熱帯夜の寝苦しさにやられたのか…。  
俺は全然寝つけずに居た。  
 
『くそ…。小一時間ぐらい経っちまった…』  
頭を掻き掻き、ポップは苛立っていた。  
 
今は何時ぐらいだろう。  
もうすぐ今日という日が終わる頃ではないだろうか。  
 
『水浴びでもしたら、良い具合に冷えるかな…。』  
安い宿の扉を空けて、よろよろ、ポップは風呂場へと向かった。  
 
「うう…頭痛い…」  
マァムは頭を抱えていた。  
 
レオナに付き合って、いつのまにか少しお酒を呑んでしまったようだ。  
『何よ〜ワイン一杯で酔ってんの〜?子供ね〜ヒック』  
『…マァム…じゃあ私達帰るから。ここの支払いは姫様につけておきますね。ポップ君によろしく』  
 
「どこだっけ、ここ…」  
どこかに向かって歩いてる気がする。初めて呑んだお酒で目が回ってしまう。  
「水…水が欲しい…」  
足元がおぼつかず、ふらふら歩く。  
 
すると目の前には……水?  
「池か何かかしら…?」  
 
よくわからない。とにかく頭を冷やしたい。  
私は服のまま一気にその池に飛び込んだ。  
 
随分温かかった。そのせいでまだ頭がぼんやりしていた。  
 
 
…着いた。  
ポップは深い溜め息を吐きながら、風呂場の扉に手を掛けた。  
 
更衣室に入ると、早速、汗で身体に張り付いたシャツを引き剥がし、ズボンを脱ぎ、あっという間に裸になった。  
 
 
こんな夜中に誰も来ないだろ。  
中を確認することなく、浴場の扉を思い切り開けた。浴場は薄暗く、月明かりが窓からうっすらと入るだけ。  
とりあえず水浴びを。  
ふらふらと水道まで歩き、手桶で水を汲み、頭から水をかぶる。  
『あ〜!気持ちい〜!』  
思わず声が漏れた。  
 
と、浴槽でゆらりと影が動いた。  
 
「うっ、わわわわわわ!」  
 
浴槽の縁にもたれかかる薄桃色の頭―――  
それが誰かを認識した瞬間、ポップは脱衣所にダッシュした。  
 
「悪りぃっ、わざとじゃなかったんだっ」  
 
猛ダッシュに加え、マァムと風呂で鉢合わせしてしまったという事実に、心臓がばくばくと音を立てている。  
が、手桶の一個や二個が飛んでくることくらいは覚悟したものの、いつもの罵倒文句はおろかなんの反応もない。  
脱衣所の扉の陰からそ〜っと中の様子を伺ったところ、どうもマァムが服を着たままのようだということに気づいた。  
しかもあれほど騒いだのに、ぴくりともしていない。  
 
・・・どうも様子が変だ。  
 
ポップは手早く腰にタオルを巻きつけて、今度は抜き足差し足で風呂場へと戻った。  
 
『…ぉ〜ぃ。』  
小声で反応を見る。  
 
だが返事が無い。  
 
『おい!』  
びっくりして腕を引き上げる。  
 
ちょっと酒の匂い…?  
…あのじゃじゃ馬姫か!  
こいつは酒なんて呑めないのに…。酔って訳がわからなくなっちまったんだな…。  
 
ポップは、はぁ〜、と呆れて溜め息を吐いた。  
 
『しっかりしろよ!』  
浴槽に沈んでいた、柔らかい身体を片手で抱き起こしながら、ぬるま湯に濡れた頬を軽く叩く。  
『んん…。』  
『風呂場で溺れるとこだったぞ!もう!そんなヤツ聞いたことねぇよ!』  
『…え?』  
まだ彼女の意識はぼんやりとしているようで、俺の呼び掛けに上手く反応出来ていない。  
 
それでも彼女に意識があったことを確認できたオレは少しだけ安堵し、改めて体を湯から引き起こしてやった。  
力無い肢体が仰向けに浴槽の縁にグッタリもたれかかる。  
「あ〜あ、服がビショビショじゃねえか…よ…?」  
オレは目の前の光景のやばさに気付き、思わず息を飲んだ。  
襟元は乱れ、水に濡れ薄く透けた生地はぴったりと体に張り付き胸の凹凸をあらわにしていた。  
「おいおいおいおい…。」  
そのなんともエロチックな姿に目を奪われながらも、オレは見つけたのが自分で本当に良かったと心の底から思った。  
 
こいつは自分魅力に対する自覚が全く無い。いつなんときも平気でその美脚を剥き出しにし  
男達の視線を集めているのに、とうの本人はそんなことに全く気付いていない。  
まるで襲って下さいと言わんばかりのスタイルと格好でいるのに、周りの男共が実際には手を出さないでいるのは  
その美味しそうな身体が実は世界トップクラスの凶器でもある事を皆知っているからだ。  
 
