足音が、聞こえてきた。  
決して大きな音では無いのだが、皆が寝静まっている城の廊下には、コツコツと硬質な靴音が、やけに響く。  
 
(まだ、誰か起きていたのかしら?)  
 
皿を洗う手を止め、メルルは少し耳を澄ました。  
成人男性にしてはやや足音が軽いが、ダイほどではない。  
鉄鋲が床を打つ音がするのは、戦士の履くような軍靴を履いているからだろう。  
という事は、マアムやレオナ、ポップでもない。  
 
(誰だろう?)  
 
足音の主を思いつかず少し緊張していた表情が、台所に入ってきた人物を見て、納得と共に緩んだ。  
 
「まだ、起きていたの?メルル」  
 
そこには、品のいい微笑を浮かべたフローラ女王が立っていた。  
女性の身ながらカール王国軍を率いるフローラは、胸当てに篭手、脛当てといった、戦士と同様の装備を  
身に纏っている。  
 
「少しでも休んでおいた方がいいわよ。明日は決戦なのだから」  
「ええ、でも、私、このくらいしかお役に立てることがありませんから・・・」  
 
少しはにかんでメルルが言う。  
この、控え目だがしかし良く気のつく少女は、一人で皆の食事の用意と、その後片付けを買って出たのだ。  
文字通り山のような皿が、綺麗に磨き上げられてテーブルの上に重ねられている。  
15歳の少女にしては、驚くべき手際の良さと言えた。  
 
「ご苦労さま。料理も、とっても美味しかったわよ」  
「あ、ありがとうございます」  
 
嬉しげに深く頭を下げたメルルは、フローラが隣を通り過ぎた気配に、ふと顔を上げた。  
 
「・・・!あ、あの!フローラ様!!」  
 
振り返って、思わず大きな声を出してしまった。  
我が目を疑う。  
一国の女王であるフローラが、軍装も解かぬまま、自分の洗い残した皿を洗っているのだ。  
 
「二人でやれば、すぐに終わるわ。早く片付けてしまいましょう」  
「あ、あの!こ、困ります!フローラ様!そ、そんな事をなさっては!」  
「あら?こう見えても私、料理も水仕事も得意なのよ?」  
 
悪戯っぽく笑みつつ、その言葉通りてきぱきと洗い物を片付けてゆく。  
メルルは、うろたえるしか無い。  
 
「あ、あの!わ、私がやります!フローラ様は休んで下さい!」  
「あ、そのお皿しまってくれるかしら?」  
「は、はい!あ、いえ、その!」  
「それが終わったら、洗いあがったのを拭いてもらえる?」  
 
威圧的な響きなど、どこを探しても感じられない物柔らかな声なのだが、決して逆らいきれない何かを  
感じてしまう。  
しきりに恐縮し、何度も自分に任せて休んでくれと頼むのだが、気がつけばフローラの命じた通りに  
動いてしまっているメルルだった。  
 
「ほら。もう終わった」  
「あ・・・ありがとうございます・・・」  
 
とうとう最後まで手伝われてしまった。  
有り難いやら、もったいないやら、結局言うなりになってしまった自分が情け無いやらだ。  
そんなメルルを見て、フローラはいかにも楽しげに笑う。  
 
「いいえ。いい気分転換になったわ」  
 
フローラの唇が笑みを作るのを見て、メルルは何となく赤くなってしまう。  
軍装のフローラの姿は、凛々しく、それでいて女性的で、同性の目から見てもどきりとするほど美しかった。  
 
禁欲的とすら思えるほど簡素に後ろに束ねられた、豪奢な金髪。  
儀礼的な装飾の美しい鎧の、豊かに盛り上がった胸元。  
白麻のスラックスごしでも分かる、すらりと伸びた長い足。  
 
(綺麗・・・・)  
 
