「君ハ自然愛好者ナンダヨネ。トイウヨリハ野性ソノモノカ。ガンバッテクレタマエ。ぴゅんま」
「ああ。自然体なものでね全部脱がせてもらう」
ピュンマはその場で服を脱ぎ始めた。すべてを脱いで裸になると彼はニヤリとした。
「できれば犬よりライオンあたりがいいな」
アタシは息を呑んだ。そしてガクガクと全身が震えた。それほど大柄でないピュンマは想像以上に…
あんなに大きいものなんて…いやよ!入るわけがない!
「ソレガ大丈夫ナンデス。ハイ今夜ノ三人目しょうたいむハジマリィ。ヨロシク」
アタシの心を読むイワンがからかう。
アタシに巻きついて取り押さえていたツルのグレイトの力が緩まると仰向けだったアタシは上半身を起
こし必死に後ずさった。
立ち上がることも出来ず両手を使ってじゅうたんの上を這いまわる。
「そんなにこわがることはないよ。イワンがいってたろ…愉しもう」
実直で知的な青年がなぜここまで貪欲に肉欲を露にしているのかアタシにはわからなかった。
「いや…いや」
ピュンマがアタシの腕を掴んだ。
「いやああああああ!」
「やめて…やめてっ!ああっ!」
ピュンマはアタシの片腕を掴むとアタシの背中に回しねじ上げた。アタシは悲鳴をあげる。
「ああっ痛い!」
ピュンマはアタシの耳元に後ろから囁く。
「本来動物は四足歩行だろう…だから動物の基本的な体位って」
「あああっ!」
ピュンマがアタシをうつ伏せに突き倒す。アタシの頬にじゅうたんが擦れて当たった。
「メスにオスがのっかかっていくんだよねぇ」
「あああっ!いやあああっ!」
ピュンマはアタシの上に乗りかかってしまった。アタシの耳たぶを軽く口に含む。
彼の舌が耳の中をチロチロと這い回る。アタシはあごを突き出した。
「ひいいいっ!」
彼は耳から首筋へそして肩甲骨の上へとアタシの背中を舐めまわした。
「綺麗な背中だね…それに…真っ白だ」
アタシはハッとした。背中の彼を見上げる。
「肌の色なんて関係ないさ。同じ人間なら男と女なら交われる…そうだろう」
ピュンマは笑う。冷静な声とそして獰猛な冷たい視線!
「優しい博愛主義の君にはできれば白より…黄色より僕に夢中になって欲しいんだ。試して損はないよ」
アタシは震えながら首を横に振る。こんなに彼は饒舌だっだろうか!
「思ったより君も聞き分けがないな…じゃあ行為あるのみでいこう」
「ああっ!やめてぇ!」
ピュンマはうつ伏せになったままアタシの両足首を掴んで上へ引っ張りあげた。
彼は自分の両肩にアタシの両足を置く。アタシの膝の内側に彼の側頭部が当たる。
自分で見ることのできない背後から体の秘所を見つめられていると思うと止め処ない恐怖感に見舞われた。
震えがとまらない。
「ふーんキレイなモンだ。ピンク色だね」
彼が息を吹きかけた。アタシは大声をあげ仰け反った。
「…やややあッ!」
「ビンビンに感じてるし。たしかにこれは…期待大だな。
それからいっとくけど僕は下半身にしか興味ないから。
前戯も上の唇のキスはなし」
「えっ…ああッ!あああーッ!」
突然ピュンマが舌をすぼめて花芯に差し入れてきた。アタシは激しく叫び顎を突き出してしまう。
全身に鳥肌が立った。
「…こちらだけ好きにヤラせてもらう」
ピチャピチャと音を立ててピュンマが曝け出されたアタシの秘裂を舐め回す。
下の唇に舌をチロチロと触れるか触れないかの微妙な距離で這わせたかと思えば大胆にベロリと唇全体
を舐め回す。
「やめて…やめてぇ! いやっ! ああッ…ああッン!」
アタシはじゅうたんに爪を立てた。
「あいやーこれもなかなか刺激的やネ。ホントにライオンが舌なめずりしてるみたいヨ」