その凶器が封じられてる今、こんな涎モンの光景を目の当たりにして、いったいどれだけの男が理性を保っていられるだろうか?  
普段から虎視眈々とこいつを狙ってる輩や、エロイ目で見てる助平どもが  
この情景に出くわしていたら…と思うと、オレは胸をなで下ろさずにはいられなかった。  
「おまえラッキーだったぞ、みつけたのがオレで。」  
自他共に認めるスケベなオレだが、卑怯な真似はしたくないというのも本心だ。  
 
オレは己の欲望を押さえ付けながらバスタオルをかけてやろうと腕をのばした……が  
「出らわねモンスタ〜わらしがやっつけれやるわ!」  
「はいいっっ!?」  
まだ渾沌とした意識から抜けだせないマァムは、夢の世界のモンスターを退治すべく  
オレに向かって攻撃を仕掛けてきた。  
マァムはバスタオルをかけようとしたオレの手をとり力任せに自分の方に引き寄せた。  
「だああっっ!!ば、ばかやろーーっ!!」  
バッシャーーン!!!  
引きずり込まれたオレとバランスを崩したマァムは、仲良く浴槽に沈んだ。  
 
ごぼごぼっと鈍く泡の弾ける音がした。  
『…ふがっ☆鼻に湯がはいっちまったじゃねぇか!』  
たまらずポップは大きな声を出した。  
 
全く悪酔いするタイプかよ、こいつは…。  
ぽたぽたと髪を伝って垂れ落ちる水をぷるぷるっと、顔を左右に振りながらポップは再度溜め息を吐く。  
…困ったお嬢ちゃんだな。  
 
このまま放っていられないしなぁ。  
 
『ほんと…いい加減にしないと…』  
 
視線をマァムに向けて、改めてドキッと心臓あたりが締め付けられそうな感覚がした。  
 
自分が想い遣る、『良い女』がその美しい肢体を水に濡らして、自分の腕の中に居るのだ。  
薄明かりの浴室でこんな官能的な姿を晒されている身にもなって欲しい。  
ポップは自身の鼓動が段々早くなっていくのを、固唾を飲んだまま感じていた。  
 
(やっべぇ・・・・っっ!!!)  
一瞬失いそうになった理性を無理やり引き戻して、邪念を振り払うように大きく首を振る。  
どれだけ心が我慢してても、抱きしめた柔らかい肌に体は素直に反応していた。  
大きくなった俺の息子は奇麗事を言う心を笑うように、マァムの尻を物欲しそうに突いている。  
「ふ・・・く、うん。とりあえず俺服着てくるからお前待ってろ、な?」  
そう言い訳しながら、マァムを浴室に寝かせ脱衣所に戻り手早く衣服を整えた。  
 
これ以上はさすがに冷静でいられる自信なんてない、ある意味拷問に近い状況にげんなりしながら  
大きく息を吐いて気持ちを切り替えた後、あいつが寝ている浴場に向かう。  
・・・一瞬ダイやヒュンケルを呼ぼうか迷った、が直ぐにそれは消えた。  
つまらない嫉妬心だと分かっているが、こんなあいつを他の男に見られたくない。  
 
「まったく、本当に世話が焼ける女だよ。頼むからまた寝ぼけて殴らないでくれよっ・・・。」  
冷静を装う為に軽口を叩きながら、バスタオルでマァムの体を包み抱き上げた。  
タオル越しから伝わる肌の感触や耳元で聞える甘い吐息の攻撃に、グラグラする頭を抑えて部屋に運ぶ。  
そうしてあいつの部屋の扉を開けてほっと息を吐いた時、耳元で『クシュン』と短い音が聞こえた。  
気分が悪そうに息を吐きながら、クシャミをしている姿を見てベットに寝かせようとした手が止まる。  
 
恐る恐る体をゆすって起こそうとするが、まったく起きる気配が無い。  
酒と風呂に当てられたのか、意識を失ったように俺に体を預けている。  
このままベットに寝かすとこいつは絶対風邪を引く。  
ちゃんと着替えてから寝かさないと・・・・でも動かないこいつを誰が着替えさせる・・・?  
 
泣きそうになりながら、腕の中で眠っているマァムを覗き込む。  
普段からは想像出来ないくらい艶っぽくて弱々しい姿を見ながら、言い聞かせるように呟く。  
「冷静に・・・・冷静に、こいつは今動けねぇんだから・・・やましい事なんてない、何も、ねぇ・・・」  
バクバク鳴る心臓の音を抑えながら、シーツが濡れないようにタオルを敷いてあいつを寝かせる。  
綺麗に畳んであった衣服とタオルを掴みながら、濡れた衣服のボタンに手をかけた・・・。  
 
うん。これは事故。  
不慮の事故。  
 
俺自身に何度も言い聞かせる。  
 
そうこうしているうちに、次第に白い肌が露になる。  
 
はっ、と息を呑んだ。  
 
 
きれい…。  
ついついポップは見とれてしまう。  
 
いや!  
見とれてる場合じゃないから!  
 
首を左右に激しく振って煩悩を消し去ろうと…。  
 
消し去ろうと……。  
 
…出来る?  
 