そして、雪のように白くきめ細やかな肌に一点、薔薇のように咲き誇る紅の唇。  
 
「どうしたの?メルル?」  
 
覗き込むように見られて、はっと我に返った。更に顔が赤くなってしまう。  
メルルはどぎまぎとしながら、何度も頭を下げた。  
 
「あ、ありがとうございました!」  
「ふふ。もういいわ。それより、早く休みなさい。明日は夜明け前にはここを立つわよ」  
「あ、はい」  
 
言いつつ、メルルは動かない。  
 
「どうしたの?早くお部屋に戻ったら?」  
「いえ。私は、ここで」  
 
不思議そうにメルルを見るフローラ。  
ちら、とメルルが見た、その視線を追うと、椅子の上に几帳面に畳まれた毛布が一枚ある。  
 
「マアムさん、気配ですぐ目を覚ましちゃうんです。だから・・・」  
 
同室のマアムの眠りを妨げないよう、ここで仮眠をとるつもりらしい。  
ああ、と納得すると同時に、どこまでも気配りをしてしまうこの少女がいじらしくて、フローラは微笑んだ。  
 
「でも、ここじゃ冷えるわ。それなら、私の寝室に来なさい」  
「え!で、でも、そんな」  
 
又も固辞するメルルに向かい、聖母の笑みでフローラが宣言する。  
 
「これは、命令よ?メルル」  
 
もはや、選択権は無い。  
再び頬が火照るのを感じながら、メルルは口の中だけで、ハイ、と答えるのが精一杯だった。  
 
どこを、どうついて行ったのかも思い出せない。  
気がつけば、毛布を抱えたまま、メルルはフローラの寝室で佇んでいた。  
女王の寝室とはいえ、メルルやマアム達の寝泊りしている部屋と大差無い。  
装飾もごく簡素なものだし、ベッドだってメルル達の使っているものとほとんど同じだ。  
ただ、違いと言えば。  
 
「ベッドは一緒でいいわね?」  
 
事も無げに言われて、メルルは硬直した。そうだ。この部屋にはベッドが一つしかない!  
 
「い、いえ!そんな、わ、私はソファーでもお借りして」  
「こういう時は、遠慮をしないものよ」  
 
緊張の極みに達したメルルをよそに、フローラは具足を外しはじめる。  
メルルは慌ててそれを手伝った。  
脱いだ鎧はベッドのすぐ側に丁寧に並べ、いつでもすぐに装備出来るようにしておく。  
言われなくともそういう気配りが出来るメルルを見て、フローラは目を細めた。  
 
「本当に、気が効くわねえ」  
「い、いえ。そんな」  
「お料理は上手だし、可愛いし。きっといいお嫁さんになるわね」  
「そんな・・・私なんか」  
 
メルルの声のトーンが、わずかに下がった。  
静かに、フローラが言う。  
 
「好きな人が、いるのね?」  
 
はっと見返したフローラの顔が、優しく笑んでいる。  
 
「でも、勇気を出せずにいる。そうでしょ?」  
 
驚きと共に、素直に頷いてしまう。  
占い師として、今まで数多くの人の運命や心を読み解いてきたメルルだったが、こんな風に自分の  
気持ちを言い当てられたのは、生まれて初めての事だった。  
 
「ど、どうして分かるんですか?」  
「似てるからよ。私に」  
「そ、そんな!」  
 
似ているわけがない。  
引っ込み思案で地味で只の一般市民である自分と、行動的で輝くような美貌に溢れている女王様とに  
共通点があろうとは、とても思われなかった。  
 
「信じられない、って顔してるわ」  
 
おかしげにフローラが言った。  
慌てて表情を変えようと思うが、どんな顔をしていいのかが分からない。  
 
「メルル。おまじないを、してあげましょうか」  
 
月の光より優しく、フローラは囁いた。  
 
「臆病な女の子に、ほんの少しだけ勇気を与える、とっておきの、おまじないよ」  
 
薔薇色のキャンドルに火を灯し、部屋のランプは消してしまう。  
静謐な月明かりの差し込む部屋に、キャンドルに照らされた影がゆらめいて、まるで水底のように幻想的だ。  
 
