ある時、マァムの妊娠が発覚する。  
そのことを知ったヒュンケルはたいそう喜んだが、マァムは己の過ち故に激しく思い悩む。  
 
まだダイは帰って来てはいなかった。  
ポップは、天界、魔界含めた異世界にダイが存在している可能性を示唆していた。  
その為異世界への道を開き、交流を得るという夢を抱いてそれに向け奔走していた。  
が、その為には兎に角莫大な財力が必要であった。  
ポップは実家の家業を元手に、事業を興して莫大な成功を収めていた。  
 
レオナは、ダイが帰ってこない故に支えが無いという寂しさ。  
復興事業の激務。宮廷のしがらみや闘争という重圧に、次第に精神を病み始めていた。  
それは次第に彼女の治世にも影響を及ぼすようになる。  
 
そんな中、ポップは事業拡大の一部が、結果としてパプニカの統制経済に風穴を開ける形となった。  
正常な判断が出来なくなっていたレオナにとって、それは彼女に対する敵対行為でしかなかった。  
彼女はヒュンケルに、ポップ及び、その勢力の抹殺を命じる。  
最初は猛反対したが、ヒュンケルにとって、レオナは重大な命の借りのある存在であり、  
結果、騎士団の先頭にたってその命令を遂行する羽目になる。  
 
ポップとヒュンケルが争う事態を恐れたマァムは、身重の肉体でアバンに掛け合うも、その時全ては手遅れだった。  
両者共に争うつもりは全く無かった。  
しかし、ヒュンケルとしては形の上で命令を遂行しようとしたスタンスを示さなければならなかった。  
威嚇の為にやむなく放った火矢が、運悪く北風に煽られて大炎上。  
ポップはパプニカの拠点だけでなく、多くの部下を失う。  
憎しみにかられた彼は、自分の夢の前に立ちはだかる者達の殲滅を決意する。  
 
両者は、引くに引けない泥沼の戦いへと突き進んでいく。  
だが、事件のことや、元魔王軍としての罪とそれに対する怨嗟。  
様々な要因から形成は次第にヒュンケルに不利な方向へと傾いていった。  
しかも、レオナが病に倒れてしまったことで、完全に後ろ盾を失い窮地に立たされる。  
裏切りも続出し、ヒュンケルはレオナ晩年の悪政の汚名も全て被せられた格好となった。  
そんな中、マァムは男児を出産。そんな彼女に「子供を頼む」とだけ言い残し、  
生まれてきた子供に全てを託して、ヒュンケルは自らの命を持って全ての清算を計った。  
 
その後、乳飲み子を抱いて路頭に迷っていたマァムだが、  
最早逃避行は限界に達しており、困窮した彼女はポップの元へと身を寄せる。  
ポップはマァムと赤ん坊に大変寛大に接し、新しく屋敷まで与えた。  
特に子供に対しては、自分の子供たちと交流を持たせ、  
同等、時にそれ以上に扱い、自分の夢を語って聞かせたりもした。  
 
そうやって成長していく男児を見て、燃えるような赤い頭髪から、外見的一致点こそ見出せないが、  
メルルは、マァムの子供が夫、ポップの子供であるという疑惑を抱く。  
また、マァムが新たに女児を生んだことで、その疑惑は確信へと変わる。  
その上で、やがてその子供達が夫に大変な害悪を齎すことを予感。表向きには  
「かつての仲間とはいえ、今や敵となった者の妻子。それを抱えることに皆が疑問を抱いております。  
 ましてその者が新たに生んだ子供を、屋敷に入れさせることには私は反対です」  
とやんわりと夫を批判し、その裏では少年の排除を決意する。  
雰囲気からそのことを察知したマァムは、我が子を教会に預ける。そして  
「あなたのお父さんは戦士ヒュンケル。あの男(ポップ)はあなたのお父さんの仇よ!」と告げる。  
妹の誕生を純粋に喜んでいた少年は、母親の突然の言葉に傷つき、戸惑う。  
 
やがて少年は成長し、ポップが語った夢を、自分なりの方法で叶えようと思い旅立つ。  
 

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