「クルス様……」
ベッドで横になったまま何時間が過ぎたんだろう。
スカーレットはそのままで、大きくため息をついた。
また鼓動が速めのリズムを打ち始める。
昨日の記憶をむさぼる様に、その指先は自然と秘所へと向かっていった。
「単なる化け物だ。 クルス様じゃない」
スカーレットは、目の前にいる青年をにらみ付ける。
自分が慕っている人間の姿をしているだけで、怪物が作り出した幻影に過ぎない。
そう自分に言い聞かせようとしても、スカーレットの心はそれを受け入れられなかった。
「スカーレット、なぜ武器を向けるんだい」
スカーレットはその優しい言葉を無視するように、激しく叫んだ。
「来るな、化け物。 叩き斬るぞ」
スカーレットは槍を構え、クルスの鼻先に突きつけた。
しかしクルスはゆっくりとその刃先を避けると、スカーレットに向かって歩き出す。
昔のように微笑んでいるその幻影は、スカーレットの平常心を少しずつ壊していった。
どうしようも無い恐怖感が、スカーレットを後ずさりさせる。
「やめろ、来るなっ」
スカーレットは、背中に何かが当たったのを感じて振り向いた。
見上げると、そこには大きな建物の壁が、延々と左右に続いている。
逃げ切れないことを悟ると、スカーレットはゆっくりと槍を構えた。
「来るなぁーーっ」
スカーレットは目を瞑り、自分の感情を振り払うように大声で叫んだ。
たとえ怪物の作り出した幻影だとしても、愛する人の姿をしたものが斬れない事は
スカーレット自身が既にわかっている。
もう手を伸ばせば届くところにまで、クルスの幻影は歩み寄っていた。
「スカーレット……君が欲しいな」
突然懐かしい声でささやかれ、スカーレットの槍が大きな音を立てて地面に落ちる。
自分の想像の中でささやかれ続けた言葉が耳に届くと、
スカーレットの平常心は完全に壊れてしまった。
「クルス様……」
スカーレットは一歩だけ踏み出し、自分からクルスの身体へと抱きつく。
スカーレットが抱きしめると、クルスもまた優しくその身体を受け止める。
くちびるを重ね合わせるだけの、薄いキス。
そのまま二人は抱きしめあう腕の力を強めると、何度も何度も口づけを交わす。
「んんっ、ちゅぅ」
それだけでは物足りなくなり、舌を絡めた深いキスを、どちらとも無く求め合い始める。
息が続かなくなり口を離すと、またすぐにくちびるを求め合う。
今まで思い続けてきたことが現実になったスカーレットは、
相手が幻だということも忘れて甘いキスを繰り返した。
「そんなに……見ないでくださいね」
スカーレットはうつむきながらも、自分のミニスカートの中へと指を伸ばす。
そしてそのシンプルな下着を摘むと、ゆっくりと脱ぎ始めた。
純白の下着が足元に近づくにつれ、スカーレットの色白な顔は、
恥ずかしさから見る見る紅潮していく。
この行為を見られているというシチュエーションだけで濡れてしまうように感じられた。
片足を脱ぎ、もう片足を離すと、スカーレットは重力のままに下着を足元へと落とす。
「どうでしょうか」
スカーレットはおもむろにミニスカートのすそを掴むと、
たくし上げて自分の秘所を晒しだす。
綺麗な曲線を作り出すスカーレットの下腹部。
髪の色と同じ、綺麗なブロンドの茂みがうっすらと生えていた。
クルスは、その綺麗に生えそろった茂みの奥、
まだ一度も使われていないクレバスへと指を這わせる。
初めて自分以外の人間に秘所をさらけ出したスカーレットは、
クルスの指が触れた瞬間、身体をぴくりと震わせた。
恐怖と期待が入り混じった想いが、
強引にスカーレットの意識を下半身に集中させる。
クルスの指先がスリットを優しくなぞるたびに、
ぞくぞくする感覚がスカーレットの体内を駆け巡った。
内腿もまた、ゆっくりと愛撫されると、痺れるような感覚が支配していく。
淫靡な感覚に落ちていくのが、スカーレットは自分でよく判った。
「あはっ、ひゃう」
一瞬、スカーレットは身体をのけぞらせる。
控えめな、小さな淫核を指で触れられた瞬間だった。
「ここが良いのかい、スカーレット」
クルスは、再びこりっとした部分をさする。
もし壁に寄りかかっていなかったら、
スカーレットは快感のままに地面に座り込んでしまっていただろう。
スカーレットは必死で足を踏ん張り、未経験の快感に耐えた。
その動きを楽しんでいるかのように、
クルスはその小さな突起を集中的に指で弄り始める。
直接指で優しく触れ、その周囲を撫で回しながら焦らし、
時には指の腹で突くように、さまざまな愛撫を繰り返す。
絶頂が近づくにつれて、スカーレットの秘所はしっとりと濡れ始めた。
「あっ、クルスさまっ、汚いですよぅ」
突然愛撫を止めて、自分の秘所に顔を近づけるクルスを、
スカーレットは手で軽く制止する。
「何を言ってるんだい。 スカーレットのここ……すごい綺麗だよ」
クルスは、スカーレットの細い腕を軽くはらうと、
その小さいながらも膨れ上がったクリトリスに口づけをする。
「あっ、はぁっ」
