文化?  
 
 
 
 
アフリカ・・・  
何処までも続いていそうな蒼い空と白い雲・・・  
その下で広大なサバンナを1台のジープが疾走していた。  
三人の人間が乗り込んでいた。  
運転しているのはアフリカの男、後ろに金髪の白人女性と、髪はややくすんだ亜麻色だが  
皮膚や骨格は東洋人らしい男。  
三人は何やら話し合いながらかなりの距離を走った。  
木々が見えて来たところでサバンナは途切れ、やがて森に入った。  
ジャングルに入ったあとで水の流れる音が聞こえてきた所で車を降りた。  
大河がうねっていた。足元には1艘のボートが係留されていた。  
「今度はこれに乗ってもらうよ、009も003もあとちょっとだけ辛抱してくれ」  
「ああ、いいよ、008。僕は大丈夫だ・・・フラン、君も大丈夫かい?」  
「アラ、これでもアタシだって00ナンバーの一員ですからね!」  
そう答えるとさっさと先にボートに乗り込んでしまった。  
009こと島村ジョーと008と呼ばれたピュンマはお互いに肩をすくめて  
苦笑いを交わして後に続いてボートに乗り込んだ。  
 
ボートの中でも座る配置は同じだった。  
川を遡るボートを操りながらピュンマが申し訳なさそうに二人に言った。  
「せっかくのパリ旅行中に呼び出して悪いと思ったんだが、どうにもボク一人の手には負えなくて」  
「いいのよ、ピュンマ。アタシ一度はアフリカに来て見たかったんだから」  
「あ、それ、僕も同じだよ。だから気にしないで」  
「二人にそう言って貰えると安心だ。ありがとう」  
「それにしても、アフリカのイメージって、昔の僕の思ってたのと全然違うんでビックリしたな」  
「ああ、いわゆる都市部ではもう先進国と変わらないかもしれない・・・けど・・・」  
「けど、なァに?独立運動のリーダーさん?」  
フランソワーズが少し茶化してピュンマに聞いた。  
「よせよ、ボクは自分の意見を主張し続けただけで、いつの間にかこうなっただけなんだ」  
「でもピュンマ、この辺まで奥に来るとまさにアフリカって感じがするよ」  
「ああ、アフリカは確かに進歩している。文明が流入して、便利になった。でも人間なんて  
勝手なもんで、今までは動物たちや自然とうまく共存してきたのに、いつのまにか人間のことしか  
考えなくなってきてる。」  
「そうね、アフリカは文明を手に入れた代わりに失うものもあるのね」  
「そうだ、その通りだ。その均衡を保つ為にピュンマは戦っているんだろ?」  
「そうなんだ。それと・・・・」  
「それと?」フランとジョーが同時に聞いた。  
少し考えてからピュンマが絞り出す様に答えた。  
「それと、文化、だ」  
「文化?」  
「ああ、それが一番大事なことだ・・・」  
 
 
それからしばらく沈黙がボートを支配した。  
ジョーは辺りを見回しながら後部座席でフランソワーズの太腿に手を置いた。  
サファリ服の上下を着込んでいたが、フランソワーズのファッションセンスで彼女だけは  
ハーフサイズのパンツルックだった。  
やや裾が開いているために、ジョーの指はたやすく上にたどりつけた。  
(もう、ジョーったら、こんな時にいやだわ)  
ジョーはそしらぬ顔をしてジャングルや川面を眺めている。  
フランソワーズはちょっとだけジョーの横顔を睨んで、前を向いた。  
ジョーの指が下着の端に届いた。  
((あっ、フランのショーツだ・・・レースの手触り・・・))  
指がレースの縁をなぞるように動いたかと思うと、少しずつあがってきた。  
飾り毛の生え際まで来た悪戯な指は毛の感触を楽しむようにさわさわと動き回る。  
(ああん、もう・・・)  
フランソワーズはそっと隣のジョーの腿をつねった。  
” やめて” という合図のはずだったのに、上から手を押さえつけられてしまった。  
そしてあろうことか、握った手を自分の股間の上に押し付けられた。  
(! ジョーの、大きくなってる・・・)  
一方ジョーの指は柔毛のジャングルから沼地に進もうとしていた。  
小さなボートの振動が座席を伝わってフランソワーズの下半身を刺激していたためか、  
フランソワーズはジョーの手を振り切ったり、指の進入を阻止したり出来ずにいた。  
 
