ノックの音がした。  
 
「ダイ君!いる?」  
 
返事も待たずに勢いよくドアを開け、弾むように軽快な足取りで部屋に入って来たのはレオナ姫だ。  
後ろ手に閉めたドアが、ばたあん!と大きな音を立てて閉まる。  
お世辞ににもお行儀のいい振る舞いとは言えないが、彼女がすると許せてしまうし、何となくさまにもなってしまう。  
王族としての気品と少女の無邪気さが、何の矛盾も無く同居するレオナだけに許された、それは特権なのかもしれない。  
 
「ダイくーん?」  
 
返事は、無い。  
栗色の長い髪をさらりと泳がせ、部屋を見渡す。  
確かに、ここにいると思ったのに。  
少しがっかりしかけた目が、お目当ての人を探し当てて、にんまりと笑んだ。  
 
「いたいた♪」  
 
小さな少年が寝るには、余りにも豪奢で大きなベッドの上で、ダイはすやすやと健康な寝息を立てていた。  
特訓で疲れて、そのまま寝入ってしまったらしい。  
ベッドの脇には、脱ぎ散らかされた胸当てや立てかけ損ねた剣が、乱雑に転がっていた。  
王宮の中でもかなりいい部屋をダイの寝所としてあてがったのだが、これでは台無しである。  
レオナは苦笑した。  
 
昼寝をするには実にいい時間だし、いい天気である。  
そうっ、とレオナはベッドの端に腰掛けた。  
今日は、山積した公務を14歳の少女としては有能過ぎるほどの能力で片付け、やっと作った貴重な休みである。  
氷炎将軍フレイザードの手から救い出されて以来、パプニカ復興に追われて、まだゆっくり話も出来ていない。  
なので今日は、命を救ってもらったお礼、というのを口実に、無理やりにでもダイを引っ張り出して遊ぼうと思っていたのだが。  
 
(フフフ・・・子供みたい)  
 
ダイの、頑固なくせっ毛を優しく撫でて、レオナは微笑んだ。  
何処かへ遊びに行くのもいいが、久しぶりの平和な午後のひと時、一緒にお昼寝も悪くない。  
靴を脱ぎ、ついでに複雑な装飾の入った金の腕輪や肩当てなども外してしまう。  
両脇に深いスリットの入った薄手のワンピースだけという身軽な姿になると、レオナはダイの隣に寝そべって頬杖をついた。  
 
すぐそばにダイの顔がある。  
少年の髪からは、日向の匂いがした。  
 
すやすやと眠るダイを見ているうちに、ちょっと悪戯をしたくなってしまった。  
 
「えい」  
 
小さく言って、人差し指の先で、ダイの頬をつっつく。思ったよりもずっと柔らかい感触が指先から伝わってきて気持ちいい。  
 
「えいえい」  
 
ふにふにとほっぺたをつっつく。やっぱり気持ちいい。  
 
「ダイくーん・・・・おきなさーい・・・」  
 
もちろん、起こすつもりなんてさらさら無い。そんなもったいない事、するはずがない。  
絶対に起こさないよう、細心の注意を払いつつ、それでもレオナはダイの顔をあちこちいじくり回して飽く事を知らない。  
くすくす笑いをかみ殺しながら、鼻をつまんだり、ほっぺを引っ張ったり。  
そんな罪の無い悪戯をしていた指が、ダイの唇に、触れた。  
ほんの少し開いた口から、粘膜の湿った感覚が伝わってきて、レオナは思わずぞくりとした。慌てて手を引いてしまう。  
 
知識だけは、いっぱい持ってる。  
恋愛の時、男と女がどうするのか。更に言うなら、その先、男と女が、何をするのかも。  
けれども。  
その実践となると、これっぽっちの経験値も無いのがレオナだ。  
男の子の唇が、あれほど柔らかく、心地のいいものだなんて、どんな本にも書いてはいなかった。  
少し鼓動が早くなる。こわごわと再びダイの唇に触れる。ダイの寝息が、生々しく指先を湿らせるのを感じる。  
さっきまでしていた悪戯とは、全く違う種類の、気持ちよさだった。  
 
「・・・ダイくーん・・・・」  
 
ダイは眠っている。起きる気配は、全く無い。  
 
「ダイくーん・・・・おきちゃ・・・ダメよー・・・・」  
 
少し髪をかきあげる。そっと顔を、近づける。  
彼女の大切な小さい勇者の、あまりに純な寝顔が、すぐ目の前にある。  
たまらなかった。  
 
そっと、唇を重ねた。  
 
きもちが、よかった。  
痺れるほどに。  
 
まだ胸がドキドキしている。  
両手で口を蓋うようにし、目をつぶったままレオナは動けない。  
まさか、こんな形でファーストキスをしてしまうなんて。  
そして、キスをするとこれほど嬉しく、幸せな気持ちになれるなんて。  
極上のワインを飲んだ時よりも、頭がぽーっとしていた。  
 
