『未来の記憶』
パリーン!!
ティーカップが少女の手から滑り落ち、勢いよく割れた。
「メルル!?」
「メルルッ!どうしたの?」
「おい、大丈夫か?」
ただならぬ様子に皆心配そうな眼差しを向ける。
頭をかかえ、身じろぎもせず立ちつくす占い師の娘。
憂いに満ちた瞳は近く訪れる出来事をはたと見据え、
その恐怖に細い脚がワナワナと震え、華奢な体をやっとのことで支えていた。
突然背後から抱きすくめられ、そのまま地面にねじ伏せられるメルル。
紐のようなもので後ろ手に縛られ、少女から女へと変わりつつある
瑞々しい肉体を貪るように撫でまわす何者かの手。
うつ伏せに押さえられてひしゃげた胸と地面との間に指が差し入れられ、
張りのある膨らみをこね回され、息苦しさに喘ぎを漏らす。
頬に感じる冷たい土の感触。荒い息遣いを耳元に感じ、全身が総毛立つ。
陵辱から逃れようと必死で身を捩る彼女の目に映ったのは、
密かに想いを寄せる少年の顔であった。
「ポ・・・ポップさんっ!?」
見慣れたはずの顔にふと違和感を感じ、それが彼が額に何も着けていないことによるものだと判った。
そして・・・自分の両手に食い込むものが、普段彼が愛用しているバンダナであることに気付いた。
ちょっといやらしいことを考えている時でも、常にどこか優しい光を湛えていたはずの瞳は
いまや血走り、ただ濁り澱んだ狂気のみを発散している。
「ポップさん!いやっ・・・一体どうしたんですか?お願い、正気に戻ってッ!」
「俺は正気だよ。ただあんたにはちょっとお仕置きが必要だってことさ」
薄手の布越しに乳房に手をかけ、下から寄せ上げるようにじわじわと力を加える。
胸元に形作られる谷間が少年の網膜に飛び込み、さらに理性を失わせた。
首筋に舌を這わせ、細く浮き出る鎖骨を咥える。その生温かく湿った感触に、背筋の凍る想いがした。
指がうねうねと蠢き、ゴムマリの如き弾力を味わうポップ。
「やめて下さいっ!大きな声を出しますよ!」
「・・・やってみなよ」
「誰かァッたすけ・・・!!」
魔法使いの少年の唇が少女の口を塞ぎ、舌が容赦なく絡みついてきた。
思いがけない行為に身を固くするメルル。・・・生涯初の経験であった。
大事に守ってきたものをこれほどまでに容易く突然に奪われ、思わず涙が溢れた。
みるみる視界がゆがむ。
このような卑劣な行為にさらされても、一度は心を寄せた男の舌に歯を立てるようなことは
どうしてもできなかった。そんな彼女の葛藤を見透かしたように、少年の舌はそれ自体が
生命を持っているかのように口中を動き回り、粘膜を存分に味わい、花びらのような唇を貪った。
ようやく唇が離れ、少女はプハァを大きくため息をついた。二人の唇の間で、唾液がつうっと糸をひいた。
左脚を小脇に抱えると、手荒く持ち上げる。両足の間に身体を滑り込ませつつ、
太股のウラのスベスベした感触を楽しんでいる。ゾワゾワした感覚に、鳥肌が立った。
身を屈めたポップの頭がロングスカートの中に入り込み、すっかり姿を隠した。
先ほど肩口に感じたあのじっとりとぬめった感触が、メルルの秘所をとらえた。
おぞましくヒルのようにうねる舌で花弁をなぞり、淡い陰毛を歯で引っ張り、
慎ましやかに包皮に守られた陰核にチュッと吸いついた。
想像もつかないいやらしさに、メルルは混乱の極みにいた。固くした舌先が
秘唇の表面を撫で上げ、入り口をほじるように攻めこんでくる。
直りかけの傷口に触れるようなピリピリした痛みを感じ、思わず腰を引いた。
しかし柔らかな尻を抱え込む両手がそれを許さない。
スカートの下で何が行われているか見えないことがメルルの不安を掻きたて、
股間に感じる舌撃の一つ一つが彼女を驚かせ、興奮を増幅させた。
興奮?
私、興奮しているの?……無理矢理弄ばれているのに?
そう自問した途端、じわっ…と身体の奥から湧き上がるものを感じた。
泉のように溢れ出たそれを、少年はわざと聞こえよがしに音を立てて吸う。
ぢゅるっ、ずちゅっ…という音がスカート越しにくぐもった音となってメルルの耳に届いた。
恥ずかしさに頬が染まり、熱を帯びる。
もはや辛抱たまらぬといった感じでズボンを脱ぐのももどかしげに、
ポップはメルルに踊りかかった。痛いほどに屹立したモノは
一直線に少女の性器へ向かう矢印となり、結合のときを今や遅しと待ち構えていた。
一気に秘芯を巻き込むように怒張が食い込んでいき、身体を内側から引き裂く痛みに
歯を食いしばった。両肘を必死に動かし、地面を這い逃げようとするが、
肩をグッと掴まれ退路を断たれた。腰を前後に動かし、楔を打ち込むように深度を徐々に増していく。
両足を肩に抱え上げ、身体を二つ折りにした格好でメルルを貫いた。
上から覆い被さり、重力を利用してズブズブと突き入れる。
ポップ自身も経験は乏しく、メルルの体内に精を放つまで、二分とかからなかった。
しかし、繋がったまま若い肢体をしばらく撫で回すと再び陰茎は勢いを取り戻し、
結局ポップは、その後二度にわたりメルルの奥へ向かってベギラマを思わせる熱い粘液を放った。
その度に、迸る精液が傷ついた粘膜を灼き、彼女の心に深い爪痕を残した。
「……ルル、メルル!おい、しっかりしろよ!」
我に返ったメルルの眼前に、心配そうに表情を曇らせたポップの顔が大写しになった。
ごきいっ。
「なッ!…殴ったッ!…グーで殴った……!!」
黒目がちな瞳一杯に涙を湛えたメルル。無意識に股間をギュッと押さえ、、精一杯に固めた拳がふるふると震えた。
「あんな…あんなヒドイこと…あんなイヤらしいことをするなんて…! 私、ポップさんを見損ないましたっ!」
長い黒髪を翻し駆け出すメルル。ポップは地べたに腰を落とし、ただ後姿をボーゼンと見送るしかなかった。
「メルル?…ポップ、どうしたってんだよ!」
「ポップ!あんた一体、メルルに何をしたのよっ!?」
「ポップ君…女の子を泣かすなんて、サイッテー!!」
「え?え?……ちょっと、みんな落ち着いて…話せばわかる…なっなっ! タ、タンマ! 暴力反対っっ!」
旅の仲間から一斉に浴びせられる非難めいた声。口ばかりでなく、女性陣の手により叩きのめされた。
「なんだよ…俺が何したってんだよ…ワケわかんねえ……」
畜生…あのオンナ、一丁お仕置きしてやらにゃあアカンなあ………!
※ くりかえし