ある昼下がり、マァムはコーヒーショップにいた。  
「彼とうまく行ってなかったのお。で、思い切って夜這いかけたわけ。そしたらさあ、うまくいっちゃって」  
隣の席で談笑する若い女性達。マァムはふと彼のことを思った。  
 
ヒュンケル…  
 
自分自身なんだか気持ちが整理できない。でも彼のことを考えるとドキドキするのは真実である。しかしこと男女のことになると消極的な彼女。この煮え切らないものを解消するにはどうすればいいんだろうと常日頃思っていた。  
「夜這いか……何だろそれ」  
   
マァムはさっそく辞書を引いた。  
 
よばい(夜這い) 夜、男性が女性の部屋に忍び込むこと。または最近では女性からもある(○○大辞典より)  
 
「よ、夜にヒュンケルの部屋に行くのか〜。」  
マァムは少し顔が赤くなった。  
 
仲間達はその夜、お城に泊まっていた。  
夜中の12時。うとうととした目をこすりながら、マァムは部屋を出た。  
 
カチャ  
ヒュンケルの部屋の扉を開け、さっと入る。  
「成功ね」  
マァムは戸を閉め、蝋燭を持ってヒュンケルを見た。彼は眠っていた。  
「そっか…普通眠ってるよね…」  
普段あまり見れないヒュンケルのその姿見て、マァムの顔は自然と綻ぶ。が、しかし  
「そういえば、部屋に忍び込んだのはいいけど、次は何するんだっけ?」  
マァムはふと辞書に書いてあったことを思い出そうとした。そういえば忍び込むまでしか書いてなかった気がする。  
「まさかこれで終わりなの〜?」  
マァムは呆気に取られながらも、諦めた様子。最後にヒュンケルの寝顔でもじっくり見ておくかな。  
 
マァムはそろそろと彼の顔に近づく。すると  
「誰だ!!」  
バッとシーツがマァムに向かって投げ出され、ヒュンケルが身体を起こした。  
 
流石に一流の戦士だわ……でも私は敵なわけ〜?  
 
「ごめんなさい…」  
マァムが自分にかけられたシーツを降ろしながら謝る。  
「…マァム?」  
ヒュンケルはあまり表情を変えないで彼女の方を見やる。いつもの彼女らしくない。なぜか妙に動揺している様子だった。  
「…こんな時間にどうしたんだ?」  
彼自身は少し落ち着いて、彼女に尋ねてみた。その言葉に彼女は安堵したようで、今度は少し照れた様子で答えた。  
「うん。実はね……よ、よ……ばい」  
「え?」  
「夜這いしに来たの…」  
今マァムは何を言ってるんだろうか。空耳じゃないだろうな…  
ヒュンケルは固まってしまった。  
「でも…もう終わったから」  
 
「夜這いの意味をわかっているのか?」  
ヒュンケルは笑いをこらえながら優しく聞いた。  
「…え、えっと、部屋に、ね…忍び込んで…」  
「ああ、次は?」  
「…おしまいっ!」  
マァムが照れたように笑ったので、何だかヒュンケルも可笑しくて笑ってしまった。  
「…え〜?そんな可笑しいかな…」  
「…おまえみたいなのが夜這いなんてするからだ」  
すっ、とベッドから立ち上がって、ヒュンケルはマァムに近付いた。  
「さあ、もうお帰り。」  
 
 
次の日の夜、モンスターの見張りを素早くすりぬけピンク  
の影が洞窟の奥深くへ侵入していた。「だ、誰だ!」  
気配を感じ振り返った瞬間“くさったしたい”のみぞおちに正拳が放たれた。  
「お、おまえは…グウッッ」  
ついにマァムは目的の部屋へ辿り着いた。分厚い鉄扉を押し開けると  
「な、なんじゃ!き、貴様どうやってここに」  
 
驚きを隠せない妖魔  
「な…何の用じゃ小娘!」  
懍とした表情でザボエラに歩み寄るマァム。  
しかし、ふいに表情が緩み頬が赤らむ。  
『あのね』  
ようやく声を絞りだすように呟く。  
「よ…よばいって」  
 
 
ザボエラが構える。するとマァムは  
「夜這いって何か聞こうと思って…」  
マァムはぽっと赤くなった。  
「で…何でわしのところへ来たんじゃ」  
それでもザボエラはあくまで用心深い。  
「うん、裏のことに詳しいだろうと思ってね」  
ザボエラは思った。そういえばワシも夜這いって知らんわ。  
「夜に這う…って意味じゃないのか?裏の用語なら相手の身体に這うとか…」  
(それってヒュンケルの身体に…?)  
マァムは真っ赤になった。  
 
で、その夜。  
ギラン!!  
眠っていた身体がが一気に反応した。誰かが背に張り付いている。  
「あ…起きた?」  
マァムが自分の背に抱きついていた。  
「…マ、マァム…?」 
 
今夜も遅くにマァムに部屋に忍び込まれて「よばい」なる行動をされたヒュンケル。  
全く・・・誰が教えたんだが。多分誰かに可笑しく吹き込まれたんだろうな。そう思ってた。  
 