ジョーは握ったフランソワーズの手で自分の股間をなでさすり、時には握らせたりしていた。  
(ああ、こんなに大きくして・・・それに、あっ、ゆ、びが・・・)  
とうとうジョーの指が沼地を捉えた。二本の指で陰唇を開いて敏感な核に一本、中に一本。  
出来るだけ平静を保って、ピュンマに気づかれないようにしなければ、と思って前方をじっと見てはいるが、ピュンマのすぐ後ろでこんな事をしていると思うと余計に気になってしまう。  
気になってしまうと、感覚が更に鋭敏になって、徐々に秘所が熱を帯びてきた。  
自分でも濡れているのが分る程になってしまった。  
ジョーの指は愛液を飲んで生き返った生物のようにますます活発に動きはじめた。  
淫核を擦り上げられて何かに掴まるように思わずジョーの棹を強く握り締めてしまった。  
フランソワーズが握っているジョーの性器は握力を押し返すかのごとく硬さを増した。  
(あん・・・いけない、こんなところで、だめよ・・・)  
指が淫核をくりくりとこね回す度にフランソワーズの体がピクっと震える。  
(ああ・・・ジョーのココもこんなにパンパンになってる・・・)  
脳裏にジョーの凶暴に猛り狂った性器がイメージされて、乾いた唇を濡らすために舌をだしたのか、  
それともジョーのモノを舐めたくてなのか、もう分らなくなってしまった。  
(あああ・・・もう、変になっちゃうぅ・・・)  
そんな彼女を横目で見たジョーは指を出し入れしながら、淫核を小刻みなヴァイブレーションで  
刺激した。  
((ふふっ、フラン、これでどう・・・))  
フランソワーズはこの刺激を受けて、空いている手を口元に持っていって、指を噛んで耐えようとした。  
するとジョーは秘孔から指を抜いて、淫核を摘んで軽く捻った。  
「ひぃぃっ!」  
思わずフランソワーズは声をあげてしまった。  
 
「んっ?!!」  
ピュンマが気がついて怪訝な声で振り返ろうとした。  
その声にビックリして、ジョーが指を引き上げ、握ったフランソワーズの手も開放した。  
自由になった両手で口元を押さえて、あわててピュンマに言った。  
「あ、あそこに、い、いま、ワニみたいなのが・・・」  
「あーっはっはっ!フランソワーズ、あれはただの枯れ木だよ、キミのレーダーは大丈夫かい?」  
からかうように言いながら笑った。  
「え。あ、あ、ああそう、よかった。だっていまはスウィッチ入れてないから・・・」  
しどろもどろに答えたがどうにか切り抜けた。  
ふう、と溜息をついてジョーを見るとたった今まで秘孔に入っていた指を  
ジッとフランソワーズの目を見ながら舐め始めた。  
カァーっと顔が真っ赤に染まったのを笑顔でジョーは見ていた。  
 
「ところで、さっきの話なんだが・・・」  
ピュンマがボートを操縦しながら振り返らずに今回の協力内容について話し始めた。  
「ボクが独立運動を始めたのは、族長の息子という立場もあってのことなんだけど、  
最近どうもおかしな事ばかり起こるんだ・・」  
「おかしな事?一体、どんな?」  
何事も無かったような素振りで二人とも身を乗り出して聞いた。  
 
「ああ、それは、もう日が落ちる。この先で野営できる所があるから、そこで説明するから。」  
確かに大きさを増した太陽が西に傾いて来ていた。  
一行はボートを岸に着け、ピュンマの後に続いて川岸の小屋に向かった。  
簡単な食事を焚き火の周りで摂って、一息ついてコーヒーを飲みながらピュンマの話を聞いた。  
ピュンマの説明はこういう事だった。  
 
 
『独立運動を進めていた最初の頃は順調に事が運んでいたが、最近村のあちこちが襲われ始めた。  
それも村落が壊滅的にやられる。』  
『そしてその襲われる対象は必ず、運動の幹部の村落であった。』  
『襲ってくるのは夜が多かった。』  
『どうも意図的に狙われているとしか考えられない。』  
 
「で、どんな敵なの?ピュンマでも適わないってこと?」  
フランソワーズもただの敵ではなさそうだと気づいて聞いた。  
「ああ、残念ながらボク一人じゃ無理だ。だから二人に来てもらったってことなんだ」  
「じゃあ、数が多いって事?」  
ジョーも敵の背後に組織がある可能性を示唆して聞いた。  
 
