海賊を廃業し、北海の覇者ホドラム・ベルグストンの艦隊に加わってから、初めての陸をアズィーザは複雑な気持ちで踏みしめた。  
 燃えるような赤毛が潮風になびき、サルワールと呼ばれるゆったりとしたズボンがばたばたと音をたてた。  
 風が収まると、長い髪に隠されていた顔が露わになった。美しいといって良いだろう。しかし、それ以上に見るものをひきつけるのは、強い意思の光を宿した隻眼である。  
 もし、両目が揃っていたならば、気の強そうな美人、という印象で終わっているだろう。欠けているからこそ、それが強烈な個性となってアズィーザの美貌を惹きたてていた。   
 一つしかない瞳で辺りを見まわす。港は未知なる世界へ期待に満ちた冒険者や、一攫千金をもくろむ商人達の活気でにぎわっている。まさに大航海時代と言われる時代にふさわしい熱気だった。  
「さて……これからどうしようか」  
 荷物のほとんどを船に置いてきているため身軽な身ではあったが、乗船して間もないため、休日を共に過ごすような仲の良い仲間がいない。そのためこれからの数日をどう過ごして良いか見当もつかない。  
 女だてらに海賊の頭をしていたときには、船が港につけば補給や、戦利品の売買等息をつく暇もないほど仕事があった。しかし、それらの仕事から解放されてみると今度はその忙しさが懐かしくなる。  
 仲間の裏切りにあい、殺されるところをホドラム達に救われ仲間になったものの、生まれたときからの海賊稼業から突然解放されてアズィーザは、気持ちの整理もつけきれずに途方にくれていた。  
「宿に向かおうか」  
 とりあえず寝れば時間は潰れる。そう考えて船に背を向けたそのとき。  
「アズィーザ」  
 自分を呼ぶ声に振り向いてみると無愛想な表情の青年が立っていた。アル・フェリド・シン、元傭兵の船乗りである。  
 アズィーザを助けるときには、真っ先に船に乗り込んで大立ち回りを演じた男だ。  
「なんの用だい?」  
 アズィーザは複雑な表情で目つきの悪い仲間を見つめた。自分が殺されかけたところを助けてもらった相手ではあるが、この男のせいで殺されそうになったとも言えるのだから命の恩人という気がしない。  
 
 アルに連れて来られた場所は酒場だった。  
 これから海へ向かう水夫と、ようやく海から帰ってきた水夫とが共に陸を満喫している。アルコールのせいだろう、独特の澱んだ空気の中で港よりも激しい嬌声があがっている。  
 二人のいるテーブルにも他と同じように酒と料理が並べられている。しかし漂っている空気がまったく違う。周囲の馬鹿騒ぎをよそに二人は妙な沈黙に包まれていた。  
「で、なんのようだい。助けてもらった礼ならもうしたはずだけど、まだ足りないかい?」  
 アズィーザがジョッキを呷った。潮風と太陽に焼かれた喉を鳴らしながら酒が落ちていく。  
「これを」  
 足元のズタ袋を取り上げると、中からシャムシールを取り出し、机の上に置いた。  
「これは……」  
 アズィーザの目が吸い寄せられるようにその剣に惹きつけられる。  
 鞘に収められたそれをアルがゆっくり引き抜くと、まるで今人を斬ってきたばかりのような赤い刀身が露わになった。その姿から血塗られたシャムシールという名で呼ばれることもある名刀である。  
 しかし、アズィーザにとってそんな評判は二の次、まわりの戯言に過ぎない。  
「そうだ。お前の父の形見であるシャムシールだ」  
 そう、アズィーザにとってはずっと捜し求めていた父の形見なのだ。喉から出るほど欲しく、部下に裏切られてまで手に入れようとした剣である。  
 
