「ノイ、やっとこの実が出来たね」  
「頭がさえる実ね」  
 
太陽が沈んで外がすっかり暗くなった時刻、  
木竜家の近くにある秘密の研究室で、  
二人の木竜が小さな声で話していた  
 
「カディオが眠気を抑える方法が無いかっていってたから  
ちょっと作ってみたんだけど…」  
「私たち竜術士思いね〜」  
 
二人の目の前には収穫されたばかりの実が転がっている  
 
どうやら二人の木竜、ロイとノイは、普段忙しく、  
めったに眠らない自分達の竜術士、カディオの為に不思議な実を作ったようだった  
筋金入りのいたずら好きの二人がこんな事をする事はめったにない  
 
本当は素直に眠って欲しいのだけど、  
仕事優先のカディオは睡眠薬入りの実では素直に食べてくれないだろう。  
目がさえたら仕事の効率もよくなり、早く終わらせる事ができると考えたので  
二人はこの実の製作に入ったというわけだ。  
 
二人は笑いあいながら  
笑顔でお礼を言っている自分達の竜術士を思い浮かべた  
 
「実験も兼ねてちょっと食べてみようかしら。これなら安心して食べても大丈夫だし。」  
「ノイ、もう遅いし、寝たほうがいいんじゃないの?」  
「ちょっとだけよ」  
「目がさえて眠れなくなるよ」  
 
ノイはロイの制止も聞かずに実を一つ取って齧った  
 
「・・・・」  
「どう?効いてきた?」  
 
ロイはノイの顔を覗き込んだ  
ノイは黙ったままだ  
心なしか顔が赤らんでいるように見えた  
 
「即効性だからもう効いているよね?」  
 
 

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