らせて文句を言うキュールは、先ほどよりはいつもの  
調子を取り戻せているように見えた。  
「真面目だって。しおらしいキュールも最高に可愛いけど、やっぱ俺はいつもの  
キュールと初体験したいからな」  
「…………」  
 ハッと目を見開いた後、キュールが無言で抱きついてくる。良介は何か言うべきか  
迷ったが、やっぱり何も考え付かなかったので深く抱きしめあってキュールの髪の  
匂いをかぐことにした。  
 当たり前だがリサラと同じシャンプーのにおいがする。そしてなんだか甘い匂い。  
こういうのをミルクのような、と言うのだろうか。  
(別に牛乳っぽくはないけど。でもなんか落ち着くいい匂いだ……)  
 キュールの緊張もほぐれてきたことだし、良介はついに制服の上着のすそから  
そろそろと手を侵入させた。  
 
 ぴくりと震えたが、キュールは良介の首に回した腕だけを残して、上半身を離す。  
一応抱き合ってはいるがその気になれば胸も揉める体勢だ。  
(キュ、キュールのOKサイン……! って口に出したら雰囲気壊れそうだな)  
 さすがに良介も緊張してきて、手が震えないようにするので精一杯だった。すでに  
下着がすべて取り払われているキュールの上半身は、全く頼りないほどに良介の手を  
素通りさせていく。あと1センチで下乳に触れると言うところで、良介は確かにおっ  
ぱいの放つ体温を感じた。  
 これが、人生で初めてHなことをする合意の下に触れるおっぱいだ。  
 感動とともに感触を脳裏に刻もうと、精密機械もかくやの滑らかな微速前進を開始  
した。  
 ふるん、という至高の感触。  
 たゆん、までは行かない大きさ。  
 ぷるん、とは行かない若さゆえの硬さ。  
 しっとりと汗をかき、良介の両手に吸い付くように納まった二つの宝玉は、奇跡の  
弾力でしっかりと存在を主張していた。ほんの少しずつ両手を上下させて感触を堪能  
する。  
「んっ……」  
 思わずもれてしまった、というようなか細いキュールの声。  
「大丈夫か? 俺、痛くしちゃってないか?」  
「え、ええ……むしろ、優しすぎて、変な感じが……はぁん……」  
 少しずつ、少しずつ、両手の振幅を大きくしていくと、キュールの口から悩ましげ  
なため息が漏れた。表情からも力が抜けて、寝ぼけているようなとろんとした目をし  
ている。ついに色っぽいを通り越してエロいの領域に入ってきたキュールの表情を、  
良介はまじまじと見つめてしまった。  
 もっともっと、キュールをとろけさせたい。  
 《グラム》が乗り移ったかと思う位に強いその衝動が、表面に力となって現れない  
ように必死に押さえ込む。キュールに痛い思いをさせることだけは絶対に嫌だった。  
 下から胸を持ち上げたり下ろしたりしている両手の親指の位置をそろそろとずらし  
キュールのおっぱいの頂点を目指す。はりのあるおっぱいから不意に柔らかい部分に  
触れ、ついに乳輪に指がかかったことを知る。さすがの良介といえど、そこで一瞬  
指を止めてしまった。といっても臆したとかではなく、  
(つ、ついに……女の子の、ち、ちく……に!)  
 脳の血管が切れるかと思うような興奮とともに親指を5ミリずらすと、指先にくり  
くりと気持ち良い感触が返ってきた。  
「あっ、あああんっ!」  
 胸全体を揺さぶるのをやめて、乳首に集中する。既に充血して硬くなっているのが  
はっきりと分かった。痛くしないよう細心の注意を払って、いじると言うよりは表面  
をなでるようにキュールの乳首をもてあそんでいく。  
 リサラの乳首をいじった時の自分は配慮に欠けていたな、と良介がちらりと思った  
その時。  
 ギリ、と首筋に痛みが走った。何事かと思ったら、キュールが首に回した手で、  
良介に爪を立てたらしい。  
「他の人のこと、考えないでくださいまし……今は、キュールのことだけを……」  
 乳首を弄られて気持ちよくなっているキュールの顔に、嫉妬と、すがるような好意  
の色が混じる。良介は一瞬で頭の中からリサラを追い払うことに成功した。  
「分かった。キュールのことだけ考える。キュールだけを見る」  
 恥ずかしさのあまり、ぎゅ、ときつく目をつむったキュールに再度キスをする。  
同時に今度こそ制服の上を脱がせて、上半身を裸にした。さっきまで良介の手でもん  
でいたキュールの胸が目に飛び込んできた。  
 