「いや、組織ではない、と思う」  
「えっ?じゃあどんな?」  
ジョーとフランソワーズが同時に尋ねた。  
「ああ、それが、・・・ライオン・・・なんだ。」  
「ライオンですって!」  
「うん、ライオン、それも黄金の。」  
「黄金のライオン?」  
二人は持っていたコーヒーカップを落としそうになった。  
「もしかしてロボットか、サイ・・・」  
ジョーが最後まで言う前にピュンマがさえぎった。  
「いや、違うと思う。僕の身体と勘があっていれば、未知の生物としか考えられないんだ。」  
「つまり?」  
ジョーが先を促した。ピュンマが続けて説明した。  
「何度か戦ったんだが、弾もきかない、パラライザーもきかないんだ。」  
「おまけに、ジョーみたいに動きが見えなくなったりする。そして厄介なのが吐息で火事を起す。」  
「う〜ん、戦ったピュンマがそう言うんなら、そうかもしれないけど、確かなことは、手ごわそうだってことね。」  
考え込みながらフランソワーズが独り言のように呟いた。  
しかし、それこそが三人共の本音であったのか、皆黙り込んでしまった。  
「ま、明日にはボクの村に着くから、それから調べて欲しいんだ。今日はもう寝よう。」  
「ああ、そうだね。」  
 
 
小屋に入って一段高く作ってある木の床が寝台になっていた。  
それぞれ持ってきた毛布に包まり、雑魚寝で眠りに落ちた。  
 
「ん?」  
冷え冷えとした空気でピュンマが目を開けてみると、二人の姿がなかった。  
人の気配がなくなったのに気がつくのが戦士の性なのだろう。  
「何処へ?まさか、ライオンが?いや、それなら起すはずだし・・」  
そっと、壁の隙間から周囲の様子を探ってみた。  
先ほどの焚き火の向こうの大樹の根元で何かが動いた。  
息を潜め、じっと見る。  
どうやら、ジョーとフランソワーズらしかった。  
「二人で何を?」  
外に出て声を掛けようとしたが、よく観ると、ジョーは樹に凭れて足を投げ出し、その前には  
フランソワーズがうずくまっているようだった。  
「一体?・・・・」  
そのとき、焚き火が爆ぜて一瞬明るくなった。  
ジョーは下半身を曝け出していた。フランソワーズはジョーの性器を口にふくんでいた。  
いや、そう見えた気がした。  
「えっ!な、なんだ今のは?」  
ピュンマは瞼に残像として残った光景が判断できなかった。  
 
「ま、まさか、、、、」  
焚き火だけの明かりで目を凝らしてみると、網膜に焼きついた像が現実に見えて来た。  
寝ぼけていた最初と違って、目が慣れてくるとやはり、見間違いではなかった。  
樹の根元でジョーがフランソワーズに奉仕を受けていた。  
可憐な桜色の唇がジョーの一物を含んでいた。  
ジョーは気持ちよさそうにうっとりと目を閉じていた。  
(そんな、あんまりじゃ・・・・)  
独立運動が頓挫しかねない状況下で、応援を要請せざるを得なかった自分の不甲斐なさ。  
そして、真剣味がないとも受け取れる深夜の逢引。そんな二人に対して  
ピュンマは怒っていいのか、仕方の無い事と寛容すべきなのかわからないで、ただ苛立った。  
実のところは、自分のフランソワーズに対する感情も色濃く影を落としていたのだが、  
まだそれには気づいていなかった。  
フランソワーズが金髪を掻き揚げて、夜目にも白い指を絡ませて一心に咥えている。  
この現実は、ピュンマの思考を停止させた。そして『覗き』という行為に没頭させた。  
ゴクリと生唾を飲み込んで壁の隙間にへばりつき、目をさらに凝らして聞き耳を立てた。  
 
ちゅばっ   ちゅばっ ぬぽっ ぬぽっ  
フランの口元からジョーの亀頭が出入する度に卑猥な音が聞こえる。  
鳥や獣たちが寝静まったジャングルにも響き渡るような気がした。  
寝入る前に二人の前で、ここの所の黄金のライオン騒ぎでとても疲れていると言って  
すぐに寝てしまったので、安心して行為に集中しているのだろうとピュンマは思った。  
頬をへこませてジョーの性器を吸い上げながらも扱く指は一時も休まない。  
ジョーの方も堪らないのか少し苦悶の表情が窺えた。  
上目使いにジョーの顔を見て、フランソワーズは口を離して棹をしごくだけにした。  
「ジョー、どう?気持ちイイ?」 小さな声でかすかに聞こえた。  
「ああ・・・とても・・・このままイカせて欲しいよ、フラン・・・」  
金髪をそっと撫でながらジョーが囁いた。  
「ダメ・・・ボートでアタシにイタズラしたお返しよ・・・まだいかせてあげない・・・」  
小さな親指で亀頭をくりくり刺激して、にっこり笑いながら言った。  
鈴口からは小さな雫玉が浮かんで、焚き火の光で赤く輝いている。  
それをフランソワーズが可愛い舌でペロッと舐め取った。  
「ウフフ、ジョーのおちんちんの雫、あまい・・・」  
ジョーの胸に顔をつけて、見上げながら妖婦のようなセリフを甘えながら言った。  
 