吸い寄せられるように、再びレオナの唇が、ダイのそれの上に落ちる。最初は遠慮がちに。次第に大胆に。  
頬に。鼻の頭に。おでこに。まぶたに。  
何かを確かめるように、キスの雨を降らせて行く。  
 
「・・・・ダイくん・・・・」  
 
眠るダイの手をとり、自分の頬に当てる。  
剣を振るいつづけてきたその手は、小さいながらも驚くほど逞しいその感触をレオナに伝え、陶酔の海へいざなう。  
レオナの口から、抑えきれない吐息が漏れた。  
 
「おきないで・・・・ダイくん・・・・おきちゃダメ・・・」  
 
痛いほど張り詰めた、まだ硬さの残る乳房に、ダイの手を導く。  
ほんのわずかに湿った、暖かな感触が伝わってきて、レオナは震えた。  
薄手の布地ごしに、はっきりと分かるほどレオナの乳首が隆起している。  
胸元をゆるめ、直接乳房を触らせる。  
マメがつぶれ硬くなったダイの手の平に、ざらりと乳首をヤスリがけられ、レオナは痛みと快感に声も無く悶えた。  
 
(いけない・・・・)  
 
ダイの手を動かす事を止められない。  
明らかに、いつもの彼女ではなかった。  
眠れない夜、幼い自慰行為に耽っている時に、幾度も想像したシチュエーション。  
眠るダイに、淫猥な悪戯をする、自分。  
その淫夢が現実となった悦びが、彼女の理性を押し流してゆく。  
 
(どうし・・・て?)  
 
世界が、再び平和を取り戻すまで、恋愛にうつつを抜かすことは許されない。  
ダイとの関係も、無邪気なじゃれあい以上のものを、彼女は自分に禁じていた。  
その彼女が、今、娼婦のように腰をくねらせ、眠る少年の前で薄汗をにじませて官能に酔っている。  
ありえないことだった。  
 
(ダメ・・・ダイくんっ・・・起きないで・・・見ないでっ・・・!!)  
 
ダイは、起きない。  
唇を舐められ、指をしゃぶられ、きつくレオナの乳房を揉むように手を動かされても、寝息すら乱れずに眠り続けている。  
 
(ああ・・・もう・・・ダメ・・・・)  
 
眠る少年が、ただただ愛しい。  
 
ほかに、もう、なにも、かんがえられない・・・・・  
 
ダイの手を、スリットの脇から忍ばせてゆく。  
シルクのようにきめの細かい太股の皮膚にダイの指先が触れた時、レオナは思わず声を上げた。  
 
「あんっ!!!」  
 
電流が走る。小さな手を、太股が挟み込んで離さない。  
 
「・・・ぁぁ・・・・」  
 
パンティーを脱がなきゃ。しみにしてしまう。  
ダイの手を太股に挟んだまま、レオナの震える手がスリットに入れられ、パンティーの紐をほどく。  
少しだけ汚してしまった純白の下着を脱ぎ捨て、ワンピースをも脱ぎ去り、生まれたままの姿を晒してしまう。  
マアムと比べると、その胸の膨らみこそささやかだったが、折れそうなほど細い腰からなだらかな丸みを帯びた尻のラインの美しさに、目  
を奪われない男はいないだろう。  
栗色の陰毛はごく薄く、誰の目にも晒した事の無い処女の性器は、わずかに腫れぼったく開きかけていた。  
 
「ダイ・・・くん・・・」  
 
そっと、レオナはダイににじり寄る。  
その小さな頭を跨いで膝立ちになり、左右の指で陰唇を広げて見せる。  
 
「ああ・・・・見ないで・・・見ないで、ダイ君!」  
 
蜜がしたたる。  
無邪気とも言える安らかさで眠る少年の顔のすぐ上で、はしたなく発情した女性器を見せつけている自分。  
今、ダイが起きたら。この痴態を見られてしまったら。  
きっと軽蔑される。きっと呆れられてしまう。  
そんな想いは、レオナの性慾をいよいよ燃え上がらせる役にしか立たない。  
右手の中指が膣口の前を往復し、たっぷりと愛液を絡め取る。  
滴った愛液がダイの顔に一滴垂れた。聖なるモノを汚した背徳の悦楽に、眩暈がした。  
 
彼女の高貴な指先は今や淫水にまみれ尽くし、肉色の真珠のような敏感な核の上で淫靡に踊る。  
 
「・・・ぁ・・ぅ・・・」  
 
声を殺すのは、ダイが起きてしまうからというより、いつもの癖だからだ。  
執拗に、慣れきった手つきで自らを堕としめる。  
自分から出たとは思えない、はしたない淫水の匂いにすら感じてしまう。  
ダイも、きっとこの匂いを吸い込んでいるだろう。  
そんな淫らな想像に、レオナの意識が真っ白になる。  
震える。震える!!全身が震える!!!  
 
