知らない人のために中途半端な説明……  
アリアンロッドは幼い頃、謎の男レギオンに真実の名を与えられた。真実の名とはその人間の本質であり、真実の名を他人に知られればその人間の言いなりになってしまう。アリアンロッドの真実の名を知るのはレギオンのみ。  
レギオンはアリアンロッドの旅先で度々姿を現すが、すぐに立ち去ってしまう。  
<これ以上の説明は私の頭ではまとめきれないので脳内補完か他の方お願いします>  
旅の途中でアリアンロッドは白妖精の世界にも行きまして、そこで一時的に仲間に入っている「楯の乙女たち」と酒を飲んでいるところにレギオン登場……というのが6巻にあるできごとです。  
 
 
レギオン、レギオン……、闇に浮かぶ銀色の灯。  
銀の髪、銀色の目。銀の鎖帷子。優しい顔立ちの……私の名付け親。  
レギオン、もっと……もっと、一緒にいたいな……。  
 
「あらあら、この子ったらぁ、もう酔っぱらったのかい?見せつけてくれちゃってぇ」  
「半分寝てるよこれは。こんな色男が会いに来たってのに。たたき起こすかい?」  
楯の乙女たちが何か言ってる……。  
「……必要ない。……このままで」  
レギオン!レギオンの声だぁ……。もっと聞きたい。  
どこ?ねぇ……めったに会えないんだから、声くらい……。  
「……ここにいる。私はここに」  
優しい手。……レギオンだ。もっと髪をなでてほしい。もっと……。  
「あたしたちお邪魔だね。行こ行こ。ほら行くよ、ばっちゃま!飛んでる妖精たちも撤収撤収!」  
 
レギオン……。  
 
「名付け子よ……」  
 
大好き……。  
 
「私の膝の上で……そのようなことを言ってはならぬ」  
 
え?あれ?レギオンの顔が近づいてくる?どうして……?なん……  
「レ、レギオンっ!」  
「起きたか」  
「ゆ、夢っ?あの、今、私……レギオンと……」  
キス、した……?夢なら夢で悲しい……じゃない、恥ずかしい!な、なんて夢を……っ。  
「……よく眠れたようだな」  
「へ?わっ!きゃあっ!」  
私ってばレギオンの膝枕で寝ちゃってたんだわーっ!  
「ごめん!重かったでしょっ?」  
慌てて体を起こす。  
「……ふっ」  
う。笑われた……。  
でもレギオン。レギオンだ。嬉しい……。  
抱きついたら引き寄せてくれる暖かい腕。大好き。大好き!  
「名付け子よ……」  
「目が覚めてよかった!夢の中だけで終わっちゃうところだったわ」  
思わず目が潤んできた。  
やだ。レギオンがじっと見てる。  
「……そなたがたどり着くその日まで……私は真にそなたに触れることはかなわぬ」  
「……それって、どういうこと?レギオンはここにいるのに。私に触れているのに」  
「……そうだ。……困る。触れることができるからこそ……」  
あ。今の夢と……同じ。銀色の髪が降り注ぐ。まぶしい光に包まれる。  
唇が重なる。私と……レギオンの。  
キス、なのかな?キス……してる?し、舌が……っ。  
頭にかーっと血が上った。  
「ちょっ、ちょっと待って!レギオンっ?待っ……」  
レギオンのことは大好きだけど、それって、それってこういう……。  
こういうこと……なのかな?  
バラーに貞操を奪われそうになったとき、レギオンの顔が頭に浮かんだ。  
いつだって会いたくてたまらなかった。  
だけど……。  
「……そなたの嫌がることはせぬ」  
「嫌なんかじゃないっ!……あ」  
……私ってば、頭より口の方が賢いんだわ。  
……嫌じゃない。レギオンなら。  
ううん、レギオンじゃないと嫌なんだ。  
でも、顔が……顔が上げられないーーーっ!湯気出てるんじゃないかしら……っ。  
「名付け子よ……」  
レギオンの吐息が首筋をなぞる。レギオンが私に触れている。  
そう考えるだけでどうすればいいのかわからなくなる。  
「私……っ、こんなこと慣れてなくて!変な反応しても呆れないでっ」  
目を閉じて言った。  
「……まったく、私は運が良い。そなたに名を与え、そなたを……得ることは、今はかなわぬが。……刻むことはできる」  
「……?レギオンは私の心に誰より強く刻まれているわよ?」  
本当のことを言ったのに苦笑された。  
信じてもらえなかった気がして取り縋ろうとしたら、ゆっくりと地面に押し倒された。  
「心だけではたりぬ」  
レギオンの唇が鎖骨をたどって降りてくる。大きな掌が太腿を這う。のしかかる重みがそれだけで心地良くて、声が出てしまいそうになる。  
恥ずかしい。  
でも、もっと……触れてほしい。  
「あっ」  
下肢をさまよっていた手が繁みにたどり着いた。気を持たせるようにして長い指が降りてくる。秘裂をそっとなぞられた。  
声は聞こえなかったけど、笑われた気がする。  
わかる。濡れてるんだ……。  
どうしよう。体が震える。地面をつかみたいのにさらさらとすり抜ける。どうしたらいいの……?息も、できない……。  
「名付け子よ、私が恐ろしいか……?」  
「そんなこと、あるわけないっ!レギオンだから……どうしたらいいのかわからないのよ」  
「……では、その手は土ではなく私へ。その口はただ私の名を呼べばよい」  
「レギオン……」  
「そうだ」  
「ああ……っ」  
レギオンの指……入ってきた。私の中に……。い、た……い。  
「レギオン!」  
「大丈夫」  
「……やっ、ゆ、び……回さな……っ」  
体の中でレギオンの指が蠢く。内側から開かれているような。怖い。だけど怖くない。  
「レギオン、レギオ……ン、あ……あぁっ」  
何……?変な音が……。くちゅっ、くちゅって……。水の……。  
「やだ!やめてレギオン!恥ずかしい!嫌っ」  
「……そなたのここは私の指を締め付け、引き込もうとする。今は一本。そして……もう二本」  
「やっ……ああ……っ、ん、あ、ん……っ」  
やだ。やだ。音が激しくなる。熱い。口が勝手に変な声を出す。私をかき回さないでレギオン、おかしくなる。  
わけのわからない感覚から逃れようと身をよじれば余計にさいなまれる。  
意識が飛びそうになるたび銀髪が肌をなでていく。  
「あ……ん、やぁっ……ああぁっ……ふ」  
聞こえるのは自分のものとは思えない恥ずかしい喘ぎ声や淫らな水音ばかり。  
 
