「……やっぱやめよっか、香穂ちゃん」  
自分のそこに押し当てたられたものが突然引いたのを感じて、香穂子はぎゅっと瞑っていた目を開けた。  
香穂子を上から見つめる火原は、優しく笑っている。  
「え……」  
「だって、なんか香穂ちゃん苦しそうだし。……ごめんね、ちゃんと時間かければ痛くないかも、  
なんて無責任なこと言っちゃって」  
「そんな、謝らないでください」  
確かに、最初に誘ったのは火原だった。けれど、誰もいないという彼の自宅に招かれた時点で  
香穂子だってどこか期待していた。  
8畳ほどの火原の部屋。壁際に置かれたパイプベッドの上でキスをして、胸を触られて、服を脱ぎあって。  
火原の手が自分の身体のいろいろな場所を触ってきて、指が太腿の奥へと触れて―――  
 
……そこまではよかった。  
 
けれど、香穂子も想像してなかったのだ。その…男の人のものが、あんなに大きくて、硬いなんて。  
 
思わずお互いの身体の間にある火原のものを見て、香穂子は真っ赤になる。  
先ほど入り口に当てられたそれは、まだ上を向いたまま大きさを保っていた。赤黒く何の力を入れずとも  
立ち上がっているそれは、初めて見る香穂子にはそこだけ別の生き物のようなほど異様なものに見えた。  
火原が少し先端を進めようとしただけで、香穂子はあまりの圧迫感にうめき声を上げてしまい、火原がおろおろして…。  
そして、最初のやりとりとなる。  
 
「でも先輩。男の人って、こういうのつらいんじゃ…ないんですか?」  
「えっ、そりゃあ……。だけど、香穂ちゃんがつらい方がもっと、おれやだからさ」  
……優しいなぁ。  
その甘さに浸りそうになりながら、同時に香穂子は申し訳なかった。  
入れる前まで自分はちゃんと感じてしまったのに、結局火原の方は何もできないで終わってしまう。  
「えっと……その」  
「いいよ、香穂ちゃん。気にしないで」  
こういうことを言っては、引かれるのだろうか。でも、傷つけまいと笑いかけてくれる彼に、自分だって  
何かをしたい。それは、本心だった。  
「……あの……」  
「だから、いいんだって」  
「私が…しましょうか……?」  
「…………え? えええええええっ!? ちょ、香穂ちゃん、自分なに言ってるかわかってる!?」  
「だって、このままじゃ…。その…口で…とか。初めてだから、ちゃんとできるかどうかわかりませんけど」  
「いや、それは…その興味がないわけじゃないけど。―――って、駄目だよ! 香穂ちゃんに  
そんなことさせらんない!」  
取り乱した火原が香穂子から身を起こす。  
その反動で火原のものが、香穂子の濡れた股の間をずるんっと摺るように大きく滑った。  
「きゃっ」  
「うわっ!」  
そしてそれは香穂子の茂みの上にちょうど乗っかるような形になってしまい、香穂子はその生温かい感触に  
びくりと身体を震わせる。  
「ご、ごめん! わざとじゃないから!」  
「は、はい」  
 
ちょうど二人の身体の間で火原のものをサンドイッチするような体勢に、香穂子は否応無しに火原の熱を感じる。  
脈打つようにそれはときどき動いて、気のせいか、先ほどよりも大きくなったような気がした。  
 
「……………」  
「……………」  
 
少しの沈黙のあと、火原が意を決したように呟いた。  
「……あのさ、香穂ちゃん。うつ伏せに寝てくれる?」  
「こう……ですか?」  
火原に少しどいてもらい、香穂子はパイプベッドの上へとうつぶせた。2人分の体重を乗せたベッドが、  
ぎしりと音を立てる。  
そっとその上に火原が覆いかぶさり、香穂子の腰を持ち上げる。そして、少しだけ開いた股の間に  
ゴムを外した自身のものを滑らせた。  
「――――――!」  
白い香穂子の太股の隙間を、火原のものが上下に行き来する。  
それは膝の方まで下がり、そしてまるで突き上げるかのように股間へと戻る。  
けして入れはしない。けれど、普段さらさない内腿の部分を火原のものが這い回る感触に、香穂子は  
自分の身体の熱が一気に高まるのを感じた。  
 
