ザァァ・・
突然降り出した雨は更に勢いを増し森の木々に大量の雨粒を打ちつける。
「やみそうもないわね。どうしよう。」
「しゃあねえ。もう夕方だし今夜はここに泊まっちまった方が賢明だな。」
「えぇ!?あなたと二人っきりで!?いやよ!それにアバン様達が心配してるかも知れないじゃない!」
「ばっ…ばかやろう!俺だって、その、お前となんか…ゴニョゴニョ…
とっ、とにかく!アバン達なら心配ねぇよ。仲間とはぐれちまうなんて騎士団で遠征してた頃にはよくあったんだ。
だからこういう状況には俺もアバンも慣れてんだよ。
どうせあいつらも今夜はどっかで雨をしのいで、朝になってから合流をはかろうとするさ。」
小屋の窓から黒く広がった雨空を見上げてロカが言った。
そんなロカの後ろで、レイラは黙って暖炉に火を付けた。
村人に頼まれて山森に巣くうモンスターを討伐しに来たアバン・ロカ・レイラ・マトリフ一行。
しかし森の深部まで進んだ所でモンスターの襲撃に会い、気が付くとパーティーは散り散りになっていた。
幸いロカとレイラはすぐ合流できたものの、アバンとマトリフはなかなか見つからず
二人で森を彷徨ってるうちに日は暮れかけ、しまいには雨まで降り出す始末。
しかしそこで偶然に山小屋を見つけられたのは2度目の幸いか。
…ロカにとってはそこが無人で必然的にレイラと二人きりになれたのは3度目の幸いだったが。
「服がビチョビチョになっちゃったわね。何か着替えるものはないかしら。」
レイラが濡れた黒髪をかき上げながら、小屋の中をウロウロと探索する。
水滴を払うように後ろ髪をかき上げると白いうなじに雫が伝うのが見えて、思わずロカは息を呑む。
「あ、毛布があったわ。」
レイラは発見した毛布のほこりをはたき、一枚をロカに手渡す。そして、隣の部屋に移動すると「覗かないでよ。」と言い残しドアを閉めた。
「だっ…誰が覗くかっ!!」
ロカは顔を紅潮させてドアに向かって叫んだ。
「ったく…これだから女って奴は……ブツブツ」
女ってやつぁいつもそうだ。なにかと一言多い。おせっかいで神経質で口やかましい。
王宮にいたときもそうだ。いつもアバンの回りに群がってた女達はピーチクパーチクと甲高い声でどうでも良いことを口々に喋っていた。
そのくせ、こっちが少しでも言い返そうものならメソメソ泣き出す。たまったもんじゃぁない。
だから俺は女なんて面倒な生き物、大嫌いだったんだ。
…なのに、どうしてこんな事になっちまったんだろうか…。
気が付くとあいつから目が離せない。あいつと喋ってるアバンに嫉妬する。
あいつが笑ってくれると、たまらなく嬉しい。
最初は、アバンにばっかり優しくするあいつなんか大嫌いだった。
…まぁ、俺がパーティーに女を入れることを大反対してたから、あいつも俺に対してあからさまにつっけんどにしてた訳だが。
けど、戦場に出るとそんなみみっちい事はしない女だった。
分け隔てなく仲間に回復呪文をかけ、モンスターに傷つけられてもメソメソしたりしないで果敢に立ち向かっていった。
気が付くと、俺も戦闘ではあいつを信頼していた。多少無茶な特攻をしても必ずレイラがバックアップしてくれると信じられた。
普段は相変わらず喧嘩もよくしたけど、戦闘中は阿吽の呼吸で動けるほど息が合っていた。
「仲がいいですねぇ。凄いコンビネーションでしたよ。」
なんてアバンによくからかわれたっけ。
いつしか普段でも喧嘩腰で喋ることはなくなり、あいつも俺に優しくなっていった。
…別の意味で“女”として意識するようになっていったのはこの頃からだったか。
手首が細いだとか、色が白いだとか、睫毛が長いだとか、変なところにばっかり目が行くようになってしまって俺は焦った。
元カール騎士団団長ともあろう俺が、そんな軟派な事を考えるようになるなんて!
意識すればするほど俺はあいつをつっけんどにし、つっけんどにすればするほど、よけいに気に掛かって仕方なかった。
もっと知りたい、あいつの事が。もっと触れてみたい。あの笑顔を独り占めしたい。
でも…でも…でも……!!!
俺は硬派で有名なカール騎士団長のロカ様だぞーー!!!恋だの愛だの俺とは無縁の世界のはずだろーがっ!!!!