「マァム・・・ちょっと座れ」  
ヒュンケルはマァムをベットの上に座らせた。  
「な、なに・・・?」  
マァムは心配そうにヒュンケルを見上げる。ヒュンケルはまだ呆れている様子だ。  
そしてザボエラのことなど聞き出した。  
 
「お前、こういうことは・・・その・・・本当に好きな相手に・・・するもんだぞ」  
 
――するとマァムが下を向いた。  
よく考えると、何を真面目に語っているんだろう、自分は。最後は少し小声になっていく。  
マァムは自分ではなく本当に好きな男とこういうことをするべきだと思ったからだ。しかしそれが何故かはっきりと彼女の前でははっきりと言えない。  
 
しかし返ってきたのは意外な答え。  
「だから私の、貴方への気持ち確かめたくて」  
 
マァムが慌てて口を閉じる。  
そして俯いたままベッドを立つ。  
「ごめんなさい、今の、聞かなかったことにして」  
先程と違い、泣きそうな顔をしているのがその言葉からわかった。  
 
マァムの手がドアノブに伸びた。  
すると逆の腕が後ろから勢いよく引っ張られた。  
「え・・・?あ、ああ・・・」  
マァムの身体は強引にベットに戻された。そしてそのままベットに寝かされた形になった。  
 
「ヒュンケル?」  
 
マァムは自分を見下ろすヒュンケルの顔をのぞきこんだ。  
「言っとくが、部屋に来たのはお前だぞ」  
マァムはゴクリと息を飲んだ。  
 
「んっ‥!んぐぅ?」  
強引に引き寄せられたマァム、その唇をヒュンケルの唇が塞ぐ。  
「んッッ…!」  
一瞬身を硬く緊張させながらも、なされるままヒュンケルに身を任せるマァム。  
その体はカタカタと小刻みに震えていた。  
ヒュンケルは愛しさにマァムの背を強く抱き寄せ、豊満な胸がヒュンケルの屈強な胸板に押し当てられる。  
  ドクン‥ドクン  
踏み出す事に脅えるマァムの高鳴りがヒュンケルに伝わっている。  
マァムは恥ずかしさの余り顔が熱くなる。  
何をしていいのか分からない。  
ヒュンケルになされれがままである。  
ヒュンケルの舌がマァムの唇から首筋へと這ってゆき、その両手は背中から腰へ、そして形の良いヒップへと体のラインを確かめるように撫で降ろされていく。そして…  
「あぁッッ!ヒュ、ヒュンケル‥?」  
ヒュンケルの両手はマァム武闘着のスリップから侵入し引き締まったお尻の膨らみをシゴくように揉みしだく。  
ピッチリと下腹部を包んだ紺の武闘下着がその手の動きになまめかしく形を変える。  
「ヒュンケル、ああっ待ってヒュンケル!」突然の激しさに動揺と怖れを感じたマァムは思わずヒュンケルを引き離しそうとする。  
「言ったはずだ、この部屋へ来たのはお前なんだからな」  
「怖い、こんな…こんな!」  
「許してくれ。俺はこんな形でしか女を愛せない」  
自分の体を押し付けるようにマァムを抱きしめるヒュンケル。  
二人の衣類がシュッシュッと擦れ合う。  
だが二人はまだ気付いていなかった。その部屋の天井に二人の姿を妖魔へと映像として送る悪魔の目玉が張り付いていることに。  
「ザボエラ様、これで勇者共の居場所が突き止められましたな。」  
魔物たちが悪魔の目玉の見た物を映し出す水晶を身を乗り出して覗き込んでいる。  
「それにしても…」  
「良い風情ですなぁ、グッグッグッ」  
ザボエラは血走った目で水晶モニターを覗き込む。  
『あァッ、ヒュンケル!んンッ!?はぁぁ…』  
水晶に映るマァムは眉間に小さい皺を寄せ、ヒュンケルへの想いを必死に確かめようと耐えていた。  
ザボエラはニタリと笑った。  
「今、この無防備な瞬間を襲われればひとたまりもあるまいイシシシシッ」  
今、二人の部屋へと魔物の軍勢が今にも押し入らんとしていた。  
普段ならば尋常ならざる気配に気付かぬ二人ではない。  
しかし今は…だが……この瞬間!  
 
奇跡は〜起きた!!  
 
まさに想いを遂げんとするヒュンケル、しかし最強に高まった“気”はヒュンケルぬ眠っていた力を呼び醒ました。  
「おっ、オオオオオオオオオオオオ!!!なんだ、この抑えようのない力は!!!!」  
「ヒ、ヒュンケル?」  
「み、み、みなぎるぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」  
ドォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!  
ヒュンケルのあそこから激しいエネルギー波がほとばしり、部屋へ踏み込まんとしていた魔物たちは一瞬のうちに灰塵と化した!  
ヒュンケル最大秘奥義男根グランドクロス誕生である。  
だがヒュンケルが二度とこの技を人前で披露する事はなかった…  
 
        完…。  
 

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