「サアテオ次ハ…コレモくせガアッテ困ルネぐれいと」  
「はいはいはぁい!やっと我輩ですか!」  
すでに最初から裸だったグレイトが小躍りした。 
大人が火をチロリと吐く。かなり不満そうだ。プンプンしている。 
さっきはアタシを炎で脅して無理矢理にフェラチオをさせたくせに… 
しかもアタシは大人が口の中で射精した彼の精液を飲まされてしまったのだ。 
あまりにものんびりしていて和やかなこの二人の応酬がひどく悲しかった。 
体が動かなくて逃げ出せない自分に腹が立った。  
「なんネ!アテと一緒ヨ。アンタは役に立たないヨ!きっと」  
「どんな場面でもギャグになるんだな。お前らは」  
ジェットがからかう。グレイトはバンと自分の胸を叩いた。  
「何をいう…長年の英知を蓄えたこの我輩がそのあらんかぎりの知識と経験とそしてこの変身能力を活 
かし快楽の園でしか起こりえない極上のセックスを見せてやりますぞおおっ! 
…ってへへへ、何に変身しようかな?イワン様ぁ」  
「結局アンタひとりじゃなんにもできないネ」  
「うるへー!この役立たずの奇術師があ」  
「二人トモヤメロ…ぐれいと君ガ考エテイルノデイイヨ。タダ趣味デナイ人モイルダロウネキット」  
「はあ…やっぱりそうか。そうだろうなあ」  
イワンとグレイトの会話にアタシはがくがくと全身が震えた。何をするつもりなの?  
「ホントはなあヒドラに化けようかと思ったんだ。こんなの」  
「キャアアアアアアアアアッ!」  
アタシは全身総毛立った。グレイトはヨーロッパの伝説の妖怪に変身してみせたのだ。 
胴体の途中から何十匹もの蛇が分かれてクネクネとのたうちまわっている。  
「あらあ…やっぱダメですかね?」  
「ダメ」  
イワンが即答した。  
 
「見物スルぎゃらりーのコトモ考エテクレタマエ。ソレナラマダ獣姦トヨバレルモノノ方ガマシサ。 
妖怪ハ趣味ニ偏リガアリスギル」  
「じゃあどーすりゃいいんだよぉ」  
グレイトが情けない声を出した。  
「…ココハ日本。じゃぱにめーしょんノオ家芸、触手ぷれいトイウノハドウダロウ。  
君ハたこヲ考エテイタジャナイカ…足ガモウニ本多イいかニシタラ…大王いかナラドウダイ」  
「はいはい賛成!それのったあ!ようしイキますよ。穴という穴を全部責めてやるぅ」  
「オレ寝ようかな…趣味じゃねえ」  
あぐらをかいて座っていたジェットが横になった。  
「案外一番快感かもよぉフランソワーズちゃあああん」  
白いイカに変身したグレイトがアタシの足を絡め取った。吸盤が吸い付く。  
鳥肌が立った。  
「いやあああああ!」  
 
「…あッ…ああッ…あぁぁッ…」  
クチャッ…ネチョッ…  
「ん…んんッ!ううーッ…んんッ!ハアッッンッ…ハア」  
ピチャ、ピチャ、ピチョーン  
「あいやーこれは…イイネェ!イイヨォ!」  
大人の呆けた声に足を伸ばし背を向けていたジェットが反応した。  
「想像以上にいいじゃないか…おいジェット、お前も見てみろ」  
「なんだハインリヒ…お前アニメなんかに興味あんのかよ」  
へへんとジェットがせせら笑った。まだこちらに背を向けている。  
「ああヨーロッパじゃジャパニメーションはブームになった。アメリカもそうだろ」  
「確かにイカも動物だもんな…なんだか惹かれるものがあるよ」  
ピュンマの言葉に長い鼻をこちらに向けた。  
「おいおい、年寄りのわけのわからない変態趣味にお前らなに…!!おおっ!」  
ジェットが声をあげた。 
アタシは赤ん坊のように両肘両膝を曲げた格好で空に浮かび変身したグレイトの白いイカの足に絡みつ 
かれていた。イカの足という足がぬめっていてネトネトとした粘液が体中に纏わりついている。吸盤に 
吸い付かれた肌は赤くうっ血しいたるところに円形の痕が残っている。乳房は足で締め上げられ盛りあ 
がりその両の先端は絶えず吸盤で吸い付かれ足で擦られ弄ばれた。乳首が刺激で固く屹立している。  
「へへ…手が多い方がよかったねぇ。いろんなところ触れるモンねぇ」  
グレイトはまだ己の分身はアタシの体の中に侵入させていなかった。 
アタシはイカの椅子に腰掛けた状態だ。Mの字型に開かされた足の間を二本の足がクネクネと躍動し粘 
液を擦りつけながらアタシの秘裂と菊の花のすぼまりを自由に出入りしていた。  
「みんなにもよおく見えるでしょう…これがエンターティナーですよ!」  
グレイトは得意そうに声を出す。アタシの呻き声はすでに弱々しかった。  
「あっ…あああ…はぁぁっん…ああッ…」  
声の出ないジェットのかわりにイワンが交信してきた。  
「コレハ…思ッタ以上ニ効果的ダ!」  
 