 
ふと手が止まる。  
やっぱり愛しいのだと実感する。  
 
 
『やば…。』  
 
これは、不慮の事故。  
 
 
 
ごくり、と重たい唾を呑み込んで、恐る恐るポップは、月明かりが落ちてくる窓の下、マァムの柔らかい肌にそっと触れてみる。  
 
 
 
胸元に手を当てた時、ふんわりとしたその柔らかさに驚いた。  
『女の肌は壊れそうに柔らかい』と、昔聞いた事があるが初めて触るそれは  
想像していた以上に柔らかくて、心地の良いものだった・・・。  
それを味わいたくて、今度は濡れた衣服の上から乳房を包むように触ってみる。  
 
「・・・・っん」  
 
濡れたような色っぽい声に驚いて、マァムの顔を覗き込んだが起きる気配は無い。  
頬を紅く染めて眠るその顔を見て、心臓がドンドン音を立て、目眩がして、酷い耳鳴りがする。  
 
(やばい、やばい、やばい、やばい、やばい、やばい、やばい・・・・!!!!)  
どれだけ心の中で呟いても、手は止まらない。  
『介抱の為』では無く『欲望の為』にボタンを外し、その肌を晒していく。  
 
濡れた衣服を全て脱がした後、俺はその姿に見とれて動けなくなった。  
月明かりに浮かぶマァムの体は、それくらい綺麗で・・・自分とはまったく別の生き物だった。  
大きい綿菓子のような胸や、細いのにふっくらとした腰、そして薄っすらと生えている痴毛。  
 
本当に惚れた女だから、卑怯な事なんてしたくない・・・乱暴な事なんて絶対したくないのに。  
そう思う気持ちと、愛しい女だからこそ抱いてしまいたい、自分のモノにしたいと、雄の本能が疼く。  
 
「好き・・・マァム・・・好き・・・」  
せめぎ合う感情の中で、真実の言葉だけを吐き出しながら、濡れた体を温めるように抱きしめる。  
それに応えるようにマァムの手がそっと、俺の背中に回された。  
慌てて顔を覗き込んだが、特に意識が戻ったわけでもない・・・・多分人肌が心地良かったのだろう  
無意識に、そして無邪気に伸ばされた腕を眺めながら苦笑する。  
 
「ずりぃよ・・・、そんな事されたら俺止めれる訳ないだろ・・・・」  
自分でも情けないほど、泣きそうな声でそう呟きながら白い首筋にそっと舌を這わした。  
 
「…っ」  
小さな吐息が、漏れた。かすかに体が、ビクリと動いた。  
マァムがオレの愛撫に…反応した。  
そのささやかな事実に、オレの『男』が加速する。  
首筋に強く唇を押し付け味わうように吸い付いた。  
「う…ん」  
苦し気な声を漏らすマァムの髪を撫でながら、一つ、二つと痕を残してゆく。  
 
オレの。オレのマァム。  
 
愛しさと独占欲に支配された頭の中に、もう躊躇いは残っていなかった。  
白い身体に残されてゆく「オレのしるし」。  
沸き上がる興奮と歓喜と緊張に手が汗ばむ。  
「もう…後戻り、できねえな…」  
 
 
こいつの目が覚めたら、きっと無事でなんて居られないだろう。  
ボロ雑巾のようにズタズタになるかも。  
 
でも、仕方無い。  
『男』を呼び覚ましたこいつが悪い。こいつが。  
 
 
再度、熱がこもった口付けを何度も何度もマァムの身体に浴びせる。  
 
愛しいと想う感情が、脳や心臓や彼女の身体に触れている手や唇に集まって、大きな音でいずれ爆発するのではないか、とポップは、興奮の熱の中、とろけた眼でそう思った。  
 
熱いのは、夜の空気だけじゃない、俺の、こいつの体温も、いつもより熱い。  
 
 
堪らなくなって、一度、口付けていたマァムの身体から唇を離す。  
 
まだ彼女の瞼は閉ざされたままだった。  
 
 
それを確認した、と言わんばかりにポップは再び、今度は先程より、少し激しく唇を這わす。  
 
 
『…ぁ、ぅん…。』  
 
艶のある声が、マァムの唇から漏れた。  
 
目を覚まさないで欲しいような、でも、眼を開けて、何かの間違いで俺に応えてくれるようなことは、無いだろうか。  
 
どっかの国ではキスが挨拶だなんて聞いたことがある。  
またどっかの国では性交の一歩手前なんてのも聞いたことがある。  
おそらく俺とこいつにとってのキスの感覚は後者なんだろう。  
 
彼女の唇に自分の口を押し当てる。  
 
びくん…!マァムの身体が一瞬震える。  
俺は慌てて唇を離す。  
 
しかし起きる気配はない。そしてもう一度自分の口を、焦がれていた唇に這わす。  
「マァム…」  
…無理やりなのは卑怯だと思う。ましてやこいつはキスなんて初めてなんじゃないだろうか。  
でもだからこそ、はじめてならば俺であって欲しい。  
 
