ここは新・黒○幽霊団が作り出した美と快楽の帝国アフロディーテ島…島にはあらゆるタイプの美女 
が集められ男達を喜んで受け入れる…今日も島は大盛況だ。  
 中でもひとりのフランス人女性には人だかりができていた。男達の野卑で下品な嘲笑の中彼女は全身 
精液にまみれひたすら己の肉体で奉仕していた。  
 性本能刺激電波で性奴隷と変わり果てた003、フランソワーズ・アルヌールの姿であった。  
 
「ほらよぉ、姉チャン自分で入れな!」  
 全裸の男があぐらをかき彼女を手で招く。  
「はい…」  
 彼女は呆けたような表情で男に近付く。男の前に背中を見せて立ち上がるとゆっくり腰を落していった。  
「へっへ…俺のはデカイからなあ心してかかれよお」  
「あっ…あああっ…ああああぁぁーんっ!」  
 彼女は男のそそり立つ分身を股間にはさみその先端を体に含む。ずぶずぶと音を立て白い背中を男の 
胸と腹にこすりつけながら座っていく。  
「あっああぁんっ…」  
 彼女は口元にだらしなく涎をこぼしていた。男のモノを体に含み喉を天に突き出しながら恍惚とした 
表情を浮かべていた。  
 
「かあーっ!気持ちいいなあ!この締め付けがヨォ…どーだい姉チャンも気持ちいーか?」  
「ハァ…はい…ハアアンッハア…」  
 男は彼女のタンクトップを肩からずらし豊かなバストを剥き出しにする。歓声が上がった。  
「すっげー、プルプル揺れてるぜ」  
 フランソワーズはぴったりと男とつながった。男はしっかりと彼女を抱え込み乳首をこねくり回す。 
乳房を形が変わるほど乱暴に揉みしだきゆっくり下から上へとと突き上げ始めた。  
「よし動くぞ!」  
「アッ…アッ!アハァァンッ…」  
 男に突き上げられ彼女の体がユサユサと揺れた。  
「いい声でさえずるよなあ。でもよおそのお口が空いてるのはもったいないぜぇ」  
 下半身を露にした別な男が彼女の前に仁王立ちになった。屹立した自分の分身に手にした酒をどばど 
ばとかける。  
「ほらよ上等な酒だ。たーんと味わってくれ」  
「はい…いただきます。うっうう…むむっ」  
 うつろに返事をして彼女は嬉しそうに微笑み男のペニスを口に含んだ。  
 
「すっげーたまんねー。カワイイ顔してフェラ大好きなんだな。スケベな姉チャンだねえ」  
「んんんっんんーっ」  
 フェラチオをさせている男は彼女の後頭部をぐりぐりと自分の側に押さえつけた。 
今度は素っ裸の男が二人近付いてきた。  
「おいっ姉チャンよぉ、両手も使ってくれねぇかな」  
 男二人は彼女の両脇に立ちそれぞれのイチモツを握らせる。  
「うううっ…うんっ」  
 口を男のペニスで塞がれたまま彼女は返事をしどちらの両手にもペニスを掴み白く細い指でしごき始めた。  
「くうううーっ!たっまんねぇなあ!チクショー!」  
 しばらくして両脇の男がほとんど同時に射精した。彼女の手が白濁した精液にまみれる。 
髪の毛や肩にも精液がかけられた。  
「俺もイキそうだー」  
 口の中で男は昇天した。彼女の口の中に精液が吐き出される。ずるりとそれは途中で引き抜かれた。  
「あっ…!」  
 彼女の顔も精液がかけられてドロドロになった。  
「よし!俺もフィニッシュするぞ!それぇ!」  
 つながっていた男が激しく腰を動かす。下から激しく突き立てられて彼女は飲みきれなかった精液を 
たらしながら悩ましい声をフランソワーズはあげた。  
「ああっ!あああああーっ!はあひぃぃぃぃいいっ!」  
 
「ひゃあーっ!最高だ。我が新・黒○幽霊団に栄光あれ」  
 男が果てた。彼女は達してがくがくと体を震わせながらぐったりとした。ゆっくりと彼女を抱えあげる。 
つながっていた部分から精液がごぼごぼと音を立てて流れ落ちる。  
 彼女は床に突っ伏した。薄絹のキャミソールがウエストのヒモだけで体に残っている。  
彼女はだらしなく足を広げたままうめく。  
「もっと、もっとお…ああ…もっとぉぉぉーっ!」  
 性本能を刺激されその欲望を増幅された彼女には理性のカケラも残っていなかった。  
男との性交を喜ぶ雌に成り下がっていた。その様子を見て周囲の男達が嘲り笑う。  
「すんげえメス豚だ。とんだ淫乱だ。ドスケベ姉チャンだなあ」  
「よし…メス豚こっちに来い」  
 別な男が彼女を呼ぶ。男達の肌の色はさまざまでいろいろな人種が集まっていた。  
「はい…ただちに」  
 彼女はフラフラとよつんばいに立ち上がる。そのまま口から精液を垂らしながら今度は褐色の体をも 
つ全裸の男に這いながら近付いていった。途中下着を身に着けていないノーパンの彼女のキャミソール 
の裾をめくりあげ裸の尻を剥き出しにしていやらしく笑いぺちぺちと叩く輩もいた。  
 全裸の男は天に向かって巨大な肉の尖塔をそそり立たせている。  
「あああ…」  
 フランソワーズは男の巨大さに目を奪われていた。身を震わせ目を潤ませている。  
 
 彼女は四つん這いで男に傍に近付く。  
「…自分で入れるんだ。お前もたまには男を犯したいだろう」  
仰向けに寝そべったまま男は彼女に命令する。腰をわざと浮かし上下させ彼女を煽る。 
硬直した肉の棍棒を示されて彼女は息を弾ませた。  
「はい…」  
 彼女はがくがくと膝を震わせた。  
 白い精液が纏わりついた内股にさらに滝のように透明でてらつく愛液が伝い落ち上塗りさせられる。  
 それぞれ他の女をかき抱き酒を飲み大飯を食らって見物している野次馬がどっと歓声を上げた。  
「おいっ…まだ欲しがってるぜェ!このインラン姉チャン!」  
 ゲラゲラと下品な野次が飛ぶ。しかし今のフランソワーズには自分に向けられた嘲りすら快楽への欲 
求を煽るものだった。自分への賞賛なのだ。期待に彼女は体を震わせているだけだ。男が急かす。  
「俺の上に跨るんだ…はやくしろ!」  
「はい…ただいま」  
 彼女がよろよろと立ち上がった。  
 