「我輩のエンターティナーとしての素質なかなかのもんでしょう…イワンちゃん」  
「アアソウダネ。相手ガ人間トノ性交デナク化ケ物トノ交接トイウ意識デ快感ヲソレナリニ高メテイル 
…素晴ラシイヨ。サスガ天下ノぐれいと・ぶりてん、年ノ功ダネ」  
「あのなあ…年の功なんてちっとも誉めていないぞ! それにイカは軟体動物だ! 
化け物なんてイカに失礼だろうが!」  
「ソウダネ。いかニ失礼ダネ。撤回スル。ぶりてんばけものいかもどきダ」  
全員がゲラゲラと声を立てて笑っている。 
悔しくてたまらなかったがこの気持ちの悪い軟体動物の足は柔らかくて粘液は滑りがよく痛みとは程遠 
い刺激だった。  
吸盤の吸い付きも肌との擦りあわされる刺激が痺れるような快感で心地良い。  
頭が痺れてくらくらする。刺激を受けている体の中心から脳天に電流が走った。  
「ああぁっ!ハァァァァァァァンッ!」  
「あらあ…いいお声ですねぇ。気持ちいいんですかぁ、フランソワーズちゃああん」  
グレイトはさらにで触手とよばれる足を動かす。ふたつの穴に差し入れた中をねちょねちょと掻き回す。 
絡みついた足を強弱つけて締め上げたり緩めたりする。  
嫌悪感に勝る何かべつの快感にアタシはたまらず声をあげた。  
「んんッ…うっ…ウッフゥゥンッ…ハアッツツツッンッ」  
「コレハウレシイ誤算ダヨ。コンナニ触手ぷれいニ感ジテクレルトハ… 
しばらくぐれいと触手の“愛撫”ヲ続ケテクレタマエ」  
冷静なイワンの交信が少し上擦っている感じの声になった。  
「モウ少シダ…モウ少シ」  
 
「けっ…まいったな。年寄りの変態趣味が一番の快感だとはよおっ」  
「…負けは素直に認めろ。お前の鼻はどうなる」  
ハインリヒの一言にジェットが黙る。話の矛先をはやばやと変えた。  
「イワンよ、この触手モノは誰の趣味だ?やっぱアニメの本場日系のジョーか?」  
「違ウ。博士ダヨ。イクツニナッテモ博士ハ科学的好奇心ガ旺盛ナ方ダカラネ」  
「その科学的好奇心からオレ達改造人間が存在することになったんだ…」  
ハインリヒの言葉に一同が静まる。部屋にアタシの喘ぐ声だけが急に大きく響く。  
「ソウサ。タッタ九人ノ姿ノ変ワルコトノナイ僕達ガネ。 
生身ノ部分ガ残ッテイテモ失礼ダガ不幸ナコトニ戦イニオイテぴゅんまハ首カラ下ノ生身ヲ全テ失ッテ 
シマッタガ他ノ者ハ…生殖器ガ残サレテイル。ぴゅんま心配シナクテモ僕モコノ体ダ。悲観スルナ」  
「ああわかってる。ありがとうイワン」  
ピュンマがにこやかに笑った。  
「残リノモノモ普通ノ生身ノ人間トハトテモ家庭ナンテ持テハシナイ。仮ニ結婚シテせっくすシテヨシ 
ンバ子ドモガ生マレテモ自分ダケガ時間ノ流レカラツマハジキニサレテシマウ。  
機械ノ肉体ガ衰エナイノダカラ。明ルイ将来ハナイ」  
グレイトの動きが止まった。アタシもイワンの交信に耳を傾ける。  
「ふらんそわーずナニモ僕ハ君とじょートノ仲ヲ裂クツモリハ毛頭ナイ、ソレガ目的ナラソウダネ… 
君ハ誰ガ父親カワカラナイ妊娠ノ恐怖ニスデニ晒サレテイルヨ」  
「イワン…」  
「モットモココマデ国籍ガ多彩ナラ容易ニ特定ガデキマスガ。皆ダッテヨクるーるを守ッテクレテイル。 
誰カ君ヲ殴ッタカイ?君ノ体の中ニ精液ヲブチ撒ケタカイ?」  
 