不思議と甘いマァムの唇。俺は唇の形を確かめるかのごとく弄り、密着させる。  
 
舌で舐め、そのままマァムの口の中へ舌を侵入させる。  
「う…ふ……ん…」  
 
「・・・・・・・・っん」  
ぼんやりとした意識の中で一番最初に感じた事は、酷い頭痛と息苦しさだった。  
何でこんなに気分が悪いのか・・・記憶を辿っていると、レオナの言葉が頭の中で流れる。  
 
『・・・で?そうやっていつまで逃げてるつもり?とっくに自分の気持ちに気付いてるくせに』  
 
(逃げてる訳じゃ・・・・ないもん)  
まるで子供のような拗ね方をしながらその言葉を思い出す。  
あの時彼は真剣に気持ちを伝えてくれた。自分の気持ちが分かったのなら応えるべきだと言う  
レオナの意見はもっともだし、いくら鈍感な自分だってそれくらいは分かっている。  
ただ・・・それをどんな風に言葉にして良いのか分からないのだ。  
 
意識が戻ってきた所で、重い体を起こそうとして・・・おかしな事に気付いた。  
確か自分は喉が渇いて水に飛び込んだ、今思えばあれは浴場だったはず。  
自分を包む湯気の温もりと、体を回るアルコールが心地良くて意識を失ってしまった。  
 
酷く息苦しいから、一瞬自分は溺れているのかと思ったが、それも違う。  
暖かいものに包まれているけど、これはお湯の温かさじゃない・・・息苦しいと感じた呼吸も  
ぬるぬると生暖かいものが自分に吸い付いているから息苦しいのだと、ようやく気付いた。  
 
「んっ・・・ぁ・・・」  
空気を求めようと声を発したが、何かにふさがれて上手く言葉が出ない。  
息苦しさと・・・・甘いような痺れを感じながら、自分の口を塞いでいるものを引き離そうと力を込めた。  
そこで急に意識が戻っていく・・・力を込めようと掴んだのは人の肩、それも男の人の体・・・。  
今自分を包んでいるのは男の人の体で、唇に触れていたのはその人の唇――――――!!!  
 
「えっ・・・!!??っ、なっ何!!!????」  
この状況が全く分からず、半ばパニックになりながら無理やり体を起こすと  
目の前には見覚えのある人物がいた。  
 
『眼…さめちゃった?』  
ポップが苦笑いした。  
冷や汗が出る。  
 
軽蔑される―――!  
 
 
『ね、あ・あた…し、どうしたっ…の…』  
巧く口が動かない。  
 
『風呂場の浴槽にハマッてたの、覚えて、ないの?』  
『…なんとなく、なら』  
 
ポップは、ここで悪知恵が働いた。  
くるりと後ろを向いて、頭を掻いた。  
『たまたま俺が見付けたんで、慌ててここまで連れてきたら、おまえ、寝惚けたのか、いきなり脱ぎ出してさ、俺に抱きついてさぁ』『…やぁっ』  
慌ててマァムがシーツを身体に巻く。ポップはハハっ、と笑ってみる。  
―――これなら上手に事は運んで、丸く収まるんじゃねぇか?  
 
 
悲しいことに、未遂、だけど…。  
 
 
『でも、キス、したんじゃない…』  
マァムが俯きながら呟いた。  
ポップの心臓が嫌な音を立てる。  
―――バレてる?  
『…あたしのこと、好きだからよね?』  
『…マァム…?』  
『ね、たまたま、悪戯したとかじゃない…よね…?』  
マァムの目が潤む。  
 
『悪戯…じゃぁねぇよ…』  
いつのまにか見慣れたポップの顔がマァムの眼前にある。  
シーツを握り締めている手に熱い手を被せる。  
 
マァムの胸がどきっと音を立てる。  
 
『マァム…』  
熱っぽい声。  
 
『俺はおまえが好きで好きで堪らねぇ…だからキスした。…今もキスしたい…。でも……おまえは…?』  
 
「あっ、あたし・・・・は・・・・」  
顔を真っ赤にしながら言い淀むマァムの顔を持ち上げてお互いの額をくっつけ合う。  
わざと余裕のある振りをしないと、本当に心臓が壊れてしまうんじゃないかと思った。  
絶対殴られると思ったのに、さっきのセリフはまるでマァムが俺の事を好きみたいに聞える。  
緊張と期待と興奮と・・・・色んな感情が俺の中で膨らんで体を圧迫していく。  
 
「・・・・『あたしは』・・・・何だよ・・・・?」  
「―――――っ」  
薄暗い部屋でも分かるくらい、耳まで赤く染まった顔を眺めながら桃色の髪を梳く。  
俺の手が触れた途端ビクリと体が跳ねて、顔を覗き込もうとする俺から必至に目を逸らした。  
今まで見たことが無いくらい可愛い仕草を見ながら、顔が触れ合う距離でもう一度尋ねる。  
 