「ん……キュールの乳首、ぴんって立ってるな」  
 ムードを大事にしようとしても所詮は良介、「感じている女の子の胸」を間近で  
始めてみるこのシチュエーションに、どうしても目が吸い寄せられてしまった。  
「だ、だって……良介さんの触り方が、やらしいからですわ」  
 顔を真っ赤にしながらも、キュールは胸を隠そうとはしない。良介の首の後ろで両  
手を握り、隠そうとするのに耐えていた。エッチな心に応えようとしてくれていた。  
 何度目になるか分からない感激をかみ締めつつ、ならばと遠慮なく口を胸に持って  
いく。キュールは良介の意図に気づいてびくんと大きく震えたが、上のほうを向いて  
耐えることにしたようだった。  
(っていうか、この体勢、む、胸が……視界いっぱいに広がってっ!)  
 エッチなDVDでおなじみの乳首を吸うという行為が、いかに至福のものであるかを  
行為の前から思い知る。満足してしまいそうな自分を奮い立たせて、震えるその胸に  
むしゃぶりついた。  
「あっ、ああああんっ!」  
 れろれろと舌で乳首をこねくり回すと、今までとはまるで違う、熱くとろけた声を  
出してキュールがのけぞった。  
 良介の中の何かが切れた音がして、辛抱たまらんとばかりに吸っていないほうの  
胸をもみしだく。手のひらの中心で乳首を転がしてやりながら、今度はきつく吸って  
やった。  
「ひぃんっ! りょ、りょうぅぁあああっ! ひゃぁああんっ!」  
 舌でビンタするように乳首をはじきながら、もう一方でダイヤルを回すかのように  
乳首を親指と人差し指の間でくりくりと転がす。  
 柔らかい胸に顔をうずめているという幸せもさることながら、良介は今までに感じ  
たことの無い種類の喜びを感じ始めていた。  
(キュールが、俺の舌と指でこんなに乱れてくれてるなんて……)  
 女の子を悦ばせる、という喜び。  
 上下の歯の間に置いた乳首を、舌で優しくはじいて歯にぶつける。  
「こんなっ、だめ、ひゃめえぇぇ!」  
 一際大きい反応とともに、ぎゅっときつく抱きしめられたかと思ったらくたりと  
キュールの身体から力が抜けてしまった。  
 ちゅぽん、と名残惜しくも乳首から口を離すと、キュールは眠るように、夢見る  
ように浅く目を開き、口からはよだれが一筋垂れている。  
 これはどう見ても、  
「イッ、ちゃった?」  
 さっきから股間がむずむずしてしょうがない。キュールの痴態を鑑賞しただけで  
発射してしまうというのはさすがに情けないので、気を張ってこらえる。  
「はぁ……はぁ……」  
 垂れたよだれにも気づかず、うっとりと遠くを見るキュールをもう少し眺めていた  
かったが、よだれのがあごにかかりそうだったのでまずは舐め取った。  
「きゃっ、あ、え? 良介さん、何を……」  
「キュールのよだれ、ご馳走様でした」  
 にらみながら、ドンと胸をたたかれる。普段ならともかく、イッた直後の女の子に  
される仕打ちとしてはむしろご褒美だった。  
(キュールの胸ってこんなに敏感だったのか)  
 厳密にはまだ初体験ではないが、もうこれからはキュールのことを以前のようには  
見れないだろうな、と良介は思った。しばらくは顔をあわせただけで前かがみになっ  
てしまいそうだ。  
 前かがみどころか外気に触れる前に暴発しそうなエクスかリバーを、キュールの  
勝負下着にあてがう。生々しい女の子の体重を感じて、限界を超えていきり立ち  
始めたそれを、ついにジッパーをおろしてゴソゴソと取り出した。  
 