 
昼間イワンを抱いた母のような慎ましやかな彼女が、こんなにも変わるのかと、  
ピュンマは軽いショックを受けた。  
しかし、それはピュンマの官能を高めて、彼女に失望などはしなかった。  
ズボンを突き破らんかの如く激しく勃起した股間の大蛇がその証拠だった。  
ピュンマは壁にはりついていたために性器が自然と壁に押し付けられる格好になった。  
それも刺激になって、古い丸太の壁に更に押し付け、腰を小刻みに動かし始めていた。  
 
「フラン、も、もう、いいから、入れさせて欲しい・・・」  
ジョーは一刻も早くフランソワーズの熱い膣に挿入したがっていた。  
「ダメ!向こうにはピュンマが寝てるのよ、いつ起きてしまうかわからないのよ・・・」  
「そ、そんな・・・」  
情けない声でジョーが抗議する。  
「フフフ・・・いいワ、今回はお口でしてあげるから・・・我慢して。」  
「ああ、今回のピュンマの仕事が終わったらフラン、覚悟しておいて、たっぷり仇をとるからね。」  
「いいわよ、楽しみにまってるワ、アタシも我慢するから・・・ねっ。」  
そう言うとフランソワーズは再びカプッとジョーの亀頭を口中に納めた。  
 
じゅるじゅると卑猥な音を聞き、ピュンマはジョーが羨ましかった。  
密猟取締官時代につきあっていた彼女を思い出したからだった。  
自分が改造人間であることをさほど負担に思わずともつきあっていける009と003。  
もはや人間とはいえないようなこの身を呪い、自らの命を絶った彼女・・・。  
比較することが間違っているだろうとは思う。思うが、望んで改造されたわけではない。  
普通に生活し、普通に妻を娶り、普通に家庭を築く。  
それができない・・・それに気づかされ、愕然としていた自分。  
それを思い出してしまって、ピュンマの眉間に深い皺が刻まれた。  
 
・・・しかし・・・ピュンマは思う、彼らもまた、望んで改造された訳ではない。  
たまたま仲間の中でお互いに惹かれあっただけのことだと・・・。  
 
相変わらずジョーの亀頭を舐り、しごき続けていたが、どうやらフランソワーズのほうも感じているらしかった。  
片方の手で、自分の股間を撫でさすり、腰をもじもじさせていた。  
 
ふんふんと鼻をならしながら一心に咥えているフランソワーズも、いつの間にか  
ジョーの片足を跨いで、脚に股間を擦り付けて感度があがってきたようだった。  
ジョーの棹をしごく手が速度を増して、なおかつ、絞り込むような動きに変わってきた。  
「ああっ!フラン!いいっ、で、出そうだっ!」  
これにはジョーの方が先に音をあげた。  
フランソワーズは手も口も休めることなく、上目遣いに見上げて、コクコクと頷いた。  
おそらく、逝ってという合図なのだろう。  
フランソワーズの腰の動きも早まった。  
「あ、あ、で、でるよっ、フラン!い、いいっ!」  
ジョーは首を仰け反らせて、腰を突き上げた。  
ピュンマにも、ドクッっという音が聞こえてきそうな射精だった。  
「んふ〜、ふ〜、ふ〜・・・」  
フランソワーズの放つ鼻息が大きく聞こえた。  
ガクッとジョーの腰が落ちて、射出が終わった事を告げた。  
フランソワーズの腰も止まって、ジョーが優しくフランソワーズの髪を掻き揚げた。  
にゅぽんっ と亀頭を吐き出してフランソワーズが口を半開きにした。  
くちゅくちゅと口中の精液を味わうようにころがして、ジョーに見せながらそのまま飲み干した。  
そして、棹に残っていた白い残滓を舌で舐め取ってそれも飲み込んだ。  
夜目にも美しい金髪をなであげながらジョーが囁いた。  
「ありがとう、フラン・・・。キミのフェラはいつもながら絶品だね・・・」  
「今日はとっても濃かったワ、飲み込むのに苦労したもの・・・」  
 
「フラン・・・愛してる・・・」  
「ジョー・・・アタシも・・・」  
二人はいとおしげに抱き合い、キスを交わした。  
 
ピュンマは愛の交歓を一部始終覗き見て、少し悲しくなった。  
嫉妬した自分とその自分の背負った過去と、そしてこの身を呪って・・・。  
いつの間にかピュンマの股間も静まってきていた。  
 