「・・・・『あたしは』・・・・・なに?」  
何かを言おうと決心したように俺の顔を見て、恥かしそうにぱっと目をそらす。  
その言葉が決して俺を傷つける意味を持たない事は、マァムの表情で分かった。  
本当はこいつの口から聞きたいが、その言葉が出るまで大人しく待ってるほど我慢強くない。  
俺は強引にマァムの顎を持ち上げて、頬に唇をつけた。  
緊張で強張る体をなだめるように、頬を撫でながら唇が触れる手前で呟く。  
 
「・・・・・くちにキス、とか・・・・しても良い?」  
「・・・・・・・」  
その声に目を逸らしていたマァムが恐る恐る俺の顔をゆっくりと見てくる。  
何かを考えるように俺の目を見つめた後、自分の震える唇をそっと重ねてきた。  
 
マァムからキスされたと言う事に驚く間もなく、一瞬で唇は離れた。  
・・・そしてもう一度、今度は少し長く唇を当ててくる。  
その柔らかい感触に目眩を覚えながら、シーツに包まれた体を強く抱きしめた。  
 
『…も、…でよ』  
『ん?マァム、なぁに?』  
『ポップも…脱いでよ…あたしばっかこんな格好で…やだ…』  
 
いきなり何を言い出すかと思えば…。  
ん、でも、なんか、な。  
 
『…脱ぐけどさ…全部?』  
えっ、短く呟いて、マァムの頬がより紅く染まる。  
 
『やだ、いきなり全部じゃなくてもいいわよ…』  
『…なんだそれ』  
ふふ、と笑ってポップは自身の上着を脱いだ。  
マァムはそれを黙って見ている。  
―――線は細いけど、やっぱり『男』の身体をしている。  
と、  
『じゃ、もぅ、おまえも!その手を離せよ』  
ポップが片手でマァムの両方の手首を掴むと、柔らかい身体を包んでいたシーツをもう片方の手でふわりと引き剥がす。  
『…あ』  
短く叫んだのも虚しく、再び、ポップの眼前に白い肌が晒された。  
『…隠すなよ。こんな、綺麗なのに』  
彼女の手を掴んでいた片手をすべすべした背中に回した。ポップとマァムの肌が直に触れ合う。  
優しいあたたかさだ、とマァムは眼を瞑る。  
 
ポップはそっと片手をマァムの太ももに置く。  
びっくりしてマァムの身体が大きく反応した。  
「あ、あの…ポップ…その…」  
 
やっぱりキスだけじゃないんだ…  
お互い裸を晒しているんだから当然と言えば当然なのだが、心の準備ってものがある。  
 
「…何だよ」  
わざとマァムの方を見ないで、ポップはマァムの太ももをなぞり始める。  
マァムの言おうとすることがなんとなくわかった。断ってくることはないだろう。  
しかし彼女自身、まだ迷っていることがわかる。  
「あ…ん…」  
マァムに喋る隙を与えないように、太ももを責め、手を太ももから腰へ、腹部へと上げていく。  
 
優しいけど激しい。ポップの愛撫から伝わってくる。そしてマァムから迷いが少しずつ消えていくことになる。  
 
 
お互い、初めて同士。  
やっぱりギコちない。  
 
でも、お互い愛し合っている。  
 
『俺、この胸がずっと大好きでさ』  
次第に緊張しだしたのを誤魔化すようにポップが必死で言葉を繋ぐ。  
『女って…柔らかいのな。今まで何度かおまえに触れてるけど、こうしてじっくり触ることなんて、ないからさ。』  
ふっくらした胸を、壊れ物を扱うかのように優しく撫でる。  
『ねぇ』  
ポップがマァムの胸に顔を寄せる。  
『愛してる』  
マァムは息を呑む。  
胸がキュンとなる。  
『愛してるよ』  
ポップは愛しそうにマァムの胸に唇をつける。  
 
『…んっ』  
言葉がくすぐったいような、変な感じ…。  
マァムは目を閉じて、受け入れた。  
 
『…くぅ』  
ポップが突然苦しそうにうめき声を上げて、俯いた。  
『…どうしたの?』  
『…いや、俺の分身が…』  
ポップのそれは、痛い位に怒張していて、一層このままズボンを突き破ってしまうのでは、という感じなのだ。  
 
『分身?』  
不思議そうにマァムが訊く。  
『…ん、こいつ』  
おもむろにポップが下着まで脱ぐ。  
そして、マァムの柔らかい手をそこへ導いた。  
『…えっ』  
彼女はそれを初めてみる。――熱い。  
 
『…男の人のって…』  
『いや、普段はもっと可愛らしいもんよ…?』  
マァムの質問の答えを先読みしたかのように、ポップが笑う。  
マァムの手が恐る恐る先端から根元へすうっと動かされる。  
『…くぁ…』  
 
「…硬くて…熱いのね」  
これからそれを自分の中に受け入れるのだと思うと、マァムの体は自然と強張る。  
「恐い?」  
彼女の気持ちを見透かしたようにポップが訪ねた。  
「…大丈夫、ちょっとビックリしただけ…」  
そう答えるもマァムは緊張と不安の色が隠せない。  
 