 フランソワーズはフラフラとおぼつかない足取りでがっしりとした体躯の男の体側に足を開いて立ち 
あがった。両手でキャミソールの裾を腹まで捲り上げる。亜麻色の恥毛もピンク色の秘密の裂け目も白 
い二つの丘も惜しげもなく自分で晒す。彼女は腰をゆっくり落していく。細い指で自らの花芯の入り口 
を押し広げて猛り狂って膨張した男の先端をそこにあてがう。  
「あっ…ああっ…あああーんっ!」  
 彼女が喉を天に突き上げ尖った歓声を上げた。さらに腰を落しす。  
「うおおおーっ!いいねぇ!」  
 男は唸り声をあげながら彼女の両腕を掴んで引き寄せた。  
「アアッ…ヒイッ!ハアアッンッ!」  
 彼女は体をユサユサと揺らす。ジュブジュブと回りに淫猥な音を漏らし響かせながら彼女はみるみる 
うちに男の分身を全て体の中に含ませていく。太腿がピッタリと男の体に合さった。男が動き始める。 
片腕を彼女の腕から放し乱暴に乳房を下から引き掴む。  
「おお…気持ちいいなぁ…お前も動けよ」  
「アアッ!はいっ…アアッアッ!ウフゥンッ!」  
 男の命令に彼女は喜んで素直に従う。彼女は腰を前後、左右、上下と好きに揺すり背を反らせる。  
 
 素性の知れない裸の男の上に両足を広げ跨り腰を揺する彼女は動物だった。雄のペニスを絶えず求め 
て発情している雌そのものだった。そしてどんな淫らな行為も受け入れられる性奴隷であった。  
「ようし…そのままこっちに倒れてきな」  
 彼女の尻の下の男が腰を動かしたまま息を弾ませて命令する。  
「はあっ…はあん…あはぁ…はい…」  
 彼女は悩ましげな声を漏らしながら素直にコクリと頷いてみせる。つながり男に刺し貫かれたまま 
ゆっくりと男の上にうつ伏せになって乗りかかる。  
 豊かに膨らんだ両の乳房が男の胸板と合さり押しつぶされる。  
「あっああ…あああーんっ!」  
「ホントいい声だなあ…オラオラ、もっと鳴け!」  
 男は彼女の腰をしっかりと引き掴み下から上へ激しく突き動かす。  
「ああっあ!はぁん…あはぁ!あああッ!」  
 
「おい、こっちの穴が空いてるじゃないか…俺に使わせろよ」  
 男の上にうつ伏せになってあられもないよがり声を出し性交に興じている彼女に背後から別な男が近 
付いてきた。  
「好きにしな」  
 彼女の下でつながっている男が下品に笑いニヤリとする。  
「へへへ…まさにどの穴も具合のいい姉チャンだな…愛してるヨォ」  
 近付いた男も下品な笑いを返した。すぐに服を脱ぎ全裸になると彼女の白い背中に向かって両手を伸 
ばす。背中には触れず尻の肉を引き掴んだ。  
「ヒイイッ!」  
 彼女は声をあげ体をびくつかせる。  
「ひひひ…尻の肉も締まってて手触りがいいじゃねえか。さあこちらの穴のご対面といこうか」  
 男は乱暴に指で二つの丘の谷間に隠れた菊の花のすぼまりを強引にこじ開け押し広げる。男が視姦し 
ている彼女の体の前に位置するもうひとつの花芯はいまだ男に無残に押し広げられ侵入を許したままだ。 
彼女の内股は透明な液が洪水のように溢れ濡れていた。湿り気に支配されぐちょぐちょと肉と肉の擦れ 
あう音に彩られ男の痴情を煽る。  
 しばらく視姦を楽しんだ後男が叫んだ。閉じられたアヌスのひだをムリに開き己の先端をあてがう。  
「よし!いくぞ!」  
 
 男は膨張したペニスを彼女のアヌスにズブリと突き立てる。彼女はすぐに声をあげた。 
どっと周囲が囃し立てる。  
「アアアアアア…イイッ、イイーッ!」  
 ふたつの穴を同時に刺し貫かれた快楽に打ち震えてフランソワーズはうめく。絶えず腰を振り続け自 
分を犯している男達を受け入れ悶える。下品な笑い声がこだました。今の彼女の“耳”には嘲りも全て 
が肉欲の刺激であった。  
「もっと…もっとぉ!お願い、お願いいい!アアアッ…」  
 自らの肉体を差し出してこの狂おしい淫らな饗宴に彼女は参加し続けた。  
 
 
 ここは日本…ギルモア研究所。  
「まったく…妙なモノを開発しおって」  
 ギルモア博士がつぶやきながらしげしげと小さな機械のパーツを眺める。ドアをノックする音が響く。 
助手の009こと島村ジョーが入ってきた。彼もまた白衣姿だ。博士はあわてて白衣のポケットにパーツ 
をしまい込んだ。  
「博士…彼女は部屋に運びました」  
「ジョー、お前もご苦労じゃったな。手術は成功じゃ。これでもう安心じゃ」  
 ジョーは返事をしない。  
「…コーヒーはいかがですか。ご存知のようにボクはいれるの美味くないけど」  
「ああ頼む」  
 ジョーが頷いて部屋を出る。博士はその後姿を見送るとゆりかごですやすやと眠るイワンを覗き込みた 
め息をこぼす。  
「本当に安心なのかどうか…」  
 
 
「…彼女が苦痛を感じていなかったことがいいのか悪いのか」  
 博士はひとりつぶやく。  
「彼女に“あの島”での記憶があるのかそれとも覚えていないのか…イワンが眠ってしまっていては確 
かめようもない。…いや、そこまでしてしまうのも…あのふたりが乗り切っていくしかない。 
ジョーなら大丈夫とは思うがふたりで解決してもらうしか…ワシのできることは…ここまでじゃ」  
 博士はソファに腰掛けうなだれる。再びノックの音が響く。  
「お待たせしました博士…」  
「おお、すまん…ありがとう。お前も掛けなさい」  
「はい」  
 部屋にはぎこちない雰囲気が漂う。新・黒○幽霊団の美術品窃盗、美女誘拐そして基地アフロディー 
テ島を破壊し総統を倒すことすら成功したというのにギルモア博士の改造した開発ナンバー改造人間の 
中でもで最強を誇る009の顔はすぐれなかった。博士もそれを察知しなんとなく気まずい。  
「残酷な言い方じゃがな…ジョーよお前次第じゃ」  
 博士がゆっくりと口を開いた。ジョーは黙っている。  
 