クリトリスを吸われ、スリットを舌先でなぞられるたびに、快感があふれ出して絶頂が近づく。
普段のスカーレットの強気な表情はもう見えなく、
エクスタシーを迎えることへの不安が弱気な表情を作らせた。
「くぅっ……くううぅぅぅっ、んぅっ」
スカーレットの身体は、何度か硬く硬直したかと思うと、
ゆっくりと力が抜けて、背中の壁へと体重をあずけた。
「さぁ、一つになろう」
身体がとろけそうな意識の中で、スカーレットはこくりと頷き
壁に寄りかかったまま細く長い脚を大きく開いた。
クルスは、まだ誰も受け入れたことの無い、
少女のような膣口に大きく膨らんだペニスを近づける。
「来て……」
スカーレットの一言を合図に、クルスはその細い身体を抱きしめたままで腰を突き上げる。
初めて男を受け入れたスカーレットの膣内は、少女としての本能のままに、
太い男根を締め上げ、外へと出そうとした。
しかし、女として愛する人自身を受け止めたスカーレットの心は、
無意識に腰を深くへと落とす。
膣の奥の僅かな抵抗も無視して、怒張が一気にスカーレットの身体を貫いた。
スカーレットの太ももに、ゆっくりと真紅の線が書かれる。
「あっ、あぁっ……クルス……さまぁ」
破瓜の痛みと、愛する人と一つになったうれしさとが、
スカーレットの涙腺を刺激し涙をあふれさせる。
「痛いんだろ。 ゆっくりやろう」
クルスが耳元でささやくと、その身体を抱きしめるスカーレットの腕の力が、少しだけ強くなる。
できることなら、今すぐにでも激しく動いて気持ち良くなって欲しい、
しかし膣内の激痛は、スカーレットにそれを言うことを躊躇させた。
下半身が繋がったまま、スカーレットは今日何度目かのキスを受け入れる。
結合部を動かさない代わりに、クルスはスカーレットのくちびるを激しく求め、
スカーレットはそれを受け入れたまま、下半身の痛みに慣れるのを待った。
スカーレットが、恥ずかしそうにクルスの腰に手をあてる。
「少しずつ動くよ」
スカーレットがこくりと頷くと、きつく締まったその膣内でゆっくりとした抽送が始まる。
細い身体が突き上げられるたびに、高い嬌声と卑猥な水音が辺りに響き渡った。
「くぅ、あっ、あぁっ……はあぁっ、あうぁっ」
ピストン運動が少しずつ速さを増す。
それにつれて、スカーレットの嬌声のリズムも、高さも、全てが激しくなっていく。
壁とクルスの身体に挟まれたままで快感をむさぼるスカーレットの身体に、
再び絶頂が訪れようとしていた。
「あっ、はぁっ、欲しいですっ。 中に……出してっ」
クルスは無言のままで、突き上げる速度をさらに上げる。
子宮口に休まず与えられる衝撃が、スカーレットの身体を強引に絶頂へと導いた。
「くるぅ、くぅ……あっ、ああぁぁーーっ」
絶頂を迎えるとともに、初めて使われた膣内がいっそうきつく締まる。
雌の本能が、遺伝子を求めて最後の刺激を送った。
「くぅ……あつぃ……あぁ」
巨大な剛直は二、三度痙攣すると、きつく包み込む膣内に大量の精液を流し込んだ。
熱い体液が、スカーレットの身体を満たしていく。
クルスの肉棒が秘所から引き抜かれると、どろりとした二人の体液が、
スカーレットの太ももを伝わり足元に滴り落ちた。
「クルス、さま……」
スカーレットは倦怠感のままに、壁に寄りかかったままゆっくりと地面に座り込んだ。
愛するものを受け止めた胎内は、スカーレットにとって初めての熱さを持ち、
身体の内部からしっとりとした満足感を感じさせる。
スカーレットは無意識のうちに、手を下腹部に添えていた。
「気持ちよくなって、くれましたか」
スカーレットはうつろな意識の中、自分の目の前のクルスに向かって話しかけた。
傍から見れば、中空に向かい微笑む彼女の笑顔は痛々しく見えただろう。
(スカーレット、うれしかったよ)
怪物の醜悪な腕が、スカーレットの細い首に巻きつく。
「クルス……様……」
クルスに優しく抱きしめられる幻覚の中で、スカーレットの意識は少しずつ消えていった。
グ、グォッ、グオォォォォーッ
地面にたたきつけられた衝撃と、
低い断末魔の叫び声で、スカーレットはふと意識を取り戻した。
「古都……」
スカーレットの目の前にいたのは、剣を構える古都の背中と、
致命傷を受け今にも倒れようとしている醜い怪物だった。
服の乱れも無く、ただ所々に擦り傷があるだけの自分の身体を見ると、
スカーレットは今までの事が幻覚だったと改めて気付かされる。
ただ胎内に残る生温かい感触は、まだ生々しく残っていた。
その白昼夢を思い出すだけで、鼓動は速さを増していく。
スカーレットは、涙があふれ続けているのに気付くと、逃げるようにその場を立ち去った。
「はくぅ……はぁ……はぁ」
ベッドの上で絶頂を迎え、スカーレットの身体から湧き上がった至福感が、
倦怠感に変わり始める。
スカーレットは、愛液にまみれて淫靡に輝く指先を見つめて考えた。
「戦いが終わったら……本当に一つになりたいな……」
スカーレットはゆっくり起き上がると、汗ばんだ身体を流す為にシャワールームへと向かった。