「〜〜〜〜!」  
 キュールが声にならない悲鳴を上げて、真下のそれを見る。やってみて初めて  
分かることだが、良介もかなり気恥ずかしかった。  
「キュ、キュールも、その……」  
 脱いで、という三文字が、テンパってしまってなかなか口に出来ない。まごまご  
しているうちに真っ赤なままのキュールがそそくさと脱いでしまった。努めて冷静に  
なろうとしているその表情を可愛いと思いつつも、髪と同じ色の柔らかそうな茂みに  
目を奪われ、かあっと頭の奥が熱くなった。  
 何より凄いのは、その茂みと良介のエクスカリバーがファーストコンタクトを果た  
しているということだ。サラサラだがちくちくするその聖域の芝生を感じ、本気で  
射精しかけた。  
「キュール……あの、キュールの……そこ、舐めていいか?」  
 勇気が足りずに名称をいえなかったものの、キュールはこくりと頷いてくれた。  
ずっと首に絡み付いていた腕がはずされ、仰向けに倒れこむキュールの背中を良介が  
支える。ついでにずっとしりもちをついていた良介も身体を起こし、今度はキュール  
の前に良介が四つんばいになった。  
 その眼前には、芝生と湖がある。  
 そう、水をたたえた穴があった。  
 自分の手で、口で濡れさせた美少女の性器という今世紀最大のファンタジーを眼前  
にして、良介は自然に顔をそこへ近づけていった。むわっと蒸れた、ほのかに甘酸っ  
ぱい匂いで頭がいっぱいになる。甘く感じるのはキュールの元の体臭で、酸っぱいの  
は、まさにそこの匂いだった。  
「良介さん、やっ、やっぱり、その、恥ずかしいので、無しに……」  
「ふーっ。ふーっ。すぅーっ、はぁ、すぅーっ、はぁ」  
「キャーッ! ちょっと何臭いを嗅いでますの! そんなの恥ずかしすぎますわ!  
や、やっぱり、だめっ…ふぁあああんっ!  
 だめ、だめぇ! あぁっ! んんぅ、ひあっ! やっ、そこ、クリ、はっ……  
コリコリしちゃ、やめっひゃうぅうううんっ! ちゅーちゅーすうのも、らめ、  
ひゃめぇええっ、はうぅんんっ、あなのなか、したでかきまわされたら、キュール、  
もう、もうっ!」  
 一心不乱に舐め続けた。気づけば口の周りはキュールの汁でベトベトになっており  
顔を上げてキュールの表情をうかがってみると、可愛らしい舌を外に出してびくんび  
くんと震えている。どうやらキュールはエロ漫画並みに感度がいいらしい。  
「こ、こんにゃの、れっはい、おかひいれすわ……」  
 ろれつが回らず身体も思うように動かせないのか、ひくひくと四肢を痙攣させなが  
らキュールがつぶやいた。確かに、初めてこんな目にあったら戸惑いもするだろう。  
 だが良介もさすがにキュールが落ち着くまでまっていられなかった。年下のくせに  
エロ過ぎる娘と、一刻も早く繋がりたいという思いで頭がいっぱいだった。  
 四つんばいから身を起こして、手足で2歩も這ってやれば、キュールのとろとろに  
なった顔が真正面に来る。鑑賞もそこそこに、跳ねあがろうとするのを手で押さえて  
キュールの一番大事な部分と良介のたぎりにたぎった雄の部分を触れ合わせた。  
 くちゅ。  
 本当にそんな音がして、ゾクゾクと背筋に快感が走る。今にも暴発してしまいそう  
になるのを歯を食いしばって全力で耐えながら、必死に入り口を探り当てた。  
 思い切って下の方から探し始めたのが功を奏して、穴の部分にエクスカリバーの  
切っ先が引っかかってくれた。  
「キュール……行くぞ」  
「…………良介、さん。優しくして、くださいまし」  
 
 かすかな怯えの気配を、脚をさらに広げることで振り払ったキュールに、もはや  
遠慮など出来るはずも無かった。鈴口だけが埋まっていた状態から、ぐぐっ、と  
腰を押し出して熱くぬかるむ女の子の一番大切な宝物に、お互いに人生初めて手を  
かける。ぷち、と何かがはじけるような感触とともに、ずるずると熱い肉の中に良介  
は飲み込まれていった。  
 射精した。  
「あっ、ぐっ、はあぁ、ちょ、とま、とまらねー……」  
 赤ちゃんのように、あるいは先ほど乳首を吸っていた良介のように、キュールの膣  
がうごめいて精を搾り取る。あまりの快感に腰がガクガクと震え、射精が止まらない  
ままにどんどん奥へ飲み込まれる。  
 一番奥に届いて、まだ良介の射精は収まらなかった。もう考えることが出来ない程  
の快感に、目の前の女の子に抱きついてすがりつくことしか出来ない。情けないな、  
とちらりと思うがそれも一瞬で射精の快感にかき消され、精液で精液を洗い流す様な  
激しい射精を、キュールの一番奥に放つためにエクスカリバーを根元まで埋め込み、  
ぴったりとキュールに抱きつく。  
 2分以上はそうしていただろうか、ようやく長すぎる射精が終って、しかしまだ萎  
える気配さえ見せない聖剣が、柔らかい肉壁の感触を理解できるようになってきた。  
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」  
 荒い息がどちらのものなのか、まだ意識が朦朧としている良介には判別がつかない  
が、キュールはボーっと天井を見つめながら、力なく微笑んでいる。うっとりと余韻  
に浸っているかのようにも見えたが、良介にとってはどうでも良かった。キュールの  
表情を見ただけで、またガチガチに硬くなってしまったからだ。  
 遅ればせながら、良介が前後運動をしようと腰を引き始めた。引くごとにぷちゅ、  
ぷちゅ、と肉ひだが名残惜しそうに離れていくせいで一度だけで射精しそうになった  
が、さっきまで大量に出していたおかげか、半こすりで射精するのは避けられた。  
なんとか亀頭だけが埋まっている状態まで戻し、今度は遠慮なく腰を前に進める。  
 ばふっ、と拍手をしようとして失敗した時のような、肉と肉の打ちつけられる卑猥  
な音を立てて、良介とキュールの恥骨がぶつかり合う。  
「お゛ほぉぉおおっ!」  
 キュールが奇声を上げた。たっぷりと3秒は初ピストンの感触に浸ってから、ハッ  
と我に返って、信じられない、と言う風に首を振る。  
「う、嘘ですわ……キュールが、あんな、声で……」  
 酷く混乱しているのか、目尻からは既に一筋の涙が溢れていた。  
(こ、これは……!!)  
 エロい。  
 かわいい。  
 いじめたい。  
 啼かせたい。  
 突きまくりたい!  
 エクスカリバーの先端に、再び激しい力が宿る。  
「キュール、ごめんもう我慢できない。もっと俺にエロいキュールを見せてくれ!」  
 今度は素早く腰を引き、亀頭をこする膣の快感をもろに食らって、良介はまた射精  
した。だが既に思い切り中に射精しているのに今更気にすることでもない。構わず、  
射精しながら動き続ける。  
 抜き、挿し、抜き、挿し、抜き、挿し。  
 今日まで童貞だった良介に、テクニックも何もあったものではないが、とにかく  
キュールの中のコリコリした部分を探して、そこをこするように何度も動き続けた。  
「お゛、あ゛、あ゛、あ゛っ、ひぃ、ぐっ、ほぉぉっ、ん゛ん゛ん゛ん゛ーー!」  
 