 博士がコーヒーに口をつける。ジョー本人の言葉どおり彼女がいれるコーヒーとは比べ様もないほど 
まずかった。いや今はどんなコーヒーも美味くは感じないだろう。  
「彼女は犬に噛まれたようなもんじゃ。なんの罪もない」  
「わかっています」  
 ジョーは淡々と答える。その言葉になんの感情もギルモアには読み取れなかった。 
こほんっと咳をしてみせる。  
「しかし…よくわかったのお。その…受信機が取り付けられていることに」  
 ジョーの手がピクリと動いた。  
「生身の人間ならあの島の設備が破壊した時点で受信設備が残っていても何の変化もない…美女たちは 
あのままでこれからも元通りの生活が送れる…じゃが彼女はなにせ視聴覚が強化されたタイプじゃ。 
あのまま視床下部に受信機が埋め込まれておったらどんな影響を及ぼすか… 
性本能刺激など…おおすまん」  
 あわてて博士は口をつぐむ。それでもジョーは黙っている。  
「申し合わせておいたように彼女には今回の手術はメンテナンスの一環と説明しておる… 
それでいいな。今回のこと彼女がお前に話す時がときが来ればそれでいいじゃないか。 
こんなことでどうにかなるお前達でもなかろう」  
「はい…」  
 ようやくジョーが返事をした。言いよどんでいた博士が重々しく口を開いた。  
「その…事後報告ですまんが…お前に黙っていて悪かったが…彼女は妊娠の兆候はない」  
 ああっとうめきながらジョーが博士を見つめる。憤りの感情が片目に込められていた。  
「いや黙っていて悪かった。お前が別室での作業を頼んだときにな…麻酔が掛かった状態の時に内視鏡 
で…本人も気がついておらんじゃろう。受精卵は未着床じゃし…洗浄もしておいた。あれから三週間は 
たっておる…ここの設備なら充分な時間の猶予じゃ。いやすまん…本当にすまん」  
   
 ジョーは静かに立ち上がった。トレイに博士のコーヒーカップと一口も飲まなかった自分のコーヒー 
カップをのせる。  
「彼女が目が覚ましたら…そばにいたいんです。彼女のそばについていてやりたいんです… 
失礼します。博士」  
 うつむいて両の瞳を長い前髪で隠してしまったままで彼は立ち上がる。  
「もし…記憶があるかどうか確かめたいのならイワンが…イワンなら記憶の消去も…」  
「結構です。今はそっとしてもらえませんか…助けが必要なときは求めます」  
「あっああ…そうじゃな大丈夫なんじゃな」  
 落ち着かないギルモアに比べ恐ろしいほどジョーは平静を保っていた。  
「当然です。それじゃあ」  
「うむ」  
 博士は汗を浮かべながらジョーを見送った。  
 
 
 研究所の彼女の部屋…ギルモア博士の建てた日本の研究所でかつて博士が改造した自分と赤ん坊超能力 
者の001そして003ことフランソワーズ・アルヌール…平穏な時間の許す限り四人で暮らしているのだ。  
 何度この部屋で彼女と夜を過ごしたか…あどけない寝顔を無防備に自分に晒してすやすやと寝息を立 
てている彼女にジョーは目を細めた。  
「ふう」  
 ジョーはベッドの脇に運んだイスにもたれため息を付く。ひとりつぶやく。  
「よくわかったなって…そりゃあわかるよ。ボク以上に彼女が異常だったもの」  
 
 
「よし…自動操縦に切り替えたぞ…後は着陸するまで自由だ」  
 操縦席でジョーは背伸びをした。チラリと彼女を盗み見る。基地を急襲して脱出することにかまけて 
気が付かなかったが…よく見ていなかったが彼女の煽情的な姿に思わずドキリとする。まずい…! 
彼女の視聴覚なら自分の体の異変はバレバレだ。  
 しかし…それでも目がくぎ付けになる。こんな姿見たことあったか?  
 
 アフロディーテ島に誘拐されて捕らわれていた美女たちは皆このカッコウだった… 
肌が透けるような薄い布のキャミソールでウエストをヒモでマークしただけ…下着は身に着けていない。 
基地にいた連中が何の目的で美女を集めたのかは同性の自分にはすぐに察しが着く。  
 彼女は必ず救い出す!何があったとしても自分が救ってみせる!しかし傍のいる彼女の姿はすでに体 
の関係を持っている自分の理性を吹き飛ばすのには充分だった。  
 布越しに豊かで張りのある鐘を伏せたような形のよい乳房が膨らんでいる。盛り上がった先端はピン 
ク色だとすぐにわかる。ヘソも透けて位置はわかるし両足の付け根くらいしかない服の裾から太腿が見 
え隠れしている。足の付け根のデルタ部分には彼女の亜麻色の髪と同じ色の茂み…彼は喉を鳴らした。  
「フランソワーズ…」  
 かすれるようにジョーはうめく。久しぶりに対面した彼女。  
「無事でよかった…」  
 それだけいうのがやっとだった。目のやり場に困りながら彼女を隣から横目で覗き込む。 
このまま抱きしめて襲ってしまいたい衝動に駆られた。  
 いけない…彼女が驚くだけだ!ここは方に手を置いて優しく… 
わずかに残された理性が差し向けた行動を取ろうとしたときだった。  
 
 先に行動を起こしたのはフランソワーズの方だった。彼女の肩に手を置こうとしたジョーにいきなり 
抱きついた。両手をジョーの首にかじりつくように回す。操縦席の肘掛に両足を開いて跨っている。彼 
は仰天した。  
「ちょっ…ちょっとフランソワーズ?」  
「もう待てないの!はやく抱いてちょうだいっ!」  
「待ってくれ…おいっ!おおっ…」  
 彼女の指が防護服の上着の裾を捲り上げている。股間を撫で付けていたかと思うとすぐにズボンのフ 
ロントを開ける。すでに硬直していた分身がそそり立ちその姿をあらわす。  
「ああ…もうこんなになってるじゃない。すごいわあ!」  
 彼女は荒く息を弾ませながら指でしごき始めた。  
「待てったら!うう…」  
 快感にジョーの言葉が続かなくなった。目を閉じて宙に向かっていてうめいていた彼は防護服のズボ 
ンに冷たい液体を感じてはっとする。  
 彼女の股間からは透明な愛液がじゅくじゅくと溢れだしていた。ポタポタタと伝い落ちてこぼれ自分 
のズボンを濡らしている。  
 こんなになってくれるのはうれしいけど…一体彼女はどうしたんだ?  
 
