寮に戻ると、帽子を被った怪しげな老人がいた。
「大きくなった・・」
年老いたその男は、懐かしそうに呟くと、アリッサを感慨深げに見つめる。
しかしアリッサには見覚えがなかった。喋り方は、どこかに似ている人がいたような気もするが、思い出せない。
いやそもそも・・・目の前の男は、本当に人間だろうか?
男には、大きな計画があった。
目の前の娘と、永遠に自分が一つになる、というものだ。
(そのためには手段は選ばない・・いや、選ぶ事など出来ないのだ)
その時男の顔に、アリッサの弱い吐息がかかった。それだけで、男の心は大きく揺れた。一歩間違えれば、己の強い感情が、違った方向に走ってしまうことを知っていた。
(・・まだだ。アリッサの誕生日になるまでの辛抱だ。その時、私は本当の意味でアリッサと一つになれるのだから)
「あ、あの」
男の様子が変わったことに気づき、アリッサは問いかける。男は慌てて、余裕の笑みを繕う。そしてガシッ、と男はアリッサの両肩を掴んだ・・つもりだった。
「キャアッ!」
しかし予想だにしない悲鳴と平手打ちに、男は半歩後ずさる。
(肩を掴んだくらいで?)
と、怒りよりも驚きを覚えながら、男はアリッサを見る。理由が分った。
以前より自分が、背の低い姿だということを男は忘れていたのだ。
胸を揉むように、脇の下を掴んでしまったという事に、男は叩かれてから程なくして気づいた。
(しかし・・柔らかい)
ドクンッ、と心臓が跳ねる。今、自分が望めば、この娘を思い通りに出来るのではないか?そんな邪念(元より邪念しかないが)が、自己主張をするように、頭の中をぐるぐる回り始めた。
「あの、すみません、叩いたりして」
アリッサは、男が意外な程うろたえるのを見て、間違いだったのかもしれないと、暴力を一応詫びた。だが、目の前の男に対して、アリッサの警戒心が増したのは言うまでもない。
一方、男はまだ葛藤を続けていた。
(いや、私はそんな下品で俗っぽい理由で、このような姿になったわけではない。私の目指す行為は、もっと崇高なはずだ。・・はずだ)
「あの」
心配そうに、というより不審そうに、アリッサは男に問いかける。
「あ、いや。すまなかったね」
と、再び冷静を装う男。だがその目には、先程と違う光が混ざっていた。
男の目線はアリッサの顔より、その胸を捉えていた。己の感情を否定しながらも、心に性欲の火が、確かに点いてしまっていた。
アリッサが大きくなったのは身長だけではない。女性的な要所も、確かに成長を見せていた。
元よりの欲望からか、それとも、自分の中に他人を入れたからか。
男の頭の中は、既に違う欲望に侵されかけていた。
(この娘を・・アリッサを・・・)
そう心の中で呟いたのは、果たして本当に、アリッサを心から愛した祖父であったろうか?
男は、そこから一歩踏み出してしまった。
「っっ!」
老人とは思えない速い踏み込み。反射的に、アリッサは一歩下がる。だが老人は、さらにもう一歩踏み込んできた。
「うぐっ」
口を抑えるように顔の下半分を掴まれたまま、アリッサは男に押される。そしてそのまま後退し、とうとうアリッサの背中は壁にぶつかる。
アリッサは、そこでようやく気がついたように、反撃に出る。
「んーーっ!」
バチンと、男の腕を叩く音が部屋中に響いた。それにより、アリッサの口を塞いでいた男の腕は跳ね上がる。
だが、そのアリッサの反応を待っていたかのように、男はその顔を一気にアリッサに近づけ、唇を奪った。
「!!」
アリッサの目が、急速に見開く。まさか自分がこんな怪しい年寄りに、こんな事をされるとは夢にも思っていなかったからだ。
そんなアリッサの驚愕を堪能する間も持たずに、男は一気に身体をアリッサにくっつけた。男の使い古した一物が、年甲斐もなく勃起している。
(こんな、こんな変な人に!)
