人の『欲』ってもんは本当に怖いと思う。
最初は、少しクセのある柔らかい髪に触れるだけで幸せ。
次は、ぽっちゃりとした唇に自分の口を重ねるだけで幸せ。
次は、普段からは想像出来ないような弱弱しい甘い声を聞けるだけで幸せ。
次は、俺だけにしか知らない色っぽい顔を見れるだけで幸せ。
次は、次は――――――――??
「あっ・・・んんっ!」
夜、少し灯りを落とした部屋であいつの声が響いている。
後ろから抱きしめながら、柔らかい乳房の感触を楽しみ
首筋に舌を這わすと、抑えていた声色が荒い吐息と共に吐き出された。
「やっ、だ・・ぁっ待って!ま・・って、んんっ〜!」
艶っぽい横顔を眺めながら、桃色の髪を掻き上げ首筋に軽く噛み付く。
「ふぁっ!!・・っん、ダメっ!・・イ、ヤ・・っ」
逃げようとする体を抱きしめて、笑いながら耳元で囁く
「明日・・・髪下ろさないとダメだな・・」
そう言って髪に隠れるギリギリの位置に小さな跡を残していく・・・。
「ダメ・・信じっ、らんない・・・バカ・・ぁ・・」
こいつからいつも言われる『バカ』って言葉も、そんな甘い声で言われると
何だかくすぐったくて嬉しい気持ちになっていった。
「ん・・・バカかも・・もっと、その声聞かせて・・・??」」
紅く染まった印を確認するようにペロリと舐めて、胸の突起を軽く摘んだ。
「ああっ・・んっ!!んん、っポップ・・っぁん・・!!!」
強弱を付けながら指で捏ねてやると、そこはまるで別の生き物のようにふっくらと
動きに合わせて大きく膨らんできた。
その変化をあいつも感じているのか、不安そうな声で俺の名前を呼ぶ
「やっ・・だっ・・ポッ、プ・・んっ・・ポップ・・。」
顔が見えなくて不安なのか、弱々しい声で何度も俺の名前を呼んでいる・・・。
まるで、迷子の子供のような声は俺の『何か』を引き出してくる。
(そう言えば、俺って昔から好きな子程いじめて泣かしてたなぁ・・・)
ゾクリとする感情を感じながら、脱ぎ捨てた服の間にバンダナが転がっているのが見えた。
そのバンダナに目をやりながら、言い訳するように呟く。
「もしかして・・・・姿、見えない方が感じる??」
そう言った瞬間、あいつの頬が紅く染まったのが見えた。
「バッ・・カ、んっ・・何言って・・・きゃぁっ!!」
あいつの言葉が言い終わる前に、バンダナに手を延ばし目元に巻き付け視界を奪う。
「ちょ・・・!!?冗談やめてよ・・・外しっ・・て・・!」
その声にさっきまでの甘い色は無い。その代わり戸惑いと怒りの色が濃く感じられる。
布を取ろうと暴れる体を組み敷いて強引に唇を重ねた。
「んんっ!・・・っ〜!!!!」
これ以上正気に戻らせないように、ねっとりと舌を絡ませて唾液を送り込む。
言葉を塞ぐようにぴちゃぴちゃと音を立てながら唇を吸うと、あいつの体が甘く震えだした
「っ、やっ・・だ、っ・・・止め、て・・・」
唇を吸う度に抵抗は弱まり、声に艶っぽさが戻ってくる。
「ん?・・・何で??こっちの方が良さそうなのに・・・。」
「よ・・くっない、んっ・・・見えない・・のこわ・・い、っ・・!」
その声をうっとりと聞きながら、馴染ませるように丹念にあいつの体を撫でた。
「怖くない、ほら・・分かる?これ俺の手。」
一つ、一つ確認するように手を這わした後、そっと唇を重ねる。
「・・・これが俺のくち」
そう言いながら形の良い唇をなぞるように舐めると、あいつの唇から短い吐息が漏れた
「これが俺の舌」
唇から頬・頬から額に軽く口付けを落としていく、そして耳元まで来た時甘く囁く。
「これが俺の声・・・見るんじゃなくて、もっと俺の事感じて?」
不安そうにシーツを掴んでた手を剥がし、自分の手を重ねる。
小さい手を握ると、俺を受け入れるようにそっと握り返してくれた。
手を?ぐのと同時に抵抗するのを止めて、体の力を抜いて俺に預けてくる。
それが『許可』の合図と受け取り、握り返した手に軽く口付けながら笑みを浮かべた。
普段は気が強くて全然言う事なんて聞かないくせに、こういう場になると途端にそれは弱くなる。
(それを分かりながらやってる俺もタチが悪い・・・・な)
こんな風に『俺しか知らない』事を増やしたくて、結局いつもワガママを通してしまう。
艶っぽい声や姿を知るたびにその欲求はどんどん深くなり、情欲を駆り立てる。
ゆっくりとした動きで体中に舌を這わし、味わうよう攻め立てた。
「っ・・・んぁ・・・んんっ、や・・っ・・」
舌が動く度あいつが俺を確認するように手を延ばして縋り付いてくる。
その『俺を求める』ような仕草がとても可愛くて、もっとその儚い姿を見たいと思った・・・。