「素敵…素敵だわ。ああ…」  
 呆けた彼女の声と虚ろで表情の読み取れない彼女の瞳に彼はすぐに違和感を覚えた。  
「なにがあったんだ…フランソワ…ッ!くううう!」  
 彼の問いにはフランソワーズは答えない。操縦席からひらりと飛び降りると床に膝立ちになってジョ 
ーの股間に顔を埋めた。彼の先端を口に含む。舌で舐めまわし吸い付く。彼女の柔らかい口の中は心地 
良く久しぶりのその快感に彼は歓喜のうめき声を漏らすことしかできなかった。  
「…フラン…ソワーズッ!」  
 口の中でさらに硬くなり膨らんだそれをいったん自分の口から開放するとさもいとおしげに彼女は見 
つめる。操縦席の腰掛けたままの彼の上ににじり寄って跨った。彼は慌てる。  
「おいっ…フランソワーズ!」  
 悩ましげな微笑を返し彼女は分身の先端を体にあてがうと弧を描きながら腰を落していった。  
「ああッ!ああんッ!はあッ!ハアアンッ!」  
 彼女はのたうちまわるにように体を揺する。 
あられもない甲高い僑声をあげて彼の分身を全て体に含んでしまった。  
 
 こうなると自然の摂理に従いジョーの体も反応してしまう。久しぶりの彼女の体は暖かく柔らかく… 
とてつもない快感だった。  
 彼が動き始めると彼女は満足そうな笑みを一瞬浮かべた。彼女は身に付けていたキャミソールのスト 
ラップを自分で肩からずりおろす。両腕で彼の頭を掴むと自分の裸の胸にかき抱く。誘われるまま夢中 
でジョーも乳首にむしゃぶりついた。豊かな胸の谷間に顔を埋め両手で愛撫した。  
 ふたりしかいない輸送機の中ではしばらく肉欲の交歓が続けられた。  
 
 誘拐されたショックの反動なのか?助かってうれしくて安全であることを納得したくて常軌を逸した 
行動に出てしまったのだろう…それにここでふたりきりだったし…防護服を乱れさせて心地良い疲れに 
身を委ねながらジョーは彼女の前髪をそっと掻き上げた。その彼女もまた今は疲れ果ててしまい隣の座 
席で身をもたれかからせて眠っている。彼女もまた髪を振り乱れ胸を惜しげもなく晒している。彼と交 
わった証である白い液を内股に伝い落としたままの乱れた姿であった。  
 
 
 ここは日本、ギルモア研究所…。  
 世界の永久の平穏を願いつつ今はつかの間の平和を楽しむサイボーグ戦士たち。  
「アアアッ!…アアーッ…もっともっとぉぉーっ!」  
 自らの乳房を引き掴み両手で愛撫しながらジョーの上でフランソワーズが悶えている。 
激しく腰を揺すり亜麻色の髪を振り乱している。ピンク色の乳首を固く尖らせ自らの指で摘み上げてい 
る姿は煽情的だ。甲高い悲鳴が響くのを気にすることもなく淫らに叫びさらに自分自身を高めている。  
「ジョーッ…もっと!もっとぉぉ…はあああんっあああんっ!」  
 自分を溢れる蜜で覆いつくし柔らかい肉壁で締め付ける快楽にこらえきれず彼も彼女を跨らせたまま 
息を弾ませうめく。  
「もう…イキそうだっ」  
「だめっ…まだだめえっ!もっと…もっとよお…アアッ!」  
 フランソワーズが腹の上でぐるぐると回転した。  
 彼女は一体どうなってるんだ…とてつもない心地良さに満足しながらもジョーの頭に不審がよぎる。 
アフロディーテ島から脱出してからの彼女は変わってしまった。彼女の飽く事のない貪欲な性欲にジョ 
ーは不安すら感じていた。  
 
 輸送機の中でのセックスは正直驚いたが自分も納得していた。自分も常軌を逸していた。戦闘も終え 
彼女を奪還したばかり…自分も興奮していた。彼女の身に何があったとしても乗り切ってやる!気が高 
ぶっていた。しかしいざ日本に戻ってくると今までの生活が一変してしまった。  
 
 喜ばしいことなのだろうか…自ら求めてくる彼女。  
 
 ごく自然なことなのか…朝も昼も関係なく求めてくる彼女。  
 
 興味本位のことなのか…アナルセックスを厭わない彼女。  
 
 博士と赤ん坊とはいいながら普通の大人よりも知能を持つイワンとの同居生活ではそれなりの節度を 
持ってお互い生活してきたはずだった。  
 島から戻ってからは嫌がることもなくすすんで引き受けてくれていたイワンの世話も博士に任せっき 
りだ。朝は起きてこなくて皆と顔を会わせることもない。女だから家事をしろとはジョーも思っていな 
いがあまりの彼女の変化にとまどっていた。特にセックスに関しては…。  
 
 こうして毎晩自分の部屋をためらうことなく訪れる彼女に違和感は否めない。以前は彼女の部屋をノ 
ックするとためらいがちにドアを開け少し頬を染めてはにかみながら自分を迎え入れてくれた。 
その仕草がかわいくて余計にそそられたものだった。  
 じきにおさまるだろう…彼女も気が高ぶっているのだ…性に積極的なことは人間なら男女の別なく恥 
ずかしいことではない。  
 それに自分の体は正直だ。生身として残された男の部分は喜んでいる!持てる力を使いきりジョーは 
快楽へ上り詰めていく!  
 