アタシはなぜか反論できなかった。イワンへの怒りが急激に失せていた。  
彼の交信は続く。  
「君モ人造皮膚ヲ持チ機械部分ヲ持ツ改造人間ダ。僕達ノ哀シミハオ互イニヨクワカッテイルダロウ。 
アル意味君達ガ希望ナンダヨ。子孫ヲ残ス…僕達改造人間ニ残サレタ人間ラシサノ可能性ヲ持ッテイル 
ンダカラ」  
「だったら…なんで、なんでこんなことをするのッ」  
「イッタロウ。共有シタインダ。苦楽ヲ全テネ。仲間ダカラ。スマナカッタ。  
ぐれいと続ケテテクレタマエ」  
「あいよっ…お待たせしましたぁ」  
「そんな…!ああっ!ああ…ああっんっ…」  
「今度は上のお口にも入らせてぇん」  
ヌメヌメとしたイカの足がアタシの口の中に侵入し喉の奥にまで絡みつく。  
「ンンッんんん…ウウーッ!」  
アタシは呻き声をあげるしかない。  
「じゃぱにめーしょんノびでおてーぷハ博士ノ書斎ノ戸棚ノ一番上の奥前ニ人工臓器ノ書籍デ隠シテア 
リマス。ヨカッタラじぇっと視聴シテミタマエ」  
上下の口とアヌスを触手で塞がれ執拗にグレイトはアタシを弄び続ける。  
 
「じょーハマア自分ノ出生ニ疑問ヲ持ッテイルカラあだるとびでおニ興味ナイミタイダネ。 
記憶ノナイ母親ヘノ思慕ノ念ガ深イカラ。奥手ダト見セカケテオイテアノ容姿ダ。 
黙ッテテモ相手ノホウカラ寄ッテ来ル。誰モ自分ヲ必要トシテイナイト思イ込ム孤独癖ガアルカラ本気 
にナラナカッタンダロウネ生身ノ時ハ。 
皆モ覚エテイルダロウ。ハジメテアッタ時の彼ノ手負イノ獣ノヨウナ獰猛ナ鋭イ視線ヲ…。 
我ガめんばーの歴戦ノ勇士を本気デ怒ラセタラ…  
オオコワイ。今後ノ良好ナ関係トイウノハソウイウコトダ。 
世界平和ノタメニモ我々ガ殺シ合イヲスルノハ無益ナコトダ」  
「ンンッうううッ!ううーっううっんんッ」  
イワン…あなたのいってることは勝手すぎるわっ!  
「僕ハ同居シテイルンダ。皆は彼ノコトハ心配スルナ。僕ガ彼ノ意識ヲ変エテイク。  
オ互イホボ不死身ナンダ。時間ハタップリアル。目的ハ快楽ノ共有…独占デハナイ」  
「うう…うう!ううっ!ンンンンッンンッ!」  
口をふさがれたアタシは言葉にならない呻き声をあげ首を振る。  
「ソンナコトデキルモンデスカ…ソウカナ君ハ僕ノ精神波デ何度も欲情シテイタヨ。  
ソレニ…最初ニ比ベテ大シテ僕ハ精神波ヲ強ク送ラナクテモヨクナッテキタ  
…君ハモウ快楽ノ虜ノハズダ。違ウカナ」  
「んんッんんんッ」  
アタシは涙を滲ませて首を振った。  
 