「ぁぁぁぁああああっ!!・・・・っっっ!!!はああっ!!!!!」  
 
がくがくと震え、レオナは絶頂する。  
 
淫慾に充血しきった処女の性器が、別の生き物のように蠢く。  
ダイの頬の上に、大粒の涙のような愛液の雫が、ぽたりと落ちて流れた。  
 
ダイの顔の上で崩れそうになるのをどうにかこらえ、その枕元で蹲る。  
レオナはひくひくと体を痙攣させつつ、膝を抱えたまま涙を浮かべていた。  
なんてあさましい。こんなはしたない事を、してしまうような娘だったのか。自分は。  
けれども、肉体はまだ満足しきっていない。  
彼女の胸の奥に秘められた、淫靡な夢を叶えろ、と、成熟しきっていない女芯が狂おしく燃え上がっている。  
 
ダイを見る。  
その寝息は、余りにも静かで規則的だ。  
どう見ても、寝たふりには見えない。そんな器用な誤魔化しの出来る少年では、絶対に無い。  
なのに。  
レオナの視線が、一点で静止する。  
 
「あ・・・・」  
 
ダイのペニスが・・・・勃起している。  
その姿に似合った、愛らしいとすら言える膨らみではあったけれども、ダイのズボンの股の部分は、確かに男の形をとって屹立していた。  
意識は無いままに、レオナの痴態に体だけを反応させたのだろうか。  
びく、びくと脈打っているそれをどう扱うか、心は迷っているはずなのに、体は淀みなく動いた。  
両手でつつみこむように優しく、幼い膨らみを撫で、少年の下半身を露出させてゆく。  
彼女の中で、理性と本能の力関係は、今や完全に逆転していた。  
ずっと前から、こうしたかった。こうするのが、夢だった。  
狂おしくレオナはダイを抱きしめた。  
 
「ダイ君・・・・ダイ君・・・!ダイ君!!」  
 
愛しさと罪悪感の入り混じった涙に、頬と心を甘く濡らしながら。  
全てを捧げ尽くすようなひたむきさで、レオナは献身的な愛撫を惜しまない。  
ダイの乳首を優しく舐め上げ、勃起したペニスを尚も覆っている包皮を、実にあっさりと剥いてしまう。  
初めて触るはずの男根をしごき立てながら、体をくねらせて自らの勃起した乳首を、ダイのお腹から胸へと這わせる。  
本で読んで想像しただけの技巧を、自分が成人女性の熟練をもって使いこなしている事に、レオナは気がつかない。  
開ききった肉襞をこすりつけられたダイの太股には、まるでスライムが這った跡のような、愛液の痕跡が光っていた。  
 
恥垢が残っているのもかまわない。  
むしろ、それを舌先で優しく舐めとってあげていると、動物的な母性すら感じるほどだ。  
ダイの股間に顔をうずめ、レオナは上品とすら言える舌使いで、一心にダイのペニスを舐め続ける。  
尿道口を、舌先でちろちろとねぶる。  
透明で粘り気の強い汁がにじんで来たのを、何のためらいもなく舐めとり、飲み下す。  
初めて包皮のむけたペニスは痛々しいほどに充血し、肉壷を求めて猛っていた。  
 
もう少し、口でして上げれば、きっと出してくれるだろう。  
おぼろげに、それは分かる。でも。  
ダイの初めては、自分自身で受け止めたい。初めての射精を、自分の胎内で感じたい。  
一人ぼっちの寂しい夜、眠れずに自分を慰めながら幾度となく妄想したように。夢見たように。  
夢・・・・・  
 
そうか。これは夢だ。きっと夢なんだ。  
 
レオナの体から力が抜けた。  
夢ならば、いくらでも大胆になれる。レオナは女神のように微笑んだ。  
眠るダイの腰を跨ぎ、そそり立つペニスの先端を、膣口へと導いてゆく。  
 
「ダイ君・・・・大好きよ・・・」  
 
甘く囁くと同時に、腰を沈める。  
ダイの小さなペニスが、それでも充分すぎる存在感で、自分のヴァギナを裂いて奥に進んでゆくのが分かった。  
 
「はあんっ!」  
 
処女なのに、あんまり痛くない。それどころか、おかしくなりそうなほど気持ちがいい。  
やっぱり夢だ。  
安心して、レオナは快楽を味わう事に没頭する。  
膨らみきった亀頭のエラに、入り口辺りの膣壁を抉られると、おしっこが漏れそうなほどに気持ち良くってレオナは喘いだ。  
 
