放課後の練習室。窓に寄り掛かり、一人佇む月森の姿があった。
クリスマスコンサートまであと6日。
自分のパートの練習が思うように進まず、練習室 に通う日々が続いた。
決して与えられた曲が難しい訳ではない。
一人の女性の存在が自分の心を乱す。
集中できない。
ここに来てから何時間たったのだろうか。
昨日香穂子を家に送り届けた時に触れた、彼女の手の感触を思い出した。
「柔らかくて、暖かくて……そう…手だけでなく、彼女の身体に触れてみたい…」
「!?」
月森はハッと我に帰った。「俺は何を考えているんだろうか」
冷静にならなければ。
そう考えようとしても、香穂子の事が頭から離れない。
気付いたら股間に手が行っていた。
月森のそれは膨張していて、今にもチャックから飛び出そうなほどガチガチになっており、心地良い痛みが全身を駆け巡っていた。
チャックを下ろし、左手でペニスを優しくすくい上げる。
『ビクンッ』
全身が軽く跳ねた。
「うっ…」
少し指が触れただけで、腰に電流が走る。
「俺は…俺は一体何をしているんだ。こんなところで…」
一瞬冷静さを取り戻そうとしたが、身体がそれを許さない。
音楽のことを考えようとすると、勝手に香穂子が現れて月森に笑顔を見せる。
「ああ…ワルツを踊った時の君は…」
あの時触れ合った身体の感触を思い出した。
このまま君と一つになりたい…音だけでなく身体も…
そう想いを巡らせながら、左手でペニスを軽く握り、上下に小刻みに動かした。
「はぁ…はぁッ…」
呼吸が荒くなる。
香穂子の顔を思い浮かべながらひたすらペニスを弄り続けた。
「香穂子っ…香穂子ッ…」
いつもならここで動きを加速させて達するところだが、最高潮に達する前に寸前にふと手を止めた。
「ふぅ…」
月森は深いため息をついた。
腹まで反り返ったペニスを見つめて呟いた。
「いつまで俺はこういうことをしているのだろうか…」
何一人でこんなところでこんなことを…と淋しい気持ちになった。
香穂子と一緒なら…
もし、香穂子とセックス出来たら…
月森は見たこともない、紅潮した快楽に溺れる香穂子を一生懸命想像した。
バイオリンを弾いている時の彼女の表情とはどう違うのだろうか?
気持ちがどんどん高騰する。
さっきよりも一回り大きくなったように見えたペニスを再び握った。
自分に突かれて、恥ずかしながらも気持ち良さそうに顔を歪ませる香穂子をよぎらせながら、ペニスをギュギュっと掴んだ手を必死に上下させた。
香穂子の膣の締め付けを想像しながら。
そして右手の人差し指と中指を口へ持って行き含ませた。指に舌を絡ませむしゃぶる。まるで香穂子とキスをしているようだ。
汗が顔を伝い、ポタポタと音を立てて床に落ちる感触が伝わってくる。
あまりの静けさに、汗の音さえも誰かに気付かれてしまうのではないかと不安になる。
しかし、その緊張感でさえ今は快楽を高めさせる材料でしかない。
ドクンドクンという速くなった心臓の音に合わせて、手を動かす。
気持ち良すぎて足が震えてきた。身体が熱い。早く放出したい。
手の動きを集中させるため、目をつぶり、顔を下に向ける。
加えていた指を口から離すと大量の唾液が滴り落ちた。
そして、全身が最高潮に熱くなり、全ての気がペニスに集中した。
「香穂子っ…香穂子ッ…君がす…きっ」
『ガチャ』
練習室のドアが開いたと同時に、月森の放出した液体が飛び散った。
「月森くん、そろそろここ閉まっちゃうよ。もう帰ら…」
ドアを開けたのは香穂子だった。
「…」
「…」
お互い目が合ったが二人とも無意識に目を逸らした。
全てを放出し、頭が真っ白になった月森は何が起こったのかを考えるのに数秒掛かったが、事の重大さに気付いた途端、顔が真っ赤になり下を向いて黙り込んでしまった。
一方香穂子は、ただ呆然とドアの前に立ち尽くしているだけだった。
(続く)