激しい戦いだった。
アリッサも、バロウズと同化したディックも、共に呼吸を乱している。
「アリッサ・・もう、観念するんだ」
「い・・いやっ!」
渾身の力を込め、アリッサは弓を放つ。しかし不運にも、その軌道は微かにずれていた。その隙を見逃さず、バロウズ=ディック=ハミルトンは一気にアリッサとの距離を無くす。
「あっ!」
「終わりだ」
ディックはむんずとアリッサの首を掴み上げた。既に力を使い果たしていたアリッサは、抵抗する事もせずに、ただ苦しそうに呻く。
するとディックは、そのままアリッサを拘束台へと運び、その上へ寝かせた。そして狂気の笑顔を満面に浮かべたまま、ゆっくりと口を開く。
「アリッサ、悪い子だねお前は。おとなしく私に従えば、こんなに身体に傷を付けることも無かったのに。こんなに、お前の美しい体に」
そう言いながら、アリッサの傷口を愛おしそうに舐めるディック。アリッサの身体に、ゾクッというような寒気が走る。
「だ、誰がっオトナシク捕まるもんですか!・・私はルーダーよっ!!」
アリッサの言葉に、ピクリとディックの眉が釣り上がる。
「ルーダーか。ルーダーなどどうでも良い。アリッサ、私はお前と一つになりたいだけなんだよ。永遠にな」
「何が永遠よ!あなたのやっている事は結局、ただの悪魔に成り下がる事じゃない!!」
ディックの顔に、さらにはっきりと怒りの色が現れる。
「・・・お前は本当に悪い子だな!!」
そう言うや否や、アリッサの乗せられている台の周りに、数人の凶器を持った男女が現れた。
確認するまでも無く、アリッサにはそいつらの正体が分った。倒したはずの殺人鬼達だ。彼らは踊るように、アリッサの周りを回り始める。
「何なのっ!?」
「お仕置きだよ」
ディックの声が合図のように、殺人鬼達は一斉に歓声を上げ、その内の一人、シザーマンのルディが台の上に登り、アリッサを組み敷く。
「何、何をするの!?」
恐怖に満ちたアリッサの声に、五人の殺人鬼達は大声で笑った。
「アリッサ!このオレガ、サイショノアイテヲしてやろう!」
ルディの言葉の意味が分らず、アリッサは不思議そうな顔をする。
「アア、オニイチャンずるい!ワタシモシターイ」
シザーウーマン・ジャニスが不平そうに、それでいておどけたように、文句を言う。
「ハハハッ。ツギハオマエニヤラしてるやから、マッテロ!」
「ウン!」
とジャニスは元気良く返事をする。その頃には、ようやくアリッサにもルディの言葉の意味が分った。
「い、嫌、嫌っあああ!!」
「ウルサイ女だなアリッサ」
ルディはアリッサの叫び声に不満を言いながらも、顔は真剣にアリッサの身体を見つめていた。
かと思うと、今度は大きく口元を歪め、笑みを作る。
「オンナは、ヒサシブリダナ」
そのあまりに豹変した顔に、アリッサは今までとは違う、別の種類の恐怖を覚える。いつの間にか、アリッ サの身体は小刻みに震えていた。
「フ、コワイのかアリッサ?」
「っっ・・・!!」
アリッサはありったけの憎しみを込め、ルディを睨む。だがルディは表情を変えずに、笑みを絶やさない。
「こ、この・・・ひゃあっ!!」
「気持ちイーイ?アリッサ」
足元からの女の声。慌ててそちらにアリッサは目を向ける。
ジャニスが、アリッサの足の指を丹念に舐めていた。
「ひ、い、いやっ!」
「イヤ?ウソだよ」
「ひゃあっ!だ、ダメだって!!」
ジャニスの舌が、アリッサの性感帯を知り尽くしているように、上手いところを刺激する。絶え間ないくす ぐったさと快感が混ざり、アリッサに反論の猶予すら与えない。
「ナンダ。やはりインランナオンナなんだな」
「ひゃっ!ち、違っ・・」「チガワナイ!!」
反論を遮ってルディが叫ぶ。そして突然目を見開き、アリッサが纏う薄い衣を破き捨ててゆく。
「キャアアッ!」
「アーッハッハッハッ!!」
ひとしきり破くと、ルディはもったいぶったように、膨れ上がった自分の股間を晒した。
すでに隠す物を破かれ、陰部も乳房も晒け出していたアリッサには、今から何が起きるかありありと分る。
(怖い・・!)
