「ほらっ。」
そう言って、放り投げられた服にとりあえず袖を通す。
密事の前に着ていた服は、汗やらなんやらで大変なことになっていて今は先生の家の洗濯機の中。
とりあえず洗濯と乾燥が終るまでと日野に渡されたのは金澤のYシャツだった。
これまた男の人のだから大きいもので、いい感じにパジャマみたいになった。
「……洗剤の匂いがします。」
「当たり前だ。洗濯くらいしてるぞ。」
さも心外だというような顔で、金澤はベッドに座る日野にミネラルウォーターを渡たす。
とりあえず、それを飲む。散々喘いでカラカラになった日野の喉には気持ちよくしみた。
「お前さん、俺をどれだけだらしないと思っているんだ。」
「そうじゃなくてですね。こーいうのって…。」
言いかけて。日野は自分がとてつもなく恥ずかしいことを言おうとしていることに気づく。
少女漫画の読みすぎかもしれない。これは恥ずかしい。
あきらかに金澤の視線が怪しくなってた。まずいと日野は直感で感じた。
「い、いや、金澤先生だったら、やっぱり洗ってないかな〜、と思いまして!」
誤魔化してみたものの、やはり金澤の怪しい視線からは逃れられない。
と思ったら、あっさりした感じで金澤はふーん。と言って日野の飲みかけのペットボトルを飲む。
深読みしすぎたかな?と肩透かしをくらいつつも、日野はやはり考えてしまう。
先生のYシャツ。以外に綺麗好きな先生は、もちろん洗濯だってする。
だから洗剤の匂いで当然であり、そうじゃなかったら困るような気がするんだけれど、やっぱり思ってし…
「っ!せん、せ。いきなりどうしたんですか?」
「んー?」
そこで日野の思考はとりあえず中断された。
さっきまで前で水を飲んでいたはずの金澤が日野を後ろからいきなりホールドしてきたからである。
腰から前にまわされた手。肩にかかる金澤の重み。首筋に触れる髪。
少しもがくと、手が腰のあたりをやわやわと揉みだした。
「ちょっ、せんせ、くすぐったっい!」
「へー。んでお前さん、さっき何考えてた?」
「それは・・・うひゃっ!先生ストップー!」
「言うまでやめん。」
「だめぇ!くすぐった、むり、せんせっ、ひゃあ!」
気がつけば金澤の手が、Yシャツの上から胸を弄りだす。
緩急をつけて大きく揉む。それでも決定的な刺激はせず、さらに衣服の上から。
さらにぐちゅり、と耳の中に熱い塊が進入してくる。直接脳に響く水音。
「せんせ…やぁ……」
「強情なお前さんが悪い。」
きっぱり言い切ると、今度は胸の飾りを弄りだす。服の上から。
服の上からされると、生地とすれて直接いじられるよりたちが悪いかもしれない。
確実に下が濡れてきてるのがわかる。
「んっ…だめ先生…服よごしちゃぅ…。」
「なんだもう濡らしてきたのか?」
汚すと言っているのに、金澤はわざと服の上から大きな手で包み込むように濡れているそこに触れてきた。
それは強い刺激ではなく、ゆるやかに全体を刺激するだけで。
自分の意思とは反対に、腰が擦り付けるように動くのが恥ずかしくて思わず日野は顔を背ける。
「あーあ。俺の服ぐしょぐしょだ。」
「先生が、あっ、んん!もっ、やだっ。」
「やだって言うわりには、ぐしょぐしょだぞ?」
その言葉につい下に目をやってしまう。そこは、その部分だけ濡れて透けていた。
さらにその水のようなものが、自分の物だと思うと恥ずかしくてどうしようもなくなってしまう。
しかし、金澤の大きな手がそこを弄っているという行為に目が離せなくなってしまった。
金澤の顔を見たくても、見えるのは髪の毛とか手だけで。
それなのに金澤の声がダイレクトに耳の鼓膜を震わせてくる。
「さっき何言おうとしたんだ?言わないとこのままな。」
「せんせっ、もムリっ!だから、はやくっ…。」
「ほれ?しゃべれ?」
「あぁ!ん…あの、ですね…あっ!」
気がつけば金澤の指が濡れているそこに触れてきた。
でも挿れるわけではなく、入り口の部分をゆるやかに上下するだけ。
「んんっ…、だって、せんせのシャツ、だから、あぁ!」
「だからなんだ?」
日野がしゃべるのにあわせて少しずつ埋め込まれ行く金澤の指。
日野はその快楽に夢中になっていく。そういうように金澤が教え込んだのだから。
だから金澤はムリに聞かなくても、いずれしゃべると想定していた。
「せんせの、香りするかなって…なんかこう…先生に包まれてる感じになるかなーなんて…ひゃぁ!」
「随分…誘い方がうまくなったもんだ…」
「あっ!んん…せんせっ、だめ、だめぇ…」
ただその答えが自分の想定の範囲を越すとは思ってはいなかった。
金澤を刺激するには十分だった。布越しに金澤のそれが反応しているのが日野にも伝わり、それがさらに日野の快楽を煽ぐ。
「香穂子…こっち向け…」
最初は啄ばむように、夢中で二人で口づけあう。
いつも2人は口付けから始めていたが、今回はそうでなかったのが日野にとって足りなかったのか、いつもとは違い積極的に金澤に舌をからめていく。
体格差から足りない分も、みずから腰をうかして深く口付ける。
そんな日野にも驚きつつも、これ幸いと金澤は自分のそれを出し浮いたままの日野の入り口にそれをすりつける。
「ん…せんせっ……」
「名前呼べよ…香穂子…」
「紘人さっ…あっ、あっ、あぁぁ!」
日野の自重もあり、いつもよりも深く繋がっていくそこ。
日野の熱く蠢くそこが金澤を刺激し、次第に動きが早くなっていく。
もはや日野は快楽でなにも考えられなくなっていた。ただ快楽を求める。
「ひろと、さんっ!もっと!んんっ、あっ、いいよぉ…っあ!」
「そら、よく見ろっ!」
金澤は日野のひざ裏に手を回して、ぐいと体に引き寄せる。
さらに日野には長い裾の部分も持ち上げて、繋がっている部分があらわにする。
「やだぁっ!んんっ!せんせっだめぇ!」
いやだといいつつも、日野の体は敏感に反応し金澤をしめつける。
そこは、何度もの抽出であわ立ち、どちらのものかわからない液体が重力にさからうことなくたれていく。
日野の体がガクガクと震えだす。限界が近い。
「もっ、もう、だめっ、あっあっ!」
「いいぞっ!」
「あっ!あっ!あぁぁあ!!」
「……くっ!」
頭の中が真っ白になり、すべてが快楽に包まれる。
自分の中を満たす金澤のそれが愛おしい。
意識が上昇したときは、まだ金澤と繋がったままだった。
おれもまだまだ若いなーとか言いながら、方向転換をさせられる。
中に入っているそれは熱く硬さをまた取り戻していた。
「んく…紘人さんっ、もしかして…?」
「そゆこと。まぁ、ゆっくり楽しもうぜ。」
日野にとって、ある意味久しぶりになった金澤の顔は、少し汗ばみ前髪が張り付いていて、
またいい笑顔で、結局そのまま流されることとなった。
_終わり_