「…うっ…」  
 ジョーが歓喜にくぐもった小さな声を漏らして動きを止めた。ほとんど同時にフランソワーズの嬌声 
が部屋にこだまする。  
「アアーッ!ジョーッ!ア…タシ…イク…イクウッ!アアアアアーッ!」  
 彼女はピクピクと体を震わせて背をそらすと彼の上にどっと倒れ付した。  
「はあはあはあン、あああ…」  
 ふたつの心臓は生身の臓器と変わらず激しく脈打っている。潤んだ瞳で彼女は彼を見下ろす。 
顔にこぼれる亜麻色の髪がこそばゆい。あまり言葉をかけるのはボクの流儀に反する気がするんだけど… 
ためらいがちにジョーは彼女の頬を両手で挟む。  
「…よかった?」  
「ええ…最高よ…」  
 息を切らせたまま彼女が唇を重ねてきた。  
   
 
「いひひひ…てめーは相当なインランだなあ。オレだけでなく何人も相手にしてるのによぉ、 
ところがどーでぇ!具合は最高だぜ!ヌレヌレだしよぉ。ぜーんぜんお前のアソコは緩みがねぇ。 
すっげー締め付けだぁ」  
 下品に笑い息を弾ませ仮面の男は彼女の両足を体側に引き掴みさらに激しく突き立てる。突かれる度 
に乳房が揺れる。男がペニスでヴェギナを出し入れするたびにぐちゃぐちゃと淫らな音を立てる。肉壁 
を擦られるたびに肉を裂くような苦痛が体の奥に響く。  
「おぅおぅ、もっといってやれ!余計に感じるんだからなぁ、その売女は!」  
 今まで自分を犯していたケダモノが笑いながら今自分を犯しているケダモノにゲラゲラ笑いながら声 
を掛ける。  
 どぎつい赤いライトに床一面はピンクのマット…汚らわしい白濁した液体を全身に浴びてもなお彼女は 
必死に耐えた。ケダモノを見下し声も出さず涙もこぼさない。ケダモノを喜ばせるマネは何もしたくない。  
「へっへ…体は悦んでるんだからよお、ヤセ我慢するなよな。素直によがってみせろよお」  
 返事をせずただ睨み返す。チッと舌打ちして男は声を荒げた。  
「へんっ…どんなに上品ぶってもお前は淫売だって認識しな!オレのは全部中出しだ! 
子宮にぶち込んでやる!子を孕め!」  
 男が叫ぶとさらに激しく腰を動かした。  
 
「いやっ!いや…いやあああああーっ!」  
 
「フランソワーズ!しっかりしろ!」  
 暴れる彼女をジョーは抱き寄せる。彼の腕を払いのけようともがく彼女に構わず彼女をすっぽりと腕 
の中に抱き締める。  
「あ…ジョー?」  
「そうだよ…もう大丈夫だ」  
「ええ…ああ…ジョー…」  
 彼女がしがみつく。一糸纏わぬ裸の体をふたり寄せ合い荒い息遣いを整える。…ずっとこうなのだ! 
あの島から戻ってからというものの毎夜彼女は悪夢にうなされている。悲鳴をあげて泣き叫んでいる。 
自分がそばにいるというのに!  
「またこわい夢を見たの…ごめんなさい…」  
 彼女はいつもそれ以上は語らない。そしてまたすぐに抱きついてくる。  
「お願い…ねえお願い!抱いて!んんっ…」  
 ジョーは拒みはしない。彼女の求めににすぐ応じる。彼女は体を開き歓喜の声を漏らしセックスにひ 
たすら没頭していく。  
 しかしジョーの一抹の不安感は確信に変わっていた。なにがあった…ボクはどうしてやれる…? 
フランソワーズ…!  
   
 フランソワーズはイワンを避けていた。もうすこしで“電子頭脳”の赤ん坊は眠ってくれる。 
今イワンの傍にいくと彼は自分の心を読み取ってしまうだろう。あの島での記憶を読み取られたくなかった。  
 彼女は誘拐された時新・黒○幽霊団によって性本能刺激電波を受け進んで相手に肉体を奉仕する受信 
機を埋め込まれてしまった。ただ彼女が他の誘拐された美女たちと決定的に違う点…彼女は前身の組織 
を裏切り壊滅させた改造人間だったのである。  
 それに気付いた総統は残酷な代償を彼女の体に払わせた。シールドに覆われた部屋で性本能刺激電波 
を遮断した状態で彼女に部下の相手をさせた。  
 改造人間である彼女を改造人間である部下たちに陵辱させた。その輪姦の様子は研究開発のデータ用 
にモニタカメラに収集させたのだ。  
 彼女の強化された視聴覚はモニタカメラのことも理解していた。ここから生きて帰りたい!仲間が救 
出してくれることを信じて彼女は耐えがたい屈辱に耐えた。何も感じず相手を見下すことだけで自分の 
精神が崩壊するのをこらえたのだ。…ただあの島の出来事は誰にも知られたくはない。 
イワンにも博士にも…そしてジョーにも!  
 
 フェラチオを強要されてこらえきれず相手のケダモノを二度と女性を犯すことができない体にしてや 
った。死を覚悟して気を失った自分が再び意識を取り戻したのは頭を強打したときだった。  
 サングラスの男がキスを強要する。相手をひっぱたいてその場から逃げ出した。逃げ出す途中で 
007グレイトに助けてもらい仲間が到着していることを知る。ジョーが助けに来てくれた!  
 もうこれでいいではないか…唯一の気がかりはジョーが自分を拒否するのではないかという不安だった。 
杞憂に終わった。輸送機の中でふたりとも燃え上がった。今だってそうだ…全てを話すことがベストで 
はない。悪夢にはこれからもうなされるだろうが自分で解決することだ。このうえなく彼とはうまくい 
っている。…しかし私の性欲はすこし異常ではないかしら?  
 
「君の話によると頭を打っておる…君の能力だとかなり心配なんじゃ。視聴覚装置に悪影響が出ないか 
心配なのじゃ。メンテナンスも兼ねての一度検査したい…」  
 日本に戻ってしばらくしてのことだった。イワンは夜の時間に入って眠っている。 
アタシは博士の提案に同意した。頭部なら…他の部分を調べられることはないだろう。  
 
「このままにしておくと大変じゃ。故障して機能不全になる前にパーツを取り替えたい。 
心配しなくても能力強化などにはならん。安心しなさい」  
博士のスキャンしたフィルムを見せられアタシは同意した。  
 
「あなたも手伝うの?なんだか恥ずかしいわ」  
「おいおいこれでもボクは博士の助手だよ。患者はおとなしくしていなさい」  
 白衣姿のジョーが笑いかける。  
「わかったわ。先生」  
 ベッドに横たわったアタシに麻酔が吸入される。アタシは目を閉じた。  
 
 
「グレイトの言葉で確信したんだよなあ。ヴィーナス像に化けていた広間にフランソワーズが逃げてきて」  
 ジョーのひとりごとは続く。  
「彼女を追っかけてきた連中がヘンなことをいっていたと… 
女達は中枢制御なんとかを脳に埋め込まれているとか」  
 
