舞台はヒュンケル・ラーハルト・エイミの三人が旅に出て半年が経ったある夏の日の深夜。
とある酒場で彼らは酒を飲み交わしていた。
「・・・よし、女はつぶれたか、では行くぞ」
テーブルの上で酔いつぶれたエイミを尻目に、ラーハルトはヒュンケルの腕を引っ張って店を出た。
ヒュンケルの方はまだ正気を保っていたが、ラーハルトの方はどう見ても正気じゃないだろうという顔をしていた。
「・・・・・・ラーハルト・・・・・・ここは一体・・・」
いきなりラーハルトに連れて来られた店の前でヒュンケルが固まる。
「ふん、お前は風俗と言うものも知らんのか?」
「いや、そーじゃなくてな・・・」
こういう店はラーハルトのイメージとは180度違う。つまり彼はそうとう酔っていたのだろう・・・・・・
「いらっしゃいませ〜」
ボーイらしき人物が元気に声を上げる。
「いや〜、よくいらっしゃいました。ささ、こちらです」
どさくさに二人は奥の部屋に引っ張られ、ヒュンケルは逃げ出すタイミングを見つけ出すことができなくなってしまった。
「当店はお客様の妄想によるクローンの女性をご用意しております。クローンと言っても人間の女性と同様、体温もありますし、感情もあります。
そして何と言ってもクローンの利点は、生で×××しても一切問題はありません。お客様のお時間が過ぎれば自動的に女性は消滅します」
ボーイが次々と説明していく。そしてラーハルトの手を取った。
「この機械に手を置いてください。するとあなたの心の奥底の理想の女性のクローンが現われます。あ、手を置いているときは何も考えなくてもいいですよ」
ラーハルトはおもしろそうだなといわんばかりに怪しげな機械に手をかざした。
数秒が経った。
「な、なんだあ!?」
大きな音とともにいきなり機械から煙が現われた。そしてその中から何か人影のような物が見えた。
「おはようございます」
「げっ!?」
二人は呆気に取られる。いきなり若い女性が魔法のように目の前に現われ、挨拶をしたのだ。
「こちらは、ラーハルト氏のお相手の○○ちゃんです」
・・・何の抵抗もなくボーイが紹介した。しかしさすがのラーハルトも固まってしまった。
だが彼が固まった理由は、ヒュンケルの思っていたこととは少し違っていたようだ。
(お、俺は本当はこーいう女が好みだったのか・・・・・・もっと肉付きの良い女が好みだと思っていたが・・・)
彼の目の前に現われた女性は年の頃は20代の半ばくらい。背が高く色白で華奢、長い黒髪が纏っている和服と良くマッチしている、いかにも清楚な女の子だった。
「さあ、ラーハルト様、お部屋へご案内します」
「ん?・・・あっああ・・・」
そう言って、ラーハルトはそそくさと和服の女性と出て行ってしまった。
つづく?