大人の鼻からもくもくと白煙が噴き出している。
「あっ…ああッ!はぁぁぁッン!」
アタシは彼に舌で責められるたびに顎を突き出しブルブルと首を振る。
それでも逃げようとけんめいにじゅうたんに指を食い込ませ前に進もうとするがピュンマはアタシの腰
をしっかりと両脇から掴んでいた。足をばたつかせたが背中に当たっても彼はお構いなしだった。
ピュンマが舌をアタシの花芯に突き刺し中でクネクネと動かすとアタシは腰を体の前後に揺すってしまった。
両の乳房もプルプルと揺れる。
「ありゃあどう見ても楽しんでるんじゃねえか」
ジェットがほくそ笑んだ。ハインリヒがタバコを彼に渡す。
「お前は乱暴すぎたんだよ。一本どうだ」
「だめっだめえッ! そんなの…やめてぇッ! はああっん…ああン!」
「成熟したメスだね。ちょっと刺激しただけなのにすぐに濡れてくるよ」
普段は無口で純朴な青年だと思っていたピュンマに言葉で辱められるとアタシは悲しくなってまた涙が
滲んできた。
「子猫から犬そして今度は百獣の王ライオンですか…あり? これで終わるのか?」
グレイトがひとりつぶやき首をひねる。イワンが彼に交信する。
「文学ニ詳シイ博識ナ君ナラ考エタマエ。ぐれいと」
「終わったら困るヨ。アテはどーするネ」
大人が泣きそうな声を出す。
「…見物人がうるさいな。そろそろ手を変えるか」
「マサカ最初ニ“ひよどり越えノ逆落シ”ヲコノかっぷりんぐデ見ラレルトハネ。
デモサア、ワザワザ抱エアゲテくんにりんぐすスル必要ガドコニアル」
つぶやいたピュンマはイワンの交信に返事をせず黙ってアタシに舌を差し入れる。
「ひぃぃっ!ああああっん…ああっ!」
アタシは体を揺らせ悲鳴をあげた。ピュンマは舌で肉の内壁を掻き混ぜるように舐めまわした。
ジュパッ…ッン…わざと大きな音を立てて下を引き抜く。静かに笑ってイワンを見る。
ゼェゼェとアタシの荒い息が部屋に響く。
「これが楽しいんだよ…いけないか」
「失礼。僕ニシテハ愚問ダッタ。ソウダ。快楽ニ理屈ハイラナイ」
「次にイクよ…解説は君に任せるイワン」
「アア、了解シタ。僕ノ体位ノ教科書ハ日本語ナモノデソレデモイイカ」
「いいよ。ここは日本だから」
こんなにアタシを辱め苦しめているのにどうしてこの人たちは和やかに会話ができるの…
アタシは混乱し怯え苦悩していた。突然イワンが交信してくる。
「相手ニ考エサセルヒマヲ与エルナ。ぴゅんま…本能ノ行為ニ没頭シロ」
「わかってる。そのつもりだ…じっくりとね」
ピュンマがアタシの膝から足元に後ろずさった。腰から両手でアタシの体を支え膝を立てて移動していく。
両足首を掴むと一気に引っ張りあげた。
「!!きゃああああああああッ!」
「なにするのよっ!やめてっ!やめてぇぇっ!ああっ!」
アタシはわめいた。体をを持ち上げられて肘から下だけが絨毯に付いている。
無理矢理に逆立ちをさせられた格好だ。
力強くピュンマは起立し易々とアタシを吊り上げアタシの腰を自分の体の前で抱え込んだ。
アタシの足の間に自分の腰を挟み込みしっかりと固定している。
「いやっ!いやっ!もうやめてっ!」
アタシは激しく首を振る。両肘を絨毯に食い込ませ必死でもがいた。
しかしピュンマはアタシの必死の抵抗に微動だにしない。
「まだそんなに体力が残っているんだね…ねえわかる?君の太ももの間に挟まってるモノが…」
「ひいいいっ…」
けんめいに後ろを振り向き彼を見上げる。
いわれなくとも足の間に挟み込まれていた異物にアタシは気が付いていた。
それは堅くて大きくて…牛乳ビンいえもっと…ビールのボトル? まさか! たとえようがないっ!