二人は寄り添うように抱き合ったまま、しばらく動かなかった。  
ピュンマは自分の寝床に戻ってヤシの葉で葺かれた天井を見上げて物思いに耽った。  
(今、大事な事はこの祖国を、村を救わねばならないってことだけだ・・・)  
(そのためには過去も、ましてや女性のことなど捨てなければこの国を守ることなど・・・)  
自分に言い聞かせながら考えているうちに深い眠りに落ちていった。  
 
 
鳥の囀りやら、小動物の鳴き声でピュンマが目を覚まし、部屋の中を見回すと、  
009も003もそれぞれの床で、スヤスヤと幸せそうな寝息を立てていた。  
その二人を複雑な表情で見つめていたが、差し込む朝日に気づいて、外を見た。  
開口されただけの窓の外にはジャングルが続いていた。  
ピュンマは穏やかな笑顔になって二人に声をかけた。  
 
「ジョー!フランソワ!起きてくれ!悪いが急いで村に帰りたいんだ。」  
「んん・・・、アラ、ピュンマお早う、早いのネ。」  
「お早う、フランソワーズ、よく眠れたかい?」  
「ええ、久しぶりにグッスリ寝たみたいな気がするワ。やっぱり自然の中だからかしら・・・」  
「ああ、きっと(昨夜のせいさ)そうだろうね。おーいジョー!起きてくれ!」  
少し乱暴に009の身体を揺すって無理やり起した。  
「ああ・・・ピュンマ・・・お早う・・・フラン、お早う・・・」  
目を半開きにしたままジョーが言った。  
「疲れてるのかい?(スッキリ、疲れたろう)悪いが、早めに村に戻りたいんだ。支度して出よう」  
「ああ、わかった。」  
 
「ええ、わかったワ。心配ですものね。さぁ、ジョー!起きて!」  
そそくさと身支度を整えて、三人は小屋裏に置いてあった4駆に乗り込んだ。  
 
車を運転しながらピュンマは後部座席でバウンドしている二人に話しだした。  
「我々は、こういったルートで外部と行ったり来たりしてるんだ。そしてこういうルートや  
 乗り物も各所に手配してあるんだ。」  
「なるほどね。それで外部と接触できてるってことか。」  
「ああ、だけどそのいくつかのルートと乗り物も破壊されてしまった。」  
「それは、そのライオンが・・・」  
「そうなんだ。壊滅的に破壊され、焼かれた。」  
「じゃ、その黄金のライオンがピュンマの村を孤立させるためにやったって事?」  
フランソワーズが身を乗り出して運転席のピュンマに聞いた。  
「だろうな、意図的にやってるんだ。かなり知能が高いンじゃないかな、・・・ただのライオンじゃないな」  
「だからお二人に来てもらったってことなんだ。村に着いたらしっかり働いてくれよっとうっわわっ!!」  
窪みにタイヤを取られて車が大きくバウンドした。  
 
「危ない!フラン!」  
身を乗り出していたフランソワーズをジョーが掴まえた。  
「大丈夫かっ!?」  
ミラーで確認したピュンマの目にはフランソワーズの豊かな胸を両手で掴んでいるジョーの手が見えた。  
 
「やれやれ」 ピュンマの呟きは疾走する車の音にかき消され、二人の耳には届かなかった。  
大きな胸を掴んだまま、ジョーは彼女をシートに座りなおさせた。  
「しっかり掴まるか、深く座ってないと危ないよ、気をつけてフラン・・・」  
そう言いながらジョーは指の間にギュっと乳首を挟んで乳房を揉み上げ、感触を楽しんだ。  
「ありがとう、ジョー。もう大丈夫よ・・・」  
フランソワーズに言われてしぶしぶ両手を離したが、今度は肘を彼女の乳房に密着させて  
車の揺れに合わせて刺激しはじめた。  
(っったく!ジョーの奴!そりゃあ甘い二人の時間を奪ったのは申し訳ないが、いい加減にしろって・・・)  
ピュンマの心の中に少し暗い翳りが生まれつつあった。  
 
 
「ここからは”道”がひどくなる舌を噛まない様にな」  
確かに”道”はあった。車輪の跡がついただけのモノを道とするなら、”道”が草原の中に。  
 
車の中を沈黙が支配していた。  
聞こえるものはエンジン音と土と草を噛むタイヤの音だけだった。  
 
(ああ・・・フランのおっぱいが少ししこってきた、ウフっ、いい感触・・・)  
(ジョーの奴、女を知ったばかりの子供じゃあるまいに・・・)  
(ジョーったらこんな時まで・・・ああん・・・ここんとこジョーはアタシにちょっかいばっかり出して・・・)  
 