 目の前に座っている男の考えがわからず、ニ、三度アルと剣を見比べる。  
「コイツをどうしようってんだい?」  
「お前に返す」  
「え!?」  
 降って湧いた幸運にアズィーザは戸惑った。  
「いったいどうしてだい?」  
「お前のオヤジの形見らしいからな。お前が持っているのが筋だろう」  
「でもいいのかい? あんたの愛刀だったんだろう?」  
「艦長から新しい剣を貰ったからな。困りはしない」  
 アルは腰にぶら下がっている剣を軽く叩いてみせた。  
「そうかい、だったら遠慮なく受け取らせてもらうよ」  
 なにかを恐れるように、ゆっくりとアズィーザはシャムシールに手を伸ばした。  
 柄を丁寧に握る。ひんやりと冷たい感触が伝わってくる。  
「これが……」  
 どこかうつろな表情で剣を鞘から抜き放ち、掲げた。  
 妖しく光る赤い刀身をしばらく見つめていたが、やがて満足したのか、アズィーザは剣を鞘に収めた。  
「あんたには世話になりっぱなしだね。命を助けられ、次は形見まで。あたしにできることがあればなんでも言っておくれ。できる限りのことをさせてもらうよ」  
 アズィーザが心からの感謝の言葉を伝えた。  
「いや、俺が勝手にやったことだ。それに仲間が困っていたら助けるのは当然だからな」  
 怒ったように口早に言うと、アルはジョッキを一息に飲み干した。  
 もし、他のクルーがその場にいたらさぞかし驚いたことだろう。アルがそんな殊勝な言葉を口にするとは夢にも思っていないからだ。普段のアルはとてもじゃないがそんな気を使う人間ではない。  
 実を言うと、アルはアズィーザに一目惚れしていたのだ。  
 初めて出会ったとき、海の上で敵同士では会ったが、女の身でありながら気の荒い海賊を統率している彼女が褐色の戦女神に見えた。  
 海賊稼業のせいで傷ついたのであろう片目を眼帯で覆い、肌も露わな格好で剣を振りまわすアズィーザに、アルは戦闘中であることも忘れて見とれた。  
 
 その後とある港の酒場で、再び敵同士として出会ったとき、その美貌とそれに相応しい矜持溢れる態度に心を奪われた。  
 その時はしょせん敵同士と諦めたものの、不思議な因縁から仲間となることができた。  
 だから、自分にできる彼女の喜ぶことならなんでもしてやりたかったのだ。  
「そうかい……。それじゃあ、せめてここはあたしが奢らせてもらうよ」  
 アズィーザは大声で店員を呼ぶと、酒と料理の追加を頼んだ。  
 
 アズィーザとアルは酒が入ったこともあってか、しばらくするとかなり打ち解けていた。  
「ここの料理はなかなか美味しいじゃないか」  
 アズィーザが空になった皿を眺めながらもう何杯目になるかわからない酒で喉を潤した。  
「ああ、ここはこの街に寄ったときには必ず来るんだ。と言っても、俺が見つけたわけじゃない。艦長に教えてもらったんだ」  
 骨付き肉にかぶりつきながら、アルが応える。  
「へぇ。……しかし艦長と言えばアレはイイ男だね」  
 アズィーザの言葉にアルの眉がピクリと跳ね上がる。惚れた女が他の男を褒めたのだ、しかもどこかうっとりしたような目で。いくら相手が尊敬する上司とはいえ、こればかりは譲れない。  
「確かにな、だが俺も艦長に負けてないと思うぜ」  
 負けん気を発揮したアルをアズィーザが笑った。  
「そんなことを言ってるようじゃ、あの艦長には勝てないよボウヤ」  
 その口調に大人の色気を感じながら、アルが反論する。  
「ボウヤはないだろう。三歳しか違わないんだ」  
 会話の中でわかったのだが、アルは十九歳、アズィーザは二十二歳。アルにとっては悔しいことだがアズィーザのほうが年上だった。  
「歳のことを言ってるんじゃないよ。精神的なものを言ってるのさ。それがわからないようじゃまだまだ子供だね」  
 アルは憮然とした顔で黙っている。アズィーザの言うことがわからないわけではないからだ。  
 ぶすっとした顔でやけになったように料理を口に詰めこんでいるアルを見て、再びアズィーザが笑った。  
「ま、せいぜい頑張るんだね」  
「……艦長のことが好きなのか」  
 ポツリと呟いたアルを目を丸くしてアズィーザが見ている。  
 
