香穂子が愛のあいさつを弾き、想いが通じてからどのくらいたっただろう。  
音楽一家に生まれ育ちたぐいまれな才能を披露してコンクール総合優勝  
という栄冠に輝いた月森と香穂子の間には、恋人同士と呼ぶにはあまりにも  
拙い関係が続いていた。練習室で待ち合わせて彼のヴァイオリンを聴く日々。  
香穂子が弾いても月森の口からは誉めの言葉はでないから、つい喧嘩腰に  
なってしまう。これでは甘い雰囲気になれそうもない。  
屋上での告白以来、一言も好意を感じられなくて香穂子はイラついていた。  
「あ〜もう!これが付き合ってる状態かぁ?」  
教室の机に突っ伏しながら、香穂子は独り言をいう。  
「ちょっと…イライラを巻き散らかさないでよね。贅沢なんだよ。  
 学園一の有名人と付き合ってるんだからさ。」  
それでも不満そうに顔をあげる香穂子に、友人は間髪いれずに時計を指さし  
言った。  
「さあ、彼氏が待ってるよ。練習室でさ。」  
 
普通科校舎から練習室へは距離がある。音楽科校舎を通り過ぎる間も、  
何度ジロジロみられただろう。普通科から参加すると決まった時よりも、  
音楽科の女生徒からの視線が痛い…。  
香穂子は視線を避けるようにうつむき加減で歩いていると、誰かにぶつかった。  
「ごめんなさいっ!」  
慌てて顔をあげて香穂子が謝ると、その相手は土浦だった。呆れたように香穂子  
をみる土浦との間に、微妙な空気が流れる。コンクール中は同じ普通科からの  
参加ということもあって、仲良くしていたのにコンクールが終わってしまった  
後はなんだか避けられてるようで声がかけづらかった。  
「よう。これから少し時間取れるか?」  
土浦の意外な言葉に、香穂子は嬉しさでいっぱいだった。また元のように  
仲良くなれたらと甘い考えで承諾していた。  
 
「練習室押さえてたんだね。」  
「ああ。」  
完全な個室になっている練習室に、土浦と香穂子がいる。イスに腰掛け、ピアノの  
蓋を開けている土浦に香穂子は尋ねた。  
「コンクール以来ピアノ弾いてないって聞いたけど、今日はどうしたの?」  
香穂子の何気ない問いが、土浦の気に障ったようだった。激しく鍵盤をたたいて  
土浦は言い放った。  
「人の気も知らないで、よくそんなこと言えるよな!」  
いきなり怒鳴られて固まっている香穂子のそばまで歩み寄ると、土浦は香穂子の腕を  
乱暴に掴んだ。  
「あの日、俺はお前を想って弾いた…。それなのに、お前は月森の奴と…。」  
「痛っ!土浦くん、落ち着いてよ。」  
あっという間に土浦に押さえつけられ、気がつくと香穂子の瞳には土浦の顔と  
天井が映っていた。今の状況をうまく把握できずに混乱する香穂子。  
そこへ土浦の顔が近づき、香穂子の唇へとキスがおとされる。  
「やだっ。」  
慌てて顔をそむけると、首筋にもキスがおとされていく。土浦の手が香穂子の胸を  
捕らえていた。  
「お願い…やめて…。」  
香穂子の抗議を物ともせず、両手を頭の上で束ねて上着を肌蹴させていく。小柄な  
香穂子が長身の土浦に押さえつけられては身動きできない。土浦は自分のネクタイで  
香穂子の両手を拘束し終えると、ブラを押し上げた。形のいい小ぶりな胸が顔を  
のぞかせる。胸の先端の突起はすでに硬く存在を主張している。  
土浦は片方を口に含み舐め回しながら、もう片方の突起をピアノを弾く細い指で  
こねあげた。  
「あ…。」  
「感じてるなら、もっと声出せよ。防音だから外にはもれないぜ。」  
愛撫を続けながら、悪戯に笑う土浦に香穂子は脅えていた。  
 
ふいに土浦は手を香穂子の膝にかけると、力いっぱい両足を開かせる。  
「だめ!これ以上は…あっ。」  
いい終わる前に土浦の指は、香穂子の敏感な場所にたどりついていた。シーツの上  
から撫でるだけでも分かる泉のあと。  
「すげー濡れてる…。やらしいな…。」  
シーツを脱がされ、誰にもみせたことのない場所をみつめられてる自分の姿に  
香穂子はただ耐えるしか出来なかった。土浦の唇が香穂子の蕾を舐め転がす。  
そのたびに甘い声を出す自分に許せない気持ちになるが、土浦の愛撫に香穂子の  
理性は飛びそうになっていた。  
「あぁ…。」  
香穂子の泉に土浦のきれいな指がのみこまれていく。ズプズプと…。  
やがて抽出を繰り返す指に、香穂子の泉の奥深いところに甘い疼きが灯りだす。  
拘束された両手をもどかしく捩り喘ぐ香穂子。  
「なんか…変っ、あぁっ!」  
 
ペチッと頬を叩かれるのを感じて目を開ける香穂子。意識を手放していたらしく  
なんだか体がけだるかった。  
「まだ、終わってねぇんだよ。」  
香穂子の泉に土浦の熱いたかまりが押し付けられる。これからなにをするのか  
経験のない香穂子でも分かる。  
「それだけはやめて!お願いだからっ。」  
「残念だな…もう止まらないんだよ…。」  
そういうと土浦は香穂子を一気に貫いた。急激な痛みに香穂子の体はビクッと  
跳ねた。  
「やぁぁぁ――っ!」  
 
香穂子の狭さに眉根をよせながら、土浦はゆっくりと動き始めた。ひたすら  
早く終わることだけを思っていた香穂子のなかに、だんだんと甘い疼きが  
灯りだす。土浦が香穂子を打ち付けるたびに、溢れ出す蜜が練習室に水音を  
響かせる。  
「香穂子…。」  
「あぁ…ん…んん。」  
香穂子の瞳から涙が溢れる。土浦は舌で香穂子の涙を絡めとると、最奥を  
求めるように打ち付ける。香穂子のなかの狭さに限界を感じた土浦。  
「ああっだめぇ。」  
香穂子が激しく啼いたのを合図に、土浦は香穂子のなかに熱い欲望を全て  
注ぎ込んだ。  
 
「時間とらせて悪かったな、香穂子。またな。」  
とりあえず身づくろいをして呆然と座り込む香穂子に土浦は声をかけると、  
練習室を出て行った。  
すると、他の練習室から出てきた月森と鉢合わせた。互いににらみ合うふたり。  
するといきなり土浦が悪戯っぽく月森に笑いかけた。  
面食らっている月森に土浦はすれ違いざまに囁いた。  
「お前の彼女、よかったぞ。」  
その言葉に慌てて土浦が出てきた部屋へと駆け込むと、そこにはただうなだれた  
様子で座りこむ香穂子の姿があった。月森は香穂子をきつく抱きしめると、  
唇を噛み締めて激しく自らを責め続けた。  
 
 

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