マァムとヒュンは付き合いだして3ヶ月くらいの関係。なんかひとつ屋根の下で暮らしてるってことで。
(一軒家に二人暮らしでも、パプニカに住み込みでも、旅をしながら宿屋に寝泊まりでも、お好きなシチュで)
えっちもしたけどマァムはあくまで受け身でヒュンケルはあくまで優しく抱くような
まだ初々しい感じ。
そんなえっちに満足していた二人だったけど…
ある日マァムがパプニカの書庫でそれを見つけてしまったことから物語は始まる。
書庫の片隅にまるで隠すようにひっそりとしまわれていたその本に、マァムの目は釘付けになっていた。
「やだ…なんなのこれ。」
開いたページには大きく男女が正常位で性行為している様子の絵が描かれている。
-いわゆる「Hな本」。日本で言うところの古来の春画のようなものだ。
もちろん、マァムは世の中にこんな本が存在することを知らなかった。なぜそんな本が存在するのかも。
初めて見るその未知なる本に驚きつつも、目が離せないでいる。
思わずごくりと喉を鳴らして固唾を飲んでしまい、慌てて周囲を見回す。幸い書庫には彼女しか居なかった。
「…これって…どう見てもHしてる最中の絵よね…」
小声で独り言を呟く。
(うう…客観的に見るとすごい格好。…私達もHしてるときってこんななのかなぁ;)
本に触発され自分たちの行為を振り返ってしまい思わず赤面する。
赤面しつつも、マァムの手はソロソロと次のページをめくる。
するとそこには…
(????なに?これは?なにをしてるの?)
それは女性が男性のイチモツを口にくわえている…いわゆる「ふぇらちお」の絵だった。
しかしマァムの瞳には理解不能な妙ちくりんな行動にしか見えない。
(…ひょ、ひょっとして私は今まで知らなかったけど、普通はHのとき男性の××をこうしてあげなきゃいけないのかしら?)
本の背表紙を持つマァムの手に汗が滲む。
(考えてみれば…ヒュンケルは私の体の色んな所にキスをしてくれるけれど、私はただ横たわってるだけで何もしていないわ。
そうよ、きっと普通はこうして女性も男性の身体にキスしてあげなきゃいけないんだわ。
ああっ、私ってば…知らなかったとは言え今までヒュンケルに何もしてあげてなかったなんて!)
勘違いの自責の念にかられたマァムが苦悩の表情で本を畳む。
「待っててねヒュンケル…!私、今夜からはちゃんと『正しいH』をするからね…!!」
夕食が終わるとヒュンケルは風呂を済ませソファーに座って静かに本を読んで過ごした。
夕食の後かたづけを終えたマァムも風呂を済ませる。
マァムが風呂を出るとヒュンケルは読んでいた本に栞を挟み、彼女の腰を抱いて寝室へ向かう。
それが毎日の自然な流れだ。そしてもちろん今夜も、彼は風呂上がりの彼女の肌の質感を楽しむように抱きすくめ寝室へと誘う。
ベッドの横でキスをしながらヒュンケルの手はマァムの夜着を丁寧に剥いでいき、自分も裸になる。
そして、いつものように彼女をベッドに横倒そうとしたとき
「あ…待って、ヒュンケル」
マァムがヒュンケルの手を制した。
「…どうかしたか?」
「あ、あのね…私、今まで知らなかったから…その……今までちゃんと出来て無くてごめんなさいっ。
あの、今日からはちゃんと…するから。上手く出来るか分からないけど…その…がんばるからね。」
ヒュンケルはさっぱり意味が分からないと言った顔をしている。
「一体なんの…」
言いかけたヒュンケルを再びマァムの手が制した。
「ごめん、やっぱり恥ずかしいから、目を閉じててもらえる?」
なにがなんだか分からないままヒュンケルは彼女に促されるままに目を閉じた。
マァムはヒュンケルが目を閉じたことを確認すると、深呼吸を一つし、ベッドに腰掛けている彼の足の間にそっと入り込んだ。
初めて間近で見る男のソレにマァムの身体は緊張で強張る。
緊張でうっすら汗ばんだ彼女の手がヒュンケルのモノに触れた。
「!!?」
その刺激にヒュンケルが慌てて目を開くと、そこには自分のモノに手を添え口づけしようとしているマァムの姿が。
「なっ!?何をしてるんだっ!」
マァムの頭を押さえヒュンケルが慌てて身体を引き離した。
いきなり怒鳴られたマァムはびっくりしてポカンとしている。
「ご、ごめんなさい。何か間違っていた…?」
「間違っていたとか、そういう事じゃない。なんでこんな事を…」
「え?だって…」
マァムの顔に不安げな表情が広がったことに気付き、ヒュンケルは声のトーンを落とし優しく問いかける。
「…こんな事、どこで覚えたんだ?」
