「おっ、オットー・スピノーラにおごってもらえるとはうれしいねぇ」
「………………で?」
ロンドンの酒場で、皆に酒をおごる。が、目の前のこやつは特産品の情報も航海士の情報も教えない。黙って顎に
鉄拳を加えると、いよいよ本題にとりかかった。
「この中でオットー侯爵の船に乗りたい奴はいないか!」
「150人の水夫が集まりました」
マシュー、お前はどうしてそう数を数えるのが速いのだ?野鳥の会か?だが150人では全員連れて行っても我が
旗艦「ブーリンタンハァハァ」号の定員には遠く及ばない。これでは、テムズ河口で待ち構えているレイス(黒)に勝てない
ではないか。つか、全員雇う金が無い。海賊に降伏してお恵みを乞うか?いやダメだ、前にレイス(赤)に降伏した時は
「金貨恵んでやるからケツ貸せ」という展開になって公開陵辱された。いつか必ず堀り返す。
かくなっては仕方ない、あの手で行くか。我輩は大きく息を吸い込むと、含羞の表情を浮かべつつ叫んだ。
「べっ、別に我輩の船に乗って欲しくてお酒おごったんじゃないからね!」
酒場、というよりロンドン市内が男達の歓声で沸いた。
「20000人の水夫が集まりました。皆タダでもいいからと言ってます」
「よし、選抜するぞ。そこに並ばせて服を脱がせろ」
我輩はマシューに指示すると、