「ソンナぎゃぐ君ラシクナイネ。品ガナイヨ」
イワンがまたからかう。アタシはイワンのからかいも気にならないほど怯えていた。全身が恐怖で震えた。
「それじゃあ…」
ピュンマが静かに笑っている。
「あいやー大きいネ。あんなに大きいと亀の頭というより蛇…大蛇ヨ」
大人がさらに鼻から白煙を勢いよく噴き出す。
「いや…いや…」
アタシは小さな呻き声をあげアタシの目でも見えない背後の大蛇にただ怯え震えていた。
いつ襲ってくるかわからない恐怖に震撼する。
ピュンマはアタシの下の唇を無理にこじ開けそこに大蛇の頭をぴったりとあてがう。
その生暖かい感触に背筋に悪寒が走った。背中をビクンと大きく震わせる。
アタシはそれでも弱々しく拒絶の声をあげる。
「…いや…いやよぉ」
「それ…それっ!」
ピュンマの掛け声とともに花芯に凄まじい痛みが走った。
「ひいいいいいいいいい! はああああああああ!」
アタシは絶叫した。
「やめて…やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! いやあああああああ!」
「あいやー! …こりゃあ中国秘術かなにかじゃないかネェ! 入ってくよ!
大蛇が壺ン中へずーんずん入ってくよ! あいやー! すごいネェ! ビックリヨォ」
「大人…そりゃあお前の国じゃないぞぉ」
大人をからかいながらグレイトも息を呑んでただ見守る。
「ダカラ僕ガイツタロウ…」
一同の見守る中ピュンマが動くたびアタシは痛みに耐えられず悲鳴を上げ続ける。
「あッ! いや! いたっ! いやっ! ああっ!」
この侵入者は中に入ってからさらに内側から膨張し硬くなった。まさに肉を裂かれるような激痛だった。
ミシミシと音を立てて肉壁を擦りながらさらに大蛇は奥へ進む。
ピュンマが歯をかみ締めながらうめく。彼の腰はゆっくりとしたテンポで規則正しく動かされている。
「くう…キツイなあ。でも締め付けがたまらないよ」
「やめて…やめてぇ! あっ! あっ! ああっ!」
彼の動きのテンポと同調してアタシは絶えず悲鳴を上げている。
アタシのお尻に彼の腹がぴったりと合わされた…アタシは彼とつながってしまった。
「さあ…到着だ。丸呑みにしたね」
「ううぅ…! ええッ! あッ! ああっ! はぁひいっ!」
「休んでるヒマなんてないよ」
ぐったりとしていたアタシは絶え間なく押し寄せる波のような激痛に背を反らせ彼に衝かれると体を痙
攣しているかのようにひくつかせた。
ピュンマはアタシのお尻に腹を激しく打ち付けてピストン運動する。
肉壺の中を巣にした大蛇が大暴れしている。
「いやっいやいやっ! うっ…動かさないでぇええええええ! あっ! ああっ!」
「コレハ…“抱キ上ゲ”カナ。アレハ男性ガ膝立チカ。
ソレトモ男性ガ起立シテイルカラ“手押シ車”?
判断シニクイガ力技ニハ違イナイ。ナカナカ見セテクレマスネ。ぴゅんま」
「けっ…イワンどこでそんなこと覚えるんだよ」
「博士ガネ春画ヲオ持チナンダ。日本ノ江戸時代ノ風俗文化ガワカルンダト」
「…博士もロクなもんじゃねーな。年寄りなのにヨォ」
ジェットが吐き捨てるようにつぶやく。ハインリヒが割って入った。
「ヤツはなんだか長そうだな…ところでよイワンお前の計画は本当にうまくいくのか?