「現ニいかもどきぶりてんニヨルコノ触手ぷれいデ精神波ハ送ッテイナイヨ… 
ソレニ誇リ高キ英国紳士ハ君ノ手デいかセテモラオウト考エテオラレマス… 
単刀直入ニイエバ…早漏ダネ」  
「こっこのぉ…なんでそれを…狸寝入りの早熟ガキがぁ!」  
「いかガ赤クナッテドウスルンダ。たこダヨ、ソレジャア」  
ふたりの会話に皆が笑っている。どうして笑っていられるの… 
怒りがこみあげていたがそれ以上に自分が情けなかった。 
イカの足が快感なのだ。柔らかくてぬめりがあって生暖かくて… 
激しい硬い軟骨の突き上げの責めがないかわりに足は柔軟に形をかえ肉をすりあげている。 
アタシの体はなんなくそれを受け入れてしまっていた。どこを触られても勝手に体が反応する。電流に 
触れたようにピリリと震えてしまう。シャボンを肌の上で泡立てて擦りあげる快感にふと似ているよう 
な感触。まさか!なんてものにたとえているの…これは生臭くて気持ち悪いわっ! 
口を塞がれ言葉の発せられないアタシにすぐにイワンが交信して来る。 
優しく諭すようなイワンの口調…。  
「自分ノ感覚ヲ信ジナサイ」  
アタシはこんな化け物に体を弄られる事に感じてるなんて…変態だわ…。  
「違ウヨ。快感ハ素直ニ感ジナサイ。理性ヤ倫理ナンテ快楽ノ邪魔デシカナイ…  
ぐれいとソノママ続ケテアゲナヨ。スゴク気持チガイイッテサ。優シクネ」  
 
アタシは意識が朦朧としてきた。まったく体には力が入らない。 
抵抗せずにぐったりとしたアタシをグレイトの触手が絶えず弄ぶ。 
喉の奥にまでイカの足がねっとりと吸い付き息が苦しい。 
足の間に入り込んだ触手がネチョネチョと音を立ててふたつの穴を出入りしている。 
濡れそぼったじゅうたんのシミはどちらの…ああもうそんなの考えたくないっ!  
…疲れた…  
「誤解シナイデネ。僕達ハ君ガ大好キナンダ」  
頭がじーんと痺れてきた。イワンまた…。前髪に隠れた彼の両目が光る。  
「ソレニじょーモ大好キサ。君ニ負ケナイクライニネ」  
やめて…考えたくない…  
「彼ハドンナコトモ受ケ入レテクレルヨ」  
なにをいってるの…疲れたの…  
「僕達ハ君ガ大好キナンダ。君モソウダロウ」  
もう…やめて…  
 
(ー疲れたんだね。もう休もう)  
(ええ…ねぇずっとこうしていましょうよ。いいでしょう)  
(いいよ。ボクの腕は痺れたりしないから)  
 
アタシは意識を失った。イワンがつぶやく。  
「王手(ちぇっく)…モウ一押シダ」  
 
 
「どうするんだよお、気を失ってしまったじゃないかア!我輩はまだ本番に突入していないんだぞぉぉぉ」  
イカの姿のままグレイトがカンカンに怒って大声をあげる。タコのように赤いイカだ。 
イワンが冷静にグレイトに交信して返事をする。  
「君ハ英国紳士ダ。取リ乱スノハ自制シタマエ。彼女ノ価値観ガ今マサニ崩壊シタノダヨ。 
羞恥心ヲ押サエキレナクナッタノダ。触手ぷれいニ快感ヲ感ジテシマッタ自分ガ恥ズカシイノダ。 
ソレニ君ノ本番ハ…オットコレ以上ハ僕ノ口カラ言ワセナイデクレタマエ。先刻ノ恥ノ上塗リニナル」  
「なんだ、ちくしょうめ…面白くねぇな」  
英国紳士の言葉とは思えない野卑な言葉を舌打ちをしながらグレイトがつぶやく。  
「ソレヨリハヤク彼女ヲ下ニ降ロシテヤッテクレタマエ。静カニソットダヨ…」  
 
「はいはいはいっと、わっかりましたあ」  
ぼやきながらグレイトは意識を失ってぐったりと頭を垂れたアタシをゆっくり絨毯の上に仰向けに降ろす。 
すでにイカのものかアタシのものかわからないネトネトとした粘液の絡みついた足をスルリとアタシの 
体から抜き取っていった。  
ライトの光を浴びて液体がギラギラと照り映える。ネチュネチュと淫猥な音が周囲に響く。 
ヘソのスイッチを押しグレイトは本来の姿に戻る。  
まだ気が付かないアタシの前にグレイトが膝立ちになるとうなってみせた。 
ぐいとアタシの両足首を掴み大きく足を開かせた。  
「うわおっ…薄桃色をした肉の洞窟ですなあ…実に綺麗なことですなあ。 
…へへ、イワン様ぁやっぱりお願いぃん」  
グレイトは揉み手をしながらイワンに笑顔を向ける。  
「仕方ガナイネ。マア死姦ミタイデ面白イカモ。アアデモ君ハコレヲ」  
キャビネットの引出しが突然開きコンドームが宙を舞う。ひらひらと蝶のように  
飛びながらグレイトの眼前でピタリと静止する。  
 