そんな初々しい反応がポップの欲情をなお煽る。  
汚れの無かった彼女を少しずつ少しずつ『女』にしていく過程がたまらなく楽しい。  
自分の『男』を初めて目の当たりにして、それを必死に受け入れようとしてくれる様が愛おしくてたまらない。  
 
「え…?」  
手に冷たい雫が触れ、マァムは思わず声をあげた。  
ポップの興奮を正確に反映させた男根は先端から透明の液体を零しはじめた。  
「なに…?」  
「…もっと触って欲しいって証拠」  
戸惑うマァムの手に自分の手を重ねて上下に導く。  
ニュルリとした感触に驚き一瞬手を離そうとしたマァムだが、重ねたポップの手がそれを許さない。  
「もっと…もっと触って。おまえに触られると、すげえ気持ちいい…」  
吐息まじりの声はいつもの少年の声と違って、低く甘く響いた。  
そんなポップの姿にマァムの鼓動が高まる。  
「気持ちいいの…?」  
「ん…すっげえ、いい…」  
ためらいがちだったマァムの手はしだいに自らの意志で動きはじめた。  
 
『…あぁ、も、ちょ…っ…、それ以上は…ストップ』  
ポップがそっとマァムの手首を掴む。  
『我慢出来なくなっちまうからな…』  
もう、だいぶ前から我慢なんか出来ていない、が。  
溢れてきてしまいそう。  
 
『今度は俺に教えて』  
乱れた呼吸で息苦しい。  
一旦深く息を吸い込み、肺の奥に溜めてから、ゆっくりと吐き出す。  
 
『…触るよ…』  
『えっ、何処を…?』  
言い切る前にポップはマァムの上に被さった。  
彼女ですら、未知のそこに繊細な指が触れる。  
『…やっ』  
『……これって、濡れて…る?俺、よくわかんなくて…』  
『…あ、あたしも、わかんないよ…』  
なんだかとても恥ずかしくて、マァムの眼が潤みだす。  
 
「やだ…恥ずかしい」  
マァムが羞恥で横を向く。濡れるって何?…でも変な感じ…でも恥ずかしい…  
「……ここまで来たんだから・・・もっと恥ずかしいことしていい?」  
マァムの感情を読み取ったのか、ポップが面白がった風に聞く。  
「え……?…やっ…」  
 
濡れたままのポップの指が、マァムの未知なる花弁を開く。  
「いやっ……」  
恥ずかしくて目を瞑る。  
 
まだ誰にも見せたことのない、触らせたことのない大事な場所。  
ポップが一つ一つ確かめるかのように眺め、ごくりと唾を飲む。  
 
開いた花弁の奥へすっと指を侵入させると  
「ああっ……」  
感じたことのない、不思議な感触がマァムの全身に流れ始めた。  
「……お前、自分でこういうことやったことないの?」  
 
「え…なにが…?」  
「自分で…いじったりとか、ない?」  
マァムが不思議そうな顔を向けた。  
「いじるって?」  
その答えにポップが苦笑する。  
「そっか、本当になんにも知らねえんだな…」  
独り言のように呟いた後、満足そうに頷きながら、ポップは侵入させていた指を抜き  
開いた花弁の先端にある突起を舌先でつついた。  
「ひゃうっ!?」  
ビクンとマァムの体が跳ね上がる。  
「じゃあ、こーゆーカイカンも初めてなわけだ?」  
ポップは舌を巧みに動かしさらに攻め立てる。  
「やっ!?何してるの…っ!?あっ、やあっ!!?」  
強弱を付けた舌が突起を弄ぶたび、マァムの体が面白い程反応する。  
「やめっ…お願いやっ…めてっ…」  
口では否定するが身体は初めての快感に従順に反応を示していた。  
「ここ、気持ちいい?大きくなってきてるぜ?それにほら」  
ポップは花弁の内側に滑らせた指をマァムの前に差し出す。  
「これ、お前から出たえっちな汁。こんなにいっぱい…ヌルヌルしてる…  
 俺も初めてみたけど、濡れてるって…事だよな?」  
マァムは顔を真っ赤にさせて手で覆った。  
「やっ…やめてっ、なんだか恥ずかしいの…!」  
その姿を見てポップは満足そうな意地悪そうな笑みをニンマリと浮かべた。  
 
更にポップは潤んだ彼女の敏感な花弁に唇をつけ、溢れ出た愛液を音を立てながら、味わうように舐め取った。  
「…あんっ…い、いやぁ」  
「…舌に絡んでくるぜ…まだ溢れてくる…キモチイイの…?」  
「…ん、なんか…変な感じっ…」  
言い切る前に、下の方からぷちゅっ、と淫猥な音が聞こえて、マァムの身体が跳ねた。  
「…あんんっ」  
「鳴いてんの、可愛いな。もっと鳴いてよ。」  
ポップが舌を段々彼女の腰へ、胸へ、首筋へと這わす。  
「やだぁ…ん」  
マァムは恥ずかしさのあまり、泣きそうなままだった。  
ポップは察したのか、マァムを優しく抱き締める。  
「恥ずかしいの?」  
「…ん」  
「俺しかいないじゃん」  
「…そ、そうだけど…」  
なんだかちょっと怖いね、大人になるって。  
そんなことを震える彼女の手が語っているみたいで、ポップは強く抱き締める。「…無理ならここでやめる?」  
やめられたら、ちょっと、困る…。  
「…え、ううん、大丈夫…だけど、優しくして…」  
「…当たり前だよ」  
身体を離し、再び彼女の上に被さるようにして、ポップはマァムにキスをした。  
「…もぅ、いい?繋がりてぇよ…」  
ポップは痛いぐらいに立ち上がったそれを、マァムの潤んだ入口に押し当てた。  
「あっ…」  
「…いくぜ…」  
 