「こっちにいらっしゃい。メルル」  
 
ベッドの脇でフローラは手招きをした。  
おずおずと近づくメルルに、フローラが何気ない調子で言う。  
 
「じゃあ、脱いでくれる?」  
「!」  
「ああ、下着は履いたままでいいわ。でも、上は全部脱いだ方がいいわね」  
「え、え、え、あ、あの」  
「脱いだら、ベッドにうつ伏せになって待ってて」  
 
混乱はとっくの昔に頂点に達している。  
只一つ分かっているのは、この目の前で微笑んでいる美しい女性に逆らう事など、自分にはどう頑張っても  
出来そうにない、という事だけだった。  
観念して、占い師の衣装を脱いでゆく。  
フローラの方はと見れば、棚から大きめの壜を取り出し、油のような液体を磁器に注いでいる。  
そこに、香水壜に入った何かを数滴振り入れた時、ほの暗い部屋に香気が満ちた。  
 
「あ・・・」  
「いい香りでしょ?」  
「薔薇・・ですね」  
「そう」  
 
香りは、キャンドルからも漂っているようだ。  
両手で胸を隠したまま立ち尽くす半裸のメルルを、薔薇の香りが優しく包む。  
 
「さ、こっちにいらっしゃいな」  
 
磁器を手にしたフローラに導かれ、ベッドに伏せる。  
うつ伏せのまま、それでもしっかり胸を隠す少女は、小鳥のように可憐だった。  
 
メルルの長い黒髪を、フローラのしなやかな指が優しくかき分ける。  
少しくすぐったくて、でも気持ちがいい。  
長い黒髪は纏められ、ピンで簡単に留められた。背中が完全に出てしまう。  
フローラの両手が、薔薇の香油をメルルの背中に塗り伸ばしてゆく。  
くすぐったさと紙一重の心地良い快感が、メルルの背筋を駆け上った。  
 
「薔薇のエッセンスはね、傷ついた心を癒して、無くしかけた勇気を取り戻させてくれるのよ」  
 
メルルの背中に香油を摺り込みながら、フローラが言う。  
 
「自信を無くした時とか、くじけそうな時にね、私は、こうして薔薇に勇気を分けてもらっているの」  
 
思わず半身を起こして、フローラを見てしまう。  
 
「フ、フローラ様にも、自信を無くす事なんて、あるんですか?」  
「もちろんよ」  
 
屈託無く言われ、メルルは呆然とする。  
この女神のような女性にも自信を無くす事があるなどとは、想像した事も無かった。  
再びメルルをうつ伏せにさせ、フローラは背中、首、足へと、薔薇の香油を塗り広げてゆく。  
 
優しい沈黙が、流れた。  
 
全身を、丹念に撫でてくれる手が心地良い。  
その手に、フローラの思いやりを感じて、メルルは思わず涙ぐみそうになる。  
そんなメルルを察して、フローラは努めて明るく言った。  
 
「本当に、綺麗な肌ねえ。羨ましくなっちゃうわ」  
「そ、そんな」  
「うふふ。ほんとよ?自信を持っていいわ。あなたは、とっても魅力的な女の子よ」  
「で、でも・・・」  
 
薔薇の香りに誘われるように、決して誰にも打ち明けた事の無い悩みが、メルルの口から零れた。  
 
「も、もっと、胸が大きければ、って、思うんです・・・」  
「そう?充分だと、思うけど?」  
「で、でも、もっと大きければって・・・マアムさんみたいに・・・」  
 
それは、メルルのコンプレックスの一つだった。  
もちろん、胸が大きくなれば、ポップが振り向いてくれる、などとは思っていない。  
けれども、マアムくらいプロポーションが良ければ、もう少し自分に自信が持てるかも知れない、とは  
思ってしまうのだ。  
年頃の少女らしい悩みに、くす、とフローラは小さく笑った。  
 
「じゃあ、メルル。ちょっと体を起こして御覧なさい。胸の大きくなるマッサージを教えてあげる」  
 
身を起こしたメルルの背中に、フローラの体が重なる。  
後ろから回された手が、メルルの乳房を、優しく握った。  
 
「いい?こんな風に、オイルを沢山手にとって・・・・こう」  
 
(・・・ぁ・・・)  
 
