慌てて机に滑り込んで二人して息を殺す。
大人しくしていれば突然の来訪者は去ると思ってたのに―――。
(しかし、これはちょっと・・・・)
机に空いた穴から見える景色は、余りにも刺激的で非現実的な世界だった。
俺の服を掴みながら、マァムが泣きそうな顔で俺を見て小声で呟く。
「ねぇ・・・どうしよう、今更外になんて出れないよね・・・。」
そりゃそうだ、どう考えても出れねぇ、絶対に出れねぇ。
これは絶対に見てはいけない世界、自分達がしている秘め事とは比べ物にならないくらい
濃厚で蠱惑的な大人の世界・・・。
「あぁ・・・っ!アッ・・バン・・・アバン・・・!!!」
普段の透き通る声からは想像付かない熱い声で、フローラ先生がアバン先生の名前を呼ぶ。
もどかしそうに腕を絡めてアバン先生の舌に吸い付き、恍惚とした表情で唾液を舐め取っている。
絡み合う紅い舌や唾液の濡れた音、そして黒いスーツから覗く熟れた白い乳房・・・・。
俺達に見せるように目の前で行われている痴態に、呆然と眺めるしか出来ない。
横では耳まで真っ赤に染めたマァムが、相変わらず泣きそうな顔で俺を見ている
完全に容量をオーバーしたのだろう、固まって動けない姿を見て『虫』がうずいた。
(その顔・・・・すっげぇかわいいんですけど・・・・・)
どうして良いのか分からずにきゅうっと服の裾を掴む手や、すがるように俺を見る子犬のような目
普段尻に敷かれているだけに、こんな顔を見ると男としてはやっぱりクラクラする訳で・・・。
そう思うと同時に体が動いていた、真っ赤になった顔を強引に持ち上げて唇を深く重ねる。
「バ・・・ッ――――――っ!!」
瞬間的に大声を出しそうになったあいつの口を塞ぐように舌を絡めて声を封じた。
それと同時に、反射的に俺を殴ろうとした手を掴んで、机の隅に押しやり動きを制限する。
・・・・こんな状況でも攻撃をしかけてくるとは相変わらず恐ろしい女だ。
机の外側では行為の激しさを物語るような淫らな声と椅子が揺れる音が聞こえる
まるでアダルトビデオを流しているような遠い世界の音がさらに興奮を誘う・・・。
舌を絡めるだけでは物足りずに、きっちりと締めたネクタイを緩めシャツのボタンを外すと
きっちりと着込んだ制服からは見る事が出来ない白い鎖骨が顔を出す。
「やめ、て・・ったら!ふざ・・けないでよ・・・・・」
顔を真っ赤に染めながらも小声で必死に抵抗する姿に普段の迫力なんてない。
むしろ愛しささえ感じるその弱々しい抵抗に、微笑みながら耳元で囁く。
「静かにしねぇと・・・・バレるとお前だってやべぇぞ・・・」
そう言いながらシャツのボタンを外していく、自分の服が乱れている事に
やっと気付いたのか、悔しそうに睨む顔をにっこりとした笑顔で受け流した。
『声・・出すなよ』と念を押すと、観念したように息を呑む音が聞こえる
その従順なしぐさが可愛くて額にキスしながらふっくらとした胸に手を延ばした・・・。
「―――――――あ・・・っ」
シャツの上から柔らかな胸に触れると小さな声が漏れた。
皺ひとつない綺麗なワイシャツが俺の手に合わせて猥雑な皺を作っていく
ブラの上からでも分かる柔らかい感触と、手の動きに合わせて零れる吐息や衣擦れの音・・・。
うるさく響く心臓の音を隠すように夢中になって胸を弄る。
「ん・・ちょっと、やだ・・・ぁっ」
熱い息に混じって弱々しい声が聞える、薄暗い机の下で聞くその艶っぽい声は
まるで俺を誘うように脳内で甘く響く。
机の外ではアバン先生がフローラ先生の脚を大きく広げ、白い胸に舌を這わしながら
ぐちゃぐちゃと大きな音を立てて二本の指で膣内をかき回していた。
恍惚とした表情で甘えるような声を上げるフローラ先生を見て、あんな風に