(あ〜あ、フランを抱きしめたいなぁ・・・あんなジェットと親密そうなトコ見ちゃったから不安なんだ・・・)  
(それにしても、フランソワーズまでどうしちゃったんだ・・・あんなジョーを止めもしないで・・・)  
(ジョーがアタシのそばを離れたがらなくなったのは・・・ ・・・・)  
 
(いったいジェットとフランはボクが改造手術を受ける前はどんな関係だったんだろう・・・)  
(あ・フランソワーズの顔が赤くなって来た・・・感じ始めた?・・・)  
(ああ、ダメよ・・・感じちゃダメ・・・ ・・・ん・・・!!あっ!そうだワ!あの時ジェットと・・・)  
 
(フランに直接聞ければ・・・ダメだ・・・そんなコト出来ない・・・ボクはボクなりにフランを・・・)  
(お〜、こうして見ると003も女なんだな・・・しかもイイ女だ・・・)  
(そ、そうだわ!あの時地下のドルフィン号の修理してる合間にジェットといる時、人がいた・・・  
  基地内だったから”能力”をオフにしていたけど・・・あの時・・・)  
 
(そうだ、やっぱりボクはフランを守るにふさわしい男じゃなきゃいけない!もっと強く・・・)  
(綺麗な・・・白い肌・・・そして、優しくて、美人だ・・・それに・・・肉付きのいい、か・ら・だ・・・・)  
(ジョーにしてみればいつでも一緒にいたい、片時も離れたくないと思いが強いのかもしれない。  
 でも、それは嫉妬かしら・・・)  
 
 
フランソワーズはジョーがひじを使って自分の胸を愛撫しているのを半ばあきれていた。  
でも、ピュンマの目の前でも自分に気持ちをぶつけてくることは、嫌ではなかった。  
それだけ自分を好きでいてくれている。  
そう自分に言い聞かせているフランソワーズだったが、こんな風に時折、子供じみた面がある。  
かとおもえば戦闘時には、リーダー的に頼れる男であったりする。  
この二面性、というかギャップに面食らったり胸がときめいたりしてしまう。  
そんな捉えどころのないのがまた、ジョーの魅力でもあると思っていた。  
 
「お二人さん。もう少しでオレ達の村が見えてくる。もうちょっとの辛抱だよ。」  
「ああ、ピュンマの故郷って楽しみにしてたんだ。本当は”仕事”なしで来たかったなァ。」  
「おや、こんな所ナンにもないぜ、楽しみも、なんにも・・・ ・・・」  
「でも、素晴らしい自然、大自然があるワ。」  
顔を赤らめ、ピュンマのシートの陰で脚をモジモジさせながらフランソワーズが反論した。  
 
「ああ、自然は、ある。・・・・イヤなくらい・・・ある。」  
ピュンマは思いつめたように、返事とも、呟くともなく言った。  
「そうよ、今は、時代的にも、大事なことよ。」  
フランソワーズはジョーの肘から逃れるように身を乗り出して言った。  
「そんな自然の中にいられるアナタは幸せなのよ・・・きっと、そうだワ」  
運転席のシートを抱え込むようにしてピュンマに話しかけた。  
(フランソワーズ、オレの耳に息を吹きかけないでくれ・・・おかしくなりそうだ・・・)  
「ありがとう、003・・・けれど、自然が残ってるってことは、人間の中にも古いモノが  
  残ってるって事にもなるんだ・・・」  
またピュンマは前方を睨んだまま、まるで自分に言い聞かせるように言った。  
 
「あっ!見て!ジョー!ホラっ煙が出てるワ。ヒトがいるって証拠じゃない?」  
確かに常人よりも遠くが見える003の目には立ち昇る煙が見えた。  
 
「ひっ!・・・」  
003は息を大きく吸い込んだ。  
「どうしたっ!フランっ!」  
異変を察知したのか、ジョーとピュンマが同時に訊いた。  
「大変!あれは・・・火事のような・・・」  
途端にジョーは車から飛び降り、加速装置で先に村に向かった。  
同時にピュンマはアクセルをベタ踏みしながら叫んだ。  
「掴まってろっ!!003!!」  
車は狂ったように疾走し、ジョーは衣服をボロボロにしながら走った。  
 