俺の声に反応するように、不安そうに見つめるマァムに軽く口付けしながら体を進める。  
溢れる程の愛液を滴らしていたソコは初めて受け入れるモノを  
拒絶するようにポップの肉棒をキュウキュウと締めつけた。  
 
「ゃ・・ぁ!っ、んんっ・・・ふぁ!!」  
悲鳴のような鳴き声を聞きながら、ゆっくり、ゆっくりと誰も入った事が無い中に入る。  
快楽に染まった熱く潤んだ目や声の色が、苦痛を耐える色に変わって行く。  
さっきまでとは違う辛そうな顔が心配になって、動きを止めて震える体を撫でた。  
突然止まった進入に、大きく上下する呼吸を抑えながらマァムが不安げに俺を見つめてくる。  
 
「うっ・・ん、もう・・・全部、入った・・の?」  
「・・・ゴメン、まだ入ってない・・・お前すげぇ痛そうだから・・・辛いなら、止める・・・?」  
マァムの中はトロトロとしててずっと入っていたいくらい気持ち良くて・・・本当は止めたくない。  
でもそれ以上に、好きな女の子が辛そうな顔をしてるのが心配だった。  
受け入れてくれて嬉しいけれど、無理な事はさせたくない・・・と思った時ふっと頬に暖かいものが触れた。  
 
「・・・ポップは・・・気持ち良く無い・・・?」  
「バカ・・・そんな訳ないだろう、すげぇ気持ちよくて直ぐにイッちまいそうなのに・・・。  
 でも気持ち良くてもすっ、好きな子・・・・お前が辛いのは嫌だから・・・」  
 
照れながらそう言う俺を、少しだけ驚いたように見つめた後  
柔らかい手で俺の頬を確かめるように撫でながら、優しく笑う。  
 
「じゃぁ、して・・・?」  
「・・・・え?」  
「ポップが気持ち良いなら、ちゃんと最後までして欲しい・・・あなたの事、とても好きだから」  
そう言いながら綺麗に笑うマァムを見て、嬉しくてぎゅうっと体を抱きしめた。  
らしく無い甘い空気とセリフにお互いクスリと笑いながら、唇を重ねて下を絡めあう。  
 
「痛いと思うけど・・・・ごめんな」  
俺の言葉にマァムがコクリと頷いて、ぎゅうっと手を握ってくる。  
それをとても愛しく思いながら、狭い中にあるさらに狭い―――その奥まで自分の全てを埋め込んだ。  
 
「…あ、あし、チカラはいってんぜ…」  
「…ん、ご、ごめ…」  
はぁ、とマァムが大きく息を吐いたのを聞いて、ポップがゆっくりと押し進める。  
「あぁっ!いたいいたいいたいぃっ!」  
破かれる痛みにマァムは思わず叫ぶ。  
大丈夫?と言いかけて、ポップは彼女の太股に広がる赤にびくん、となる。  
初めての、証…。  
「…そんな痛いの?…こんな…」  
「…ん…」  
眼から大粒の涙を流しながら耐えているマァムが酷く心配になる。  
「…だいじょぶだから…いまは…ちょっと…いた…いけど」  
マァムが泣きながらそう答える。  
ポップは自分が酷いことをしているみたいで胸が痛む。  
「…俺は、こんなにイイのに…おまえは、そんな痛いなんて…」  
 
「でも」  
マァムが口を開く。  
「…嬉しい」  
ふたりは繋がったまま抱き締めあう。  
「…少しこのままで、ぎゅってして」  
マァムの甘えたような口調にポップは『可愛い』と思う。  
「痛くなくなるまでこうしていてやる」  
 
―――やがて  
痛みが少しずつなくなってきた。チカラを抜いて、落ち着いてきた為か?  
「…も、大丈夫?」  
「…ん、いたくない」  
「ちょっと…動く、な」  
恐る恐るポップが腰を引いてゆっくり押し戻す。  
「…ぁんっ!」  
「…ごめん!…まだ…?」  
「…ちが、う…なんか…きもちい…」  
「…ほんと?」  
ポップはゆっくりゆっくり、彼女の中を突き動かす。  
「…ぁぁ、やっ、あん、んんっ、や、っ、こん…なこえ…」  
「いいよ、気持ちいんだろ?聞かせて、可愛い声」  
俺の腕の中で、こんな――猫みたいに鳴いてる――マァムが、凄く、愛しい。  
少しずつ彼は加速していく。  
「あ、あ、んぁっ、ん…」  
肌と肌がぶつかる音と、擦れて響く水音が激しい。  
 