「何やってるの?」
ふいに背後からかけられたレイラの声にロカが飛び上がって驚く。
「さっきから一人でブツブツ言ったり、頭抱え込んでみたりして…大丈夫?風邪でもひいたんじゃない?」
「な、なんでもねぇよ!!」
言い返して振り向いたロカは更に驚愕のあまり固まることになった。
そこには服を脱ぎ、毛布で体を巻いただけの無防備極まりないレイラが立っていたからだ。
「おまっっ…なんちゅー格好をっ…;;;」
ロカは一気に茹で蛸のように耳まで赤くなる。
「しょうがないでしょ。濡れた服を着たままじゃ風邪ひくもの。」
レイラはてきぱきと自分の濡れた服を暖炉の前に干し始める。
「ロカも早く着替えたら?」
ロカはゴクリとつばを飲み込んだ。
半裸の二人は暖炉の前に座り込み黙ったまま暖をとっていた。
不規則な雨音とまきの燃えるパチパチという音だけが聞こえる。
暖炉の火に照らされてレイラの白い肌が赤く染まって見える。ロカはなるべくそれを見ないように目を背けた。
小屋の屋根に打ち付ける雨の音が段々激しくなってきた。
「アバン様達は大丈夫かしら。」
レイラは独り言のように呟いた。
「大丈夫だよ。あいつは器用だからな。なんとか雨ぐらいはしのいでるさ。マトリフだってルーラが使えるんだしな。」
ロカは暖炉にまきをくべながら言った。
「…アバンが心配なのか?」
「それはそうよ。もちろん信頼はしてるけど、仲間の無事を願うのは当然でしょ。」
ロカはチラとレイラを見た。
「おまえ…ひょっとしてアバンのこと好きなのか?」
突拍子のない質問にレイラが目を丸くする。
「どうしたの?そんな事言い出すなんてロカらしくないわよ。」
「べっ、別にっ、なんとなく思っただけだ!もういい、なんでもない!気にするな!」
一方的に話を終えようとするロカにレイラは益々きょとんとする。
「そんな言い方ってないでしょう?自分から聞いてきたくせに。」
背を向けたロカの素肌の肩にレイラが手を置く。ロカの胸が大きく高鳴る。
「…アバンは…器用で強くて女に優しくて、いつも女にモテてたんだ。
だから…お前もあいつに惚れてるんじゃねえかと思っただけだよ。」
ロカがぶっきらぼうに吐き出した。
「…あきれた。なんだかいじけた発言ね。ロカらしくない。」
「うるせぇな!もうこの話は終わりだ!」
「勝手に終わらせないでよ!本当に自分勝手なんだから!」
「なんだと!?」
「人の好きな男まで勝手に決めないでくれる!?
大体ロカはいつもそうよ、女はこんなもんだ、って決めつけてる!」
珍しく声を荒げて怒るレイラに、さすがのロカも少々気押しされる。
「世の中にはね、 無茶で愛想が悪くって女嫌いでいっつも怒鳴ってるような、
そんな偏屈男が放っておけないっていう物好きな女だって…」
勢いで一気にまくし立てたレイラは途中でハッとする。
「…物好き女だって…いる…といいわね、多分。」
急に小声になってレイラは顔を横に背けた。
ロカはぽかんと口を開けている。
「お前…」
レイラは顔を真っ赤にしたまま横を向いてる。
二人の鼓動が早鐘のように高鳴る。
ロカは黙ってレイラの肩に手を置き、彼女を抱き寄せた。
「…っな、何か言ってよ…。」
「だめだ、お前のこと好きだなんて言っちまったら、硬派の俺のアイデンティティが崩れちまう。」
固く目を閉じて力任せに不器用に抱きしめるロカに、レイラは思わず笑いがこぼれた。
「不器用なのはお互い様、ね。」
その言葉にロカの口元も綻んだ。
「…好きよ、ロカ。貴方が好き。」
ロカの胸元でレイラが呟く。戦士の逞しい腕に抱きしめられたレイラは少女のように小さく見える。
毛布越しに伝わってくる鼓動は大きすぎてロカの鼓動と混ざり合ってしまいそうだ。
「…私…ロカに対して、今までなかなか素直になれなかった…。いつもいつも喧嘩したりして…」
レイラが小声で喋るたびに、唇の振動と吐息が胸に感じられてくすぐったい。
「こんな風に…貴方に抱きしめられる日が来るなんて…なんだか嘘みたい。」
「…お…俺だって………!!」
レイラの言葉が、耳で脳で媚薬のようにとろける。
全身で感じるレイラの感触に、ロカの思考は麻痺寸前だ。必死に言葉を返そうとしても頭も声帯も思うように動いてはくれない。
「レイラ…ッ!俺…俺…!!」
出てこない言葉を必死に掻き出そうとしているロカの口元に、そっとレイラが人差し指をあてがう。