「……今日…書庫に行った時にそういう事が載ってる本を見つけて…それで…女の人も男の人の身体にキスするものだって、初めて知ったの…だから…」
俯いて恥ずかしそうに申し訳なさそうにマァムは呟いた。
ヒュンケルは目を丸くした後、こみ上げてくる笑いを堪えている。
「そうか。」
そう言ってヒュンケルはマァムの頭を自分の胸に抱き寄せた。
ヒュンケルは口淫という行為の事を知らなかったわけではない。
けれどまだ16歳の少女で性行為でさえつい最近知ったばかりの純情な少女がそれをする事には激しい抵抗を覚えた。
ましてやヒュンケルは彼女のことを聖母や天使と言った風に神聖化していた。
現にヒュンケルが彼女を抱くまでには長い葛藤と迷いがあったのだ。
今でさえ汚したくないと言う想いと猛烈に彼女の全てを求める想いとの狭間で、ヒュンケルはマァムを抱いている。
それほどに大切に想っているマァムにそんな事をさせようだなんて、これっぽっちも考えた事はなかった。
彼女にはいつまでも純真なままでいて欲しいというのがヒュンケルの密かな願いでもあったのだ。
だから、さきほどのマァムの一連の行為の原因がなにやら彼女の勘違いだと言うことが分かって
ヒュンケルはほっと安心するやら彼女の天然ぶりに苦笑するやら。
「…私、何かいけなかった…?」
ヒュンケルの胸に抱かれながらマァムが問う。
「そういう風に、女が男の身体を愛撫するカップルも確かにいるだろう。だが、それは必ずしもやらなくてはいけない行為ではない。
むしろ性に熟練した者が相手へのサービスでするような事だろう。
…俺は、そんな事よりもお前が全身で俺の口づけを…俺の想いをただ受け止めてくれる方が遙かに嬉しいがな。」
マァムは頬を染めヒュンケルを見上げた。
「……ごめんなさい……変な事しちゃって…私、馬鹿みたい。」
しゅんとなるマァムが可愛らしくてヒュンケルはまたクスリと笑う。
笑われたマァムは少しむくれてヒュンケルの胸にグリグリと額を押しあてる。
そんな彼女の桜色の髪を指で梳きながらヒュンケルは言った。
「肌を重ね合うのにしなくちゃいけない決まりなど無い。ただ相手を求める気持ちを素直に表せばいいだけだと…俺は思うがな。」
-相手を求める気持ち…マァムは頭で反芻した。
私がヒュンケルを求める気持ちってどうやって表れてるんだろう?
マァムは小首を傾げてヒュンケルに聞いてみた。
「ヒュンケルが…私を求めてくれるのは、凄く分かるの。でも、いつも受け身の私は貴方を求める気持ちをどうやって表したらいいのかしら?」
「…気付いてないのか?」
「え?」
ヒュンケルは少し悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。
「じゃあ気付かせてやろう。お前がこんなに俺を求めてくれていると言うことを、な。」
「…え………あっ…!」
ヒュンケルの指がマァムの足の間に滑り込む。ヌルリと滑らかな感触が指に伝わった。
割れ目に沿って指を走らせればその先の蜜穴にいざなわれるように指は滑り込んでいった。
「う…っんんっ…!」
「…分かるか?お前のここはもうこんなに潤って俺を待っていてくれてる。それに…」
ヒュンケルはマァムの秘所に指を入れたまま彼女を押し倒し、今度は胸の先端に軽く愛撫する。
既に桃色の先端は固くなっている。
「あっ…あぁんっ」
「ここも、こんなに反応して俺の口づけを求めているだろう?」
「ん…っ」
「お前が俺を求めてくれている気持ちは全身で表れている…汗ばむ肌も吐息を漏らす唇も…な。」
そう言うとヒュンケルは秘所に挿し入れた指を激しく動かし、舌は彼女の耳元に這わせた。
「ひぁっ…!あぁうっ…うぅんん…っ!!」
マァムの身体がシーツの上で悶える。
速度を増した指の動きにクチュックチュッといういやらしい音がマァムの耳にも届く。
いつしか彼女の溢れる液は腿を伝って白いシーツにまで辿り着いてる。
(あぁ…本当だわ…私の体がすごくヒュンケルを求めている…。)
耳から首から胸へと上半身に降り注がれるキスの雨と
激しく彼女の熱い部分を責めたてる指の動きに、マァムは抗えない快楽と彼の惜しみない愛を感じながら身を委ねた。
(嬉しい…ヒュンケルがこんなに私の身体を愛してくれているのが…)
ヒュンケルは右手は秘所を責めたまま、左手で彼女の頬を撫で囁いた。
「マァム…俺の腕の下で喘ぐお前が、俺はたまらなく愛おしい。だから…俺はそんなお前が見たくて
誰も知らないお前の顔がもっと知りたくて…お前の身体を愛でることが止められない。
俺も狂おしいほどお前を求めているんだ、マァム…。」
