マァムが皆の前から姿を消して5年。  
ようやくポップはマァムを小さな村で探しあてた。  
が、そこには…  
 
「かわいいでしょ。4歳になるの。」  
 
「うん……お前そっくりだなあ」  
 
マァムの隣にはマァムそっくりの小さな女の子。髪はマァム同様サラサラだが、  
髪の色は黒かった。  
 
ポップはふと5年前を思い出した。あのときはまだ自分は17歳だった。  
そしてマァムはヒュンケルと通じ合い処女を捧げたばかりだった。  
 
そんな彼女を無理やり俺は……  
 
 
「魔法はまだ使えないみたい」  
 
女の子を村の子供たちと遊ばせて、二人はそれを遠くから見守っている。  
 
――失踪した理由はあの娘だろう  
 
髪は黒い。が、マァムの母親は黒髪だ。  
それにあいつの両親だって、黒髪だったのかもしれない。  
 
魔法が使えない?  
・・・関係ない。俺の両親だって平凡な武器屋の店主とそのおかみだ。  
 
どっちの子だ……  
知るのが怖い。おそらくマァムだってそうだろう。だからこいつは俺とあいつの目の前から姿を消したんだ。  
 
一つだけわかることがある。  
こいつは愛した男の子どもだからこそ、あの娘を生んだんだ。  
 
 
妊娠に気付いたのは5年前だった――  
 
ある日突然急激な吐き気に襲われた。  
まさか妊娠してるとは思わなかった。恥ずかしい話、あのときはそういうこと何も考えていなかった。  
ちゃんと通じあって、皆から祝福されたとき、神様が子供を授けてくれるものだと思っていた。  
彼らの言っていた「受け止めてくれ」とはこういうことだったのかと、ようやく気付いた。  
 
繋がったとき、ひたすら痛いだけだったのを覚えている。男の人は愛していない女(ひと)にもああいうことはできるみたい。  
でも、私は二人に愛された。愛されたからこそ幸せだった。  
 
じゃあ私は?私はどっちを愛したの?  
 
老師にだけ告白した。どっちの子かわからない。私は逃げた。  
 
「この子はどんどん私に似てくる……私だけに…」  
 

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