彼女を見ているとお前さんの計画どおりにはとても…」
「はいんりひ…課程ハドウアレ結果ガスベテダヨ。確カニ彼女ハ思ッタ以上ニ気丈ダ。
ダカラ僕ハ最初ニ君ニ今回ノ計画ヲ打チ明ケタンダ。
君ノ説得ト僕ノ精神波デ彼女ノ理性トイウ精神ノ砦ヲ陥落サセテシマオウト。
ソレカラ皆デ快楽ノ虜ニシヨウト…トコロガドウダ。
君ガ勝手ニ行動シテシマッテ僕ノしなりおハ最初カラ狂ッテシマッタ」
「わかってる。だからこうして今はおとなしく見物してるじゃないか。悪かった」
「先ニ行動ヲ起コシタ方ノ勝チ…確信犯ダネ」
「やめてくれ…俺の心を読むのは。でもよ驚いてる」
ハインリヒがニヤリとした。
「これほど屈服させるのが快感だとはな…」
「抵抗されるのが面白いんだよ。
ファックで喜ぶ顔より泣き叫んで苦痛に顔を歪ませてるほうがグッとくる…だろう?」
「僕モソウダ。せっくすヨリモれいぷガ見タイ。
セッカク狸寝入リシテイテモサアせっくすシカ見物デキナカッタカラ不満ナンダ。…タマッテイマス」
ジェットとハインリヒが顔を見合わせた。ジェットがため息を付く。
「たまるわけねえだろ。赤ん坊が」
「ソレニ…計画ドオリニイケバ…今後れいぷハ成立シナイ」
イワンの両目が光った。
(だめよだめ…いったいどうしたの)
(…いいだろう…ねえ)
(だめよ。そろそろイワンが起きてくる時間だわ…そこにいるし…眠っているのよ)
(今見たよ…大丈夫、まだぐっすり眠ってたから)
(んんんっもう…フフッくすぐったぁい…はぁぁぁんっ…ああ…)
彼はイワンが起きている間は決してアタシを抱こうとはしない。
研究所で同居しているふたりの暗黙のルールだった。
博士は何も言わなかった。アタシ達の夜の生活に関しては一切関知せずといった態度だった。
もし…もしイワンがあの時目覚めていたとしたら!
「…はっ! …あうっ! ああっ!」
しばし頭がぼうっとしていたアタシがまた苦痛の現実に引き戻される。
そう…アタシは今ピュンマと交わっているのだ。カラダをつながらせているのだ。
彼のピストン運動によってアタシに打ち付けられる淫らな音と激しい痛みが現実なのだ。
「僕ノイッタトオリダッタロウ。君ハトッテモイヤラシイ人ナンダ。
君ノ体ハ今夜ダケデモウ何人ノ男性ヲ受入レテシマッタンダイ?」
「イワン…」
「イヤダトイイナガラ僕ノ精神波デマタ別ナ男トノせっくすヲ想像シテ欲情シテイルナンテ
淫乱以外ノナニモノデモナイヨ」
「イワン! イワン…よくも…ああっ! きゃああああ!」
「淫乱ハ一人相手ダロウガ何人相手ニシヨウガ関係ナイヨ。ヤッテクレタマエ」
ピュンマはアタシの両足首を掴みアタシを逆さにぶら下げた。
そのままつながっている部分を軸にしてアタシの体を回してひっくり返した。
彼とは逆さに向き合う。
激痛のため言葉にならない。
「!うぎぁあああああああああああ…ああああああああッ!」
「かあーっ…これもひでぇナア。興奮する」