乱れながら嬉しそうな顔で、俺にしがみついてくるマァムを想像する。
(やっべぇ・・・すげぇエロい・・・・)
十分すぎるほど大きくなった股間は、さらに大きく膨張しズボンを圧迫する。
今触れている胸の柔らかさや熱い息が余計に妄想を駆り立てた。
本当は先生のようにズボンを下ろしていきり立ったものを開放したいし
あんな風にめちゃくちゃにこいつを犯したい・・・。
この狭い空間で動きは制限されるが出来ない事はない、ずっと夢に見ていた欲望を
今日吐き出してしまおうか・・・・と考えた時、一かけらだけ残った理性が邪魔をする。
普段は意志が強いくせに、こいつは恋愛に関して驚くほど意思が弱く流されやすい。
きっと俺がねだればこんな場所でも、泣きながら処女をくれるだろう。
どこまでも許すその不安定な部分を知っているからこそ、逆に無茶を言えなくなる・・・。
だからと言ってこんな風に乱れた姿を見て止めれる程、紳士でも大人でもない。
(こうやって、いじめるくらいは勘弁な・・・・。)
そう心の中で呟いて、アバン先生の動きを真似るように白い首筋に舌を這わした。
「・・・っ――――――――――――――――――!!」
濡れた感触に驚いたのかマァムの体がビクリと跳ねる、顔を紅く染めながら
イヤイヤと小さく首を振っていた・・・
その幼い仕草がすごく可愛くて、微笑みながらあいつの口を手で塞ぐ。
鎖骨に舌を這わしながら右手で口を塞ぎ、左手で残りのボタンを外した。
はだけたシャツから、豊かな胸を覆う可愛いレースの薄い青のブラジャーが見える。
てっきり飾り気のないものを付けていると思っていたのに、予想に反する女の子らしい
下着に目を奪われ、息を呑んで見つめてしまう・・・。
無機質なシャツの白と、薄紅色に染まる肌、それを隠すように胸元を包む薄青いブラ――――。
耳元に息を吹きかけながら、可愛い・・と囁くと暗い所でも分かるくらい体が紅く染まる。
その様子を見ながらシャツの中に手を入れ、ブラの上から胸の突起をなぞった。
「ふっ・・んっ、んん・・・・」
口を押さえられ息苦しそうな声を出しながら、刺激に耐える姿を見て鳥肌が立った。
まるで犯されているようないやらしい姿をもっと見たくて、青いブラを強引に引き下げ乳房を晒す。
「・・・やっ・・・だ・・ポップ・・・」
押さえた口から恥かしそうな声が聞える、自分を呼ぶ甘い声にクラクラしながら舌を這わした。
くちゃくちゃと言う卑猥な音を立てながら、突起に舌を絡める。
微かに汗の匂いのする肌を味わいながら、マシュマロのような柔らかい胸を指で弄る。
子供のように胸に吸い付いていると、マァムが恥かしそうな顔で俺を見つめていた。
「んっ・・ぁ・・・ポッ、プ・・恥かしい・・・。」
蚊の鳴くような呟く声とは裏腹に、どんどん艶っぽく色っぽくなっていく――――。
外の光景を見て俺が興奮しているように、マァムも少なからず興奮しているのだ。
じゃないと真面目なこいつが、こんな場所で俺に触れさせるはずがない・・・。
乳首を嬲りながら、荒い息を上げるマァムの顔を見る。そのねだるような熱い表情に
押しとどめていた理性が消えて行くのが分かった。
そんな俺の葛藤をあざ笑うかのように、外の世界では二人の熱い声が聞えている。
まるで行為を誘うようなその声に導かれるようにふっくらとした太腿を撫で、スカートに手を延ばした。
「ちょ・・っと、うそ・・でしょ?」
抱きしめた体から戸惑いがちな声が聞えた、耳にかかる息が熱くて目眩がする・・・。
深緑のスカートをめくり、絹のような白い足を撫でながら手を上に這わしていく。
その柔らかい感触をもっと味わいたくて薄青の下着に指を押し当て、さするように動かした。
「ふぁっ!・・・・んんっ!!」
(やばっ!!!!)