もっと俺に縋り付いて欲しくて、下半身に手を延ばし薄っすらとした茂みに手を滑り込ます。
直接的な愛撫はまだ行っていないのに、既にしっとりと湿って熱を帯びていて
確かめるようにあいつの中に指を入れると、くちゅりといやらしい音を立ててすんなりと俺を受け入れる。
その水音を恥じるような声で、荒い吐息が俺の名前を呼んだ。
「んっ・・・あっ、ポ・・ッ・・プぁ、ま・・・って怖、い。」
恥かしげに呟くセリフを聞いて意地悪な気持ちがチラリと覗いた
「怖い?何で??いつもよりすごいのに・・・ココ。」
その音を聞かすように、たっぷりとした動きで指を動かしながら笑いながら囁く
「・・・やっぱり見えない方が感じる?」
「―――――ちが、うっぁ!!!やっだ!んんっ・・・」
言葉とは裏腹に触れば触るほど濡れた音は大きくなり中から愛液が溢れ出してくる
いつもなら中指を入れるだけで、きゅうっと締まるそこはまるで別の生き物のように
とろとろと蜜を垂らしてねだる様に絡み付いてきた。
それに応えるように、指をもう一本増やすと泣きそうな喘ぎ声が聞える
「ひっぁ!!は、ぁ・・・あんっ・・・もうっや・・・だ・・ぁ!!!」
泣けば泣くほど、あいつの中は喜ぶように震えて暖かく指を包み込む。
見えない事で恥かしさが薄れるのか、それとも逆に恥かしさを煽るのか―――。
どちらかは分からないが、明らかに今日の感じ方はいつもと違っている。
細い体を抱きしめながら二本の指でかき回しながら、敏感に跳ねる所を突き当てて
執拗に攻めた。
「やっ、だぁ・・ああっん・・・手、離して・・?はっ・・ぁん!!!!」
その声は嬌声と言うより泣き声と言った方が正しく、男の欲を刺激してくる。
目隠しをされながら、俺に押さえつけられて泣き声を上げるあいつを見てると
まるで無理やり犯しているような気になってゾクリと鳥肌がたった。
指を動かしながら、口から零れた唾液を舐め取り唇を重ねる。
「ン!!??ふぅ・・ん!!!!??――――――ぅ!!!!」
突然の口付けに驚いたように、あいつの体がビクリと強張った。
膣内と同じくらい熱い口内を俺の唾液で濡らしていく、舌を絡めて強く吸い取ると
その動きに合わせて下半身がブルブルと震えてる感じているのが分かる・・・。
「っ・・・、本当に、いつもと全然違うなぁ・・・イきそう?」
ちゅっちゅっと短い口付けを繰り返しながらあいつに囁きかけた。
「・・あっん、な・・に?が、ぁんんっ・・い・・く・・??って・・あっ・・」
言葉を聞いている余裕が無いのか、それとも言葉自体知らないのか不思議そうに聞き返してくる。
その言葉を合図にして、あいつの体を強く抱きかかえ指の動きを更に早めた。
「あっぁ!!!やぁ・・・!!!!止めって、あっ・・何か・・やぁ!!!」
指を激しく動かせば動かすほど、膣内が蜜を溢れ返り、二本の指をキツク締め付けてくる・・。
抱きしめている体が小刻みに震えて、どんどん変わっていくのが分かった。
―――――きっと達するまでそう時間はかからないだろう
追い詰めるように指を動かすと、あいつが泣き声を上げて俺に訴えてくる。
「んんっ・・・やっ・・動かさっ、ないで!!!離し・・って・・・こわ・・い!!」
目隠しをしているバンダナはあいつの涙でうっすらと滲んでいた。
頬に零れる涙を舐め取りながら、優しく抱きしめ高みに導いてやる。
「うん・・大丈夫。このまま、イって?・・・おいで・・・」
そう言った途端、膣内は強く俺を締め付けあいつの体が大きく震えた。
「やっあ・・・んっ、ああぁ・・・・・っ―――――――――――!!!!!!」
悲鳴にも似た声を上げて俺にしがみ付いた手が、ギリッと爪を立てて皮膚を裂いた。
軽い痛みと味わった事の無い優越感を感じながら、あいつが変わる姿を眺める。
「・・あっ・・んっ・・はぁ・・・」
まるで糸が切れた人形のように、力なくもたれる体をベットに寝かせて落ち着かせる。
まだ余韻が残っているのか、朱に染まった肌や乳房がふるふると震えていた・・・。
ぐっちょりと濡れた太腿や、溢れる蜜で色が変わったシーツを眺める
その姿は今まで見た中で一番いやらしくて、綺麗な姿だった。
目隠しを取って涙で濡れた目や頬に唇を落とした。
「・・・ごめんな。目、痛くない・・・??」
視界を取り戻した瞳は涙で潤み、恨めしさと恥かしさを混ぜた微妙な色で俺を睨む。
「―――――っん・・信じ・・っらんない・・―――――っバカ・・・」
こんなに艶っぽい格好をしているのに、子供のような拗ねた言い方が可愛すぎて
細い体をぎゅうっと抱きしめた。
