- 近頃彼のことが気になって仕方が無い。
・・"気になる"とは違うのかもしれない。
彼を思えば胸が熱くなる。
胸だけじゃない。頬が赤くなり頭はぼーっとする。
私は、今までこんな感情知らなかった。
・・・これが恋というものなのだろか。
− 「うん。それは立派な恋ね!」
マァムの話にレオナは頷きながらも関心は別のところにあるようだ。
「で、その相手は誰なの?ヒュンケル?ポップ君?」
どっちなのよ。
テーブルから身を乗り出し瞳を輝かせ問うレオナの予想をマァムは否定する。
「えー、じゃぁ誰なのよ!」
興味津々でとうレオナにマァムは少しだけ困った顔をしながらも恋しい人の名前を紡いだ。
「・・え・・?」
意外な人の名前に思わずレオナは自分の耳を疑う。
「・・そんなに意外かしら。」
そんなレオナの反応にマァムは心外だわ、と頬を膨らませる。
「まぁ、意外といえば意外・・・よねぇ・・」
てっきりポップ君かヒュンケルとくっつくと思ってたわけだし、
それ以外の人とって可能性もそりゃ無きにしも非ずだったわけではあるけれどまさか・・ねぇ?
こんな大穴なんて想定の範囲外もいいところよ、頭を抱えるレオナを他所にマァムの桜色の瞳はどこか遠くに思いを馳せていた。
− 彼の朱の瞳から目が離せない。
彼は自分のことなど見てはいない。そんなことはわかっている。
けれどそれでもいい。ただ彼を
「で、どうするの。」
何時の間にか立ち直ったレオナに問われマァムは目を丸くする。
「どうするって・・何を。」
「何をって・・・告白とかする気無いの?」
「無いわよ」
「はぁ!?」
あっさり返ってきたマァムの返答にレオナは思わず声をあげるが
だって、彼の思い人は私ではないことがわかっているもの。
少しだけ悲しげなマァムの言葉に口を紡ぐ。
「でも、本当にそれでいいの?
秘めたままでいるなんて今は良くても絶対に後で辛くなるわよ。
・・・思いは伝えられるうちに伝えなきゃ。例えそれが玉砕覚悟でも。」
行ってらっしゃいな。私は、貴方を応援するから。
「レオナ・・」
今でも彼のことを思えば胸が熱く辛いとすら思う。
告げてしまえば、楽になれるのかしら。
例え彼に受け入れてもらえずとも?
伝えられる、うちに。
・・・伝え・・・たい。
私は彼にこの思いを、伝えたい。
「・・ありがとう。」
顔をあげ感謝の言葉を口にするマァムの顔は今まで見た中で一番輝いてたようにレオナは思った
-「・・は?」
マァムの唇から零れた言葉に思わず彼-ラーハルトは朱の瞳を丸くする。
彼のこんな顔なんてそうそうお目にかかれないだろうな、と思いつつマァムはもう一度繰り返した。
「私は、貴方が好きです。」
繰り返されたマァムの告白にラーハルトは心底理解しがたいといった風に頭を抱える。
夜中にいきなり訊ねてきたと思えば何を言い出すんだ。この女は。
「お前、自分が何言ってるのかわかってるのか?」
「ええ。わかっているわよ。全部わかって言ってる。
貴方が私のことなんて眼中にないことも、全部わかっているつもりよ。」
まっすぐに自分を見詰めてくる桜色の瞳にラーハルトは溜息一つ。
「ほぉ。じゃぁ、こんな夜中に男の部屋へやってくることの意味は?」
マァムの柔らかな頬を撫で付けながら冗談半分、本気半分といった表情で問う。
声音にはからかいが含まれていたが
「ええ。一応、わかっているつもりよ?」
貴方が望むのなら構わない。
むしろ、私は
「貴方に抱かれるのを望んでいるもの。」
マァムはその問いに満面の笑みで答えた。
- あー、これはなんだ?