耐え切れないように出された声に、一瞬で部屋の空気が凍るのが分かった
さっきまでの熱い空気が嘘みたいに静まり帰り緊張が走る・・・。
「ん・・・ねぇ、今机の方から声が聞えなかった・・??」
乱れた髪と服装を整えながら、フローラ先生がこっちを見ている
マァムを守るように抱きしめながら様子を伺っていると一瞬・・・。
(――――――え?)
目が・・・・合った気がした・・・・。
「気のせいでしょう?放課後の理科準備室なんて誰も来ませんよ」
どこか飄々とした声で、アバン先生がフローラ先生の腕を掴み唇を重る。
「あなたもそれを知っているからココに来たんでしょう?『先生』??」
絡まる舌を強引に離し、フローラ先生が恨めしそうに声の主を見上げている。
「・・・本当に嫌な人ね、あなたって。―――っコラッ、人の話は最後まで
聞きなさ・・・いっ・・っぁ・・・!!」
説教モードに入ったフローラ先生を気にするでもなく、楽しそうな顔をして
ボタンを外し服を脱がしながら体を弄っている。
抵抗する手を慣れた手つきでかわし、甘い言葉を出してフローラ先生の動きを止める。
強引だけど優しい、その手際の良さについ見惚れてしまう・・・。
「あっんっ!!アバン・・・んっ・・・ああ!!」
とろけるような声が上がる頃には、フローラ先生はスカートだけ履いた状態で
先生の上に跨りもどかしそうにアバン先生の服を脱がしていた。
遠目からでも分かるくらい白い肌が嬉しそうにアバン先生の上で揺れている
フローラ先生を膝の上に乗せてその姿をうっとりとした顔で呟く・・・。
「本当に誰かいたら、こんな刺激的なあなたを見て放っておくと思いますか?
私だったら一緒に混ざっちゃいますよ、『お堅い養護教員の乱れた姿』なんて
他の人には一生見れないラッキーな姿ですからね・・・。」
そのからかうような口調に少しだけ頬を膨らませてフローラ先生が恥かしそうに呟く。
「・・・もう、っんぁ・・・本当に嫌な人・・・ね・・あぁっ!!!」
そう言うと同時に細い腰がいっそう深く沈んだ。
途端に二人の息が更に荒いものに変わり、何かを味わうように体を震わしていた。
初めて見る生々しいその行為にごくりと息を飲む・・・・。
そうして確かめるようにたっぷりとした動きで腰を動かしながらアバン先生がポツリと
「まぁ仮に『混ざりたい』って言っても絶対混ぜませんけど、ね・・・」
・・・・こっちを見ながら呟いた。
(げっ――――――!!??)
その視線に背中が凍るる。さっきとはまったく別の意味で固まる俺を
見透かしたように、白い体を抱きしめたアバン先生が『俺を見て』微笑んだ。
―――― 子供は子供で適当に楽しんでなさい ――――――
そうとでも言いたげに、にんまりとした顔でアバン先生が笑う。
その顔は今まで見た事がないくらい性質の悪い大人の顔だった・・・。
(・・・一体いつから気付いてたんだよ、あの人は・・・!!)