「……ははははは! おもしろいことを言うね。確かにイイ男だけど艦長にはもう相手がいるみたいだしね」  
「そうなのか」  
「そうだよ。わからないかい? あれは誰かを想ってる目だよ。だから私はあんたぐらいで我慢しとこうかな。イイ男になりそうだしね」  
 ぴたりとアルの動きが止まった。  
「俺?」  
「素質はあると思うからね。頑張ってイイ男になりな」  
 アズィーザは明るく笑い、酒を流し込んだ。赤く塗られた唇の端から、零れた酒が流れ落ち首筋を濡らす。酒は大きく広がった胸元へ向かい、豊かな谷間へと消えた。じわじわと胸を覆っている布に染みが広がっていく。  
「いけない、だいぶ酔ったみたいだね」  
 陽気に笑いながら、乱暴な仕草で口元を拭う。  
「じゃあイイ男になるにはどうすればいいんだ」  
 こちらはとても笑顔とは言えない。暗く沈んだ表情である。  
「そうだねぇ……。とりあえず女の扱いが上手くないとダメなんじゃないかい? そこばかりは艦長も初心な感じだからね」  
「女の……」  
 呟いたまま、アルはぼんやりと宙を見ている。  
「ちょっと、大丈夫かい?」  
 心配したアズィーザが声をかけるが返事がない。  
「仕方ないね、ちょっと! しっかりしなよ」  
 むりやりアルを立たせると、アズィーザは勘定をすませ、店の外に出た。  
 ふらついているアルの背中を叩き、  
「あんたじゃないとホドラム隊の常宿がわかんないんだからしっかりしなよ」  
 おぼつかないアルの案内を頼りに宿へ向かった。  
 
 結局、酒場のすぐ近くに宿はあったのだが、ああ。とか、うん。といったはっきりしないアルの案内のせいで倍以上の距離を歩かされてしまった。  
 その間中、ずっとアルに肩を貸し、支えていたアズィーザは疲れ切っていた。  
 部屋のベッドにアルを乱暴に投げ出すと、アズィーザも傍らの椅子に腰掛けて一息つく。  
「まったく。イイ男には程遠いね」  
 呆れかえっていると、アルがぼそぼそと小さな声で自分の名前を呼んでいるのが聞こえた。  
「ん? なにかようかい?」  
 もっとはっきり聞き取ろうとアルの顔を覗きこむと、突然、腕を引っ張られベッドに引き擦り込まれた。先に寝ていたアルの上にアズィーザが転がり込む。  
「うわっ! なにを!?」  
「アズィーザ」  
 間近で顔を覗きこまれて、思わずアズィーザは黙り込んでしまう。  
「お前を抱きたい」  
 そうはっきり口にすると、アルは真剣な表情で年上のクルーを見つめた。  
「……」  
「だめか?」  
「まったく……。イイ男には程遠い口説き方だけど、私がイイ女だったことに感謝するんだね」  
 いまだアルコールのせいではっきりしないせいか、アルにはアズィーザの言葉の意味がわからない。  
 きょとんとした顔のアルを見て、アズィーザは笑った。  
「抱かれてやるって言ってるんだよ」  
 アズィーザが言い終えないうちに、アルが抱きしめてくる。  
「初めて会ったときから、惚れてた」  
「ありがたいね」  
 お礼代わりと言わんばかりにアズィーザがアルに唇を押し付けた。  
「ん……」  
 そのまま唇をわり、舌を潜り込ませる。  
 それに応えるように、ぎこちなくアルも相手の舌に自らのものを絡める。  
 女であるアズィーザがのしかかるような格好で男の唇を奪っている姿は、倒錯したいやらしさで溢れていた。  
 