「いいわよ、無理して言葉にしようとしないで。貴方のそう言うところ、私、好きだわ。」
頬を染めたレイラがニッコリ微笑む。
「〜〜〜っっっ!!!!」
理性のタガがはずれたように、ロカは強引にレイラの背中と頭を押さえると強く唇を重ねた。
レイラは驚いて一瞬ビクッと体を弾ませたが、唇が重なると大人しく目を閉じた。
唇を強く重ねただけのキス。息も上手く出来ない。
苦しくなって先に離れたのはレイラの方だった。
目を開けると、真っ赤な顔をして荒い息をしたロカの顔があった。
「ロカ…。」
「レイラ…俺、もう…!!!すまねぇ!!」
ロカはそう言うとレイラの体に巻き付けていた毛布を力任せに剥ぎ取った。
「きゃあっっ!!」
予想外の行動にレイラは驚き、思わずしゃがみこんで身体を隠す。
「なっ…なにを…!?」
ロカは自分も屈み込むとレイラの手首を掴み彼女を床に押し倒した。
「ロ…ロカ……」
ロカの目に映ってるのは
驚きと泣き出しそうな表情の入り交じったレイラの顔、掴んだ腕の内側で揺れる白くて豊満な胸、綺麗にくびれたウエスト、そして…
「いや…ダメよ、ロカ。私、僧侶なんだから。婚前の性交渉なんて許されな…っ」
言いかけたところでレイラの唇が再びふさがれた。
「んっ…んんっ…!」
ロカの舌がレイラの口の中に侵入しようとする。レイラは顔を背けてなんとか逃げようとした。
「ハァ…ハァ…ロカ…おねがい、やめて、ね?」
「…途中で止められるぐらいなら、最初っからこんな事しねぇよ…」
ロカは熱っぽくそう言うと、掴んでいたレイラの手首を離し両手で乳房を揉みしだいた。
「いやぁっ!」
両手が自由になったレイラはロカを押しのけようとするが、当然戦士の逞しい体はびくともしない。
柔らかくてロカの大きな手からも零れるほどボリュームのあるおっぱい。
それをグニグニと両手で充分堪能するとロカは今度はピンクの先端に口づけた。
「あふっ…!」
甘美な吐息がレイラの唇から漏れる。
ロカは欲望の赴くままに彼女の胸を激しく愛撫した。
「…やぁ…んっ…あぁ…っ」
レイラの身体が熱を帯び滑らかな肌がほんのり桃色に染まっていく。
彼女の顔には苦痛とも戸惑いとも喜びとも見える不思議な表情が浮かんでいて、唇からは上擦った声が聞こえてくる。
普段の優しいけれど強気で、神を敬い清らかな雰囲気を醸し出しているレイラとはまるで別人のようだ。
そのギャップがロカをより一層興奮させる。
ロカは胸から口を離すと今度は身体のラインに沿って腹部から臍へ、太股へと口づけて行った。
そして彼女の白く柔らかい肉の付いた太股を両腕に抱え込むと、大きく開かせ間髪入れずにその間に顔を滑り込ませた。
あっという間の出来事にレイラは事態が理解できない。ただ下腹部から味わったことのない感覚が全身へ走り抜けた。
「!?っっああっ!!」
いきなり中央の割れ目を舌で開き、一気に黒い茂みまで舐めあげる。
クリトリスと尿道の辺りを唇で大きく包み、むしゃぶりつく。
蜜が滴る穴を入口に沿って何度も舌を動かす。
溢れる蜜を追って後ろの穴まで舌を這わせる。
「はぁあ…んんっっっ…!ひぁぁっやぁんっ!…あぁんんっ」
ロカの愛撫に合わせてレイラの腰がビクビクと動き、口からは叫びに近い声が漏れる。
口付けるだけで熱を感じさせるほどレイラの秘所は熱く瑞々しく溶けていた。
ロカが口を離すと唾液と淫液の混ざり合った物が糸を引いた。
「…ロカ…ロカ…やめて、もう…」
レイラが息を切らせながら涙目で懇願する。
「ダメだ」
ロカはそれだけ言うと自分の腰に巻いてあった毛布を外し、いりきだった男根をレイラの目の前に晒した。
「!!」
レイラは目を見開き驚いた顔をした後、表情を曇らせ、ついには身体をすくめて涙をポロポロと流しはじめた。
さすがのロカもそれには驚き、顔を寄せレイラの頭を撫でる。
「な、なんで…?…そんなにイヤなのか…?」
レイラは嗚咽をあげながら首を横に振る。
「…お願い、ロカ。少し待って。イヤじゃないの。貴方と結ばれるのがイヤなんじゃないの。」
「…じゃあなんで泣いたりするんだよ。」
「……怖いの……。最後までしてしまったら何もかもが変わっちゃう様な気がして…とても怖いの…」
「なんだよ、何もかもって。」
「私、僧侶なのよ。神と契約してる身で貞操をやぶったりして、呪文が使え無くなっちゃったらどうしよう、とか
…それに…明日みんなと再会したときに…パーティーに戻ったときに、私どんな顔してればいいの?