 抜き差しするうちに、どんどん水音が粘っこいものになっていく。一突きごとに  
良介の精液があふれ出し、マットの上に水溜りを作っていた。キュールの身体からは  
完全に力が抜けてしまって、仰向けになってカエルのように手足をぺたんとマットに  
くっつけるような体勢で、良介のピストン運動を受け入れている。  
 キュールの表情は先ほどまでのとろんとしたものではなく、眉根を寄せて、歯を  
食いしばって、激しい快楽を受け入れていた。桂井と言うよりはフクダーダだな、  
とエロ漫画鑑賞家たる良介がキュールが聞いたら殴ってくること間違いなしの感想を  
思っていると、膣のうごめきがさらに激しくなった。  
「ん゛ーーーー! ん゛ぅぅぅぅぅう!」  
 歯を食いしばって叫んでいてもどこと無く可愛らしいのは、キュールに対するひい  
き目だろうか、と妙に冷静に考えつつ、何度目か分からないキュールの絶頂にあわせ  
一番奥でまた射精した。  
 
 
 
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」  
 終ったあとは気まずい、と言う話は純愛系エロ漫画の中ではよく見るが、良介は  
そんなでも無いかな、と思っていた。  
 と言うのも気まずいと思える余裕も無く、キュールを腕枕して寝そべっているだけ  
でなんだかとても幸せで、今が何時なのか、とかここがどこなのか、という事さえも  
忘れてしまいそうなほどだ。結局脱がなかった制服が肌に張り付いて気持ち悪いが、  
腕にかかるキュールの頭の重みの心地よさで帳消しだ。  
「……はぁ。もう、良介さんったら酷いですわ」  
「えっ? な、なにが」  
「なにが、じゃありませんわ。キュールにだって分かりますわ、その……こんなに  
注がれたら、すぐ子供が出来てしまうということくらい」  
「うっ」  
「……ま、分かっていてキュールのほうから誘ったのだから、それ自体は仕方ないに  
しても。……もしも、できちゃってたら」  
「…………責任、とるよ」  
「……! なっ、なに、を」  
「責任取る。どこまで出来るかわからないけど。その時は、キュールを俺のお嫁さん  
にして、キュールの傍から離れない。一生支える」  
 ばっ、と突然キュールが身を起こし、いそいそと服を着始める。  
「あっ、あれっ、どうした、キュール。そんなに急いで」  
「良介さんの世迷言に付き合ってたらお姉様が帰ってきてしまいますの。それとも  
良介さんはこの場面を見られたいんですの?」  
「い、いや、でも……」  
 あっという間に着衣を整えて、見た目だけは普通になった。  
「ホラ早く撤収しますわよ。キュールはもう自分の教室に戻りますから、それじゃ」  
 やけに早口で、しかも鼻にかかった声でそういうと、キュールは体育倉庫から出て  
行ってしまう。なんだか展開についていけずに、良介も前を仕舞って外に向かって  
歩き出した。  
 と、外に出て行ったはずのキュールが入り口から顔を覗かせる。  
 満面の笑みで、  
「さ、一緒に行きましょう良介さん! ……責任、取ってもらいますからね」  
 逆光になる良介からは分からない、少し赤くなった目をして。  
 
 

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