勇者が平和をもたらした――パプニカで宴が催された、その日の深夜。
廊下を足音も立てず、こそこそ動く影――。
とある部屋の扉に手を掛けた。
鍵はかかっていない。
そっと扉を開ける――。
薄暗い部屋の中、ベッドから聞こえる寝息――。
ポップはごくんと生唾を飲んだ。
そう、夜這いをしに来たのだ。
『こぅいぅのはな、思い切ってやっちまえばいいんだよな』
ふぅ、と深呼吸をして、乱れた鼓動を整える。
思い切って。
ポップはベッドに近寄り、寝ている背中を抱き締めた。
ガンッ!
鈍い痛みが腹部に刺さる。
「…全くいけないボウヤね」
『!?』
げほげほと咳をしながらポップは腹部を押さえて動けない。
――マァムじゃない??
すっと血の気が引くのがわかった。
「本当…最近の若い子は困るわ…」
言いながら、ナイトテーブルの燭台に火をともしたのは…。
「…フ、フローラさま!?」
「誰と間違えたのかしら。お目当ての彼女のお部屋はもうひとつ向こうよ」
黒の悩殺下着のフローラはとても艶のある声でそう言った。
「…、あ、ども、スミマセンでした…アバンせんせには内緒で…」
そそくさとポップは部屋を出ようとした。
その時。
ポップのこめかみの横を何かが通り過ぎた。
恐る恐るポップが振り返ると…。
手に鞭を持ったフローラ様…!
「あら、帰っちゃうの?帰るとどうなるかわかってるかしら…?みんなに言いふらしちゃうわよ…?」
フローラは楽しそうに笑う。
「…こんなこと『あの子』が知ったら…あなた嫌われちゃうわよねぇ?」
「あ、そ、それだけは…」
ブルブルと震えながらポップは口を開く。
「あら、どうしたの?…震えちゃって…」
フローラがポップに近付いて、手を伸ばして扉の鍵を閉める。
「…ふ、フローラ様…?」
「なかなか寝つけなくて暇していたのよね…あなたで暇潰しをしようかしら」
フローラはくすくすと笑いながら、ポップをベッドに押し倒した。
「…あっ」
「…このわたしに間違いでも夜這いなんてかけないほうが賢明だったのにね…」
フローラはポップの寝間着を手慣れた手付きで脱がしていく。
「…わ、ちょ、っ…フローラ、さ、様ぁ…?」
「抵抗は許さなくてよ?」フローラはにっこりとした。
「え…?あの…」
訳がわからず戸惑うポップ。
フローラはそんな少年を可愛いと思った。
「間違いでも夜這いを掛けられたんですもの…ちょっとやそっとじゃ帰しはしないわ」
気が付くと、ポップは下着一枚の姿になっていた。
「…え、な、何を?」
思わず涙目のポップ。
フローラはそんな彼の上に馬乗りになった。
「…あら?あなたが『あの子』にしようとしていたことをわたしがしてあげるのよ?」
そっと、恐怖(?)で青ざめた少年の額を撫でる。
「…それとも?こんな年増の女に犯されるなんて、真っ平御免かしら…?」
フローラは少年の額から髪へ、慣れた手付きで触れてゆく。
凍りついたように身体が――唇が動かない。
ポップの背中に嫌な汗が広がる感覚がした。
フローラは口元で笑うと、ポップの首筋に唇を寄せた。
「…っあっ…!」
思わず身体が跳ねた。
それをフローラは見逃さない。
「…随分可愛らしい声を出すのね?」
「…あ、っ、駄目…そんな…」
「これくらいじゃやめないわよ?」
首筋を執拗に舐め、手は少年の乳首を責める。
ポップは身体が反応していく快感と恐怖でいっぱいだった。
「…んふ、フローラさまぁ、や…」
「うふ、やめないわよ」
フローラはポップの口に舌を捩じ込んだ。
「…んぅ」
巧く息が続かない気がしてポップは苦しそうにうめいた。
唇と唇が離れ、一本の透明な線が伸びて、やがて切れた。
「あなたに何もかも教えるまでは帰さないわよ」
――これは、夢…かなぁ?
夢なら覚めて、『あぁ、こわかった』で済まないかな…
ポップは自分の軽薄な行動を恨んだ。
まさかこんなことになるなんて。
おとなしく寝ときゃ良かった…。
フローラの手は少年の胸から腹部へ、そしてぴたりと止まった。
「…あなたが何を考えているかぐらい、わたしも大人ですもの、すぐわかるわ。…でもね、」
器用にポップの下着を脱がしながらフローラはくすくすと笑う。
「身体は正直なのよね?」
若さゆえか、ポップのそれは痛いぐらい勃起していた。
ポップは恥ずかしさで、一層消えたいと思った。
「…だぁれもまだ食べてないのよねぇ?」
そっとそこに手を添える。「…っく!」
思わずポップの腰が浮く。「…おいしそうねぇ?」
何の躊躇いもなくフローラが、それを口に含む。
「…ひぐっ!?」
味わったことのない変な感覚にポップは背中がぞくっとした。
フローラはくわえたまま、上下に頭を動かした。
「あ!お…っ、く…ぅっ」
じゅぷじゅぷ…と激しく責められている音とポップの切なげな声が混じる。
「…気持ちいいでしょ?」
唇を濡らし、フローラは訊いた。
「もっと気持ちよくしてあげるわ」
「…あ、…はぁ…ふ、フローラさ、ま…」
息を荒げながらポップは、フローラが自ら下着を脱ぎ、豊かな肢体を露わにするのを眺めていた。
フローラは再びポップの上に跨り、ポップに見せ付けるかたちで脚を開いた。
「…あなたの初めてはあたしが頂くわ…?いいでしょう?」
さすがのポップも、こんなことをされて、断れるほど余裕はなかった。
いつしか恐怖は消え、興奮の熱で身体中が熱かった。
「は、はい…っ」
「いいお返事ね?」
フローラはポップの頬を撫でた。
そして、膨張しきった熱いものを、興奮して潤みきったそこに導いて、上から一気に腰を落とした。
「っあぅ!」
フローラは思わず声を上げた。
ポップはまたも背中が痺れるような感覚をおぼえた。
「…ん、あ、あなたの…いいわね…熱いわ…」
「ん、フローラさまぁ…なんか…もう…出ちゃ…っ」
射精しそうな感じがして、ポップはフローラの腰を押さえる。
「…ふふ、もぅイキそうなの?…いいわよ?このままブチ撒いて」
腰に添えられた手をそっと剥がし、激しく上下に腰を打ち付けた。
「ぃ!?あっ!で、でるっ!でるぅ!」
頭が真っ白になってゆく――。
ポップは汗と涙で濡れた顔を歪ませて、フローラの胎内に射精した。
「…っん、あ…っ、精、子とまんな…」
「…たくさん出ているわ…あぁ、ほら」
満足げなフローラの言葉通り、突き刺さったままの陰部から、どろりと精液が逆流していた。
「ね?わたしはまだまだこんなものじゃ足りないし、あなただって…そうでしょう?」
まだ腟内で硬度を保っている太い根を弄ぶかのよう、フローラはぐりぐりと円運動をする。
「…あ、フローラ様…お、おれ、もっと…した…い」
激しい動きに太股あたりがジリジリと痺れ、とろんとした目でポップが哀願する。
「わたしが満足するまでは止めたりしないわ」
フローラはいつもの優しい笑みをむけた。
ふたりの淫欲にまみれた宴は、まだ、始まったばかり――。
おわり