"据え膳食わぬは男の恥じ"ってものなのか?
冗談のつもり、だったんだけどなぁ。
ふぅと息をつきながらも落ち着いてマァムに視線を移す。
白すぎず焼けすぎず。
健康的な色の肌に、ほんのりと赤く染まる頬。
うっすらと潤む大きめな桜色の瞳。
赤い唇も豊満な胸も尻も柔らかそうだ。
悪くは、ない。
一瞬脳裏にヒュンケルの姿が思い浮かんだが
『何時までも手を出さないのが悪い』
と割り切ることした。
「なら一度だけ聞くぞ。
オレはお前のことを少しも愛してなどいない。
お前の体だけが目当てだ。
本当にそんな男に抱かれて、いいのか?」
「ええ。構わないわ。」
ずっと、人を愛するということがどんなことなのかわからなかった。
ポップやヒュンケルが私に好意を持ってくれているこにも気づくことが出来なかった。
けれど、貴方に出遭って初めて人を愛する気持ちがわかった。
今ならばエイミさんやメルルの気持ちがわかるような気がする。
貴方を思えば胸が熱い、頬が紅く染まる。鼓動は高鳴る。
私は、貴方に
貴方が。
「貴方が好きです。
私を、抱いてください。」
にやり、笑みを浮かべラーハルトはマァムの唇を奪う。
柔らかな唇を舌でこじ開け歯列をなぞり軽く、吸い上げる。
初めてのキスの感触にマァムの瞳に恍惚の色が宿る。
甘く、とろけてしまいそう。
このまま、 離れたくない。
「ふぅ・・・ん・・ふぁ・・」
唇が離れたあとも“もっと”と求めるようにマァムは半分口を開き舌を覗かせる。
その様子に軽く笑みを浮かべながらもラーハルトはもう一度軽くキスを落とし、首筋へと舌を這わせゆっくりとマァムの体をベッドへと横たえる。
舌を這わせながらマァムの白い肌へ証を刻み柔らかな乳房を優しく揉みしだく。
「・・っ、ぁ・・ぁぁ」
ラーハルトから与えられる刺激に漏れる声をマァムは必至に抑えようとする。
そんなマァムに笑みを浮かべながらも声を出すようにと促す。
「声、出しても良いんだぞ?」
「でも・・」
頬を紅らめるマァムにラーハルトは意地の悪い笑みを浮かべ先を促す。
「はずか、しい・・」
マァムの搾り出すような声に思わず笑みが零れる。
「お前はオレに抱いて欲しいのだろう?」
ならば、もっといい声で鳴け。
耳元で囁かれるその言葉は酷く残酷でいて甘美な響き。
耳から、脳へ、体中へと染み込むようだ。
「・・はい・・」
彼の言葉に言語中枢も操られるかのようだ。
唇から言葉が零れてゆく。
「ふぁぁ・・」
ラーハルトの手の中で柔らかなマァムの乳房が形を変える
指が硬く勃ちあがった乳首を摘み弾く。
そのたびにマァムの唇からは熱い吐息が零れ落ちる。
「・・・脱がすぞ」
マァムが軽く頷いたのを確認しゆっくりと衣服を剥いでゆく。
豊かな乳房が、柔らかな太ももが露になってゆき頬はほんのりと赤く染まっている。
その絶景にラーハルトは満足気な笑みを浮かべ赤く色づく乳首に口付ける。
「ひゃぁ!」
瞬間、甘美な電流が体中を走り抜ける。
今まで異常の強い性感にマァムの体がビクンと跳ね上がる。
そんなマァムの反応を楽しむかのように更に硬くなった乳首を舌で転がし軽く歯を立てる
空いている一方の手は柔らかな太ももを撫でまわし叙々に潤う花びらへと近づいてゆく。
「・・ぁ・・」
ラーハルトの指は濡れた花園を撫で、胸を愛撫していた舌は証を刻みながらマァムの下腹部へと降りて行く。