行為が終わった後のように、どこかほっとしているあいつに口付けて甘く囁く
「ごめんな・・でも、まだ終わりじゃないんだ・・・」
「え――――――――――??」
あいつが驚いた顔をしたのと同時、足を開き硬くなった自身を強引に押し入れた。
「やぁっ・・・!!ん・・ったっ・・・いっ・・っ!!!!」
突然の挿入にあいつの体が大きく仰け反り、痛みに耐えるように背中にしがみ付く。
「――――――っき・・つっ・・・」
一度達しているせいか、そこはいつもよりきつくて溶けるように熱くなっていた。
さすがに一度では全部入らず、浅い所で何度も出し入れを繰り返し馴染むまで待つ。
くちゅという濡れた音を確認しながら、全てをあいつの中に入れていく。
「うっ・・ん・・ぁっ・・あっ、ん・・」
深く入っていく度に、何かを感じるようにあいつの短い喘ぎが応えてくれる。
その声が二人の『つながり』を確認しているようで何だか嬉しくてつい口に出してしまう。
「へへっ・・・分かる?入ってんの・・・すっげ、気持ちいい・・」
紅く染まる頬と泣きそうな顔を見ながら、ゆるやかに動いて暖かな中の感触を味わう。
「んんっ!バ・・カっ・・、言わな・・いっで・・・。」
こう言うセリフはあいつは苦手だと知っているのに、その困った顔をみたくていつも苛めてしまう。
「んっ・・ほんと、バカかも・・・好き。マァム、大好き・・・」
柔らかい体を抱きしめ、中を掻き回しあいつの声を引き上げてやる。
「あっ、ん・・やっ・・・はっ、んんっぁ!!!」
激しく動けば動くほど早めるほどあいつの声は泣き声に近くなり、許しを乞うように俺の名前を呼ぶ。
その声を嘲笑うように繋がった部分からは、濡れた音と肉のぶつかる音が楽しそうに響く・・・。
悲鳴と嬌声その2つの声があいつの中から聞えて、俺の興奮を引き出し絡み付いてくる。
「あっ・・ぁん!!ポ・・ップ・・・あっ・・・っっん・・・・。」
喘ぎ声に合わせて膣が温かく締め付けて吸い付いてくる、その独特の感触に背中が震えた。
このまま中で吐き出したい感情と、もっと中を味わっていたい感情が気持ちよく混ざり合う。
あいつの喘ぎと自分の呼吸が遠くなり、膣の温かな感触とぐちゃぐちゃと掻き回す音が大きくなる。
「・・・っ・・・マァ・・ム・・・・!!!」
何かに取り憑かれたように激しく腰を突き動かし、あいつの中を貪りめちゃくちゃに掻き回す。
「ふぁ・・・!!!やぁ・・んっ・・!!!あぁ――――――!!!!」
悲鳴にも似た喘ぎ声と共に、あいつの中が吸い出すようにきつく締め付ける。
それに導かれるように、柔らかな肌の上に精を吐き出した―――――――。
-------------------------------------------------------------------------------
長いような短いような夜が終わる・・・・・。
ぼんやりとした意識の中でそう感じながら、手探りで体を探し抱きしめる。
名残惜しそうに柔らかい感触を味わいながら、寝ぼけた目であいつの顔を覗き込む。
昨日、行為が終わった後、気を失うようにあいつは眠りに落ちていった・・・。
無茶をさせてしまったせいなのか、眠る顔には少し疲れたような色が混ざっている。
「ごめんな・・・・」
そう呟きながら、乾いた涙の跡をそっとなぞる。
「でも、見たかったんだぁ・・・お前が自分の為に泣く所・・・」
最初はちょっとした興味だった。
こいつは『誰か』の為には簡単に涙を流すくせに、『自分』の為には絶対に泣かない。
そんな自己犠牲の塊みたいな奴が、自分の為に泣く時の顔はどんな顔なんだろう・・・。
そこまで考えて、気まずそうに頭を掻いて呟く。
「だからって・・・泣かすのは違うよなぁ。」
そう言いながらも涙の跡を見て、罪悪感とは別に少しの優越感を感じている自分もいる。
首筋に付けた後を撫でるなでながら確認するように呟く。
「絶対・・髪下ろしても見えるよな、これ・・・」
確信犯で付けた印。きっとあいつはその事に気付かず、皆の前に立つのだろう――――。
「ごめんな、いじわるばっかりして・・・・。」
謝罪の言葉を口にしいても、その印を見て顔には笑みが零れている。
「欲って・・・怖いなぁ・・・。」
結局あいつの嬉しい顔も泣き顔も体も声も、自分が全部独占したいだけなのだ。
そこまで考えてあいつの体を抱きしめた、朝が来る少しの間もう少し眠ろう・・・・。
そうすれば今呟いた事は全部夢って事にして、何食わぬ顔であいつと一緒に朝を迎えられる。
(ずりぃよなぁ・・・俺って・・・・)
そんな事を考えながらも暖かな肌の感触を感じながら短い眠りについた。