エースデパートへようこそ!その4
「えっ、三姉妹だったんだ?」
僕が驚くと、マイちゃんは笑ってうなずいた。
「その節は、お姉ちゃんとミイちゃんがお世話になりましたっ」
聞くとマイちゃんは、アイさんを姉、ミイちゃんを妹にもつ三姉妹の次女だという。
上品な姉、ほんわか妹とはまた違って、マイちゃんは元気いっぱいの女の子。
快活さのあふれる笑顔に僕はいっぺんに惹かれてしまった。
……しかしその節はって、二人からどんな話を聞いたんだろう。
色事を何も知らないような顔でニコニコしているが、やはりこの子もムフフな子なんだろうか。
「そうそう、チカちゃんもおばちゃんも、すっごく感謝してましたよー」
「チカちゃん?」
「お客様が助けてくれた子です」
ああ、あのプリン娘のことだ。
僕のおかげで無事たいした傷もなく、もう売り場の後片付けに戻ったらしい。
おばちゃんの方はといえば、どうやら店員の間でも有名な常連だったようだ。
毎日のように子供を迷わせるが、実は地下1階で待ち合わせをしてるとか。
子供を探すふりをして僕のような善良な青年を狙っているのだ。
まったくとんでもない目にあったなぁ…僕はため息をついた。
「あの、お客様、ご気分でも…?」
マイちゃんが心配そうに僕の顔をのぞきこんでくる。くりくりした瞳がなんとも愛らしい。
「あ、いや、何でもないよ」
僕はごまかした。
――まあ結果として、こうしてマイちゃんと会えたんだから良かったんだろうか。
三姉妹は次女が一番かわいい、という説が学会を賑わせている、という話は聞かない。
だが目の前で僕を介抱してくれている次女は、それはもうとびきりかわいかった。
オレンジの制服が目にまぶしい。首元の赤いリボンとともに、太陽のような彼女の暖かさが伝わる。
姉妹たちに負けない均整のとれたプロポーションが、少しタイトな服によって存分に強調されている。
ショートヘアの毛先は外にぴょんぴょん跳ねて、いかにも活発そうだ。
アイドルみたいに小さい顔、そのやわらかそうなほっぺたが桃色に染まっている――
「あのう…そんなにジッと見ないで下さい…」
「あっご、ごめん」
いつのまにか見とれてしまっていたようだ。
マイちゃんは照れ隠しのように大げさな身振りで、一枚の紙を取り出した。
「そうだお客様!これは、当店からのお礼です!」
「お礼?」
「どうぞお受け取り下さい」
言われるままに紙を受け取ると、そこには大きく『福引券』と書かれていた。
「いろんなものが当たる抽選会をやってますので、ぜひお使い下さい」
「ふうん…どこでやってるの?」
「9階の催し物会場……あっ、よかったら今からご案内いたします!」
「あ、うん、じゃあお願いしようかな」
「はい!」
正直まだ少し頭痛がするけれど、せっかくのマイちゃんの好意をむげにはできない。
僕は彼女の笑顔に笑顔を返しながら、ベッドから立ち上がった。
医務室は1階なので、世間話などしながらエレベーターホールに向かう。
「――それで、いっつもお姉ちゃんに叱られちゃうんです」
「アハハ、そうなんだ……」
並んで歩いているとマイちゃんから柑橘系のいい匂いがする。
もっと近くで嗅ぎたいところだが、そのチャンスはあるだろうか…
そうだ、エレベーターで二人きりになれれば…!
……不運なことに、上へ行くエレベーターには何人かがすでに乗っていた。
悶々としながら中に入る。
「上へまいりまぁーす」
しかしマイちゃんが即席エレベーターガールとなってドアを閉めようとしたその時、
「乗ります、乗りまーす!」
とどこからともなく大量の客が一気になだれ込んできた!