「ごめん。口でしてもらうのとこれ、どっちが最低だっていう感じなんだけど……」  
熱に浮かされたような声で、火原は耳元で謝罪する。それでも、腰の動きを止めることはなかった。  
「……ああっ」  
敏感な部分を火原のもので擦りあげられ、香穂子が甘い声を上げる。先ほどから充分に濡れていたそこは、  
さらに蜜を溢れさせてぬるぬると火原のものを濡らしていった。  
「擦れて痛くない? 痛くなったら、止めるから」  
「だいっ…じょうぶです……」  
いやいやをするように、香穂子は長い髪を乱して頭を振った。  
「だから先輩、やめないでっ……」  
 
いつだって、火原先輩はそう。  
私のことばかり気遣って、いつも優しくて、  
私だって、先輩のお願いを聞きたいのに。それができなくて申し訳ないのは、こっちなのに。  
 
小刻みに反る香穂子の背中に、火原の汗が落ちる。  
汗も、体温も、交じり合い分け合って、ベッドの上で2つの裸体が絡む。  
 
挿入はされない。  
けれど、入り口を激しく突かれるようなその動作に、香穂子は身体の底が熱く痺れてくるのを感じた。  
入り口のその先にある、奥がジンジンとするように熱い。  
「火原せんぱい……」  
うわごとのように名前を呼ぶ間も、太股の間を行き来する火原の熱は収まらない。それに煽られるように、  
香穂子は次の言葉を綴った。  
 
「いれ……て」  
 
一瞬、火原は困ったような顔をして動きを止める。  
それでも、香穂子の顔に怯えがなくなっているのを見ると、耳元でそっと囁いた。  
「このまま? それとも、さっきの体勢にする?」  
いつもより低い火原の声が、香穂子の身体に響く。  
「どっちでも……。あ、でも」  
首を捻って振り向き、香穂子はとろんとした目で火原を見つめた。  
「火原先輩の、顔が見たい―――」  
「うん。おれも、香穂ちゃんの顔見たい」  
腕を引き起こされて、香穂子は再度ベッドの上に仰向けにされる。  
不安はある。けれど、それより火原のものが早く欲しかった。  
「………あっ……」  
ゴムを付け直して再度香穂子のそこ押し当てられた火原のものは、先ほどより大きく硬い気がした。  
ニ、三度、入り口のひだの感触を楽しむように火原が押し当てたまま上下にそれを動かす。  
ひくん、と香穂子の入り口がうごめいたのを見て、火原はぐっと腰を突き出した。  
「んーーーっ!」  
香穂子の口から思わずうめき声が出る。痛みというより、それは衝撃だった。身体全体を押し上げるような異物感。  
「大丈夫? 息して…香穂ちゃん」  
「あ……」  
火原の呼ぶ名前につられるように、香穂子は大きく息を吐いた。  
数度呼吸を見守っていた火原が、少し収まったのを見て腰をそっと動かす。  
「っ……はぁ……」  
内壁が引き摺られていくような痛みに、香穂子は必死で唇を噛んだ。痛い、といえばきっとまた火原は  
自分を気遣って止めてしまう。  
「痛い…よね。ゴメン、でも、すごく…気持ちいい」  
大丈夫、という代わりに香穂子はコクン、と火原に頷いた。  
痛みはある。でも、火原が自分の身体で感じていることが、何より嬉しかった。  
 
「……あ…っ…!」  
内壁の浅い部分を優しく擦られ、未知の快感が香穂子を襲う。背筋がぞくぞくして、  
腰をのけぞらせずにはいられない。  
「ごめん、痛い?」  
上ずった声をあげる香穂子に、火原が思わず動きを止めた。  
「ち、違います……。痛いんじゃなくて、その……ぎゃく……」  
顔を赤らめて香穂子が告白すると、それ以上に火原の顔が赤くなる。  
正直に言い過ぎて引かれちゃったのかと少し後悔する香穂子を、火原はつながったままぎゅうっと抱きしめた。  
触れてくる火原の肌が、びっくりするほど熱い。  
 
