「ねぇ、マァム」  
振り向くとレオナ姫様、腕組み、仁王立ちでそこにいる。  
「明日はバレンタインデーよねぇ…チョコどうするの?」  
「う〜ん、手作り?」  
指を口元に当てながらマァムがそう答える。  
「手作り?」  
レオナがニヤリと笑みを浮かべる。――そう、これは…あまり良くない考えを思い浮かんだ時の――  
運が悪いことに、マァムは下を向いていたので、その一瞬の変化に気が付かなかった。  
「あのねぇ、パプニカ式でねぇ、とぉっても男の人が喜んじゃうチョコの渡し方があるんだけどぉ…」  
嬉しそうなレオナ姫様。  
あぁ…マァム、早く気付いて!!  
「えっ!そんな正式な渡し方、聞いたことないわ…」  
そう!そうでしょ!マァム!だから早く…。  
「教えて頂戴、レオナ」  
あぁぁ!(泣)  
「ウフッ☆いいわよぉ」  
…ほんと、このマァム嬢、『超』がつくほど鈍感娘。  
 
戦闘の時は俊敏でカッコイイのに…。  
 
「まずね、パプニカ式では、『義理チョコ』なんて、邪・道!なのっ!『本命』だけよ!一人にしか渡しちゃダメっ」  
腰に手を当て、最もらしい口調でレオナは言う。  
「う〜ん、そうか…」  
マァムは考える。  
――ポップは誰からももらわなさそうだし、可哀想かな、あげなきゃ。(ポップ哀れ…(泣))  
「じゃあねぇ」  
余程面白いのか、ちょっと顔がいい具合にテカテカな(もちろんマァムは変化に気が付かない。)レオナ姫様、どこから取り出したのか真っ赤なリボンをするするとマァムの眼前に差し出す。  
 
そして胸の大きく開いた、薄手のピンクのミニスカートのドレス…。  
「…これとこれでね……」  
耳元でレオナがこそこそマァムに『説明』をする。  
「…えっ!やだっ!そんなことあたし…」  
「マァム、これは普通にチョコを渡すより喜ばれるし、なおかつ、『パプニカの正式な渡し方』なのよ!あたしだって…」  
笑いを堪えながら、レオナ、何とか真面目な顔を保ってマァムを説得する。  
「喜ばれる…かぁ」  
マァムは素直。  
悲しいぐらい。  
すんなりとレオナ姫様の口車に乗ってしまった。  
「…うん、やってみるわ!」  
「あらそう☆じゃ、客間で準備しましょおねぇ」  
目をキラキラさせて、マァムの手を引っ張るレオナ姫様。  
 
――翌日  
「…ったく何だ何だ、こんな朝っぱらからぁ」  
パプニカの城の長い廊下を大きな足音を立てて歩く、少々ご機嫌斜めのポップ。――バレンタインデーというイベントのことなんて頭に無い。(ちょっと疎い)  
何用でパプニカの姫様に呼ばれるようなことがあるか、覚えが無いのだ。  
 
『――客間に大事なものが置いてあるから、あなたにあげるわ』  
 
レオナの上機嫌な笑顔が引っ掛かる。  
大事なものって?  
俺にくれてやってもいいものなのか?  
 
客間―――――。  
あ、ここだ。  
 
ポップはノックもそこそこに扉を開けた。  
 
「えっ!」  
ポップは驚きのあまり、思わず、扉を閉めてしまいそうになった。  
客間のベットの上に身体に真っ赤なリボンを巻き付けて、胸の大きく開いた――むしろはみだしてる――ドレスを身に纏い、短いスカートから伸びる生足…。  
そして、胸に…。  
 
たっぷりとチョコを塗り付けて…。  
 
「マァム!?」  
「…あっ、ポップ…」  
誰にも見せないように、後ろ手で、客間の扉の鍵を閉めて、そそくさとマァムに駆け寄り、自身のマントをマァムに被せる。  
「お、お、お、まっ!馬鹿かぁ!な、な、何してんだよっ!」  
「あ、これ、パプニカの正式な渡し方…」  
「…なんの?」  
「バレンタインデーよ」  
あぁ、巷ではそんなイベントが…今までバレンタインデーには縁が無かったけど…否!そんなことゆーとる場合ぢゃなぁい!  
「そんな渡し方あんの!?俺聞いたことねぇよ!」  
「えっ?」  
「疎い俺でもわかるっつうの!おまえ姫さんにハメられたんじゃねぇのっ?」  
 
「えっ…」  
変だな、と思っていた矛盾が消える。  
マァムは恥ずかしさのあまり目を潤ませる。  
「やだ…」  
「こんな…おっぱいにチョコ塗って…どうするつもりなの…」  
高鳴る鼓動を抑えながらポップはマァムに問い掛ける。  
「たべて…もらおうと…」  
マァムは口に出して初めて気付く。  
 