ただのマッサージだと頭では分かっているのだが、オイルにまみれたフローラの指は余りに官能的だ。  
薔薇の香りには催淫効果もある事など、メルルはもちろん、フローラも知らなかった。  
 
「外側から、内側に、小さく円を描くように・・・・優しくね?」  
 
メルルは、返事が出来ない。  
気を抜いたら、こみ上げて来る快感に流されてしまいそうだ。  
フローラに気づかれぬよう、必死に奥歯を噛み締めて、耐える。  
 
「下から上に持ち上げるようにして・・・こんな感じね」  
 
滑らかな指先が、じわじわと敏感な部分に近づいて来る。  
刺激でむくむくと乳首が勃ち上がっていくのが、恥ずかしくてたまらない。  
メルルの手が、シーツをぎゅっと掴んだ。  
 
「で、最後は、乳首の方に向かって、摘み上げるようにして・・・」  
 
電流が、走った。  
 
「はぁんっ!」  
 
突然の乳首への刺激に耐え切れず、思わず声を出してしまった。  
余りの恥ずかしさに、俯いたまま動けなくなってしまう。  
 
「す・・・すみません・・・」  
 
いやらしい娘だと思われただろうか。  
絶望的な羞恥に泣きそうになるメルルに、再びフローラの手が差し伸べられた。  
 
「・・・続けるわよ?」  
 
笑みすら含んだ、優しい声。  
メルルの背中に、柔らかな重みがかかる。  
量感のある乳房を押し付けるようにして、フローラは耳元で囁いた。  
 
「リラックスして・・・・力を抜いて御覧なさい・・・・」  
 
母のように、姉のように。  
慈愛に満ちた囁きと共に、メルルの乳房の上を、フローラの指が踊る。  
先程よりも繊細さを増したそれは、マッサージの領域を僅かに越え始めた。  
 
「・・・可愛い・・・」  
 
たまりかねたようなフローラの吐息が、メルルの耳朶を甘く濡らした時。  
 
「ひゃぁんっ!!」  
 
両方の乳首を摘まれ、メルルは悲鳴のような嬌声を上げた。  
 
更にオイルを取り、フローラは執拗に乳首を責める。  
ぬめった指先に、もはや言い訳も出来ないほどに勃起した乳首を弄られ、メルルは快感に身動きすら出来ない。  
フローラの指の動きは、今、完全に愛撫のそれに変わっている。  
女の急所を知り尽くした指先に、メルルはなすすべも無く翻弄され続ける。  
 
「とっても可愛いわよ・・・メルル・・・」  
 
留めていたピンを抜かれると、艶やかな黒髪が背中に流れる。  
薔薇と少女の匂いに陶然としながら、フローラはメルルを弄り続けて止まない。  
 
「フ、フローラ、さま・・・」  
「いいのよ。感じなさい・・・メルル」  
 
メルルの体から、最後の力が抜ける。  
金髪が月光に栄え、人とは思えないほど美しいフローラの顔が近づいてきた時、メルルは自ら目を閉じ、  
唇を求めてしまっていた。  
 
「・・・ん・・・」  
 
柔らかすぎるほどの甘い唇。  
やわやわと蠢く唇から、ちろり、と湿った舌が口腔に滑り込んで来る。  
上顎を舌先で弄られ、舌同士を絡ませ、乳飲み子のように夢中で唾液を飲み込む。  
互いの唇が離れた時、唾が銀の糸を引いて切れた。  
 
内気な少女には、刺激の強すぎるほど濃厚なキスに、メルルは半ば麻痺したようになっている。  
そんなメルルに微笑みかけながら、フローラはゆっくりと衣服を脱いでいった。  
豊満な乳房に、色素の薄い乳輪が、処女の鮮烈さをまだ保っている。  
見事にくびれた腰に、金髪の茂み。  
エロティックというより、神々しいものに、メルルには見えた。  
 