「…皆たまってるネ。アテ耳からも火が出そうヨ」
グレイトと大人は一体誰のことをいっているのだろう…
アタシは凄まじい暴虐の限りを尽くされ悲鳴をあげるしかなかった。
彼はアタシと交差している形を取りそのまま動く。
上下前後左右と好きに腰を動かしている。アタシの肩甲骨のあたりに絨毯があたっている。
彼の動く摩擦で絨毯とアタシの体が擦れ絨毯は痛いほど熱くなっていた。
ピュンマは片足をアタシの体側に置きアタシを見下ろしている。
「これなら君にもよく見えるだろう…」
「あっああああッ!」
「“立チ松葉”…ぴゅんまハ力技ニ訴エマスネ。
男女トモオ互イニ結合部分ガヨク見エルシ腰ハ動カシ放題デ結合ハ深イ…
れいぷニハウッテツケ。支配欲ガ満タサレルコトデショウ」
「うっうううう…ひいいいい」
逃げることも出来ずただ彼の律動に合わせ虚しくうめくアタシにまたイワンが交信してきた。
「マダコノ現実ガ受入ケラレナイヨウダネ。
デモふらんそわーず君ハ平和ナ生活ニ慣レテシマッテ自分ノ能力ノ使イ方ヲ忘レテイタンダヨ」
「ううぅ…ううっ…ああっああああ…」
返事をしないいやできなくなったアタシに構わずイワンはテレパシーで話し掛ける。
「君ノ視聴覚能力ハ自分ノ意識ガすいっちニナッテイル。
ツマリ見ヨウ聞コウトシナイカギリハ普通ノ人間ト我々ト同ジれべるトイウワケサ。
…マサカ研究所デ留守番デ『仲間』ガイルカラト思ッテ安心シキッテイタンダ。ソウダロウ」
アタシはただ荒い息を吐き苦痛に顔を歪ませその度にうめく。
「ソウ僕達ハ仲間ダ。理不尽ナ理由デ仲間ニナリトモニ常人デハ体験スルコトノナイ凄惨ナ戦イノ中ニ
身ヲ置イテ数々ノ戦火ヲ潜リ抜ケテキタ。苦楽ヲトモニシタ…仲間ダ」
「なら…ならなぜ…ああッ!こん…な…あッ!」
「無理ニ口ニシナクテイイヨ。ぴゅんまノ動キニ応エテアゲナ。僕ハ心ガ読メルカラ
…君ハ決定的ナ事ヲ忘レテイル…おとこトおんな、おすトめす…僕達ノ中デ性別ダケハドウニモ変ワラ
ナイ。…ソウ女性ハ君タダ一人ダ」
「じょーも同ジおとこダカラネ…君ト僕ヲ一緒ニ連レテ行コウトシタ時ハモシカシテ僕ノ計画ガばれた
ノデハナイノカト心配シタヨ。マア彼ノ心ヲノゾイテミタラ君同様ニ仲間ヲチットモ疑ッテイナカッタ。
ワリトひどい半生ヲ送ッテキタ割ニハ彼ハ人ヲ信ジルコトガデキル優シイ青年ダ。
僕ガ起キテイル時ハ君トせっくすシナイシ性行モのーまるダシ」
明るいライトの下ピュンマとつながっているアタシの周りを皆が取り囲んでいる。
淫らな肉と肉との擦りあわされる音とアタシのうめき声が辺りに漏れている。
「シカシ…彼モウッカリシテイルヨ。君ハ女性ダ。ソシテ後ノ者ハ皆男性ダ。
ソシテコノ世ニ存在スル改造人間ハ僕達ダケダ。タッタ九人シカイナイ仲間ダ。
…君ハ仲間ト共有シテモラワナイトイケナインダヨ」
イワンのテレパシーにアタシは驚き思わず声をあげた。
「…!きょ…きょう…ゆうって…いやよ!…そんなのいやっ!ああっ!」