――ああ、そういうことか…。  
マァムは目を閉じた。  
「…俺が食べていいの?」  
「えっ、どうやって…」  
剥がして食べるのかな?と真っ赤な頬でマァムは思った…けど、それも大間違い。  
ポップは被せていたマントを取り去ると、マァムのドレスの肩紐をするりと外し、胸が露にした。  
「きゃっ」  
隠そうとする手を、いつの間に身体からほどいたのか、リボンで後ろ手に縛り上げる。  
器用なポップ…。  
「じゃ、いただきまぁす」  
胸に塗られたチョコをおいしそうに舐め取るポップ。  
 
羞恥でどうにかなりそう…と思っていたマァムも、次第に、あんまりおいしそうにチョコ塗れの自分の胸を舐めるポップが愛しくなった。  
 
「ねぇ、おいしい…?」  
「…あぁ、なんか、チョコだけじゃ足りなくなりそ…」  
胸に塗られたチョコはポップが全て食べてしまって、何だか、別の衝動が起きている。  
「…ね、チョコだけ?」  
ポップが甘えた声でマァムに訊く。  
「他に何があるってゆうの?」  
手が縛られたまま、不自由なマァム。  
「おまえ」  
すらりと伸びた足に手をかける。  
マァムはベッドの上に寝るカタチで倒れこんだ。  
「いやぁん」  
 
こうゆうときのポップは器用…。  
マァムは沸騰しそうな脳でぼんやりと思った。  
「こんな短いスカート履いて…誘惑してんだろ」  
ぶつぶつ言いながら既に彼女の純白の下着を脱がしている。  
「あ、やだっ!脱がさないでぇ」  
マァムの抵抗虚しく、ポップはもう、彼女の花弁に舌を伸ばしていた。  
「…ここも、うまいな…チョコより好きかも」  
「…あっ」  
くちゅっ、という淫猥な音。  
ポップとこうゆうこと、するの初めてじゃないけど…。  
「…すぐ濡れるな、おまえ、鈍感なのにここだけ敏感なんだから」  
意地悪心に火が点いたらしく、ポップがマァムに卑猥な言葉を投げる。  
「…ん、やだっ…はずかしいの…っ、もぅやだっ…」  
「…そんなこと言わないで、全部俺に頂戴」  
ポップがマァムを抱き締め優しくキスをした。  
 
ポップはマァムの手を縛っていたリボンをほどく。  
「今日はいっぱいおまえを堪能しようかな。」  
「…もぅ…」  
ふて腐れながらも、マァムは満ちたりた気分だった。――喜んでくれた。  
それが素直に嬉しかった。  
ポップは言葉通り、マァムの身体中に優しくキスをして、彼女の柔らかい感触を堪能する。  
「…んぁ…っ、ね、あたし、おいし…?」  
「ん、もっと食べたいな」  
マァムの甘い声が混ざって、ポップはこんなバレンタインデーなら毎日あってほしいと(多分ポップでなくても誰しもが)思った。  
ポップの甘い愛撫に、ひくん、とマァムの身体が痙攣した。  
「ね、挿れてい?おまえを最後まで食べたいからさ」  
桜色のマァムの頬にポップがキスをする。  
 
あいしてる。  
 
二人は衣服を(マァムは着てるうちに入らなかったけど)脱いでベッドに入った。  
 
ポップがマァムの入口に自身を押し当て、ゆっくりと中へ進む。  
「…ぁ、やぁん!」  
――いつもより堅くて、熱くて、おっきい…  
マァムが泣き声みたいな声を上げたのでポップはちょっと心配になる。  
「…どした?まだ馴染んでない?」  
「ぅうん、ち、が、…おっきぃ、の…」  
「え、なにが?」  
「…っん…」  
「言わないの?やめちゃう?」  
意地悪い口調でポップが笑う。  
「や、やめ、ちゃ、っ、やぁ、ポッ…プの、おちんちんが…おっきぃの…」  
 
恥ずかしげに答えるマァムがあんまり可愛くて、ポップは、すぐ果てそうになる。  
「も、おまえ、反則!おれ、もたない…」  
 
―――うん、いいよ、気持ち良くなって…?  
 
中で激しく突き動かす彼のせいで巧く言葉にならない。  
マァムはぎゅぅ、とポップを抱き締める。  
 
いつもより何倍も可愛らしい仕草に、ポップは激☆萌え。  
 
あっと言う間に彼女のお腹の上に果ててしまった。  
 
 
こんなバレンタインデーなら毎日あってほしい…。  
ポップはまだ夢見心地だった。  
 
 
けど、  
「やっぱレオナに一言文句言わなきゃあねぇ…」  
マァム嬢、指をばきばきっと鳴らす。  
ポップは苦笑いしてマァムを見つめる。(騙されるほうも騙されるほうだ、と思っていたし、何よりイイ雰囲気でエッチまで出来たので何にも言えない。チョコも食べれたし…。オイシイ思いをしたので。)  
 
どうか、マァム嬢、お手柔らかに…ね。  
 
―おわり―  
 

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