 
「ジョーよお前の睨んだ通りじゃ。視床下部にこれ…こんな場所にワシはパーツを埋め込んだりはしておらん」  
 博士が唸った。  
「もしかしたら彼女の視聴覚装置と連動して発信機が破壊されておっても増幅効果があるかもしれん。 
なんらかの影響があると考えられる。このまま残しておくのは危険じゃ」  
 
 
「…残っているほうが男としてはうれしいかも…バカだな」  
 ジョーがひとり笑う。  
「ううん…」  
 フランソワーズがうめいた。  
 
 びくりとしてジョーは彼女を見つめる。軽く寝返りを彼女がうった。少し笑ってシーツを首まであげ 
て整えてやる。彼女は手術着のままだ。浴衣のように羽織っているだけで下着は何も身に着けていない。 
ジョーの喉がゴクリと鳴った。  
「ボクのほうがおかしくなりそうだよ…」  
 ひとりため息をつく。誰に対してでもない。彼女を守れなかったのだ。 
自分への怒りと無力感で拳に力が入った。  
「さっき…博士を殴りたかった。わかってる…博士はよかれと思って… 
でもなんで!ボクになんの相談もなく…なんでこんなに腹が立つんだ!」  
 頭を抱える。麻酔で眠っている間に内視鏡で…?彼女に何の許可も得ず? 彼女を含めてボク達皆を 
診てくれるのは博士しかいないけど…そこまでして許されるのか!洗浄もしておいた…まるでモノ扱い 
じゃないか。…しかし最悪の事態は未来に響く不幸を免れたことはジョー自身よおくわかっている。  
「父親のわからない子どもなんて…ボクだけでたくさんだよ」  
 吐き出すように彼はうめいた。  
   
「うん…」  
 また彼女がうめく。そろそろ麻酔が切れる頃だ。いつもと同じように今までと同じように彼女に接し 
ていくのだ。博士に言われるまでもなく当然のことだ。イスに座りなおし彼は彼女を黙って見守る。 
大きな水色のアクアマリンの瞳がゆっくりと開かれる。  
「やあ、気分はどう?」  
「…ジョー…アタシいったい…」  
 記憶が混乱しているのか彼女の言葉は要領を得ない。  
「メンテの手術が終わったんだ。成功だよ」  
「そう…そうだったわね」  
 けだるげな声を出しフランソワーズは天井を見つめる。  
「起きる?まだ安静にしたほうがいいけど」  
「ありがとう…なんだかだるいわ」  
 彼に助けられ上半身だけ身を起こした彼女が自分の姿にあっと声をあげる。  
「やだ…こんなカッコウで」  
 うろたえながらシーツを引き寄せジロリと睨む。  
「ずっと…ついていてくれたの?」  
「…なんなら眠っている間に着替えさせてあげたほうが良かった?」  
「なんてことをいうの!」  
 
「それだけいえるんだから大丈夫だね。手術は大成功だ」  
「もう…」  
 精一杯屈託のない笑顔を見せる彼とは逆に彼女は笑顔を見せると表情が一瞬曇った。 
ジョーはそれに気が付かなかった。もう安心だ…ボクも彼女も…またふざけてみせる。  
「着替えるなら手伝うよ」  
 彼女が予想以上に過敏に反応した。  
「ばかなこといわないで!ひとりでできるわ!出て行ってよ!」  
 本気で怒る彼女に彼は笑って答える。  
「なにもそんなに怒らなくてもいいじゃないか」  
「出て行ってよ!…出て行ってたらあ…」  
 突然彼女が顔を覆った。異変にようやく彼も気付く。あわてて駆け寄る。  
「フランソワーズ?」  
「触らないで!」  
 フランソワーズが目に涙を浮かべこちらを睨んでいる。 
ジョーは鋭い彼女の言葉に気迫に押されて肩に手を置くことができなかった。  
「なぜ…なにも聞かないの?あの島のこと…」  
   
「アタシがどんなめにあったのかあなたは気にならないの!」  
「落ち着けよ、フランソワーズ」  
 ジョーはしどろもどろに返事をする。  
「この三週間…あなたは何も聞かなかったわ!それとも聞くのがこわい?」  
「よさないか!」  
「ちゃんと記憶はあるのよ!どうして確かめようとしないのよ!」  
「落ち着けよ。フランソワーズ頼むから…」  
 突然取り乱した彼女にジョーは困惑する。彼女の両肩を掴み必死でなだめるがなんの効果もなかった。 
彼の手を振り払おうと彼女は暴れる。  
「アタシのことなんとも思っていないのね!どうなってもいいのね!」  
 吐き捨てるようにつぶやいた彼女の言葉にジョーは頭が熱くなった。  
 いったいどうすればいいんだ!なんで責められるんだ!?  
「…なんとも思ってないわけないだろうおおおおーっ!」  
 
 突然大声を出してジョーはフランソワーズを激しく揺すった。苦痛に彼女が顔を歪ませて叫ぶ。  
「いっ痛いっ!はなしてっ!」  
 彼女の言葉が耳に入らないかのようにジョーは堰を切ったようにわめく。  
「…君はボクを責めてるんだ!ボクにどうしてほしいんだよっ!」  
「そんなわけないじゃない…くうっ!とにかくはなしてっ!いやっ!」  
 ジョーの決意が全て音を立てて簡単に崩れていた。お互い知らないほうがいいこともある。時間が全 
てを解決する…いつでも自分が彼女を受け入れる余裕を持ってさえいれば自然に!取り乱した彼女を受 
け入れる余裕を今の彼は失っていた。  
 彼の腕から逃れようと必死で彼女はもがく。  
「アタシのことが心配ならなんでも知りたいんじゃない!?」  
 意外な彼女の言葉に彼は愕然とした。話す気になっている…?彼女は泣き出す。  
「どんなことでも…ねえ…」  
 ジョーは彼女の肩を掴んでいた両手を放してその場に突っ伏した。   
「くそっ…」  
 ジョーが低くうめいた。  
 