 
《ピュンマ、やられた。これから消火作業を手伝う》  
脳内通信がジョーから入って2・3分後ピュンマ達が村に着いた。  
 
 
ピュンマの車を見つけて、独立運動のメンバーらしい男が駆け寄って来た。  
「リーダーっ!!アイツがっ、リーダーの・・・早くっ!家へっ!!」  
不吉なモノを感じたのかピュンマは族長たる両親の家へ走った。そこは・・・  
 
 
悲惨な状況はピュンマの正常な理性を、思考を奪った。  
滅茶苦茶に壊された家には両親と妹の亡骸が安置されていた。  
 
ガックリと肩を落とし、涙を必死に堪えているピュンマの後ろでは独立運動の幹部や  
村の長老達が無言で控え、うなだれていた。  
 
「で、やっぱりアイツに奇襲をかけられたんだな?」  
長い沈黙を破ってピュンマが口を開いた。  
「ええ、まるでリーダーが留守なのを狙ったとしか・・・」  
「今日の明け方で、一番手薄な時間で・・・」  
口々に部下が報告し始めた。  
 
一通り状況を説明された後で、ピュンマが頷いた時、突然乱入者が現れた。  
「祟りじゃっ!!神のたたりじゃーっ!」  
村外れにすむ祈祷師だった。  
長い杖を振り回しながら叫んでいた。  
「ライオンを遣わして神が怒っておられるっ!」  
「神の怒りじゃ!さもなくば金の、金色のライオンなどは存在せんのじゃっ!」  
ピュンマは全員の様子を窺っていた。  
意気消沈よりも意欲を失った戦士ではない、単なる部族民の顔が並んでいた。  
(マズイ事になった・・・やっと、やっとここまできたのに・・・)  
 
「待てっ!じいさん、いつまでもそんな迷信を信じるなんてっ!!バカげてる!」  
ピュンマの叱責に目を輝かせて頷く者もいた。  
「ならば、あのライオンが金色に輝いておるのは何故じゃ」  
「それは、きっと作りモノで・・・」  
「誰に作れると言うんじゃ?神以外に」  
 BGのことなど村人に説明しても無駄であろうことは充分承知していた。  
だがそれ故に納得させられる説明はできない事も承知していた。  
 
「神の怒りを鎮めなければならん!」  
頷くような素振りの長老が祈祷師の後ろで次期族長のピュンマを見つめていた。  
全員の顔は青ざめて深い絶望感が支配し始めた事を物語っていた。  
動揺を悟られないように、天井を仰いで思案していたピュンマだった。  
(こうなったら、ジョー達を皆に引き合わせて戦意をあげるしか・・・)  
 
消化作業や救出作業を加速装置を入れたままで人知れず手伝ったジョーと、  
車から目立たないようにピュンマの私邸に入ったフランソワーズ。  
本当は秘密裏に作戦を完遂したかった。しかし・・・  
現状を打破するには、この二人を大きな戦力として、能力を見せる事しかない。  
それで闘志を鼓舞する。この方法だけが希望を繋ぐ光だとピュンマは思った。  
「皆、聞いてくれ!俺の友人が助っ人に来てくれた!偉大な戦士が来たんだっ!」  
 
(ジョー、皆にちょっとチカラを見せてくれ。落ち着かせたいんだ。)  
脳波通信でジョーに話しかけた。  
 
(ああ、わかった。)  
009と003は戦闘服で族長の家に入った。  
009は加速装置をオンにして、ピュンマの隣に立った。  
全員が突然風のように現れた男に驚かされた。  
そして護衛に立っていた兵士のマシンガンを奪って、グニャリと砲身を曲げてしまった。  
村人は驚愕した。どよめきが起こっていた。そしてその間に金髪の女性が立っているのに  
気がついた。紅い戦闘服と黄色いマフラーに身を固めた二人をポカンと見ていた。  
 
「紹介しよう。二人とも常人には無い能力を持っている。」  
兵士も、村民も畏敬の念を抱いた様子がみえ、ピュンマがホッとした時、  
「祟りじゃ!!!金の鬣(たてがみ)の祟りじゃ〜っ!」  
その場にいた全員が息を止めた。  
「村は呪われた!金の鬣と金の髪の毛じゃ〜っ!神は怒って更なる生贄を望んだのじゃ!!」  
 