「ズウットイッテルダロウ…愉シンデゴランヨ。イヤ…愉シイハズダ。気持チノ持チ方次第ダモノ。
素直ニ感ジテゴランヨ。仲間ハ皆ソレゾレ個性豊カデ巧ミダロ」
「…いやっ!いやああッ!あああっ…あああっんっ!」
「一度手ニ入レタめすヲ手放スおすナンテイナイ。マシテヤ彼ニ勝テル者ハイナイ…
目覚メタ僕ヲ除イテハネ。ソレニ仲間割レハ世界平和ノタメニモ禁物ダ。ダカラ僕ハ」
イワンが語気を強めた。
「君ノ意識ヲ改革スルトイウ結論ニ達シタノダ」
すこしペースダウンしたとはいえアタシの言葉にはピュンマの動きとともに悲鳴が混ざる。
「いや…あッ!ムリよ…ああッ!そんな…あんッ!」
「ソウカナ?マア結果ハトモカク今ハソノ過程トイウワケデ開発中イヤ調教中トイウコトダ。
めすらいおん君」
仰向けで肩から頭が絨毯の上に置かれているアタシにピュンマが声をかけた。
相変わらず彼とはつながったままだ。彼の動きと同調してアタシの体も揺れる。
「…やっぱり顔が見えるのって僕は苦手だな」
「あくろばちっくナ体位デ感嘆シタヨ。構成ハ君ノ好キニシタマエ。ぴゅんま」
イワンは遊んでいるのだ…アタシの苦しみなんてまるで理解していない!
「!はあひぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!」
アタシはまた絶叫する。また結合部分を軸にして体の向きを変えさせられてしまった。
アタシは彼に背中を見せた状態になる。彼は足を屈して膝立ちになり後ろからつながった状態になる。
無理やり膝立ちにさせられた。
「やっぱり動物はこれに限るよね。ライオン君」
「いやいやいやあああああ!」
アタシは首を激しく振った。
「よく吼えるライオンだな…手ごわいね。でも…んっ!」
「あっ!」
ピュンマが背後から声をかけた。アタシの腰をしっかりと引き寄せる。
彼は絶えずアタシの体の中心奥深くに向かってパンパンと自分の腰を打ち付ける。
「そのぶんこっちもさあっ!」
「ああッ!いやッ!」
「フフ…調教のしがいがあるってもんさあっ!」
「いやッ!ヤッあああッ!」
アタシは顔を突き出し背を反らせる。ピュンマもさすがに息が乱れていた。
「…君はすばらしいよ。すばらしいカラダだね…うれしいなあ」
うれしい…?アタシはちっともうれしくないのよッ!こんなのもうイヤ!
怒りで涙を滲ませるアタシにまたイワンが両目を光らせた。
「君ハ僕ヲ疲レサセタイミタイダネ…」
アタシは動揺していた。まったく記憶がないのに…そんな…どうして?
パリでアパルトマンに下宿していた頃はバレエに夢中で空軍に入隊した兄が休暇で帰ってくるのを楽し
みに待っていた。特にボーイフレンドがいたわけでもない。
…アタシの記憶が確かでなくなるのは…“黒い幽霊団”に誘拐されてから“再び”目覚めるまで…
まさか!いえ…やっぱり!
(…気にしないよ)
耳元でジョーが囁く。彼も気が付いたのか…!