「ちょっ…押さないで下さい!押さないで下さーい!」
さながら朝の通勤電車だ、箱の中はあっという間にスシ詰めになってしまった。
「う、上へまいりまぁす…」
「マ…マイちゃん……」
気づけば僕はマイちゃんと、ほとんど抱き合うような形で密着していた。
「お客様…あんまり動かないで、ください……」
マイちゃんの声が僕のアゴの下あたりで聞こえる。
「うう、く、苦しいぃ……」
隅っこで壁と僕にギュウギュウ押され、眉を寄せてマイちゃんがうめく。
その苦悶の表情に、僕は不覚にも興奮した。
明らかに重量制限を超えてるだろうにブザーのひとつも鳴らないエレベーターはどうかと思うが、今は感謝する。
密着してみて初めてわかるマイちゃんの肉体の弾力。
二つの胸のふくらみが、僕の加える圧力に若々しい張りを返してくる。
「おっと、手がすべったっ」
僕はわざとらしくつぶやいて、腕をマイちゃんの腰に回した。
「お、お客様……!」
そのままうしろに手をすべらせる。
タイトスカートにもろに出ているお尻のラインを指でなぞってみる。
「や…やめてください…」
マイちゃんは瞳をうるませながら僕を見上げた。僕は止まらない。
「ごめん、マイちゃんがかわいすぎるから…」
都合のいい事を言って肉の丘を軽く掴むと、マイちゃんはビクンと背中を反らせた。
「イヤだったら…大声出してもいいよ」
少し意地悪な台詞だ。そう言われて声をあげるような子じゃないのはわかってる。
マイちゃんが僕から目を反らす。
あきらめたのか、それとも受け入れたのか…判断はつかない。
僕はさらに指を動かして臀部をもてあそぶ。
マイちゃんは頬を赤らめながら必死で声を殺している。
空気の薄くなった箱の中で、ケーブルの駆動音と僕らの呼吸音だけが響いている。
制服ごしの尻肉の熱さと柑橘の匂いで頭がぼうっとしてくる。
指をスカートの中に進ませるとマイちゃんは一際大きな反応をみせた。
「っ!――」
肘をたたんで純白手袋の両手を僕の胸に置き、それから全身でもたれかかってきた。
完全にその身を僕に委ねたのだ。
僕は左手をマイちゃんの背中に回してぎゅっと抱きしめた。
もう十分に密着しているつもりだったが、腕に力を込めるとさらに柔らかな感触が深くなる。
「お客様…っ……」
ちょうど顔の前に彼女のおでこがあったので、前髪をかきわけて唇を寄せる。
脂肪の薄いおでこは肌荒れひとつなく、僕のキスを受け入れてくれる。
同時に右手の指先で、スカート内の布をさすってあげる。
マイちゃんの大事なところを覆う薄布も、とてもスルスルした肌ざわりだ。
「ん、んっ…」
特に敏感な突起をクリクリ刺激してやるとたまらず声が漏れてきた。
周りの客にばれるとまずいが、かといって指はおさえられない。
刺激を強くしすぎないように注意しなくては。
大きな動きでゆっくりと、やさしく、撫でるように……。
「ふ…ぅ、ぅ……」
息を潜めていても、我慢できずにだんだん荒くなっていく。
指先にほのかな湿り気を感じる。彼女も気づいたようだ。
「ぁ……」
真っ赤になってしまって、僕と目を合わせられない。
「うれしいよ、マイちゃん…」
僕はそうささやいて、手のひらで彼女の体を持ち上げるように強く力を込めた。
「んうっ、っ――!!」
マイちゃんは僕に抱かれたまま体をピンと硬直させた。
小刻みにふるえ、押し寄せる何かに耐えるような顔で僕を見上げ……でも耐えられず、熱い吐息を僕の胸にいくつも浴びせた。
そしてしばらくの後、ふっと力が抜けてまたこっちにしなだれかかってきた。
体に感じるマイちゃんの体重が心地いい。
彼女の恥骨あたりに当たっている僕の股間は、もういっぱいに張りつめてしまっていた――。
チーン!
間の抜けた鐘の音に、僕はハッと顔を上げた。
エレベーターがもう目的の階に到着していたのだ。
「あっ、きゅ、9階、もよおしもにゅかいじょおでございます」
マイちゃんもあわててしまってしどろもどろだ。
「てゆっか降ります、私たち降ります!」
人で詰まってどうにもならない箱から、僕らは潰れる思いでなんとか抜け出した。
「別に無理して降りなくてもよかったのに…」
本心からそう言うと、マイちゃんはちょっと怒ったような顔をして
「あんなところであんなことっ、…やっぱりヤです!」と言った。
「あんなところじゃなかったらいいの?」
「!……そ、そんなの知りません!」
むくれるマイちゃんもたまらなくかわいい。
股間はすでに準備万端だったが仕方ない、素直に抽選会場へ向かおう。――
無人の会場に入るなり、マイちゃんは小走りで奥のガラガラのところまで行って、叫んだ。
「抽選会ちゃ〜〜〜んす!!」
君が全部やるのかよ。忙しいな。
「さあお客様、回して下さい、さあ!」
「よぉーし」
言われるままガラガラを回す。と、まばゆいばかりに輝く金色の玉が!
「お、お、大当たり〜〜〜!!」
カリカリカリカリ!マイちゃんが力いっぱいベルを鳴らす。
「お客様スゴイ!金玉です!金玉が出ました!特賞の金玉でーす!!」
ちょっとマイちゃん、あんまり金玉金玉って…。でも特賞って?
「特賞、スペシャルライブ超特別席にご招待でーす!」
スペシャル…ライブ?僕は首をひねった。
<ライブ編に続く>