今まで通り平然とした顔なんかきっと出来ない。ギクシャクしちゃったらどうしようって…
なんだか、色々なバランスが崩れてしまいそうで…怖いの…。」
「……。」
ロカは黙ってしまった。正直、そこまで考えてはいなかった。
彼にとっては愛する女と結ばれるだけのことだと思っていた。けれど
パーティーの「癒し」的存在で、聖女として立ち降る回らなくてはならない彼女にとっては大きな問題なのだ。
「…ごめんなさい。私が気持ちをしっかりさせておけばいいだけなんだけど…。
でも、お願い。少しだけ、心の準備が出来るまで、時間を頂戴、ね。」
レイラは涙をぬぐいながら真摯な眼差しでロカに訴える。
「…………………ごめん。俺…その…つい焦っちまって…」
心底申し訳なさそうな顔をしてロカは頭を掻いた。そんな彼の姿を見てレイラはニッコリ微笑む。
「謝らないで。私、貴方に求められて嬉しかったわ。」
レイラはそう言うと、ロカの頭を自分の素肌の胸にギュッと抱きしめた。
抱きしめられたロカも自分の腕を彼女の背中に伸ばして優しく抱きしめる。
暖かさに満ちたレイラの胸に抱かれ、ロカはしばらく黙っていたが
ふと顔を上げると、真剣な表情でレイラに向かって言った。
「結婚しよう、レイラ。」
突然の言葉にレイラが固まる。
「俺、責任取るから。お前が何か変わっちまっても俺が守るから。
呪文が使えなくなっても、パーティーがギクシャクしても、全部俺がなんとかしてやる。」
・・・・・ロカは真剣そのものだ。
レイラはぽかんと口を開けてそんな彼を見つめていたが、段々と笑いがこみ上げてきた。
(なんて無鉄砲で、なんて真摯で、なんてロカらしいんだろう)
そう思うと、可笑しくて嬉しくて笑いがこみ上げずにはいられない。嬉しすぎて涙まで一緒にこみ上げてくる。
泣き笑いするレイラを見てロカが呟いた。
「…人が一世一代のプロポーズしたってのに、なんだ、その反応は…」
馬鹿ね、なんとかするってどうやってなんとかするつもりなのよ。ロカが代わりにホイミでも覚える気?
ほんと、勢いばっかりで突き進んじゃうんだから。いつもいつも無鉄砲で世話ばっかり焼かせて…でも
レイラはその言葉を全部呑み込んで代わりにロカに口づけをした。
そして、その続きだけをロカの耳元で囁いた。
「大丈夫。貴方が側にいてくれれば、私、何があってもきっと大丈夫。そんな気がしてきた。」
そうだ。自分は守られるだけの弱い女じゃない。最初にそう気付かせてくれたのは「女は弱いから嫌いだ」と言ったロカの言葉。
だから、私は強い女になるって決めたの。大丈夫。守られなくっても。私が貴方を守ってあげるんだから。
呪文が使えなくなったら薬草を山ほど持ち歩くわ。
パーティーに戻っても今まで以上に清らかに振る舞ってみせるわ。
「ロカ、愛してるわ。私、貴方とひとつになりたい。」
レイラが頬を染めてそう言うと、ロカの顔も紅潮した。
「…いいのか?」
「うん。」
二人はゆっくりと目を閉じると、口づけを交わし身体を絡ませた。
互いの体温が溶け合い、さっきとは違った心地よさが体中を包む。
ロカが手と口で彼女の全身を確かめる。
柔らかくて滑らかな肌、ふんわりしている髪、ほのかに甘い香りがする。
レイラもロカの体に手を這わせ彼の身体を確認する。
筋肉の乗った武骨な肩、背中。鋼のように固い二の腕、胸板は少し弾力がある。
「…いくぞ。」
「うん…」
ロカの男根がレイラの秘所に宛われ、ゆっくりと侵入してくる。
充分に潤ったレイラのそこはロカを拒むことなくなめらかに受け入れる。
それでも中に進むと窮屈さを感じずに入られない。レイラが大きく息をして痛みを逃そうとする。