再び唇を重ねつつ、フローラの指がメルルの太股に伸びる。  
羞恥と快感に、思わず閉じてしまった太股を巧みにすり抜けて、フローラの指がパンティーの脇から  
秘所に浸入する。  
 
「あら?」  
 
知られてしまった。恥ずかしくて目が開けられないメルルの耳元で、フローラが囁く。  
 
「おませさんね。メルル。もう、こんなに溢れさせて・・・」  
「・・ぁぁ・・・」  
 
ぴちゃ、と、自分のそこからしたとは信じられないような淫らな水音が、目を閉じた分だけ  
鋭敏になったメルルの耳に届く。  
肉襞を指で弄られるたび、つつ、と愛液が垂れてしまうのが自分でも分かって恥ずかしい。  
肉芽を探り当てられると同時に、強く乳首を吸われて、メルルは髪を乱して悶えた。  
 
「ああっ!フ、フローラさまぁ・・・」  
 
甘えるような声を出してしまう。  
開かれた心と体は、フローラのぬくもりで満たされる事をひたすらに求めていた。  
愛撫に愛撫で応える事すら知らない処女の手が、必死にフローラにすがりつく。  
そんな少女がいとおしくて、フローラは指先を早めていった。  
ひくついた性器の分泌する淫液を絡め、皮の剥けかけたクリトリスの上を激しく滑らせる。  
 
「あ!あ!あ!こ、恐い!フローラさまぁ!」  
「いいのよ。メルル。いいの。大丈夫よ。私がついているわ」  
「あ!ああ!あああ!」  
「抱いていてあげる。抱きしめていてあげるわ。メルル・・・」  
 
絶頂を知らない体が、未知の恐怖に竦む。  
そんなメルルを体中を絡ませるようにかき抱いて、尚もフローラはメルルを責める。  
 
「可愛い・・・可愛いわ、メルル」  
「はぁ!はぁ!はぁぁあんっ!!」  
「イって。イキなさい!イクのよ!メルルっ!!」  
 
限界まで張り詰めた弦が、ぷつりと切れるように。  
下腹部から盛り上がる浮揚感が、メルルの意識を飛ばした。  
 
「ぁあ・・・・・あ・・・・・」  
 
しなやかな足が、ぴぃんと伸びる。  
どこまでも落ちてゆくような感覚の中、しっかりと抱いてくれているフローラの腕が愛しい。  
 
「フローラ、さまぁ・・・」  
 
定まらない意識の中、それでも名前を呼ぶ。  
答えるように重ねられた唇は、花びらよりも柔らかだった。  
 
荒い息をつきながら、徐々にフローラの胸の中で意識が覚醒してゆく。  
顔にあたる豊かな乳房の感触が、たまらなく幸せだ。  
頬をすり寄せた乳房に、固くしこった乳首の感触を感じて、まどろみのままそれを口に含む。  
 
「あっ・・・・」  
 
母のそれを舐るように、安らいだ気持ちのまま、舌先でフローラの乳首を転がす。  
 
「ああ・・・だ、ダメよ、メルル・・・」  
「気持ち、いいですか?・・・フローラ、さま・・・・」  
 
乳首を舐めつつ、上目遣いにフローラを見る。  
女神のような顔が、快感に濡れているのが、たまらなく嬉しい。  
フローラがしてくれたのをそっくり真似ながら、乳首を舐り上げる。  
 
「も・・・もう・・・悪い子ね・・・」  
 
思わぬ反撃に苦笑しながら、フローラは、そっとメルルから離れる。  
引き離されて、メルルが未練げに、そっと唇を舐めた。  
 
「こっちも・・・してくれる・・・?メルル・・・・」  
 
上体を起こしたまま、フローラは足を開き、陰唇を広げて見せる。  
まだ成熟しきらないメルルのそれと違って肉厚なそこは、淫らな液に濡れてたっぷりと潤っている。  
こっくりと頷いたメルルは四つんばいになると、フローラの陰所に顔を埋めた。  
ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・  
ミルクを舐める子犬のように、メルルはフローラの淫水を舐め取る。  
 