「あっ…あぁっ!…ヒュンケルぅ…っ、は、ぁあんっ!」
ヒュンケルは蜜壺から指を引き抜くと、その蜜に濡れた指で今度はマァムの淫核を転がした。
マァムの身体がビクンとのけ反る。
「ひゃあぁんっ!やっ…やぁぁっ!」
左手は彼女の白い太股や尻を優しくそうっと撫でる。
下半身の対照的な刺激にマァムは思わず鳥肌を立てた。
さっきまでの身体が燃えるような熱い刺激とはうって代わって、今度は神経を弄ばれているような背筋がゾクゾクする感覚が身体を襲う。
「はぁっ…ふぁぁっ…んんっ…」
声にならない快感を吐息で吐き出す。
ヒュンケルは触れるか触れないかの絶妙なタッチでマァムの胸に愛撫する。
どうしようもなく焦らされ弄ばれているようなのに、マァムの快感はどうしようもなく高まっていき
彼女の秘所から溢れる愛液はまるで失禁したかのように太股をビショビショに濡らしていく。
「いや…ヒュンケル…こんなの、いやぁ…」
涙目でマァムが訴える。
「…どうしてだ?」
ヒュンケルが意地悪く聞く。
「…んっ…こんな…焦らされるような触られ方…いや………。」
息も絶え絶えにマァムが訴えるとヒュンケルは意地悪な質問を更に続ける。
「どうして欲しい?」
マァムの手が宙を彷徨いヒュンケルの背中にしがみつく。
「……て…。」
「聞こえない。」
「……れて……入れて…私の中に……。
全身が痺れるほど、私の体、ヒュンケルのことを求めてるの…
欲しいの、貴方が。お願い……ヒュンケルとひとつになりた…」
言い終わらないうちにマァムの唇をヒュンケルのキスが奪った。
真っ赤な顔で目を潤ませ彼の愛を懇願する彼女の姿はどうしようもなく可愛く
どうしようもなく官能的でどうしようもなく愛おしかった。
彼女のこんな情熱的なおねだりは初めてだった。
ヒュンケルは煽られた欲情を彼女が求めるがままに躊躇無く与えた。
「っああぁあっっっ!!!」
マァムが白い首を仰け反らせる。
一気に奥まで差し込まれたそれは散々焦らされた彼女の身体をいきなり頂点へと導いた。
ビクン、ビクンッと彼女の太股が大きく震えた。
「-------っ……ヒュンケルぅ…大…好き…。」
ヒュンケルの背中に爪の痕が付くほど強くしがみついていた手から力が抜ける。
息を切らせマァムは脱力した…が、ヒュンケルは彼女の腕を掴むと自分の首に掛けさせた。
「今度は俺を満たしてもらう番だ。」
そう言うとヒュンケルはマァムの上半身を起こし挿入したまま彼女の腰を掴んで持ち上げた。
「えぇっ!うそっ!?」
ヒュンケルはマァムの身体を抱えたままベッドから立ち上がる。
マァムはずり落ちないように必死に彼の首にしがみつく。
それでも重みで沈んで行く身体がより二人の結合部を深くさせた。
「ぅああぁっ…うそぉっ…こんな奥まで…っ」
ヒュンケルの大きな男根がマァムの胎内を探求するように奥へ奥へと進んでいく。
「やだぁっ…無理よぉこんなの…壊れちゃうぅ…」
自分の体重を支えてしがみついているマァムの腕がブルブルと震える。
ヒュンケルは彼女の腰を抱え直すと腰を突き上げた。
「ああぅっっ!!」
からだの奥の奥まで突かれたその刺激にマァムが叫びを上げる。
「マァム…もっと、もっと俺を呑み込んでくれ…!」
ヒュンケルは何回も激しく腰を突き上げた。
二人のピッタリ密着した身体に汗が滑る。
「ひぁあっ!あっ!ぁあっ!あっっ!!」
もうマァムの口から言葉は出てこない。痺れる頭で考えることもできない。
二人の繋がった部分から溢れる液は床に小さな雫をいくつも落としていく。
「マァム…マァム…!!」
一際突き上げられた腰の動きと共にマァムの中に熱いものがそそぎ込まれる。
「ーーーーっっ……。」
マァムをベッドに横たえさせ男根を引き抜くとゴプッと言う音と共に大量の白濁液が彼女の膣から溢れだした。
ヒクヒクと震える脚を抑えようと手を伸ばしたマァムの手に太股を伝った白い液が絡みつく。
マァムはそれをそっと舌で舐め取ってみた。
「…マァム…」
「…いつか…私の身体全部で…ヒュンケルを呑み込んであげたい…」
マァムは薄く目を開け微笑むと、気を失ったかのように眠りに落ちた。
静かになった部屋でヒュンケルは寝息を立てるマァムの髪を優しく梳いた。
…どんな淫らな行為も、この愛しい娘がすれば
それは純真な愛に基づく情熱的な行為に昇華するのかもしれないな、とおぼろげに考えながら。
彼女の唇をそっと指で撫で
「それもいいかも知れんな…」
呟いたヒュンケルの言葉を、幸せそうな寝顔を浮かべたマァムは知らない。
END