「大丈夫か?」
「…ん…」
ゆっくり腰を進める度に、レイラの顔が苦痛に歪む。
ロカははやる気持ちを必死で抑える。
「…奥まで、入ったぞ。」
「…うん、分かる…。私の中がロカでいっぱいになってる。」
レイラの言葉にロカが頬を赤らめた。
「ねぇ…しばらくこのままでいて。なんだか身体が…魂が溶け合ってるみたいで、気持ちがいいの。」
「俺も…お前の中、凄く熱くて気持ちよくて…どうにかなっちまいそうだ。」
二人は繋がりあったまま、唇や頬や首に愛撫し合った。
時々レイラの中がキュウッと収縮するのが伝わると、ロカは背筋をゾクッとさせた。
「そろそろやべぇな…動かしていいか?」
ロカはゆっくりと腰を動かし始めた。粘膜が擦れる感触にまたゾクゾクさせられる。
連続する痛みにレイラはギュッと目を閉じる。
「うっ…あぅっ…ロ…カぁっ…」
「レイラ…レイラ…好きだ…っ…レイラ…!」
レイラは薄く目を開く。
−やっとちゃんと言ったね、「好き」って。
意識が薄れそうな頭の隅でぼんやりとレイラはそんな事を思った。
「レイラ…イクぞ…!」
ロカの腰が一瞬激しく動き、レイラが痛みの奥に新しい感覚を見出した瞬間
レイラの身体の奥に熱い物が広がった。
額に汗を滲ませ息を切らせるロカに、レイラが優しくキスをした。
ロカの腕枕は、筋肉が固すぎて寝心地はあまり良くなかった。
おまけに耳元でイビキをかかれたもんだから、レイラは少々寝不足気味だ。
衣服を整え朝のお祈りを済ませたレイラは、寝不足の目を擦りながら小屋の窓を開けた。
雨はすっかり上がって眩しいほどの陽が射している。
レイラはまだ高いびきをかいてるお寝坊の所に行って、傍らにちょこんと座った。
そして精神を統一させるとロカに向かって手をかざした。
「ザメハ!」
ロカの目がパチッと開き、身体が飛び起きる。
「な、なんだ!?なんだ!?」
「あ、良かった。ちゃんと呪文使えた。」
事態が飲み込めてないロカをよそに、レイラはホッと安堵する。
「おはよう、お寝坊さん。」
レイラの笑顔を見て急に昨夜のことを思い出したロカは茹で蛸のように顔を紅潮させる。
「あ…お…はよ…」
「なに赤くなってるのよ!もう、H!はやく服着て出発するわよ!」
つられて赤くなったレイラはロカの服と装備を彼の元に置き、自分はさっさと帽子を被って小屋から出てってしまった。
「おい!待てよ!!」
慌てて服を着たロカは装備を調えるのもそこそこにレイラを追って小屋を飛び出した。
「ん〜いいお天気。今日もがんばろうっと。」
雨上がりの空に大きく伸びをしたレイラはふだんと変わらなく見えて、
ロカは安心したようなちょっとガッカリしたような複雑な気持ちを抱いた。
と、そんなロカの気持ちを見越したのかレイラがくるりと振り向いて言った。
「ロカ。昨夜貴方が言ってくれたこと、ハドラーを倒して旅を終えるまで保留にしておこうね。
それまでは普段通りにしましょう。貴方の硬派の面目も守らなくっちゃね。」
最後はウインクをして冗談めかすレイラにロカはしどろもどろになる。
「おっ…俺は別に…そんな器の小せえ男じゃねえぞ!別に面目なんて…」
「あら?じゃあ裸でカール国中を走り回ってくる覚悟は出来てるんだ?」
「でぇぇっっ!!?なんでおめぇがそんな事知ってるんだよっっ!!」
「アバン様に昔聞いたのよ。それくらいロカが女嫌いで有名だってー。」
レイラは笑いながら、いりき立つロカを置いてけぼりにし先へと走っていった。
雨露の滴る青草を踏みしめながら
−ロカがいてくれたら、きっと大丈夫、なにもかも。−
レイラは昨夜の言葉を胸の中で反芻していた。
〜Fin~