「いい加減にしてよっ!!」
両腕に力を込めて、思いっきり男を押し離そうとする。だが男は押されても押されても、必死にくっついて来ようとする。その動きに、アリッサはさらに強い嫌悪感を覚える。
「アリッサ!オマエは私と一つになるのだ!」
決めの台詞を、男はもう使ってしまった。
「冗・・談じゃない!」
アリッサの全身に、鳥肌が立った。それほど、今の男の発言は気持ちの悪い物だった。何が悲しくて、このような気味の悪い乱暴な好色ジジイと一つにならねばならないのか。
アリッサは今まで離し切れなかった老人を、今だかつて出した事のないような強い力で押し出した。危機迫れば、自分でも信じられないような強い力が出るものだ。
「ま、待てっ!」
待つわけがない。男の手からようやく逃れたアリッサは、扉に向かい走って行く。
「あれっ!?」
しかし、扉は開かなかった。いくら回しても叩いても、扉はびくともしない。
(この扉、鍵なんてついていないのに)
「ふっ・・ふふっ」
振り返ると、男は笑っていた。男はこの時ほど、自分の得た力に感謝したことはない。
「アリッサ。逃げられぬのだ」
「うそっ・・」
アリッサの顔に、恐怖の色が見える。
ようやくおびえ始めてくれたか、と男は自信を取り戻す。
「さあ、黙って・・私を受け入れろ!」
男はようやく、魔の者(候補)らしい素早い動きを見せ、アリッサに掴みかかる。
「キャッ・・!」
慌てて逃れようとするアリッサだったが、今度は背中からがっしりと掴みかかっているため、どうあがいても、男を離す事は出来なかった。
「いやっ!離してよおっ!」
「駄目だ!」
そう言うと、男はアリッサの足首に自分の足をかけた。
それにより、アリッサのバランスは崩され、男と共に尻餅をついてしまう。
その体勢は、さらに男の手から逃れにくい体勢だった。
「お、おおっ」
「っ!・・きゃああっっ!!」
座り込んで男が最初にしたことは、もう一度、アリッサの胸を揉みあげることだった。
男の、先程の鬼気迫るような迫力は消え、あっという間にスケベジジイの顔になってゆく。
「なんとやわらか「変態!離してよ!!」
感想など聞きたくないというように、アリッサが死に物狂いで暴れる。だが、男がアリッサの叫びを聞き入れるはずもなく、そして行為を止める訳もない。
「大きくなった・・本当に・・フフッ」
その声には、もちろん孫の成長を喜ぶ祖父の気持ちは入っていない。1パーセントぐらいは入っているかもしれないが、その手つきは完全に女を弄る男のものだ。
「離してっ!ホントっっ・・に離してってば!!」
「はははっアリッサ。照れなくても良いんだよ。おじいちゃんが、たっぷり可愛がってあげるからね」
完全にやばい発言だった。アリッサはいよいよ、自分を触りまくる男が、頭がおかしいのではないかと疑い始めた。
(この人まさか、どっかの病院から抜け出してきたとか・・)
そう思うと、それはそれで恐怖だった。
「ほうらっ、お乳柔らかいねー」
「っ!」
男の手が、ついに服の中に入り、直にアリッサの乳房に触れた。
「キャアアッ!?」
声が枯れるほど、アリッサは悲鳴を上げた。寮中に響いていてもおかしくないはずだった。しかし、誰も助けに来る様子はない。男はさらに機嫌を良くし、愛撫を続ける。
「アリッサの、こっちはどうかなー?」
左手と両足でがっちりとアリッサを抑えながら、男は右手をさらに深いところへと下ろしてゆく。目指すのは、言わば最終目的地だ。
「ひっ!」
アリッサの身体が、ビクンッと大きく震えた。男の手が、アリッサの陰部を覆う下着の中に入っていったためだ。
「んー?気持ち良くないのかいアリッサ?まだあまり濡れていないじゃないか。しかし・・暖かいな、アリッサのここは」
どこまでも男は勝手なことを言う。
「い、イヤッ・・・!!」
アリッサの目が、血走っていた。男の訳の分らない発言の連発とその行為に、すでにアリッサの精神は、一種のパニックを引き起こしていた。それも、騒ぎ立てるパニックではなく、脳の思考が全てストップしてしまい、身体がほとんど動かなくなってしまうようなパニックだ。
「んー?我慢は良くないよアリッサ?ほうらおじいちゃんだってもうビンビンだ。お尻に当たってる物、分るだろう?」
そう言われて、アリッサは気づかない方が良い物に気づいてしまう。アリッサのお尻の下には、硬くて熱い脈打つ物が、確かにある。
「い、イヤ・・・!」
「ほうら、アリッサ。素直に感じてごらん」
男は既に抑えていた左腕を離し、アリッサの胸を直接撫で回している。もちろん、右手はアリッサの陰部の辺りを刺激している。
「イヤ・・イヤ・・・ッ」
まるで幼い子供に戻ったように、顔を赤くしてアリッサは首をぶんぶんと振る。その首筋を男は念入りに嘗め回す。
「ヒャッ・・・」
その感触にアリッサは驚きの声を上げる。だがもはや、抵抗する力は抜けてしまっている。頭も、段々と熱く、ぼうっとしてきている。
「ハアッ・・・ハァッ・・・・・」
「んー?アリッサどうしたんだい?気持ちよくなってきたのかな?」
(変・・熱が出たみたいに、力が入らない・・。こんな時なのに!?)