「はぁ・・・いいわ・・・上手よ・・・・」  
 
誉められるのが嬉しくて、女王の股間に頭を更に潜らせてゆく。  
頭を振ってクリトリスを舐め上げると、フローラがメルルの髪をかきあげて悶えた。  
 
「あぁ・・・メルル・・・」  
「お綺麗です・・・フローラさま・・・」  
「ああ、だ、ダメ、そんなとこまで・・・」  
「本当に、お美しくて・・・私・・・」  
「んっ!」  
 
メルルの伸ばした舌が、膣口を割って入ってくる。  
 
「はぅっ!」  
 
何も知らないがゆえの大胆さで、メルルは本能の赴くまま、フローラに奉仕し続ける。  
 
「お、おいしいです・・・フローラさま・・・」  
「メ、メルルっ・・・」  
「き、気持ち・・・いいですか?」  
「えぇ・・・ええ、とっても、上手よ・・・・」  
「嬉しい・・・・」  
 
甘えたように鼻を鳴らし、一心に舐める。  
フローラの反応を全身で感じ、わずかな変化を敏感に捉えては愛撫に強弱をつけてゆく。  
 
「も、もうっ・・・ほんとに、悪い子・・・」  
 
一方的にイカされそうになったフローラが、体の向きを変えた。  
フローラは上になり、メルルの穢れを知らない太股を抱えるようにして大きく開かせ。  
メルルは、フローラに顔を跨がれ、押し付けられている成熟した花弁にうっとりとした表情を浮かべながら。  
ぴちゃぴちゃと、お互いの愛液を啜り続ける湿った音が、ひたすら続く。  
 
フローラのねっとりとした舌技を、文字通り体で覚え、メルルはその舌使いを素直に返す。  
己の舐めたように己の秘所を舐められる快楽は、限りなく自慰に近く、それでいて自慰よりも強烈だった。  
 
「メルル・・・・お願い・・・指を、入れて・・・」  
 
まだ充分に成熟しきらないメルルの秘所には、指を入れる事を躊躇われる。  
優しくそこを舐めてやりながら、フローラは少女の指を欲した。  
 
「は・・・はい・・・」  
 
戸惑いながらも、人差し指の先だけが、膣口に挿れられる。  
 
「んっ・・・もっと、奥まで・・・もう一本、入れて・・・」  
 
ずぶり。  
遠慮がちな二本の指に焦らされ、思わずフローラは、はしたなく腰を振ってしまう。  
湿った肉洞に、きゅう、と指を締め付けられ、メルルの指先が甘く痺れる。  
少女の指からもたらされる快楽に没頭してフローラの舌が止まり、それはメルルを、フローラの膣内を  
探る作業に集中させてしまう。  
 
ずぼ。ずぼ。ずぼ。  
戸惑っていた指が、徐々にフローラの中の構造を把握してゆく。  
淫らな腰使いに犯されていた指が、明確な意思を持ってフローラのヴァギナを犯し始めた。  
 
「ああっ!」  
「き、気持ち、いいですか?フローラさま」  
「んっ!メ、メルルっ!」  
 
フローラの腰が跳ねる。  
腰を伸ばされてしまうと、メルルの口はフローラのヴァギナには届かない。  
再び陰所を舐められ、快感に朦朧としながらも、メルルの指は、まるで別の意思があるかのように  
フローラの中をかき回す。  
 
「ん゛ん゛っ!!」  
 
くぐもったフローラの叫びが、顔を埋められた股の間から響く。  
お返し、とばかりに、フローラの舌が激しさを増した。  
フローラの中を探っていたメルルの指から、正確さが失われていく。  
 
「はぁんっ!!」  
 
膣口を処女膜もろともに舐められ、飛び上がるようにしてメルルは叫んでしまう。  
勃起した陰核を指で擦られ、覚えたてのオーガズムの波が、すぐそこまで来ているのを感じた。  
もう技巧を凝らす余裕も無い。  
目を閉じ、快感に酔い、闇雲にフローラのヴァギナに指を突き込みながら、メルルは悶えに悶える。  
 