呆然とする俺が見えるかのようにふっと笑った後、何事も無かったかのように
フローラ先生の体を味わうように動き出した。
余りにも長い沈黙に耐え切れなかったのか、腕の中でもぞもぞと小さな体が不安げに動いた。
「んっ・・・ポップ?大丈夫だった・・??」
抱きしめていたせいで外の会話が聞えなかったのか、状況の飲み込めていないマァムが呟く。
「とりあえずはバレてねぇ・・・けど・・・」
外から聞える激しい音を聞いて赤くなる顔を見ながら、本当に残念そうにため息を付いた・・。
はだけたシャツから白い乳房と桜色の突起が見える、誘うように潤う目や乱れたスカートから
見える女の子らしい可愛い下着・・・・。
今日を逃したら、こんなおいしい状況でこいつを抱けるなんて一生ない、一生ないのに・・・。
(いっつも肝心な所でダメなんだよなぁ・・・俺って)
肩をがっくりと落としてうなだれる。
こんな夢のような状況なのに、アバン先生の悪魔のような笑みに完全に呑まれてしまった。
そんな俺の心を笑うかのように、激しい声をパンパンと肉のぶつかり合う音が聞こえる。
「恐ろしい・・・あの人は本当に恐ろしい人だ・・・」
突然そんな事を呟く俺を、不思議そうにマァムが見つめている。
こんな蠱惑的な姿で可愛い顔をしているのに、完全にビビッてしまった自分が恨めしい・・。
力なく首を振ってから、名残惜しそうに乱れた衣服を整えてやる。
戸惑いがちに見つめるマァムに情けなく微笑んで、ぎゅうっと抱きしめた。
「ごめんな、こんな所で・・・・」
力なくそう謝ると、少しだけいつもの顔に戻ったあいつが困った顔で俺の髪を撫でる。
『バカ・・』と甘く呟きながら抱き返してくれる腕の暖かさを感じながら
(うん、これで良かった・・・俺達にはまだ早ぇもんな・・・)
そう自分に言い聞かせるように、外で聞える激しい音が過ぎるまでずっと待っていた。
「本当に・・・不覚だったわ・・・・。」
行為が終わった後、静まり返った廊下を二人で歩いていた。
「・・?何が不覚だったんですか??」
横から聞える飄々とした声に軽くため息をつき、じろりと睨みつけた。
「二人ともお気に入りの生徒だったのに・・・あなた一体いつから気付いてたのよ」
その男に迫り、頬についた口紅を拭いてやる。きっとこの男は最初から気付いてたに違いない。
その迫力に気圧されたように(な振りをして)、気まずそうにアバンは笑って私を見た。
「あはは・・やっぱりフローラ先生も気付いてましたか、まぁあの子達なら大丈夫でしょう
私の自慢の教え子達ですから。」
にっこりと聖職者の笑みを浮かべて、信じられない事を呟く。
「あなたって本当に先生なのかしら・・・その本性を他の人に見せてあげたいわ。」
頭を抑えながら彼の顔を見る、その優しげな微笑の性質の悪さに気付いてるのは
きっと数える程しかいないだろう・・・。
呆れたように呟く私に向けられたのは、優しい顔に浮かぶ性質の悪い笑み。
「それはダメです。本当の私を知って欲しいと思うのはフローラ先生だけですから。」
甘く呟く声に、体が溶けそうになる。いつもたった一瞬で彼のペースにはまってしまう
自分が情けなくて悔しい。
「本当に嫌な人・・・・。」
負け惜しみのように呟く私を面白そうに見つめて、アバンが極上の笑みを浮かべ止めを刺す。
「でもそんな私が好きなんでしょう?」
絶対的な自信を持ってそう呟く男を見て、祈るように天を見上げる・・・・。
(あの可愛いバンダナ君が、こんな性質の悪い男になりませんように――――。)
でもきっと自分と同じようにあの少女も、幸せに包まれながら振り回されてしまのだろう。
そんな事を考えながらニコニコ笑う男にため息をついて長い廊下を歩いていた・・・・。