グレイトは目の前に浮かぶコンドームを手で掴むとすぐにパッケージを裂いた。  
「誰モ見ナイカラ安心シタマエ…ソレニスグニ終ワルダロウシ」  
イワンの交信に全員が笑いをこらえている。グレイトが舌打ちをしてみせた。  
「ちぇっ!覚えていろよ、このエロ赤ん坊め…しっかしこれを勝手に使ったらマズくないかぁ?バレるぞ」  
皆に背中を向けごそごそしながらグレイトが後ろのイワンを見上げて声を出した。  
「心配ハ無用ダ。じょーハ残数ヲちぇっくスルホド緻密ナ性格デハナイ。 
モシ不審ガラレタ時ニハ僕ガ返事ヲシテオク。“風船ヲ見ツケテ遊ンダ”トデモ言ッテ置ク。 
彼モ赤ン坊ノ無邪気ナ遊ビニハ怒ルコトハデキナイサ」  
「どこまでもイヤなヤツだよ。お前は…イワン」  
ハインリヒが首を振る。  
「そんなもんかねぇ…ううっ…くうっ!…ありゃ、終わっちまった。 
ちくしょうめ、こうなりゃ“ヒト”の体で愛撫させてもらうゼ」  
アタシの両足を自分の腰に抱えてしばらく腰を前後に揺するとすぐにグレイトが声を出した。  
皆はグレイトを無視している。まだ意識を失ったままのアタシにのしかかりグレイトは無防備に天井に 
向かって突き出した両の乳房を手のひらでまさぐり片方の乳首を口に含んだ。ちゅーちゅーと音を立て 
て吸い付く。それでもアタシは気付かずピクリとも動かない。グレイトが不安げな声を漏らした。  
「本当におっ死んでるんじゃないか」  
「マサカ。理性ヲ保ツタメノ自分デ現実カラ逃避シタノダ。 
…最初カラ君ノ触手ぷれいデ責メテイレバモット簡単ニオトセテイタカモシレナイネ。 
ぐれいと君ハ賞賛ニ値スル」  
イワンに誉められグレイトが機嫌を良くした。さらに激しく乳房にむしゃぶりつく。  
 
「でもよ…コンドームとは意外だな。 
ジョーのヤツてっきりヤリまくりヌキまくりのしたい放題だと思ってたんだがヨォ」  
ジェットがグレイトを尻目にうなって見せた。イワンが即答する。  
「博士ニヨルトイクラ生殖器ガ生身トハイエ彼女ノ妊娠出産ハカナリ危険、疑問ラシイノダ」  
「そうなのか?」  
すこし驚いてハインリヒがイワンに声をかけた。  
「人造皮膚ニ負担ガカカリスギルノダ。劇的ナ細胞変化ニ彼女ノ体ガ持ツカドウカ博士ニモワカラナイ。 
僕達ガ知ラナイダケデネじょーハアレデイテ彼ナリニ彼女ヲ気遣ッテイル。ソレハ認メルンダネ。 
ソレニ…彼女ヲ“開発”シタノハ彼ダヨ」  
イワンの言葉に誰も反論しない。  
「君達ノ彼女ヲ共有シタイ意識俗ッポクイエバ俺達ニモやらセテホシイ願イヲ僕ガ聞キ入レタダケダ。 
先刻モ話シタトオリ僕もれいぷニ興味ガアッタシネ…」  
 
イワンは声を発することなくテレパシーで直接全員の脳に話し掛けてくる。  
部屋には不気味なほどの静けさが漂う。 
グレイトがビチャビチャと唾液の音を立てて乳房にしゃぶりつき肌に吸い付く音だけが部屋に響く。  
「モウ少シデ皆ノ目的ハ達セラレル。今後ノ“良好”ナ関係ガ成立スルノハアトワズカナ行為ダケダ。 
今夜ノとり…じぇろにもトソシテ僕」  
イワンの両目が光った。  
 

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