「オレハ口ヲモラオウカ!」
と、突然誰かが宣言した。
斧男・ハーベイだった。ハーベイは、局部を飛び出させたまま一歩踏み出し、その大きな睾丸袋を、アリッサの目のすぐ上の位置で、ぶらぶらと揺らす。
「ヒッ!」
短いアリッサの悲鳴に笑いながら、ハーベイはアリッサの顎を抑えた。
「あ、あがっ・・・!」
思うように喋ることのできないアリッサの口の中に、ハーベイは己のものを一気に突っ込む。
「んーーっ!」
その巨大なものに喉の奥まで犯され、アリッサは軽い呼吸困難に陥る。
ハーベイのモノは、恐ろしいまでに青臭い臭気を放っていた。そんなモノを経験の無いアリッサに咥えさせ、欲望のままに突き上げるのだから、その不快感は計り知れない。
「んーんーっ!」
「オーモシロイッ!ヌハハハッ!!」
満足そうに声を上げるハーベイ。それを見て、ハンマー男も硫酸男も興奮したようだった。
「ウハッ!ウハハッ!オレハテヲモラオウ!」
「アリッサ!俺のモニギッテモラオウカ!!」
「んー!ウウウッ!!」
既にアリッサの顔は、涙でくしゃくしゃになっていた。呼吸すらままならないためか、顔がやや青くなっているようにも見える。
アリッサの両手には、ハンマー男のリチャード、硫酸男のジョンの肉棒がそれぞれ押し付けられ、それを無理やり握らされたまま、擦らされる。
いつの間にかジャニスの方は、アリッサの足の指で自分の秘部を掻き回していた。その顔は、快感のせいで見る影も無いほど激しく乱れている。
「ヨカッタナアリッサ!?こんなにミンナが相手シテクレテ!さあ、イヨイヨメインディッシュだ!」
今までですら限界を超えかけていたアリッサに、ルディの宣言はあまりに残酷だった。
(イヤ、嫌、絶対に嫌っ!!こんな、こんな奴に犯されるなんて!!)
アリッサは心の中で、めいっぱい叫ぶ。しかし、心で叫んだところでどうにもなるわけではない。ルディのペニスが、アリッサの入り口に触れ、確認するように突つく。
「ンー、どうだアリッサ?イレテホシイカ?」
その問いに、アリッサはハーベイのモノを咥えたまま、大きく横に首を振る。
しかしそれが引き金となってしまった。
「ヌオオおおッ!」
その瞬間、ハーベイはくぐもった声で叫んだ。達したのだ。ハーベイのペニスは、アリッサの口の中で跳ね、アリッサの喉奥に臭気を帯びた苦い液体を送り込んで行く。
「っっ・・うぇえっ!!」
「ヒャハハハハ!」
一瞬口が自由になったアリッサは、激しい嗚咽を繰り返す。だがその最中、アリッサの身体に強烈な痛みがやってくる。
「ひ、ひぎゃあああああっっ!!」
アリッサの膣から、吹き出るように血が飛んだ。
「アリッサ、処女ダッタノカオマエ!?アーハッハッハッハッ!!」
ルディは大笑いしながらも、すぐに腰を振り出した。アリッサの中は随分ときつかったが、処女好きなルディにはちょうど良い締りであった。
「カッテニ吐きダスナ!」
「ひっ・・うぐっっ!!!」
アリッサの悲鳴を、ハーベイが再び自分の肉棒で塞ぎ、再び腰を振り出す。今度は、吐き出さないように完全にアリッサの顔を固定してのイマラチオだ。
「うっ・・!!」
という感極まった男の声。
見ると、アリッサの右手に握っていた熱い棒が、ちょうど膨れ上がり、爆発するところだった。
ジョンのペニスは、ハーベイと同じように、大量の熱い粘液を吐き出す。
「んーーっっ!!」
手から右腕の付け根にまでに飛び散る液体に、アリッサは激しい嫌悪感を覚えた。その上、リチャードは一回イッタだけでは満足せず、再びアリッサの右手を使い、性器をしごき始める。
「アリッサ!どうだ!?気持イーダロウ!」
ルディの叫び声に、アリッサが涙を浮かべながらも首を振り、否定を表現する。
「ナアニ、イマにヨクナル!お、ソロソロクルゾ」
ひょうひょうとした声で、ルディは恐ろしい事実を告げた。
(うそっ!?もしかして・・!)