「ああん!気持ちいい!気持ちいいよお!ダイ君!」  
 
娼婦顔負けの淫らさで、姫君は腰をグラインドさせる。  
ダイの肉棒に、破瓜の赤い血と、白く濁った本気汁が混ざり合って垂れる。  
汗と愛液を飛び散らせ、ダイの上で踊るレオナは、壮絶に艶かしかった。  
 
眠ったままのダイの呼吸が徐々に荒くなって来た。  
幼い顔に快楽の表情が刻まれてゆくのを、レオナは見た。  
 
(ダイ君が、感じてる!!)  
 
そう思うと背筋から、歓喜の稲妻が全身に走った。  
思わず達してしまいそうになるのを、身を震わせて必死にこらえる。  
 
(まだよ。まだダメ。一人だけイッちゃダメ!ちゃんとダイ君をイカセてあげたいの!!)  
 
健気に下唇を噛みしめ、絶頂の誘惑に耐えながら、レオナは可憐なお尻を上下させてダイの肉棒に快楽を注ぎ込む。  
気持ちよすぎて苦しい。  
たまりかねてレオナは叫んだ。  
 
「まだ?まだ?ダイ君!ダイ君!イって!!イって!!!ああんっ!イってえ!!ダイ君っ!!!!」  
 
姫としての立場も今は完全に忘れ、とろけそうな快感に翻弄されるままに、悲鳴のような嬌声を上げる。  
子宮口が、ぐうぅっと持ち上がり、精子を受け入れやすい形にレオナの膣が収縮する。  
 
(もう・・・・ダメ・・・・)  
 
今にもイってしまいそうな、その時。  
胎内で、ダイのペニスをがびくんと動いたのを、確かに感じた。  
そして。  
 
「ああああんっ!!!で・・・出てるぅよぉ・・・っ!!!」  
 
ばしゃ、と膣の中で液体をぶちまけられたのを感じる。  
びくん!びくん!数度にわたる肉棒の痙攣と共に、レオナの胎内に生暖かいものが広がってゆく。  
ダイの生まれて初めての射精を、子宮で受け止めきった満足感に、レオナの官能が一気に爆ぜた。  
 
 
「は・・ああああああああっっっ!!!!!!」  
 
 
ぱっ!、と長い髪を宙を舞わせて、レオナはのけぞり、倒れた。  
きゅうぅ、と名残惜しげに収縮する膣壁に締め上げられながら、肉棒が抜け、開ききった膣口から精液が漏れた。  
 
(あ・・・こぼしたくないな・・・・)  
 
たゆたうような絶頂の浮遊感の中、そんな風に思ったのを最後に、レオナは失神した。  
 
 
「・・・ん・・・」  
 
気がつけば、夕方。  
窓から流れて来る風が少し冷たくて、レオナは目を覚ました。  
身を起こし、小さくあくびをする。  
傍らのダイが、子犬のように丸まって寝ているのを見て、レオナは微笑んだ。  
 
「風邪、引いちゃうわよ?ダイ君ったら」  
 
ダイのお腹の上に毛布をかけてあげて、ベッドから降りる。  
傍らに置いてあった装飾品を身につけながら、ふと思った。  
 
(あれ?あたしいつの間に服着たのかしら?)  
 
浮かんだ言葉に、思わず苦笑する。  
 
(それじゃあついさっきまで、素っ裸でいたみたいじゃない。まだ寝ぼけてるのかな)  
 
何だか、とってもいい夢を見た気がする。公務での疲れが吹っ飛ぶほど、心の底からスッキリとした目覚めだった。  
うーん、と思いっきり伸びをする。よし。また頑張れそうだ。  
 
その時。  
何かが、とろり、と性器から流れ落ちたのを感じた。  
 
(え?)  
 
生理には、まだ間があるはずだ。それに、お腹だって少しも痛く無い。  
それどころか温かくって気持ちがいいくらいだ。  
不思議には思ったけれど、流れて来るそれは決して不快な感触でない。  
心地良い充実感が、じわりと下腹部に広がっている。  
嬉しかった。  
何か、夢が叶ったような、そんな幸せな気持ちが溢れてきて、レオナは少しだけ泣いた。  
 
 
ダイの眠る、大きなベッドの下で。  
ゴールデンメタルスライムのゴメちゃんも又、眠っていた。  
 
 
少女の秘めた願いに呼応し、小さな奇跡を起こしていたその姿を見たものは、誰も、いなかった。  
 
 

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