「あなただって気が付いてるでしょう…アタシがおかしいの…」  
 それは…!受信機のことを話そうとしてジョーは必死でこらえた。  
「あそこでなにがあったかなんて誰にも知られたくないのに…みんなみんなわかってる! 
助けにきてくれた仲間だって…博士だって!読心術ができるイワンとは起きている時に会えないわ! 
アタシは生きて帰りたかった…あなたが助けてくれると信じて…だけどやっぱり不安で」  
 ふたりの認識にはズレがあった。受信機で操られていたと思い込んでいるジョーと受信機が作動して 
いた時のことは記憶になくその前の複数の改造人間の男達による陵辱だけを記憶しているフランソワーズ。 
…島が壊滅した今すべての記憶の糸をたぐるのは困難であった。   
「責めてなんかいないわ…責められるのはアタシのほうよ。受け入れてもらえるか心配でたまらなかった 
のに…いざ今までと変わらない態度で接してもらうとかえって不安になってイライラして。 
この人大してアタシのこと思っていないから平然としているんじゃないかって…」  
 彼女は両手で顔を覆ったままさめざめと泣く。  
 
「…チク…ショウ!」  
 ベッドの上に上半身を突っ伏していたままで彼女の涙ながらの言葉をただ聞いていたジョーがよろよ 
ろと起き上がる。幽鬼のようにフラフラとし長い前髪で両の瞳を隠した彼はうわごとのように同じ言葉 
を繰り返す。  
「チクショウ…チクショウッ!」  
 ただならぬ彼の雰囲気にフランソワーズは圧倒された。  
「ジョー…?あああっ!」  
 突然ジョーが彼女を押し倒した。  
「なにするのっ!…ちょっとイヤッ!手術が終わったばかりよ。アタシ…」  
 思いもしなかった彼の凶行にフランソワーズが動転する。  
「平然とできるわけないじゃないか!チクショウ!」  
「きゃあああーっ!いやあああっ!」  
 
フランソワーズの悲鳴が部屋中にこだまする。彼女は必死でもがくが麻酔から覚めたばかりの体の動き 
は鈍く思うように動かなかった。簡単に押し倒されると組み伏せられた。それでも彼の両腕を掴む。  
「やめて…ジョーッ!やめてよっ!」  
「ボクがなんとも思っていないだって…チクショウ!」  
 フランソワーズが絶叫した。ジョーは手術着の前身ごろを掴むと簡単に剥ぎ取った。下に何も身につ 
けていない彼女の白い裸身がすぐに晒される。  
「いやよ…いやっ!」  
 彼女は身をよじらせて抵抗する。足をばたつかせている。大きな瞳が恐怖に怯えている。  
 取り除いた受信機の影響がなくなっているのか、彼女は“治った”んだな…! ジョーが冷静な判断 
をしたのは一瞬だけだった。誰に対して向けていいのかわからない爆発的な怒りがこみ上げていた。 
彼女に罪はない!そんなことくらいよくわかってる!彼女を弄んだ連中だって自分が葬ってやったんだ! 
…殺していい相手なんていないと思っていたのに…ボクは偽善者だ!自分に腹が立っている!  
自分が許せないんだ!彼女に責められたいのか?許しを乞えばいいじゃないか!  
 …でもこのボクだけのものだった彼女の体をいったい何人の男が…彼女の白い肌が涙で滲んでよく見 
えなくなった。  
 
「あああっ!やめてええーっ!」  
 彼女の両手首をねじ掴むと頭の上に引っ張りあげた。腰を揺すり抵抗する彼女に構わず両足の間に体 
をもぐりこませ彼女の秘裂に指をねじ込む。  
「ああああーっ!」  
 悲痛な声をあげ彼女の顔が苦痛に歪む。…彼女の花弁は乾ききっていた。いつも溢れて纏わりつく甘 
酸っぱい蜜は分泌されることもなく肉壁の湿り気だけが指に虚しく絡みつく。ちっとも気持ちよくない! 
面白くない!  
「くそっ!」  
 吐き捨てるようにつぶやくと彼女から離れる。彼女に背中を向けてベッドに腰掛ける。  
「…ボクはいやなのか!他の男ならいいのか!」  
「ひどい…」  
 彼女がすすり泣く。彼もまた涙が止まらない。  
 
 部屋の窓から差し込んでいた明るい光が赤くなるとすぐに闇が支配する。  
 あれからどのくらい時間が過ぎたのか…ひとことも口を利くこともなくふたりともその場にいた。  
 ジョーにとってこの部屋には他人には語れない口元がほころぶような記憶でいっぱいで…すべてそれ 
も過去のこと。彼女を意味もなく傷付けただけで自分は何をしている…すこしも余裕がなかった。罪悪 
感と自己嫌悪にとらわれていた。  
 フランソワースもまた自分を責めていた。彼の態度に感謝もし満足していたはずなのに自分から彼を 
追い詰めるマネをしてしまった。…彼に責められたかったのだろうか?話したくない知られたくないと 
はいいながら話して自分だけ楽になりたかったのだろうか。  
 重苦しい空気に押しつぶされそうになりながらふたりはその場にいることしかできなかった。  
 
 コンコン…扉をノックする音が静寂を破る。  
「ワシじゃ…ジョー、いるのかね?」  
 しばしの沈黙の後返事が返って来る。  
「…はい博士」  
「フランソワーズ、目が覚めたかの?気分はどうじゃ?」  
「…はい。ありがとうございます博士」  
 扉越しに博士が大声を出した。  
「イワンは眠っておるしワシは外に出てくる。張々湖飯店で食事をするから」  
「それじゃあすぐに車を出します」  
「ああ、いいそんなことはいい。すこしは歩かんとの。遅くなっても心配するな」  
「…わかりました。お気をつけて」  
「いってらっしゃい。博士」  
「おお」  
 無言で扉をしばらく眺めた後博士はため息をつき部屋を離れていった。  
   
 どれくらいの時間が過ぎたのか…再び沈黙が支配する部屋に突如声が響いた。  
(傷付ケアウノハヤメテヨ…素直ニオナリヨ)  
「誰だ!」  
 ジョーは驚き辺りを見回す。背中に思わずフランソワーズをかばう。  
(未来ニ存在スルコトニナルぼくノタメニ)  
「なんですって…光がしゃべってる?」  
 フランソワーズが呆然とした。蛍ほどの大きさの光が天井をさまよっている。  
 
(過去ハ変エラレナイ…デモ未来ハイクラデモ変エラレル。 
ダケド君タチガココデ破局ヲ迎エタラぼくガ存在シナクナル)  
「まさか…そんなバカな」  
 信じられない光景にジョーはただ愕然とする。  
(アンマリ子孫マデ心配サセナイデオクレヨ)  
「そんな…それって」  
 フランソワーズが震える。  
(ドンナニ辛クテモ乗リ切ッテイクンダヨ。過酷ナ運命ナラスデニ背負ッテル君タチジャナイカ。 
他ノ相手ジャ変リガナインダカラサ。傷付ケアウノハヤメナヨ。素直ニオナリヨ…)  
「待って!」  
 フランソワーズの制止の言葉も聞かず小さな光は消えていった。  
 