アリッサは、どこに力を残していたのか、再び暴れ出す。だが、状況は微かな変化すら見せない。「オウ、オウ、オウッ」と、ルディの上り詰めていく声が、そのままアリッサの焦りを急き立て、絶望感を煽る。
「お、オイオマエラ!一緒にイコウゼ!!」
突然のルディの提案に、四人は快く応じた。
そして、一気に五人が五人とも、腰の振りを速くして、その瞬間に備えた。アリッサの身体には、さらに激しい、快楽と苦痛の織り交ざった感覚が襲ってくる。
「イ、イクゾォオおお!!」
ルディの叫び声と同時に、「ウォォォオオオオッ」というような叫び声が重なる。
それと同時に、アリッサの胸、足、口の中、掌、そして膣の中に、精液が飛び散った。
一寸遅れてジャニスも絶頂を迎え、アリッサの太ももを汚す。
五人は五人とも、全身の力が抜けたように崩れ落ち、アリッサから離れた。
台の上に一人残されたアリッサは、白い欲望を身体に受けたまま、ピクリとも動かずに空を見上げていた。その目から、一滴、涙が零れ落ちた。
そんな時、アリッサの耳に足音が近づいてくる音が入ってきた。離れて傍観していたディックだった。
アリッサのすぐ側までやって来たディックは、興奮した目でアリッサを見つめる。
「アリッサ、どうだった?素晴らしいお仕置きだったろう」
ディックの問いに、アリッサは答えない。いや、答える力すら無かった。
「ふふふ。答える力も無いか。仕方ない、ではそろそろ、お前と一つになるとしよう」
そう言い、ディックはアリッサの心臓がある部分を見つめる。
しかし、先ほどのアリッサの痴態をただ見ていただけのディックの股間は、すでに痛いほど勃起していた。
「・・ふふ。一つになる前に、一度、お前の成長振りをこの手で確かめてみようか」
そう言うと、ディックは何か呪文のようなものを呟いた。
すると次の瞬間には、アリッサには、普段学校へ行く時の制服が着せられていた。大量の精液の跡も、跡形も無く消えていた。
「どうせなら、普段のアリッサで確かめないとな。どれ、まずは唇から頂こう」
そう言うと、ディックはズイッと一物をアリッサの前に差し出した。しかし、いまだ魂の抜けたように放心しているアリッサは、ピクリとも動かない。
「やれやれ」
と、ディックは一つため息をつくと、アリッサの口を強引に開け、その中に自分の怒張を突っ込んだ。
そこはディックの予想以上に、暖かかった。動かないとはいえ、ペニスにピタリピタリと吸い付く舌が、とてつもなく心地良い。
ディックは、すぐに乱暴な程アリッサの頭を動かし、快楽に酔った。
「アリッサが、可愛いアリッサが・・!私のモノを咥えているっ!!」
ディックの股間に、すぐに射精の気配がやってくる。
「アリッサ、アリッサ!飲んでおくれ!私のを、飲み干しておくれ!!」
一気に駆け上がってくる射精感。
それが、今まさに吐き出されようという時、事態は変わった。
「ぐぉおおおおおおおおおおっっ!!」
クロックタワーの頂上に、ディックの悲鳴がこだました。
慌てて五人の殺人鬼がディックに駆け寄ると、ディックは仰向けに倒れた。見ると、ディックの先程まで直立していた棒が、股間からまるっきり無くなっていた。
「アリッサ!」
ルディがいち早く気づき、アリッサの方に向き直る。
そこには、『ディックのペニスだったモノ』を吐き捨て、白と赤の液体で口の中を一杯にしたアリッサがいた。さすがのルディも、そんな光景は見たことが無い。
瞬間、ルディの身体が軋みだした。ルディだけではない。その場にいる殺人鬼達は全員、苦痛を訴え始めた。
ルディは思い出した。
ディックにより五人の存在は、活かされていた事に。
そして、ディックの力が薄れてしまった瞬間、自分達の存在が、存在しえなくなってしまう事に。
「おのれ、オノレ、アリッサァァアア!!」
叫びを上げながら、ルディ、そして魔の者の配下達は砂のように消えていった。
後に残されたアリッサは、まだ微かに息のあるディックに、再び弓を向ける。
「さよなら・・さよならおじいちゃん」
その時初めてアリッサの目に、恐怖や悔しさではない、悲しみを帯びた涙が浮かんだ。
そして・・・アリッサの戦いは終わった。