アリッサはもう、なされるがままになっていた。
(もしかすると、これほどアリッサの力が簡単に抜けていくのは、魔の者の力のお陰かもしれない)
と、男は今更ながら思った。自分の力を嬉しく思いながら、男はアリッサの成長した体を楽しむ。男の右手の指には、アリッサのものと思われる液体がついていた。
「ふふふっ・・アリッサ。感じてるようだね。それじゃあ、いよいよおじいちゃんとひとつになろう」
そう告げると、男は自分の物を狭い場所から救い出す。
そしてアリッサの答えも待たずに、男はアリッサの下着をずらし、腰を掴み、少し浮かせる。
「何・・?」
アリッサが弱弱しく、朦朧とした声で問う。だが、次の瞬間にはその声も、絶叫となっていた。
「・・・っんあああああっっっ!!!」
男のモノは、深々とアリッサの膣を貫いた。処女の証と呼ばれる赤いものが結合部を伝い、男の陰毛を赤く染めた。
「ふふっ・・おじいちゃんのために取っておいたんだね、アリッサ。う・・嬉しい・・よ」
男はアリッサの中のきつさに驚きながらも、その感触と達成感に心から喜びを感じていた。
「ついに、ついにアリッサとおじいちゃんはひとつになったんだ。嬉しいだろう、アリッサ?・・ん?痛いのかい?仕方ないなあ。おじいちゃんが気持ちよくしてあげよう」
痛みで揺れる意識の中でも、その言葉だけはアリッサにも理解できた。
「や、止めてっっ!」
「そうーらっ!」
男は無情にも、腰を使い始めた。
「ひぐっっ!うぅううっ・・・うぅあ゛あ゛あ゛っ・・!」
座位のように突き刺されたまま、アリッサは喉が絞られたような声を出す。出したくて出しているのではなく、それしか出ないのだ。
「あ゛ああうっっ・・!」
「ハアッハアッ・・気持ち良いぞ、最高だぞアリッサ!お前もそうだろう?私の棒は、気持ち良いだろう?」
相変わらず勝手なことを言いながら、男は両手で胸をまさぐり、まるでアリッサを踊らすように腰を揺らす。
「ハアッ・・アアッン・・・!ハアッ」
アリッサの声が、苦痛を含みながらも、熱を含んだ物になって行く。
「ああっああっ!アリッサ!なんて気持ち良いのだお前の身体は!ああ、私はもう、このまま死んでも良いーーーーーーーーーっ!」
絶叫。
男には、もはや絶頂を準備したり、堪えたりする力は残っていなかった。
ドッックン、ドックンッ
と、二段階に分けての、激しい射精。
全ての熱や欲望を、アリッサの中に出し切るような放出感と達成感、爽快感。
「あ・・・あ・・あああっ・・・」
アリッサの声を聞きながら、まるで自分の望みを全て果たしたかのように、男は幸せそうな顔で意識を失った。
そして男はそのまま、二度と目を覚ますことはなかった。