 
村に残ったピュンマとフランソワーズは葬儀の準備を手伝っていた。  
しかし、長老達がフランソワーズを視る目には恐れと憎しみがミックスされていた。  
フランソワーズにもそれは感じられたが、ピュンマの方が同じ部族の為、より強く感じていた。  
不安を感じてはいた。しかし、私服に着替えたフランソワーズを見ていると、胸が少し開いた上着から  
時折覗ける白い肌、膨らみの裾野が眩しくて不安も霧消してしまった。  
祭壇の準備も終わり、部屋で一休みすることにして、二人は奥に入った。  
長老の一人が、二人に飲み物と、パンのようなモノ、祭礼用のというか、お供えみたいな物を  
儀式のためと言って持ってきた。  
これで身体の中を清めるらしいことだった。  
喉も渇いていたし、儀式の手順ならばと二人は手を伸ばした。  
一口食べてフランソワーズは甘みを感じて、「美味しいワ、お菓子みたいね。この飲み物も美味しい!」  
「ああ。疲れてるからよけいそう感じるのかもしれないな」  
フランソワーズはすっかり平らげてしまった。  
 
 
一息ついて、ジョーが向かった国境地帯の話の途中で意識がとんでしまった。  
 
 
***********  
 
 
フランソワーズは自分の体が熱く火照って、下腹部、それも奥の方からじんわりと疼きが拡がって  
来ているのを夢のなかで感じた。  
(ああん・・・ヘンだワ・・・どうしたのかしら・・・)  
(感じてるのアタシ・・・あん・・・ジョーね・・・またアタシの体にイタズラしてる?・・・)  
(熱い・・・ワ・・・体の中心が・・・ああぁぁん・・・だめ・・・よ・・・ジョーったら・・・エッチなん・・・だ・・・から・・・)  
ジョーがいつもするように、感じる突起をやさしく舐め転がすような刺激が絶えず股間にあった。  
(ああっ・・・きっと濡れちゃってるワ・・・乳首も勃起しちゃってる・・・)  
乳首は乳房の芯になってしまったように硬く尖っていた。  
(・・・ ・・・ああお願い・・・乳首も弄って欲しい・・・コリコリってして欲しい・・・)  
こんなに乳首が感じているのに、触って欲しいのに、触れてもらえないもどかしさが官能をより昂ぶらせていった。  
(ジョー・・・・も・・・もう・・・意地悪しないで・・・・お願い・・・)  
もどかしさのあまり、体を動かした途端に、服の生地が乳首を擦ったらしく新たな刺激が彼女を襲った。  
(ひゃうんっ!!すご・・・い・・・いいっ!おっぱいっ・・・いいっ・・・)  
ほんのちょっとした刺激がこんなにも響くなんて初めてのことだった。  
 
全員が引き払ったあと、古い迷信に惑わされない若者数人と明日からの作戦を打ち合わせた。  
その本物の戦士も帰り、三人だけになったところでピュンマが弱った目をして語りだした。  
「言ったとおり、ここには自然もあるが、迷信やらいいつたえやらも残ってる。」  
「ああ、それはよくわかった。でも人間はどこでもそうなってしまうんじゃないか?」  
「そうね、そこが人間の弱さ・・・普通の人間の・・・仕方ない事だワ・・・」  
「そうさ、008、それに打ち勝つにはそのライオンを退治すれば解決するんじゃないか?」  
「そうよ、力を合わせて敵を倒しましょう!」  
「そいつが一番だ・・・な・・・。二人ともスマンな・・・」  
そうは言ったものの、ピュンマの脳裏には不安という実がみのりつつあった。  
頑迷な長老達の動向という暗い実が。  
 
夕方になって、ピュンマの家族の葬儀が行われることになった。  
族長の葬儀は長老達がしきたりにのっとって行う決まりだった。  
ピュンマは地図を広げてジョー達と打合せを行っていた。その時、通信係が息を切らせて飛び込んできた。  
 
「大変です!隣国への最後のルートが襲撃されているとの事ですっ!」  
「なにっ!!あそこを潰されたら・・・」  
独立運動を支援してくれている隣国との大事なルートは守らねばならない。  
そう打ち合わせしていたばかりなのに・・・先手をうたれてばかりいる・・・。  
居合わせた皆の考えを察して、009が立ち上がった。  
「ピュンマ、ボクが行ってくる!ちょっと遠いけど、ボクが先に行くから、兵士を後から送ってくれ!」  
「ジョー!一人で・・・」  
「いや、一人の方が早い。が、後のこともあるから、兵士だけ何人か後からきてくれればいい。」  
「ジョー!アタシだって兵士よっ!戦う為に来たのよっ!」  
「いや、フラン、今回は迎撃だけで済むだろうから、ピュンマの家族の葬儀を頼む。戦いはその後だ。」  
「ジョー!無理はしないで・・・」  
「大丈夫さ、フラン、ピュンマ、後は頼む」  
言うなり、ジョーは隣国との国境に向かった。  
 
 

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