最も恥ずかしい場所へと口付けられそうになり思わず「ダメっ」とマァムは声を上げる。
それに対しラーハルトは「オレに何をされても構わないのだろう?」と笑みを浮かべマァムの真珠へと口付けた。
「ひゃあぅっ」
舌は紅い真珠をなぞり指は濡れた膣を掻き回す。
その度に濡れた水音と喘ぎが部屋中に響きわたる。
どこか遠くで自分の声を聞いてるようだ、とマァムはぼんやりと思う。
頭の中は与えられる快楽に弾けてしまいそうだ。
「はぁ、ぁ・はあぁんっ!!」
絶えまなく与えられる快楽にマァムは一際大きな声をあげびくりと体を震わせた。
「・・なんだ、もうイッたのか?」
はぁはあと荒く息をつくマァムをラーハルトは笑みを浮かべながら見下ろす。
桜の瞳は涙で潤い肌は薄桃色に色付く。
柔らかな秘肉はまるで自分を誘うかのように濡れそぼり入り口を開けている。
その光景にラーハルトは思わず息を飲む。
女を抱いたことは何度だってあるが、こうまで欲を掻きたてられたのは初めてだ。
「・・少し痛いだろうが我慢しろよ。」
「ぇ・・あうっ!?」
膣に押しあてられたモノが一気に侵入してきた。
最初は異物感、次に痛み。
そして愛するヒトと一つになれた喜び。
瞳から痛みの為か喜びの為か涙が溢れる。
溢れる涙を掬う舌が擽ったくてマァムは軽く笑みを溢す。
今はもう痛みは消え耐えがたい快楽へと変わっていた。
「あぁ!あ・はぅんっ」
ラーハルトが突き上げるその度にぐちゅんと濡れた音とマァムの喘ぎが部屋に響く。
- 何時も、彼の朱の瞳は何処か遠い誰かを見ている。
そのことに気付いてから私は貴方から目が離せなくなっていた。
最初は
“何処を、誰を見ているのか”
それが知りたかった。
今は、 -
奥へ、奥へと突き上げられるその度に頭の中が真っ白になりそうな快楽。
声を張り上げ腰を振り必死に快楽をむさぼる。
アァ、アァ。
モットアナタヲカンジタイ!
「ふぁ、ぁ・・」
波の様に押し寄せてくる快楽に必死に抗うももう限界だ。
体がビクンと震え膣がきゅうと締め付ける。
「あぁぁっ!」
ふわふわと体が浮いているようだと、思った。
お腹の中に吐き出された液体の温かさを感じる。
アァ、シアワセ。
-“誰か”を見つめる彼をずっと見つめていた。
最初は“誰を”見つめているのか、それが知りたかった。
今は
「・・私を、見つめて欲しい。」
そう言った私の髪をラーハルトは優しく梳いてくれた。
「最初は、ね。
貴方にこの気持を伝えられればそれで充分だと思ってた。」
けど、欲が出てきたみたい。
そういって笑う私ににぽつりとラーハルトは言葉を零した。
「・・“誰を”見ていたのか、か・・・
今は、もう逢えない人達と未だ会えない人・・・」
言うラーハルトの瞳はやっぱり此処では無い何処かを見ているようだった。
その声もどこか悲しげな響きを含んでいるように思えた。
その朱の瞳は私を見てはくれない。
けれど、私は。
「それでもあなたを見つめていたい。」
何時か、あなたが私を見つめてくれる日まで。
私の言葉にラーハルトは驚いたように瞳を丸める。
けれど直ぐにその表情は優しい笑みへと変わった。
きっと、彼のこんな顔はヒュンケルですら見たことがないだろうなと思う。
「そうか・・好きにしろ」
その言葉に体中が幸せで満たされていくような、そんな気がした。
貴方が私を見つめてくれるその日がくるまで。
貴方の側にいさせてください。
I'll be there END