ぐちゅっ……ぐちゅっ……  
 
正気の自分をつなぎ止められなくなる。  
「……レギオンっ、お、願……名前っ……名前……を……呼ん、で」  
「……アリアンロッド……」  
「……ちがっ」  
それは私の名前じゃない。  
あなたが……あなたがつけてくれた本当の……。  
そう言いたいのに、レギオンの唇が私の口を封じ込める。  
その瞬間、中の指を折り曲げられ、外の蕾を押しつぶされて……。  
「ああぁぁぁぁーーーーーっ」  
世界が真っ白になった。  
 
レギオン……レギオン……どこ?私、夢を見ているの……?今のは全部、夢?  
でも、おなかの下の方が……熱い。レギオン……。  
「人変わり、名変われど、『それ』はただ、それ……」  
レギオン?  
どういう意味なの……?  
「だが……真実の名は……」  
レギ……オ、ン……。  
「今はまだ……呼ばぬ。いずれ、そなたに真に触れ、そなたを得るそのときまで」  
レギオン!行かないでっ!  
「必ずそなたは水晶宮にたどり着く。……私はそなたを待たねばならぬ」  
行かないで!もっと一緒にいたいのっ!  
私はまだあなたを刻まれていないわ!  
もっと……深く……。  
 
「レギオン!」  
 
自分の声で目を開いた。  
「やっと目が覚めたかい?」  
楯の乙女たち……。目が覚めたって……。やっぱり、今のは全部夢だったの?  
……違う。覚えてる。レギオンがどんなふうに触れたか。ここも、ここも……。  
まだ、体がほてってる。  
「……レギオンは?」  
答はわかってるけど聞かずにいられない。  
「ああ、帰ったよ。しかしまぁキレイな男だったねぇ……」  
「……そう、帰ったの」  
「拗ねない拗ねない、ちゃんと二人っきりにしてあげたんだからさ」  
 
……。  
 
レギオンが好き。  
大好き。  
 
心にも、体にも、こんなにも刻み込まれてる。  
 
「いつか絶対にたどり着いてみせるわ。……絶対。絶対に」  
 
そのときはレギオン。  
そのときは――。  
 

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