「どうしよ……」  
「え?」  
「どうしていいかわかんないくらい、かわいい」  
「………せんぱい」  
近くなった背中に腕を回して、香穂子も火原の身体を抱き返した。  
幸せだ、と思う。火原先輩の彼女で、火原先輩と初めてのことができて。  
お互いの頬を擦り付けるようにごろごろと頭を寄せ合い、それは自然と口づけへと変わった。  
「んっ……」  
火原の舌が入り込み、香穂子も応えるように唇を使ってそれを吸う。  
口内も、自分の中も火原で満たされている。少し身じろぎをするたびに体内に埋め込まれた火原のものがうごめき、  
もどかしい疼きに頭が痺れるように熱くなった。  
「…っ…は…ぁ」  
「もう少し……速く動いても平気?」  
甘い口づけのあとそんなことを問われれば、香穂子は頷くしかない。  
「……はい。最後まで、して……」  
 
香穂子の華奢な両脚を持ち上げ、火原が自分の肩にかけた。ぐぐっと身体がくの字に折り曲げられ、少し上を向いた  
秘所に火原のものがさらに奥深く入り込んでくる。  
「……あぁ…っ…!」  
ズッ…ズッ…と、身体を揺さぶられるような激しい抽出。  
完全に痛みが消えたわけではない。それでも、その激しい律動から徐々に新しい快感が香穂子の中に湧き上がってくる。  
「っ…あ…ん……、あっ…、やぁ…っ…!」  
肩に担ぎ上げられた脚が火原の動きに合わせて跳ね上がる。  
突かれるたびに奥底から駆け上ってくる快楽の波に、香穂子は思わず太股を閉じ合わせて悶えた。  
「……っ…、そんな…しめないで……! 香穂ちゃん…っ…」  
脚を閉じた反動で、香穂子の中がぐっと火原のものを締め上げる。不意に来た締つけに思わずいきそうになり、  
慌てて火原は腰の動きを止めた。  
「だって、私も…なにがなんだか…っ…」  
何もかもが初めてで、しめつけないで、といわれても香穂子にはわからない。  
自分の中はとっくに火原の熱く硬いものでいっぱいで、これ以上ないくらい埋めつくされているのに。  
 
「……香穂ちゃ……、おれ…、もう…っ!」  
腰を打ちつける火原のスピードが一層増す。ぽたぽたと落ちる火原の汗が香穂子の脚裏へと伝り、  
繋がっている箇所の愛液と交じり合ってシーツに流れ落ちていく。  
「……んぁ…っ、…せんぱっ……、……あっ…!」  
ドクンッ。  
香穂子の中で火原のものが大きく膨らむ。  
「――――――ッ!」  
「……っん……!」  
何度も何度も香穂子の体内で火原のものは脈打って、ゴム越しに熱い体液が吐き出されていく。  
自分の内壁が温かく満たされていくのを感じながら、香穂子はまどろみにも似た意識の中で眼を閉じた。  
 
 
 
「……ごめん、香穂ちゃん。おればっかり気持ちよかったよね」  
香穂子の頭を抱え込むように腕枕をして、火原は申し訳なさそうにこぼす。  
ベッドの上での睦言というより、さっきから火原のひとり反省会だった。  
「こう、する前はさ、いろいろ考えてたんだけど……。いざってなるとわけわかんなくて」  
「気持ち…よかったですよ?」  
「気遣わなくていいよ…。あー、やっぱおれって駄目―――」  
放っておくとどんどん大反省会が進みそうで、香穂子は身を乗り出してちゅっとついばむようにキスをした。  
「私も…はじめてだから、よくわかんないですけど。その……心が」  
気持ちよかったから、と赤くなって告げるといきなり火原にぎゅうっと抱きしめられる。  
「せ、せんぱい! いたいですっ!」  
「あっ、ごめんっ!」  
あわてて力を緩めた火原と香穂子の目が合い、同時に噴き出す。  
それからお互いに手を伸ばし、再び同じ強さでふたりは抱き合った。ゆっくりと、お互いの体温を確かめ合うように。  
 
<FIN>  
 

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