 ちゅうちゅうと互いの唇を吸う音と、ときおりベッドが軋む音がだけが部屋に響く。  
「っ……あぁ」  
 アズィーザが大きく顔を上げ息をした。濡れた瞳は酒のせいばかりではなさそうだ。  
 わずかに荒い息のもと、アズィーザは男を見下ろしながら問いかけた。  
「もしかしてあんたまだ女を知らないんじゃ……」  
「いままで抱きたいと思う女がいなかったんだから仕方ないだろう」  
 ぶっきらぼうにそれだけ言うと、今度はアルのほうから顔を近づけて奪うようにキスをした。  
「だったらあたしが教えてやろうか?」  
「……たった三歳で年上ぶるな」  
 言うやいなや、アルは巧みに体を動かしアズィーザと位置を入れ替える。今度は男が女を組み敷いた。  
 もともと胸を覆っているだけのラフなアズィーザの上着を乱暴に剥ぎ取ると、アルがそのまま胸を揉みしだく。  
「ん……っ、もう少し力を抜いて」  
 普段の態度からは考えられないほど優しく自分の背に回された手を感じながら、アルは言われたとおり、できるだけ丁寧に指に力を入れる。  
「あ、はぁ……んっ」  
 アルは固くなり始めた胸の先を摘むようにして刺激する。  
「っつ!」  
 唇を噛み締め、甘い悲鳴をあげるのがわかると、アルはそこに重点的をおいて責めることにした。  
 アズィーザの反応をうかがいながら、胸を蹂躙し、乳首をくにくにと刺激する。  
 頭に回された腕に力が入るのを感じると、アルは満足したのか、唇の端を軽く吊り上げた。  
 そのまま、今度は顔をアズィーザの胸元に近づける。舌を突き出して、ペロリと一舐めしてみた。  
「少ししょっぱいな」  
 
 素直な感想を洩らしたアルにアズィーザは溜息をついた。  
「バカだね。そういうときは嘘でも甘くてとろけるようだって言うもんだよ。ずっと海に居たんだ、潮風と波を浴びて塩辛くなるのは当たり前じゃないか。水浴びもさせなかったのはあんただろ」  
「でも、蕩けるようにうまいのは本当だ」  
 相変わらずのぶすっとした顔のまま、赤ん坊のように、胸に吸いついた。いきなり強く乳首を吸われ、アズィーザが顎を仰け反らせる。  
「はっ、んんっ」  
 アルは舌先に感じる固くしこった乳首を、転がすようにして弄んだ。わずかに海の味がするが、それよりも、アズィーザが言ったように、甘く感じる。  
 初めて味わう女の胸にアルは夢中になった。  
 ふくらみは二つあるのに、自分の口が一つしかないのがもどかしい。  
 アルは、吸うことのできない反対の胸を優しく、しかし不器用に揉みしだいていく。余った手をアズィーザのお腹を撫でていたが、しだいに降りていき、するするとアズィーザの下半身を包むサルワールの中に滑りこんでいった。  
 ふとももの付け根にある、アズィーザ自身をに触れる。  
 そこは既に潤みをおびだしていた。濡れた陰毛をいじってみる。  
「……焦らすんじゃないよ」  
 アズィーザがアルの耳を軽くかじった。  
「怖い女だな」  
「知ってただろう?」  
 艶やかな声で囁かれ、アルは恥毛を撫でていた指を、ぬめりを帯びた柔らかな肉に沈めた。  
「んっ!」  
 そこは熱く、きゅうきゅうとアルの指を締めつけた。  
「すごいな。温かい」  
「いちいちそんなこと言わなくていいから」  
 恥ずかしかったのだろう、珍しくアズィーザが頬を染めた。  
「わかった」  
 律儀に返事を返し、アルが指を動かし、アズィーザの秘部を愛撫する。  
 
 アルはしばらく感触を楽しむように指を動かしていたが、亀裂の上に、小さな芽があるのに気付いた。試しにそこを軽くなでてみると、アズィーザの背が反りかえった。  
 そこがクリトリスと呼ばれる敏感な部分であることを知らないあるだったが、快感を与えるらしいと言うことはわかった。  
 指で挟みこみ、摘むようにしごいてみるとアズィーザの喘ぎ声に、悲鳴が混じった。  
 巧みにクリトリスを刺激しながら、一方の指では体の内側を撫で回されて、アズィーザが身をよじった。  
「あ、そこっ……ふあぁ。ぃっあ……ああっ」  
 指が出入りするたびにとろりとした蜜が溢れる。  
 初めてと侮っていたアルにいいようにされて、アズィーザはうろたえて為されるままになっていたが、我慢の限界にきた。  
 自分を貫くものを求める心が膨れあがっていく。  
 淫らな水音が激しくなってきた頃、アズィーザが訴えた。  
「も、もう挿れて……!」  
 アズィーザがアルの股間に手を伸ばし、揉みしだく。最初からずっと固かったそれはアズィーザに触れられてさらに固く、大きく膨れあがった。  
 もどかしげに腰帯をほどき、ズボンを下ろすと、アズィーザはアル自信を掴み出した。  
「凄い……」  
 その大きさと固さに感嘆の溜息を洩らしながらも、指は血管を浮かせた肉棒に纏わりつき、しごきたてる。  
「うおっ」  
 初めてアズィーザの愛撫を受けて、アルがくぐもった声をだす。  
「早く、それをちょうだい。ここに……」  
 アズィーザがゆっくりと足を開き、指を自分の淫唇に添えた。とろとろと中から愛液が流れ落ちてベッドを濡らした。  
 アルはアズィーザの足首に絡みついていたサルワールを引き剥がすと、怒張したものを濡れた部分に押しつけ、一気に腰を落とした。  
「あぁっ! アルのが……入ってる。んっ、大きいから、お腹いっぱいになってるよ」  
「アズィーザ……」  
 うねうねと絡みつき、間断なく締めつけられてアルはいきなりイキそうになってしまうのを、力を入れて堪えた。  
 