「あ!あ!!きちゃう!きちゃうっ!!!」  
 
オーガズムに達する寸前、痙攣したように震えた指が、偶然フローラのGスポットを捉えた。  
 
「だ、ダメっっ!メルルっ!!!」  
「き、きちゃうっーーーー!!!!」  
 
先に絶頂に達したメルルの指が、Gスポットを引っ掻くようにして一気に引き抜かれた。  
尿道から込み上げてくる何かを止める事も叶わず、フローラは絶頂した。  
 
「あぁああぁああっ!!」  
 
ぷしゅ。  
二度目の絶頂の余韻に動けないメルルの顔を、フローラの潮が、汚す。  
ひくひくと動いていたフローラの腰が、がっくりとメルルの上に落ちた。  
お互いの陰部に顔を寄せ合い、そのまま動けない。  
二人は、唇を重ねるのと同じだけの想いを込めて、互いの性器に口づけをした。  
 
 
「ごめんなさいね。すっかり汚しちゃったわ」  
 
タオルで顔を拭いてもらう心地良さに、メルルは猫のように目を細めている。  
 
「少しも、嫌じゃないです。フローラさまの、だったら・・・」  
「・・・ありがと」  
 
ちゅっ、と音を立てて少女の唇をついばんでやると、メルルは子供のような笑みを見せた。  
 
「すっかり、遅くなっちゃったわね・・・」  
「はい・・・」  
「少しだけでも、眠っておきましょ」  
 
キャンドルもいつの間にか尽きて、月明かりだけが部屋を照らしている。  
お互いに抱き合い、目を閉じる。  
火照った肌のぬくもりが溶け合い、心強く、満ち足りた気持ちが湧いて来る。  
 
「・・・フローラさま?」  
「なあに?」  
「私、本当に、フローラさまに、似ていますか?」  
「ええ。そっくりよ」  
「・・・わかりません」  
 
目を閉じたまま、ぎゅう、とフローラにすがりつく。  
そんなメルルの素直な黒髪を優しく撫でながら、フローラは言う。  
 
「早くに、両親を亡くして・・・早く、一人前にならなくっちゃ、いけなくって・・・」  
 
豊かな胸元を伝う汗に、薔薇が香った。  
 
「いつも、必死だったわ。でもいつもいつも、自分の非力さだけを思い知らされて」  
 
自分の事なのか、フローラの事なのか分からない。メルルは目を開けてフローラを見上げる。  
母のようにメルルを撫でながら、目をつぶり、何かを思い出すようにしてフローラは続ける。  
 
「好きな人は、すごく強い人でね。いつも私は、その後姿を見る事しか、出来なかった・・・・」  
 
追憶に胸を噛まれ、フローラの手が止まる。  
 
「そうしている内に、その人は行っちゃったわ・・・私の、二度と手の届かない、所へ」  
 
涙が、零れた。  
フローラの、そして、メルルの目から。  
 
「だからね」  
 
目を開けて、メルルを見るフローラは、それでも微笑んでいた。  
 
「貴女は、そんな想いをしちゃ、ダメ。ほんの少しだけ、勇気を出してごらんなさい。後悔だけは、  
しなくていいように」  
 
こくり、と頷くメルルを、もう一度、フローラは慈しむように撫でた。  
 
「おやすみ。メルル」  
「おやすみなさい。フローラさま」  
 
メルルは目を閉じる。  
瞼の裏側に、愛しい人を思い浮かべて、眠る。  
 
誰よりも大切なその人を、嵐から守る力は無くても、自分にも何かが出来るかも知れない。  
例えば、薔薇のように。  
傷ついた心を包む、その甘い香りのように。  
気高く美しい、その姿のように。  
 
ゆっくりと、眠りに落ちてゆくメルルの心に、薔薇が咲いた。  
決して派手では無いけれども、どこまでも優しいその薔薇は、赤でもなく、白でもなく。  
まばゆいエメラルドグリーンに輝いて、メルルの胸で、密やかに、花開いていった。  
 
 

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