アタシが話す隙を与えまいかとするように彼はアタシを抱きしめる。
(だから君も気にしないで)
アタシは思わずしがみついていた。それ以上はお互い何も言葉を交わさなかった…。
再び押し寄せて来た官能の波にのまれすぐにその行為に没頭していった…。
「ソウ、ソレハ彼ノ本心ダ。君ヲ手ニ入レラレタンダ。君ノ過去ナンテドウデモイイコトサ。
…ダカラ僕達モ過去ナンテ気ニシナイ。コレカラニ全テヲ賭ケル…」
「ああ…あああっ!んッ!ああぁぁぁんッ!」
イワンの精神波で刺激されている間もピュンマは容赦なくアタシを後ろから責める。
「ぴゅんま…君ハヨホドばっくすたいるガ好キナンダネ」
「ああイワン。人間も動物だからね。これが一番さ」
「彼女ハばれりーなダカラ体ハ柔軟力ニ優レテルヨ。モット派手ニヤッテクダサイ」
「よし」
ピュンマがアタシの両膝の頭を掬った。
アタシの腰から彼の手が離された。必死で前に進み逃げようとしたのだがあまりにものろのろとしてい
ている間に両膝を掴んだ彼の手で簡単に引き寄せられてしまう。今度は完全にうつ伏せの体勢にさせられた。
ピュンマとはずっとつながったままだ。彼は静かに笑う。
「…まだ逃げようとするんだね。もう体力なんて残ってないだろうに」
「はあはあはぁ…!!きゃあああ!」
アタシは体を仰け反らせた。ピュンマはアタシの片足を持ち上げてしまったのだ。
同じ側の手も後ろへ引っ張られる。アタシの体は反らされた状態だ。つながったまま彼は動く。
激しく反復運動を繰り返す。
「やめて!やめてぇ…ああ…」
もう絶叫というよりは弱々しくて呻き声だ。ただ口を開けてアタシは喘ぐ。
「あいやーこれはナンネ?ポーズがずいぶん刺激的ヨォ」
大人は鼻だけでなく耳からも白煙があがりはじめた。
「“ツバメ返シ”ト呼バレテオリマス。女性ノ背ヲ反ラセタ姿ガ印象的…
逃ゲラレナイヨウニ相手ノ足ヲ固定サセルトウマクイキマス。
足ノ上ニノッ掛カッテイルシ手ハ自分ノ側ニ引キ寄セテ捕マエテイマス…
サスガデスネぴゅんま」
「イワンはその電子頭脳を怪しい方向に進化させているな」
グレイトが目を凝らしたまま呆れてつぶやいた。
「何ガ怪シイ方向ダ…キチントおとなニ成長シテイルンジャナイカ」
「しっかしホントにヤツはバックが好きなんだな…オレは向かい合わせがいいけどなあ」
ジェットがぼやく。
「まあ趣味志向はそれぞれだ。それよりオレはあんまり長いのが気にいらないな。夜が明けちまう」
すこしハインリヒが凄んで見せる。イワンが答える。
「心配スルナ。日数ハマダマダタップリアル。何事モ時間ガカカルノダ。がまんシナサイ。おとなダロウ」
アタシが苦悶の呻き声をあげている間ずっと他の者はその様子を観察しているのだ。
「さあてもとの体勢に戻るか…まあだ終わらないよ」
ピュンマが背後からアタシに声をかける。
アタシは腰を引き寄せられ彼とつながったままでうつ伏せの状態からまた膝立ちにさせられた。
ゼェゼェと喘いでいる。
「うう…いや…も、もう…やめてぇ…ああッ!」
四肢を投げ出して絨毯に突っ伏しているアタシの背中をピュンマが丹念に拭いている。
まるでホンモノと変わらない擬似精液のニオイがアタシの体から発せられている。
イワンの瞳から光が消えた。頭が痺れたようにジーンとしていたがすぐに戻った。
「今ハ君ノ精神状態ヲノゾイタ…モウ少シダネ。僕ノ診立テデハ後モウ少シダ」
「なに…よ…イワン…ふざけ…ない…でちょう…だい…」
アタシはイワンを睨む。それしか今のアタシにはできなかった。
ぐったりとして体はいうことをまるできかなくなっていた。
そんなアタシをあざ笑うかのように淡々と彼は交信して来る。
「サテトモウ後二人ヲ残スノミトナリマシタ。
…大人今度ハばいあぐらデモじぇっとに買ッテキテモラウンダネ」
「なあにいうてるカ!中国秘伝の媚薬を手に入れて見せるヨ!」
「強がりをいうな…素直になれ大人。人の好意は有難く受けるもんだ」
ハインリヒの言葉に皆が笑う。アタシは震えながら起き上がろうとしたが思うように力が入らなかった。