 自分の背中にそっと手が回されるのを感じると、アルは腰を動かし始めた。  
 初めてということもあって、最初はぎこちなかった動きも、次第にこなれてきたのか、徐々ににスムーズになっていく。それにつれてアズィーザの喘ぎ声も大きくなっていく。  
「ひぅっ、あぁっ、初めてとはっ、んぁっ、思えない、ねっ……ああぁっ」  
 腰を動かすのに慣れてきて余裕ができたのか、アルは胸を揉みしだき、アズィーザの首筋に舌を這わせ出した。  
「そこはっ! あっ、くぅっ、あはぁ……アル!」  
 快感の波にさらわれてしまわないように、アズィーザの指に力が入る。爪を立て、アルの背中を引っ掻いた。  
 背中の痛みに一瞬、眉をしかめたアルだったが、自分がアズィーザをそこまで喜ばせているかと思うと、その痛みは快感に変わった。  
「くっ、ああっ! い、いいっ! んんっ、あっっ……凄くぅっ、いい」  
 初めこそ余裕が感じられたアズィーザだったが、目を閉じ、だらしなく口を開いて、喘いでいる今の姿からは、そんなものは微塵も感じられない。  
 アズィーザが我を失うほど、その蜜壷はペニスを締めつけ、与える快感を強くしていった。  
 ベッドの軋む音と、荒い二人の吐息がさらに、快感を高める。  
 アルの腰の動きが、次第に早くなっていく。  
「アズィーザ……そろそろイキそうだ」  
 柔らかい肉に腰をねじ込むようにしながら、アルが言った。  
「あぁ、わ、私もっ、もうダメだっ! くぅっ……ぁん、っつ! ひあぁぁっ!」  
 ひときわ大きい声をあげると、アズィーザは腕だけでなく、足を腰に絡ませるようにしてアルにしがみついた。  
 アル自身を包み込んでいたアズィーザの秘所がひときわ大きく蠕動したかと思うと、今までにない動きでペニスを刺激する。  
 すでに限界にきていたアルはアズィーザの痙攣を感じながら、ペニスを今まで出一番深く突き刺した。  
 
「アズィーザっ!」  
 女の名を呼び、唇を奪うように激しいキスをしながら、アルのものが膨れあがり、びくびくと震えながら、精液をアズィーザの中にぶちまけた。  
 しばらく余韻に浸っていた二人だが、ようやくアルが体を起こし、力を失ったものをアズィーザから引き抜いた。  
 どろりと白く濁った粘液がアズィーザから流れ落ちた。  
「どうだった? ボウヤ」  
 まだ荒い息をしながら、アズィーザが笑った。  
「いや、アレだけのことができるんだからもう坊やじゃないね」  
「……下の毛も赤いんだな」  
 アルがアズィーザの下半身をじっと見ている。  
 それに気付いたアズィーザが慌て足を閉じ、手で隠す。  
「ほんとにこのボウヤは……」  
「もうボウヤじゃないんだろう、アズィーザ。……お前を抱けて良かった」  
 ぼそりと呟いた一言に、アズィーザの頬が緩む。  
「あはははは。素直じゃないんだから、次の出港までまだ長いんだ。その間に私があんたをイイ男にしてあげるのもおもしろいかもね」  
 アズィーザは、むっとした顔をしているアルに笑いながら飛びついた。  
 
 

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