慣れない異物感、まだ残る痛み、その奥にだんだんと広がる味わった事の無い快感--。  
「んっ…ふ、あっ…んん」  
「おまえの中、すごく暖かいな…やばいくらい気持ちいい…」  
「あっ…わ、わたし…も、んっ…」  
「え?」  
彼女の伝えたい事が聞き取りたくてポップは一旦腰を静めると  
弾んだ息でマァムが言った。  
「…私も、あなたが中にいるのが感じられて、幸せ…」  
ポップの胸が愛しさで締め付けられる。  
「俺も…お前と一つになれてすっげえ嬉しい」  
自分で発した言葉に思わず潤みそうになった涙を押さえて、ポップは  
上気して桜色になったマァムの唇に口付けした。  
キスに反応してマァムの体がきゅっと締まる。まるで愛しい人を離したくないかのように。  
「わわ…そんなに締めたら、俺ちょっとやばい…」  
「え?」  
締めてる自覚のないマァムの髪を軽く撫で耳朶にキスをしながら囁く。  
「ごめん、もう少しこうしていたいけど俺…限界みたい」  
再びゆっくり腰を動かしていく。そしてさっきより速度を増していく動きにマァムの声が漏れる。  
「あっ、あっ、はあっ、ん…!」  
 
 
…風呂場に行った意味ないな…  
汗まみれの身体で、ぼんやりとポップは思った。  
―――いや、あるか。  
行かなかったらこんなことにならなかった…。  
 
 
「…な、中はマズいよなっ」  
「…えっ…」  
マァムが聞き返すのと同時に、ポップはそれを引き抜いた。  
熱い熱い白い液が大量にマァムの太股に飛び散る。  
「…あ、あ、ごめんっ…汚すつもりはなかったんだけど…」  
「…ううん、平気」  
桜色の頬でマァムが微笑む。  
 
その笑顔があまりに可愛かったので、ポップは幸せで胸が締め付けられるかと思った。  
汚れたマァムの体をシーツで包みながら、後ろからぎゅうっと抱きしめた。  
 
「・・・・すっげぇ嬉しい、俺絶対お前に嫌われるかと思ったから」  
「嫌うってどうして・・・?」  
「だって勝手に服は脱がすわ、我慢できずにキスするわ男として最低――――――あ!」  
うっかり口を滑らして慌てて口を塞ぐポップを、茶化すようにマァムが睨む。  
 
「ふぅん・・・やっぱり私が自分で脱いだんじゃなかったのね・・・うそつき」  
「ちっ!違うって!!最初はいやらしい意味じゃなくて、お前が風邪引かないようにだな・・・!  
 それに、好きな女の裸見て冷静になれるかよ・・・・これでもすっげぇ我慢したんだからな!!」  
慌てながら照れたように話す声を聞きながら楽しそうにクスクス笑う。  
その顔を見ようと後ろを振り向くマァムを、恨めしそうに見ながらポップは愚痴るように呟いた。  
 
「あんなやらしい格好で無防備に寝てるお前が悪い・・・。俺以外だったら風呂場で襲ってたぞ」  
「私に対していやらしい事したいって思うのなんてあんたくらいよ、バカ」  
「・・・・・・・(自分がどんだけ男共に狙われてたか本当に気付いて無いんだなコイツ)」  
本当に見つけたのが俺で良かった・・・と胸を撫で下ろしているとモゾモゾとマァムが動く。  
 
「シーツ・・・冷たいね」  
「ああ・・・確かに、濡れたお前寝かせてたしな。それに・・・色々と・・・・」  
自分を包む濡れたシーツ見て顔を紅く染めるマァムの姿に意地悪な心が芽生えた。  
濡れた部分をワザと擦り付けるように抱きしめながら、ニヤリと笑ってキスをする。  
「なぁ、お互い色んなモンでドロドロになったし・・・一緒に風呂入んない?」  
 
 
熱帯夜は何処へやら。  
ふたりは身体を綺麗にする為、風呂場へと向かう。  
 
 
扉を開けて、浴槽にゆらりと影が…。  
 
『えっ!』  
ふたりは恐る恐る浴槽に近付いて…。  
 
『あ!』  
泥酔のレオナがそこに…。  
 
「…さっきのおまえみたい」  
「えっ!…それよりどうするの…?」  
「おまえ助けてやれよ」  
「えっ」  
「服脱がすわけにいかね〜だろ!」  
「う、うん」  
 
あーあ、せっかく一緒に風呂でいちゃいちゃしよぅかと思ったのに…  
 
はぁ、と溜め息をつくポップの耳元でマァムが囁く。  
「…またあとでね」  
 
その大胆発言に驚いて振り向いたら、マァムがレオナを担いでポップにウィンクをした。  
 
 
まだまだ夜は長いってこと、なのか?  
 
 
…今夜は、多分眠れない。  
 

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