 しばらくふたりは呆然としていた。ジョーが弾かれたようにつぶやく。  
「…イワン…か?」  
「まさか…イワンは眠っているわ」  
 フランソワーズが否定する。  
「行ってみよう…あ、君は着替えたほうがいいね」  
 気まずさを振り払うかのように彼はおずおずと提案する。すこしはにかみながら彼女が頷く。  
 
「ぐっすり眠っているわ…」  
 ふたりしてイワンを覗き込む。フランソワーズがゆりかごからイワンを抱き上げた。  
「こうしてあげるの久しぶりね。ねんねですか。我が家の寝ボスケ王子様」  
「きっとイワンだってさみしいよ…君が会ってあげないと」  
「そうね…なぜアタシは意地を張っていたのかしら。イワンが心を読むと決めてかかって警戒して…」  
 彼女の頬に暖かい感情の涙が伝う。  
「ごめんなさいねイワン…」  
 
 
 ここは日本、ギルモア研究所。  
 キッチンのダイニングで隣り合わせに腰掛けふたりは話し合っている。何年たってもインスタント料 
理に頼ることしかできないジョーが二人分の食事を用意した。  
「レトルトとかのほうがボクがこさえるより速くて味がいいもの」  
 軽口をたたく余裕が彼にできていた。  
「コーヒー入れるよ。博士が嫌がる不味いやつ」  
 家事の得意でない彼がよく動く。  
「君はリビングでゆっくりしてて」  
 
 並んで座るとまたふたりとも押し黙ってしまう。ロクに診ていないテレビの音ばかり響いてその存在 
を主張する。  
「…素直になれか…ホントにそのとおりだ」  
 ジョーが口火を切った。  
「君に許してもらえなくても謝りたくて…ただ無事に帰ってきてくれたのがうれしいのにどう表現して 
いいのかわからなくて…君が話したくないのなら聞く必要もないと…忘れることができるならそれでも 
いいし話して楽になるのならそれを待とうと。なんにもしないでずるずるここまできてしまった」  
 両膝の上に置いた手がわけもなく震える。  
「全然余裕がなかったんだ…自分では大丈夫だと思っていたけど!」  
 
 彼女が手を重ねてきた。しばらく見たことのなかった彼女の穏やかな笑顔に彼は安堵する。  
「アタシの方こそ感謝しているのよ。もしあなたに拒否されたらどうしようかと不安で…ところがあの 
島のことを黙っていようと決心しているとなぜか夢に出てきてしまって…話したほうがいいのか判断が 
自分にもつかなくなって当たり散らしたんだわ。ごめんなさい…」  
 うなだれる彼女を思わず抱き寄せる。   
「謝らないで…もっと甘えてよ」  
「ええ」  
   
 冷静に話し合える余裕を生み出したふたりはしばらく口にすべきか迷っていたことを洗いざらいぶち 
まけた。時には感情が高まり衝撃を受け口調も激しくなる。涙も込み上げてくる。それでも話し合った。 
彼女には隠しておこうと決心していた性本能刺激電波の受信機のことも、そして彼には知られたくなか 
った忌まわしい記憶も。リビングがまさに修羅場と化した。  
 
 嵐が過ぎ去った。フランソワーズはジョーに体を預けふたりしてソファにもたれかかっている。 
博士は出かけたまままだ帰ってこない。抱いた細い彼女の肩に少し力を込め優しく撫で擦る。  
「…もう大丈夫だね“ボク達”は」  
 彼女は彼の胸に預けた顔をさらに深く埋める。  
「ええ」  
 唐突に彼が聞く。  
「やっぱりそのコーヒー不味い?」  
 彼女は驚いて否定する。  
「いいえ。そんなことないわ」  
 彼はおどけて笑った。  
「君に入れて欲しいんだ。不味いっていってよ」  
「まあ!ふふ…やっぱり甘えるのはそっちが上手ね」  
 
「ああああっ!はああああんっ!ああんあんっ!」  
 彼の出し入れするリズムに合わせ甲高い歓喜の悲鳴が同調して上がる。  
「すごいよ…最高だっ!フランソワーズッ!」  
 彼女の上にのしかかり腰を激しく揺らしながら彼が名前を呼ぶ。  
「ああっ…ジョーッ…イイッ!イイわあああっ」  
 腹の下でフランソワーズが腰をくねらせて喉から切ない声を絞り上げる。ヘンな機械に頼らなくとも 
お互いこれだけ燃え上がっているのだ。さらに快楽の高みを目指してふたりは貪るように絡み合う。  
「あんまりうるさいと博士に悪いから今度はどこかに出かけようか」  
 つながったまま彼は彼女を軸に回転させ体位をかえた。彼女が艶かしい悲鳴をあげる。今度は四つん 
這いになった彼女を責めていく。腰を引き掴み締まった腹で尻を打ち付けるとぺちぺちと音がした。 
乳房を揺らしながら彼女は息も絶え絶えに答える。  
「ええっ!そうねえええっ!ああっんっ!」  
 
(…僕ノコトモスコシハ考エテクレタマエ)  
 イワンの眠る部屋にまで甲高い嬌声が聞こえてくる。狸寝入りが得意のイワンはなかば呆れてひとり 
ごとをつぶやく。  
(彼女ガ誘拐サレタノハ僕ノみるくヲ買イニイッタカラナンダ…罪滅ボシニト思ッテ子孫ノフリヲシタ 
ンダガ…彼女ガ戻ッテカラトイウモノノ声ガウルサクテ気ニナッテ余計ニ眠レナクナッタシ。彼女ガ僕 
ヲ避ケルシデ散々ダッタカラ)  
 ふてくされたイワンのひとりごとはなおも続く。  
(ホットケバヨカッタカナア…前ヨリウルサクナッタヨ。困ッタ同居人ダ。狸寝入リダカラみるくモラ 
エナイシ。アア、オナカガスイタ!今度ハ僕が大泣キスルゾ!)  
 
 ここは日本。ギルモア研究所…悲鳴をあげてばかりのサイボーグ戦士たち。  
 
“完”  
 
 
 
 
 
 
 
 

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